2014年8月6日水曜日

人を感情で断罪する愚かさを厳しく批判する~三鷹ストーカー殺人事件の被害者遺族にあえて苦言する~

【社会】

ストーカー殺人 被告に懲役22年判決

 東京都内で昨年十月、高校三年の女子生徒=当時(10代後半)=が刺殺されたストーカー事件で、殺人などの罪に問われた元交際相手のA被告(20代前半)の裁判員裁判の判決が一日、東京地裁立川支部であった。林正彦裁判長は「被害者に落ち度はなく、犯行動機はあまりに一方的で身勝手。 同情の余地はごく乏しい」として懲役二十二年(求刑無期懲役)を言い渡した。
 判決理由では「強固な殺意に基づく執拗(しつよう)で残忍な犯行。高い計画性も認められる」と指摘。犯行後、女子生徒のプライベートな画像をイン ターネット上で拡散させたことを「極めて卑劣」と述べた。「母親のネグレクト(育児放棄)など成育歴の影響が背景にあるとはいえ、反省を深めていると認められず、被害者や遺族に謝罪の言葉すら述べていない」とする一方、「まだ若くて前科前歴もない。母親が帰りを待っている更生可能性がある」として有期刑が相当とした。
 A被告は半袖ワイシャツに黒のズボン姿で座って判決を聞き、最後に裁判長に一礼した。
 女子生徒の両親は被害者参加制度を利用して判決公判に参加し、ついたてによる遮蔽(しゃへい)措置がとられた。代理人によると、両親は喪服で出廷し娘の写真を前に置いて判決を聞いたという。
 死刑を求めていた両親は「失望した。なんでこんなに軽いのか、全く理解できない」とのコメントを出した。代理人弁護士によると、両親はコメントで「判決はストーカーたちに誤ったメッセージを送ったことになる。この程度で済むならばやってしまおう、ということになりかねない」と指摘した。
 被告は生徒のプライベートな画像を事件前後にインターネットに流出させており、「リベンジ(復讐=ふくしゅう)ポルノ」の問題も浮き彫りになった。両親は「(判決は)リベンジポルノの犯罪の本質、被害の大きさを全く理解していない。ストーカー殺人や(元交際相手の画像をネット上に公開する)リベンジポルノを今以上に厳しく取り締まり、処罰する法制度が必要だ」とのコメントを出し、検察に控訴を要請した。
 判決によると、A被告は昨年十月八日午前、女子生徒の自宅に侵入。夕方帰宅した生徒を自宅敷地内や路上まで追い掛け、首や腹などをナイフで刺して失血死させた。
※なお、被告人の実名および被害者の年齢は伏せて掲載いたします。
 また被告人は判決を不服として控訴しました。

 ハッキリ言っておかねばならない。
 この事件にしてはかなり厳しい判決であり、被害者の無念を組んだ判決である。さらに被告人に対する公正という観点からも極めて冷静な判決である。また、私が厳しい怒りを覚えるのは被害者遺族だ。
 そもそもFacebookという、架空空間で被告人と被害者が知り合って安易な形で関係を交わす段階で取り返しがつかないのは明らかだ。その点を踏まえ、裁判員たちが極めて冷静な判決を下したことに心より敬意を表すると同時に、検察は控訴をただちに断念し判決を確定させるべきである。もし遺族の言う死刑だとかえって自殺目的の殺人事件が横行する危険性があったのであり、取り返しのつかないメッセージを遺族が送ったことに厳し批判と失望を表明する。ゆがんだメッセージを止めた裁判員たちの勇気に心から敬意を表明する。遺族たちは心より猛反省してもらいたい。
 なお遺族には民事訴訟という形で、被告の責任を追及する権利はある。また、犯罪被害者やその遺族は精神的カウンセリングや経済的支援などで精神的なケアを受ける権利もある。だが、裁判員裁判を悪用し、感情的断罪を画策する行為は裁判の劣化を招く暴挙であり断罪されるべき行為である。 熊本市の女児殺人事件では被告人が発達障がいだったのにもかかわらず不適切な無期懲役刑が押し付けられた。だが、遺族は満たされたのだろうか、満たされずかえって虚しさだけが残るありさまなのである。だが、これについて私はこれまで何度も警告してきたことなのであり当然の結末としか思わない。事件の再発防止には被害者や遺族を参加させず、冷静な第三者の視点による厳しい裁判が必要なのは言うまでもない。
 遺族はそのことをきちんと認識していない。ゆえに娘の死に対し被告に「ストーカー事件を断つために死刑にしろ」と不当に求めるが、被告が精神疾患である事が発覚した段階で死刑を求める根拠はない。むしろ遺族は取り返しのつかない失態を法廷で犯したのである。それが、「法廷侮辱罪」である。この刑罰は国際法としてすでに確立され、欧米諸国では厳しく断罪される。
 しかも被告人は母親の元交際相手から殴るなどの暴力、言葉による心理的虐待を受けていたのである。被告人を鑑定したある大学教授は「慢性的なネグレクト(育児放棄)などの不適切な養育環境が事件に影響した」と指摘した。被告人は両親の離婚後母親のもとで育てられたが、その母親が複数の男性と交際していくうちにDV(同居関係にある配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力)や生活の不安定から小学5年~中学3年の間に7度引っ越ししたほどだ。これで遺族が死刑を求めるのは筋が通らない。むしろ元交際相手を厳しく断罪すべきなのは明らかだ。それから被告人を死刑にしろというのなら説得力も生まれてこようが、無理な話である。前出の大学教授は「被告は他者視点が低く、そこまで考えられない。もし、被害者の名誉まで考えられるのだとしたら、この裁判でも謝罪とか、遺族に手紙を書くとか、やっていると思う。遺族に謝罪していない点も罪悪感を持てていないからだ」と指摘した。
 当然、私は被害者の実名も伏せるし、ネット世論からの怪しげなデマコメントには断固として怒りを表明する。 被害者の遺族があるカルト団体と絡んでいるなど、嘘とデマがあまりにもはびこっていることに私は強い怒りを覚える。ましてや卑劣なリベンジヌード以上には、被害者の写真で自慰行為に及んだと堂々と書きこむ変態どもがもっと許せない。
 そういうことを堂々とやらかした者どもに警告する。ただちに被害者遺族に実名で謝罪するがいい。彼らの暴挙こそが被害者の魂を二重三重に踏みにじったのは明らかだからだ。しかるべき罪も償ってもらいたい。


 なお、私はLINEもやっているが、最近個人情報の流出にはかなりピリピリと気がたっている。
 そのために個人情報のうっかり漏えいを禁止するようにしているほか少数でやるようにしている。そんなに多くの人とつながる意味は私にはない。
 最後に、一人の未来ある人の死を悼む。そして遺族が真の意味で立ち直ることを私は強く望む。