2014年4月16日水曜日

JR北海道だけが悪いのか

JR北海道の安全対策、過去最高539億円に 新年度事業計画を申請

(03/26 06:15)
JR北海道は25日、2014年度の事業計画を国土交通省に認可申請した。安全への設備投資と修繕費を合わせ過去最 高の539億円を計上。16年3月に予定される北海道新幹線新函館(仮称)開業の関連費に前年度計画比で3倍の約150億円を投資し、開業準備を加速す る。また、昨年11月から実施している特急の減速・減便を新年度末まで継続する考えを示した。
 安全関連の設備投資は同5割増の279億円で過去最高。函館線の森―大沼間などで10億円規模の枕木コンクリート化を進めるほか、特急ディーゼル車両のエンジン・変速機の交換などを行う。安全関連以外も含めた設備投資の総額も過去最高の497億円に上る。
 さらに修繕費に同2割増で過去2番目となる260億円を計上し、木製枕木の交換や車両、レールの検査などに力を入れる。
 同社は今年1月、安全投資と修繕費に各250億円規模の計上を国交省に報告していたが、上積みした。
 一方、新幹線関連の設備投資では、新駅建設や保線機器などに同2倍の28億円を計上。残る約120億円の多くは、10月にも納入が始まる新幹線車両の新年度分費用に充てられる。
 また、ディーゼルエンジンと電気モーターの両方を直接動力とするハイブリッド特急気動車の試作車3両を新年度に導入し、試運転を開始する。<北海道新聞3月26日朝刊掲載>

 私はこの計画について、一部指摘しておかねばならないことがある。
 北海道新幹線計画だ。新函館から札幌までの新幹線フル規格での建設は今すぐ断念すべきだ。すでにミニ新幹線があるので、今すぐ新函館から旭川についてはミニ新幹線での建設に切り替えるべきだ。
 また車両についても、E2系をJR東日本から譲渡してもらい、改良して使うべきだ。ミニ新幹線一つにしても、JR東日本にはノウハウがあるので貰わない理由はない。そもそも安全でここまで金を使わないといけない事態になったのは、現場の人員への育成を怠った過去の歴代無責任経営者にある。つまりは「国鉄民営化」という名前の国鉄会社化のツケだ。中曽根康弘の罪はこういう意味では際立って重い。
 だが、放置してはいけない暴言を吐いた愚か者がいる。
http://www.fukayatakashi.jp/article/377421199.html

第475回「祝い事」と「不祥事」

 深谷隆司の言いたい放題第475回
 「祝い事」と「不祥事」

 日本橋うなぎや老舗「大江戸」の御主人湧井恭行氏が、旭日双光章の栄に浴した。料理業界に対する貢献が認められての春の叙勲である。
 10月12日、中央区のロイヤルパークホテルでの祝賀会は250人の客で盛会であった。
 大勢の来賓を代表して私が挨拶に立った。元通産大臣、自民党都連最高顧問との紹介の後、湧井さんが私の後援会長であることも添えられた。以下挨拶概要。
 「湧井さんは私の政治活動をあらゆる角度から支えてくれた恩人。昨年引退にあたり、自分の後継者として自民党政経塾塾生の辻清人君を送り出したが、その時も懸命に応援してくれた。(挨拶が無い辻君の為にあえて紹介、大拍手)
  自分が大臣時代、外国要人をもてなすため「大江戸」に案内したが、中でも印象に残っているのがWTO事務局長のパスカル・ラミー氏だ。彼は老舗での宴で すっかりご機嫌になって大変な感激振りであった。帰った後、役人が書いた彼の経歴と人柄欄に「人間嫌い、宴会嫌い」とあって驚いた。
 人間嫌い、宴会嫌いの彼がどうしてそんなに喜んだのか、それは200年を超える老舗の、日本料理に見る「日本の食文化」への感動と、なによりも女将さんの「オ・モ・テ・ナ・シ」のお陰であった。
 湧井さんの功績から叙勲は当然で嬉しいが、もっと嬉しいのは、自分の事のように喜んで祝賀会を開いてくれた橋本敬氏はじめ発起人並びに参加者の友情だ。これは湧井さんの宝だ。
 叙勲は終着駅ではない。これからさらに努力して欲しいとの国の願いだ。夫婦そろって健康に留意し、更に元気で頑張って欲しい」。
 大勢の応援者が次々と私に声を掛けてくれる。こんなに皆に囲まれ喜ばれる光景は久しい。思えば現職時代、いつも挨拶したらすぐに次の会へと急いで、こんな風にゆっくり座っていることはほとんど無かった。
 湧井さんを祝う素敵な雰囲気の中で、ホテルの料理も堪能し、最後まで席を立たなかった。せっかく引退したのだから、これからはこんな風に暮らしたいものだと、ほのぼのとした思いであった。

