2013年10月14日月曜日

道徳がこのままでは孤立する

 今回は道徳について書こうかなと思う。

 2012年01月28日
ゲーミフィケーションの正体はデスティニープランの現実化である
 この3日前、NHKの「クローズアップ現代」でゲーミフィケーションなる言葉が取り上げられていた。

 テレビウォッチ私見「クローズアップ現代」
ゲーム化でモチベーション上げろ!ゲーミフィケーションで成長する企業
2012/1/26 18:57

ゲーミフィケーション(gamification)を直訳すると「ゲーム化すること」だそうだ。若者たちが電車の中で夢中になっているゲームの手法を社会のさまざまな動きに取り入れ、モチベーションを上げようという動きだ。
ゲーミフィケーションの広がりを森本健成キャスターが伝えたが、番組を見た感想は、単純なゲーム感覚ではたしてモチベーションを上げて現実社会を変えられるか、お遊びにすぎないのではないかというものだった。
社員が社員を評価して「熱血バッジ」「絆バッジ」贈呈
「ゲームが世界を変えるかもしれない。これを聞いてそんなわけはないだろうと思った人も多いでしょう。しかし、今夜の話を聞けば少しは考えが変わるかもしれません」
森本は力を込める。では、どんなところでこのゲーミフィケーションが活用されているのか。昨年(2012年)12月、大手自動車メーカーが催したイベントの目玉は、若者のクルマ離れを食い止めるために新型車に搭載されたゲーム機能だった。ドライバーが交差点で急ブレーキをかけた途端、前に倒れかかり燃費も悪化して点数が2・6から2・3に下がった。このシステムはドライバーの運転技術を5000点満点で採点するもので、加速の変化や燃費を瞬時にコンピューターが計算して可視化する。参加するドライバー同士が自分の技術がどのくらいかをホームページで順位確認できる。ゲーム感覚で技術が磨けるとあって客が3倍に増えたという。
高齢者のリハビリにも活用されている。椅子から立ち上がったり座ったりすると画面の木がすくすく成長するのが分かる仕組みで、励みになるらしい。
社員の働く意欲を高めるために、人事評価に活用する企業も現れた。飲食店やエステサロンなどの割引サービスを紹介するウエブサイトの運営会社で、創業わずか5年で会員が20万件に達した。原動力はゲーム手法を取り入れた人事評価だという。
熱血バッジ、チームワークに貢献した絆バッジなど15種類の同僚を称えるバッジをつくり、社員同士がお互いの良いところを見つけ合い贈る仕組みだ。考案した社長は「金銭的な報酬よりも、自分がやった行動自体が評価されることに満足を感じる人が多い。そういう時代の流れになってきたのだと思う」という。
いずれも共通しているのは、課題を設定しクリアした人にはポイントなどの報酬を与え、結果を参加者が共有できる交流の場を設けていること。その結果、モチベーションが生まれるのだという。
おカネや出世ではない「働くための目的」
「ゲームの力は大きいですね」と感心する森本に、情報社会論が専門という濱野智史は次のように話す。
「一番すごいところは、人をやる気にさせるところにある。クルマの例だと、自分の現在の運転技術が下手かうまいかを可視化してくれ、学習させてくれることだと思う」
森本「ゲーム化しなければいけない背景には何があるのでしょう」
濱野「日本社会全体が長い不景気にあって、今後も高い成長が望めない。そういう時代に、おカネを稼ぐために仕事をする、出世をするために仕事をするということにやる気が出ないというか、リアリティーが持てない。
仕事をするのは辛い、何かモチベーションを与えるものはないか。そういうなかでゲーミフィケーションが注目されている背景があるのだと思います」
たしかに、運転技術やリハビリなど、課題がはっきり設定できて短期で終了できるものは、ゲーム感覚でモチベーションを維持するのは有効だろう。濱野氏の背景説明も納得できる。
しかし、単純なゲーム感覚の手法で社会を変えられるのかとなると疑問だ。ゲーム感覚の最たる野球でさえ、ダルビッシュ有投手は「日本の野球はフェアでなくなった。モチベーションの上げるのが難しくなった」とメジャー入りを決めた。ゲーム化の手法で一時的にモチベーションを上げ得ても、社会を変えるなどやはり戯言、限界があるように思える。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2012年1月25日放送「ゲームが未来を救う!?~広がるゲーミフィケーション」)

http://www.j-cast.com/tv/2012/01/26120186.html?p=all

 だが、私は全く評価できない。
 それは、機動戦士ガンダムSEEDディスティニーというアニメに出てきたある言葉を連想させた。


デスティニープラン(Destiny Plan)は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の社会構想。

