2013年11月18日月曜日

旧時代的発想を押し付ける愚か者 橋田壽賀子

 橋田壽賀子という、時代遅れの脚本家がいる。
 私はこの女の作品を全く理解できない。
 橋田を有名にさせたのは「おしん」だが、その奉公地に設定された山形県酒田市の出身である評論家の佐高信氏は、「酒田周辺では、おしんよりもっと苦難を強いられた女性がたくさんいる」と指摘して、作品に批判的である。
 ただし、本編におけるおしん自身の述懐にも「奉公ならまだいいほうだよ。男相手に身売りさせられたなんてのは当たり前のことだったんだから。そのこと考えたら、畑や家のことや杉苗植えなんて、寝る暇もないぐらいこき使われたって、ありがたいと思わなきゃね」ともいう。そこに佐高氏の詰めの甘さがあるのだが、ここではあえて言うまい。
 とにかく、おしんでいうなら「一に二に我慢」である。そのモデルの一人がファナティックな社風で知られたヤオハンジャパン(現マックスバリュ東海) の創業者の和田カツだったということは知らないであろう。そのヤオハンはすさまじいまでの宗教的な会社だった。「生命の実相哲学の正しい把握とたゆまざる実践を通して、全世界人類に貢献するための経営理念を確立する」という社是に明らかにあるようにカルト団体で知られる生長の家信者だったと言えば、皆さん驚くではないか。
  旧ヤオハンの社是も同宗教の教義に基づいており、世界中で新店舗が開店する際には、社員と共に行う生長の家の祈りが欠かされなかったというのだからまさにおぞましいというしかない。そんな会社を美化したという意味で橋田の罪は重い。ヤオハンが経営破たんした後どれだけの社員が路頭に迷ったのかを考えるべきだ。
 これで驚くのは早い。橋田は「渡る世間は鬼ばかり」でもとんでもない失態を繰り返した。親の七光りを押し付けられることに反発した子供に親の価値観を押し付ける傲慢な脚本を垂れ流した。これはまさに非人道的ではないか。そのあくどい体質によって育てられたのがえなりかずきだとすれば、韓国へのヘイトスピーチには納得だ。
 更にその延長線で三つ目の罪。「春よ来い」で主演をさせた安田成美に降板された際に橋田は
安田に対して「飼い犬に手を噛まれた」と暴言を吐いた。長台詞の脚本で苦しめておいて、ノイローゼ寸前と追い込んだ癖して何が「飼い犬に手を噛まれた」か。女優を動物のように扱う傲慢さにはあきれ果てるとしか言いようがない。
 橋田はアニメや特撮で活躍している脚本家の小林靖子氏に完全に負けた。橋田の作品と違い、小林氏は「未来戦隊タイムレンジャー」で見せたように親子の葛藤もきちんと踏まえるなど実力のある脚本家だ。それとも、宮崎駿氏と一緒に引退したらどうか。