不祥事 
 不祥事の反対語は無い。せいぜい「祝い事」かと、今回は「祝い事」と「不祥事」のタイトルに選んだ。
 近頃、頭にくるのはJR北海道の相次ぐ不祥事である。10月10日、函館線ほしみ駅で快速電車が230mもオーバーランした。列車火災、脱線事故、267カ所にも及ぶレールの異常放置・・・、一体どこまで続く泥沼なのか。
 人命にかかわるのだから絶対に看過できない不祥事である。
 マスコミや評論家は相変わらず、杜撰な経営体質を責め、民営化に伴う採用抑制による現場の衰退、赤字体質の企業経営の圧迫があると解説する。
 然し、東日本、東海、西日本、四国、九州各社も、民営化後は人員削減をはじめとする必死の経営努力を重ねている。管内全域にわたる安全管理の不祥事やサボタージュと言った異常な問題が目立つのはここだけである。
 脆弱な財務基準と言うが、四国、九州も同じ条件だがここまでの不祥事は起こしていない。
 そこには誰も触れられない労働組合との根深い闇があると私は見ている。
 ここには北鉄労(北海道旅客鉄道労働組合)と10年前に出来たJR北労組(JR北海道労働組合)がある。
 問題は北鉄労だが、この上部団体はJR総連だ。かつて中核派など他のセクトと陰惨な内ゲバなどのテロ行為を繰り広げた極左暴力集団革マル派が中心で、国会でもしばしば問題として取り上げられてきた。
 7000人の全職員の内、管理職を除く84%が加入する組織だが、一度入るとあらゆる妨害が激しくて決して抜け出すことは出来ないと言う。
  如何に勝手な振る舞いであったか、例えば、長年にわたってアルコール中毒検査まで拒否してきたことで伺える。安全を守るべき鉄道の最低限のモラルはアル中 検査だが、人権侵害など理由に拒否し、やっと義務化したのは去年のことだ。こうした組合の傲慢さを野放しにした企業の、ある種怖さからくる「なれ合い体 質」を一掃しない限り、不祥事は無くならない。
 相次ぐ不祥事に、ついに中島尚俊社長は自殺したが、遺書に、「お客の安全を最優先することを考える社員になって欲しい」と書いてあった。
 一般論だけで誤魔化し、こうした労働組合の「深い闇」に見ぬふりをするマスコミ、評論家に猛省を促したい。
 何よりも大事なことは、みんなが発言し世論を作り上げることだ。マスコミや評論家を揺り動かし、正常な状態を作り出すことが急務だ。
 国会でも繰り返し取り上げるべきではないか。議員の奮起を促したいものである。


 深谷はとんでもない認識不足をしている。
 そもそも国鉄会社化で人員削減を求められるのは当然だ。その結果、日本中必要な鉄道がどんどんバスに置き換えられたがその結果はすさまじいまでの過疎化を招いたのである。そのことに対する反省の念が深谷にはまったくない。
 もしJR北海道にこんな経営者がいればまだしも救いようがあったのだ。
 