概要
劇中語られた概要
 プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルにより提唱された社会システム構想。人間の遺伝子を解析する事でその人が持つ先天的な適性と能力を調査し、その解析結果を基にその人を最適な職業や役割に就かせて、より効率的な社会運営を目指すと言うもので、その結果として個人間の諍い、しいては国家間の争い事が無くなるという人類救済措置であり、全人類規模で人材の適材適所が実現されるため、無能な人物が不当に高い地位につくことでおこる混乱や、自分の境遇・待遇への不満からおこる争いごとがなくなるとされ、その結果二度と戦争が起こらないようにしようという政策だがその構想にそぐわない者は淘汰、調整、管理される世界。これにより決められた運命の中で、未来に対する不安が解消され、悩み、苦しむ事無く生きられる世界であるとされる。一方でこれが実現すれば職業選択における個人の自由意志が一切認められない究極の管理社会となるが、最終的には全ての人間が平和で幸せに生活できる、とある。
 製作者の一人、森田繁氏によると、「デスティニープランとは何!?」との質問に対して、「デスティニープランとは、遺伝子を調査すれば職業適正でも何でもわかる、その適正を最優先させれば不満も生じない、そういう社会を作ろうという計画である。上から強制するのでは無くて、人々が自主的に賛同する形で実施するのが、デュランダルの真の狙いであり、彼はそうなるように世界を操ろうとしていた」との旨を答えている。また監督の福田己津央氏は放映終了後のいくつかのインタビューにおいて「あえてデスティニープランは間違っている内容であると、小中学生にもわかる形で描いた」「同じ遺伝子を持つクルーゼと違った答えを出したレイ、これはプランが間違いであったと表現したもの」と言っている。しかし「デュランダルという実行者を失ってもデスティニープランという政策自体は人々に知れ渡ってしまったので、また次の実行者が現れるかも知れず、消滅したわけではないからやっかいである」という趣旨の内容を発言している。
 これらはWikipedia日本語版より引用

 これが現実化してしまったのがゲーミフィケーションである。
 目標を与えて達成させるために妙な情報操作を行なっているのである。更にイギリスでは深刻な問題を招いている。万引きをなくすために小売業は監視カメラを店内においているのだが、監視カメラを遠隔でチェックして万引き犯を通報し、トップクラスの通報人に報酬を出す制度があるのだがこれに殺到する人が多い。
 だが、それこそが最悪の支配なのは言うまでもない。

http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3147&html=2

 技術は正しく使う道徳的倫理があってはじめてうまくいくのだ。
 それがないまま突っ走った結果がダイナマイトであり、原爆だったではないか。その負の遺産に私たちは未だに苦しんでいる現実がある。技術は道徳的倫理と一体になって進んでいかねばならない運命にあるのは明らかだ。
posted by 小野 哲 at 23:03


2012年05月31日
規制緩和という名の暴走 医者の場合
 今回取り上げる規制緩和に関するコラムは医者の世界である。
 皆さんは既得権限で守られていると思っていてぎょっとするだろう。だが、規制緩和によって広告が解禁されたと言う事は皆さんご存知だろうか。その影響は歯科医の開業の拡大になって現れている。
 だが、次に取り上げる言葉を皆さんはなんと思うだろうか。これは医師が誰もが知っている常識、「ヒポクラテスの誓い」である。

医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。
この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
依頼されても人を殺す薬を与えない。
同様に婦人を流産させる道具を与えない。
生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!
しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。
Wikipedia日本語版より

 私が以前厳しく批判した加藤克彦自称医師(福島県大野病院医療過誤事件で、患者を死に至らしめた業務上過失致死罪が成立していたがさまざまな言い逃れを重ねて無罪を勝ち取った破廉恥)など、この言葉に最もそぐわないのは言うまでもない。
 被害者遺族は加藤の口先の反省に散々侮辱され、墓場の移転を余儀なくされた。私は加藤を須田セツ子医師の潔い医師引退の姿勢と比較して厳しく批判したが、加藤は未だに居直る高慢である。

 さらに驚くことなかれ、オウム真理教の信徒だった林郁夫と林りらの夫婦は、二人とも医者の立場を悪用して、犯罪を重ねていた。郁夫は自ら医師免許を返上したが目黒公証役場事務長の仮谷清志さんを拉致した実行犯の松本剛の指紋切り取り手術を、森昭文というオウム信徒の医師とともに行ったりらは離婚した上で医業停止3年だけというのだから、ぞっとする。いまでもりらはこうして医療行為をしているのだから寒気を覚えるし、私が患者だったら受けたくないのが人情だろう(誤解されないように申し上げるがオウム真理教信者以前に道徳的な観点からであって、差別するつもりはない。アーレフ信者であっても違法行為を犯していない信者には話をして説得する程度の心意気はあるとだけ明言する)。
 こうしたモラルハザードは新自由主義に基づく競争で見過ごされてきた。競争の果てに今、日本は人としての思いやりやぬくもりを失ってしまった。医師としての倫理観はもはや「ゴッドハンド輝」でしか見られないと言う皮肉である。りらや加藤は罪を自覚していると言うのなら郁夫を見習って医師免許を自主的に返納し、残り半生をボランティア活動に充てて罪を償えといいたいのである。
 そんな連中にこのような道徳を期待するのは樹に登って魚を探すようなものなので期待はしない。

 今回、リンクさせていただきたい文書はふなぼりすたさんのブログ「お花畑目指して」の「アンテナ解説×ブログ紹介→拡散希望」(5月31日付記事)で知ったものである。フィンランドの市民団体「環境と発展のための連合」(Coalition for Environment and Development)が2009年5月にネット上に発表した小冊子をふなぼりすたさんのお気に入りブログの管理人が仲間と一緒に翻訳したものである。
 新自由主義とは対照的なものであるが、ぜひお互いに考えて行きたいと思う。競争ばかりで倫理観が欠落している社会は社会ではない。最後に、このせりふで締めたい。

 「何が正しくて何が間違ってるなんて誰が決められるんですか!!それじゃ社会って一体なんなんですか!!僕は無力だ…」
 佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」より

「持続可能な世界への転換」( http://www31.ocn.ne.jp/~subarugaikokugo/degrowth.pdf )
posted by 小野 哲 at 22:36


2012年06月18日
何の問題もない人間を見いだせるのは、墓地の中を歩いているときだけだ。(ノーマン・ビンセント・ピール)

 今回引用する人物はノーマン・ビンセント・ピール博士(1898-1993)である。
 アメリカ・ニューヨークにあるマーブル協同教会の牧師・自己啓発作家。教会での力強い説教や教会の地下室に設けられたカウンセリングルームでのカウンセリングなどで多くの人々に教えを与え、「積極思考の使徒」「アメリカの良心」などと称されている人物。アメリカでは著名な伝道者の一人として知られており、1952年に出版した『積極的考え方の力』はアメリカで大ベストセラーを記録(その後、40か国語以上に翻訳され、全世界累計2000万部を突破)。

 何の問題もない人間を見いだせるのは、墓地の中を歩いているときだけだ。

 今回用いるこの言葉は日本の政界にとってかなりシビアな一言になる。この言葉をハシゲ信者たちにそっくりそのままささげたい。
 大阪の通り魔殺人事件に思うで私はこの事件の本質が何かを考えるよう呼びかけたのだが、管理人の秋原葉月氏のブログを転載しているブロゴス経由でヘイトコメントが目立って多い。
 今回ピール博士の言葉を使って論破したいのは以下の愚か者である。そのカマトトぶりをとくとお笑いあれ。