性格が悪い自分が皆に好かれるには

上司の気懸かり10篇 杉野正さんインタビューより

PRESIDENT 2012年6月4日号

僕は「うそつき」ではなく、「ほんとつき」なんです。本当のことを言ってしまう性格ですから、しなの鉄道を再建するときも、埼玉高速鉄道を再建するときも、社長として乗り込んでいったとき、社員に隠しごとをしないし、本当のことしかいわなかった。
し なの鉄道の社長に就任してすぐに、社員には「赤字を出す会社であれば、潰れたほうがいい」といいました。運営費のほとんどを長野県と沿線の自治体からの税 金で賄っている会社です。その会社が赤字ということは、血税を垂れ流し、ドブに捨てているようなものです。このままなら、会社を潰して、社員はみんなハ ローワークに行ったほうがいいと伝えました。
だから、正直な話、社員には嫌われていたと思います。特に、改革に後ろ向きの社員を相手にするときは、社員が見ている前で、「辞めてもらいたい」という気迫で怒りました。なぜ、みんなの前で怒るかといえば、どちらのいっていることのほうが正しいか、社員にわかってほしいからです。
しなの鉄道のときには、社内に「打倒JR」「打倒、県企画局」などのビラも貼りました。目に見える形で、自分の意思を浸透させるためです。僕は自分の言葉にコミットしているから、目標を曖昧にせず、目的もしっかりと書いて貼っておく。口頭ならば、いいっぱなしになりますから。その分大きなプレッシャーですけどね。
会社再建で大変だったのは、コストダウンです。契約書を見ても、明らかに不平等で不利な契約になっている。しなの鉄道では、JR東日本の都合のいいように、 契約が結ばれている。埼玉高速鉄道では、東京メトロの都合のいいように契約が結ばれている。しかし、社員はそういう不平等契約が身に染みついているから、 どうコストダウンしたらいいかわからない。
だから、たとえば、キヨスクとの交渉や、車内広告の交渉など、大きな契約更改の交渉は、すべて、僕自身がしました。身をもって範を示すことで、できないことはないんだと、社員に示すわけです。
僕みたいに、「黒船」のようにやってきて、今までのやり方を根底から変えるためには、「結果」を出すしかありません。結果を出せば、社員も認めざる をえなくなる。好かれるかどうは別にして、認めざるをえないところまで結果を出せば、社員たちも僕に従わざるをえなくなります。
しなの鉄道の経営再建では、3割のコストダウンを打ち出しました。この3割は、今までのやり方では絶対達成できない数字です。つまり今までどおりの仕事をしていてはダメで、仕組みや方法を大きく変えないといけない。
一方で、コストダウンだけをやっていれば、会社の活気は次第に失われていきます。それよりも、面白い企画を考えて、増収を目指したほうがいい。しなの鉄道では、ビール列車やワイン列車、あるいは芸者列車などさまざまな企画を考え出し、実現しました。
いろいろな企画の列車を走らせることで、乗客が目に見えるほど増えてきます。結果が出れば、人間、楽しくなってきます。すると、社員自身もどんどん企画を出すようになる。そうなれば、自然に会社全体が動き出すようになります。
さらに、毎日、誰かれ構わず、声をかけるようにしました。仕事のことだけではなく、今日何を食べたのか、などと声をかけます。僕は、社長室というの が嫌いで、僕も一人のプレーヤーだから、他のプレーヤーのコンディションがわからないと、いい仕事はできません。それに自分が出した指示の反応を見る必要もあります。
杉野式「社員の心を掴む」5カ条
杉野式「社員の心を掴む」5カ条
僕は、人の欠点を見ないようにしています。欠点をあげつらっても仕方がないからです。配置転換でも、社員の長所を褒めて、いいところを伸ばすために 配置転換を考えます。それから、前向きの失敗ならば、決して怒りません。新しいことにチャレンジした失敗は、次につながる失敗だと思います。
実は、これまで僕は社員に好かれるかどうか気にしたことはありません。少なくとも、認めざるをえなくなるまで、自ら率先して結果を出すこと、長所を見つけ出して適材適所に配置すること、隠しごとをせず、本当のことを話すことで、案外、社員には好かれていたかもしれません。

杉野正、すぎの・ただし。日本の実業家、企業再生家。神奈川県出身。神奈川大学経済学部卒業後、ユニ・チャーム、エイチ・アイ・エス勤務を経て、「しなの鉄道」再建の依頼を受け社長として乗り込む。2年間で「しなの鉄道」を黒字化させた。その後、巨額の赤字を出していた埼玉高速鉄道の再建依頼を受け社長を務めた。著書に『俺が黒字にしてみせる!』など。
 

 こんな杉野にJR東日本の無責任トップたちはさんざん煮え湯を飲まされた。
 当然だろう、あまりにも無責任すぎたからだ。経営者は責任を取ってナンボの生き物なのだからだ。JR東日本・東海・西日本は第三セクターや経営不振の中小私鉄のスポンサー企業になり経営再建を行うことが今や義務付けられているのである。
 これが公共財を運営する企業に求められている任務なのだ。