秋原様
2012.06.14 ( Thu ) 20:36:08 | グレムリン | URL | Edit
今回の松井知事の発言は確かに失言だと思われます。立場上の品格品性の問題としては。ただ政治家はどれだけキレイゴトを叫んでも、美辞麗句を並べても実現できなければただの評論家と同じなんです。政策の評価は秋原様が今後していけばいいだけのことです。
残念ながら生物は、生まれたその瞬間から(もっと言えば生まれたこと自体が競争の勝者なのですが)絶えることのない競争を強いられます。人類の発展の歴史はその大いなる競争の記録書なのです。
人間は確かに高等生物なのかもしれません。ただそれはあくまで他の生物と比較して相対的に高等な造りをしているだけであってまだまだ未熟な生き物なのです。未熟な生き物であるがゆえ、過去の過ちを学ぶことができません。同じような犯罪は必ず繰り返されます。完全に防ぐことは不可能でしょう。「資源が有限である限り、誰かが我慢せねばならない世界は変わらず、競争が無くなることはありません。結果社会のシステムを多少変えたとしても犯罪は無くなりません。」この前提を無視して人間の本質に側した現実的な解決法を提示するのではなく、人間がたどりつくべきではあるが実現困難なユートピアを語るところが秋原さんがBLOGOSで叩かれている理由です。
そういう夢を語ることは必要なことかもしれませんが、現実的に考えれば人間が多すぎるのでしょう。

 これを見た瞬間私はダーウィンの進化論を思い出した。
 進化論は科学の発展には寄与したものの、これがナチズムによって悪用された影がある。だからこそ、道徳と科学は光と影のようになっていなければならない。そこで私はこのように反撃をかました。

 グレムリン君、君は退化している
2012.06.15 ( Fri ) 20:11:14 | 小野哲 | URL | Edit
 村野瀬さんが見事に論破してくれましたので私も言う事はありませんよ。
 君は自分から退化する道を選んでいますね。それで助かるのは権力者だけです。市民はむしろ進化する道を選ぶのですよ。魯迅の「犬の反駁」がギャフンと思うのならまだしも進化に戻るきっかけにはなるでしょうが、最初から「僕にはできっこなーい」としり込みしているようでは話になりませんよ。
 秋原さんの見解と私の見解は必ずしも一致するものではないですが、それはそれでいいと私は思っています。むしろ違うからこそ、進化しようと人は努力するのですよ。
 君の考え方をもう一つの角度で言うならば、ダーウィンの進化論の劣化版でしかありません。進化論は優生学になって体現化され、ナチスドイツに悪用されたという汚点を君はなんと思いますか?
 ナチスドイツは、進化の遅れたとされるユダヤ人や、身体障害者たちを、「進化促進」という大義を掲げて、使命感に燃えて、虐殺した事実を君はなんと思いますか?そうした事へ我々は異議ありと叫んでいるに過ぎません。
 この指摘がいやならば、書き込みを自粛される事をお勧めします。

 この指摘がグレムリンなる愚か者には堪えたのだろう、こんなお粗末なコメントでごまかす始末だ。

小野哲様
2012.06.17 ( Sun ) 18:28:48 | グレムリン | URL | Edit
>君の考え方をもう一つの角度で言うならば、ダーウィンの進化論の劣化版でしかありません。進化論は優生学になって体現化され、ナチスドイツに悪用されたという汚点を君はなんと思いますか?
 ナチスドイツは、進化の遅れたとされるユダヤ人や、身体障害者たちを、「進化促進」という大義を掲げて、使命感に燃えて、虐殺した事実を君はなんと思いますか?

ナチスとはまた大事ですね。私は確かに人間は過ちから学べないと言いました。訂正しましょう。過去の過ちから学べない愚かな人間が少なからず存在している、と。ナチスの行ったことは愚行です。人間が愚かな証拠です。今の世の中で当時のような規模での虐殺は起こらないでしょう。その分少しだけ進化したのだと思います。
神の形に似せて創ったといわれる人間が最も偉いんだという西洋的な概念が現在の民主主義を生み出すベースとなったわけで、政治はいわば宗教的なものだと私は思っています。だから日本の政治には無理が生じているのです。果たして西洋的な進化=人類の進化なのでしょうか?多様化・共生を啓蒙する一方で西洋の社会システムをそのまま日本に押し付けることは矛盾していませんか?

 私もさすがに呆れてコメントする気にはならなかったがインターネットをやめるよう勧告し、それが嫌なら勉強しなおすか謝罪しろと突き放した。
 ピール博士の幼い頃、小学校の教師が「できない」と黒板にでかでかと書いて「どうするか」と子供たちに問いかけるシーンがあった。子供たちは「できないのないを吹っ飛ばせ!」と叫び、教師は「ない」を消した。次に教師はどうするか問いかけると「ます」と書き込むよう子供たちが叫ぶ。「できます」と書き込んだ後教師は「最初からできないとしり込みしたらダメだ」と呼びかけた。
 その思想はピール博士の以下の言葉になって反映されている。

 ところであなたが恐がっているものは何だろうか。
 あなたが引き止めているものは何だろうか。
 前方をさえぎっているものはなんだろうか。
 それをやってみることだ。
 単純な論理には違いないが、それをすることによって不安を解消した人たちを、私はたくさん知っている。
 私の説得によってそれを実行した人たちは、恐怖に負けるどころか打ち勝っている。

 この言葉をチームで実行し、今年J1で大活躍しているサガン鳥栖からもこの言葉の正しさは明らかだろう。

posted by 小野 哲 at 21:00

2012年07月27日
下半身ビジネスを規制すべき根拠
 さて、なぜ私が下半身ビジネスを嫌っているかは道徳上の観点だが、ここまできちんと裏づけがあるなら納得する。

AV女優は引退後、どのような人生をたどるのか?
[2012年07月18日] 週刊プレイボーイより

 AV女優のレベルが異常に高くなっている、というのはよくいわれる話だが、『職業としてのAV女優』を読めば納得できる。この本によると、AV女優は「単体」「企画単体」「企画」の3つのランクに分けられているが、100人のAV女優志望者がいたら、だいたい70人は面接前にはじかれるらしい。そして、「企画」で採用されるのが10人ほど、「企画単体」は3、4人、「単体」は基本的にスカウトなどでないと見つからないとか。AV女優は圧倒的に供給過多で、普通の女性はAVにすら出られないというのだ。
 そんな女性の中のエリートであるAV女優だが、やはり彼女らには相当のリスクがあるという。AV女優は引退後、どのような人生をたどるのか。ノンフィクション『名前のない女たち』シリーズなどで700人以上のAV女優にインタビューした中村氏に聞いた。
―なぜかわいいコがAVに出ようとするんでしょうか?
「AV女優になる理由は、生活費が足りないという場合から刺激欲しさまでさまざま。彼女らに、人前でセックスすることへの後ろめたさは希薄です。この10年で、社会全体が性に関して寛容になってきていることが大きいのでしょうね」
―一度AVに出たらセックスしている動画が出回って、ネットに画像も残るわけです。引退後も、仕事や結婚などの場面で大きな影響があるんじゃないかと思いますが、それでも女のコに躊躇はないんですか。
「プロダクションに登録しているAV女優は6000から8000人ほどで、そのうち4000から6000人が毎年入れ替わっているといわれています。それだけいたら、なかなかバレたりはしません。それに、美人でエロければ過去は問わない、なんて男は大勢いると思います。幸せな結婚をしてるコもいますよ」
―AV女優をやってたことはマイナスにはならない、と。
「ただし、この話はAV女優全体の3分の1の人に限ります。彼女らはAV女優をしている期間中は人生で特別な時期なんだという自覚があって、引退したら裸になることから足を洗います。ですが、『AV脳』に染まりきった3分の2は大変です」
―AV脳とは?
「楽して稼いだ経験を忘れられず、普通の仕事に就けなくなってしまうことです。引退後、女優の3分の2が性風俗やキャバクラに流れてしまうのですが、それはこのAV脳のまま、一般の感覚からずれたことに気づかないから起きてしまうのです。でも、これはどんな仕事をやっていてもそうですよね。雑誌のライターでも、これまでは3万円の原稿料もらっていたけど、売り上げが落ちたから5000円になると言われて、なかなか納得できない人がいる」
―笑えない展開になってきました(苦笑)。出版だけでなくどんな業種でも、今はデフレやグローバル化で労働者としての価値が下がっているケースが大半。それを冷静に見据えることができている人は少数派でしょう。これは非常に普遍的な話なのかもしれません。
 AVに話を戻すと、女優にとって最大のリスクは、バレることではなくAV脳になってしまうことだということですね。AV脳のままの3分の2は、引退後、どうなってしまうのですか?
「往々にして、デリヘル、ソープ、裏風俗、個人売春と際限なく堕ちていってしまいます。こうしたリスクはバイト感覚でAV女優をやろうとしているコには見えづらい。性に対して寛容な人が多くなったといっても、やはりカラダを売る仕事。AVや風俗には関わらないほうが女性は幸せになれると私は思います」

●中村淳彦(なかむら・あつひこ)
1972年生まれ。ノンフィクション作家。高齢者デイサービスセンターを運営。著書に、企画系AV女優に取材したノンフィクション『名前のない女たち』シリーズ(宝島社)などがある

『職業としてのAV女優』
幻冬舎新書 840円
“AV女優に支払われる報酬は8割が数万円程度”といった基本的なことから、女優の意識の変遷、業界と闇社会のつながりまで明らかにする。普段接しているAVの裏側が知りたい男性や、AV女優になりたいと思う女性にとって有益な「職業案内書」

 みなさんも、じっくり考えてほしい。
 下半身ビジネスは百害あって一利なしという私の指摘が正しい事を今回のインタビューは明らかにした。まじめ一辺倒だけじゃ社会は硬直化するが、羽目をはずしすぎても意味はない。そもそも、公衆の面前で性交を披露する事で何が得られるのだろうか。
 そんな事は秘めておくからこそ楽しみなのだろう(もっとも私は遺伝系の持病の当事者なのでそんなことはできないが)。今や下半身ビジネスは暴走している、犠牲者を増やさないためにも政府はビジネスへの規制を行なうべき段階に来ている。

posted by 小野 哲 at 06:54

この記事へのコメント
規制は表現の自由との関係で問題があります。
その前に啓発が必要でしょう。
AVに夢中になっている人たちには教えてあげるべきです。
他人がしてることを見るのではなく、自分ですることでしょう。

Posted by 鈴木 at 2012年07月29日 14:45

2012年08月19日
人になにかしてもらうこと、与えられることに慣れて、感謝の気持ちを忘れるとこから、全ての争いは起きてる(西川貴教)

 自由というのは与えられるものではない。
 自分の責任で掴み取るものなのだ。今回取り上げるツイートと以下のニュースを私たちは考える必要がある。

西川貴教 ‏@TMR15
人になにかしてもらうこと、与えられることに慣れて、感謝の気持ちを忘れるとこから、全ての争いは起きてるんじゃないかと、僕は思う。
http://twitter.com/TMR15/ より
http://twitter.com/TMR15/status/236281354327826432

【国際】
ロシア地裁 女性バンドに禁錮2年 反プーチンの歌
2012年8月18日 東京新聞・朝刊

 【モスクワ=原誠司】プーチン自称大統領が『当選』したロシア大統領選前の二月下旬に反政権を訴える演奏を無許可で行い、フーリガン(不良)行為の罪に問われたパンクバンド「プッシー・ライオット」のメンバーの女性三人の判決公判が十七日、モスクワの地区裁判所であり、「宗教的な憎悪による不良行為」があったと決め付けて、それぞれに禁錮二年(求刑禁錮三年)を言い渡した。異例の実刑判決は市民の自由な発言に対する不当な弾圧だとして、国内外で抗議行動が起きた。
 すし詰め状態の傍聴席から「恥を知れ!」、「不正だ!」などの怒号が飛び交う中、マリーナ・シロワ自称裁判官は「ロシア正教徒に対する宗教的憎悪と敵意に基づき、社会秩序を乱し、神を冒とくする言葉を叫び、(ロシア正教の)信者を侮辱する振り付けで踊った被告人らのしたことの性質と、それによってもたらされる危険の度合いを考慮すると、被告人の矯正は実刑でのみ可能である」と暴言。判決が読み上げられる間、三人は苦笑いを浮かべていた。判決後、弁護人の一人は「全く不当な判決だ」と不当判決を厳しく批判、上訴の方針を明らかにした。
 三人は二月に救世主キリスト大聖堂で「聖母マリア様、神の母よ、フェミニストであれ、追い出してください。『プーチン』を...。『プーチン』を...。追い出してください」などと歌って逮捕された。収監は通常のケースと比較して半年近くに及び、検察側は通常は罰金刑にすぎない微罪に厳しい刑を求めた。三人は最終弁論で道徳的な非は認めたが、自分達の活動を旧ソ連の反体制派活動家になぞらえ、「『内なる自由』を奪うことはできない。これは自由に発言する市民に恐怖心を植え付けようと市民の政治活動を制限する抑圧キャンペーンだ。私たちの政治的行動には刑事罰は当たらない」とプーチン独裁政権を厳しく批判、起訴は不当であると指摘して無罪を訴えていた。
 地区裁判所周辺は、開廷五時間前から治安当局が通行を制限。支援者ら数百人が遠巻きに見守る中、元チェス世界王者で民主化運動を進める政治家カスパロフさんら六十人以上が国際法違反の不当拘束を受けた。弁護士の女性(46)は「市民を締め付ける独裁者プーチンは政権を去れ」とプーチンを痛烈に批判した。
 抗議はロシア各地で行われ、中部カザニなど六都市でも数十人がプラカードを掲げて抗議。判決を機に、昨年十二月から断続的に続く反プーチンの抗議行動が再び盛り上がる可能性がある。
 国外からの批判も相次いだ。判決を受け、ロンドンやラトビアの首都リガでは、抗議する市民らがロシア大使館周辺に集まった。欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表は「深く失望した」と声明を出した。判決前には米国の人気歌手マドンナさんや、元ビートルズのポール・マッカトニーさんらが5ヶ月以上も不当拘束の被害を受けている三人の無条件即時釈放を求めていた。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは3人を「良心の囚人」と指摘してロシア自称政府に3人の釈放を求めた。また露大統領付属人権委員会のフェドトフ委員長も判決の言い渡し開始後に「無罪以外のいかなる判決にも私は納得できない」と発言した。
*この記事に同業他社の記事も含めて大幅に加筆しています。独裁者プーチンの正統性を認めない観点から徹底的にこき下ろしていますのでご理解ください。

 独裁者プーチンよ、お前に言おう。
 お前はソチを自らの国威発動と権威の確保に悪用している。そんな暇があるのなら今すぐ民主化し、全千島列島を無条件で日本に返還し、日本と軍縮を含む平和条約を取り交わすことだ。私はプッシー・ライオットの三人のメンバーと連帯を表明する。

マリア・アリョーヒナさん 24歳
ナジェージダ・トロコンニコワさん 22歳
エカチェリーナ・サムツェヴィッチさん 29歳

 彼女たちは良心の囚人であり、国際法でも正当な立場にあることは明快だ。
 プーチンこそ真の悪人であり、厳しく罰されるべき立場だ。プーチンにはこのままでは終身懲役刑が待っているとだけ警告しておこう。ただですら殺人罪や冤罪でっち上げなど深刻な悪事がある、それに対して権力で居直る不誠実。さらに権力の私物化という取り返しのつかない罪はヒトラーにも匹敵する。ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェヴィチ自称報道官は「ドイツだって処罰したはず」と暴言した。
 このハレンチ極まりない暴言に私は呆れて何もいうことはない。ロシアはこれでナチスドイツと同じ立場になってしまったのである。無論、狂犬政治がまかり通るシリアともどう違うのかと言われて私には説明すらできまい。パレスチナの無垢なる民を弾圧するイスラエル極右政権とどう違うのかも証明してもらいたい(無論私はアウシュビッツ収容所が偽造されたものとは思わない。多くの証言者がいる限り真実であることは明快だ)。
 メドベージェフ自称首相も全千島列島を不当訪問するポピュリズムの罪を犯している。今のロシアは完全に世界中を敵に回していると断罪する。今のロシアは西川氏の言葉の重みを忘れている。感謝の意味すら忘れ、ただ上から与えられた自由もどきを自由と思い込んでいる。何かをしてもらうことになれるのではなく、自分で出来ることをしながらまえを向いていこうと私は思う。

posted by 小野 哲 at 16:48