出生率低下 複合的な打開策が必要
06/12 08:50
2014年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子ども数)が、前年比0・01ポイント減の1・42となった。9年ぶりの下落だ。
05年に過去最低の1・26となった後、団塊ジュニア世代(71~74年生まれ)が親になる時期に入り、上昇カーブを描いた。その傾向にブレーキがかかった。
出生数は、前年比2万6千人減の100万3千人余りで過去最少を更新、このペースが続くと今年は大台割れが確実だ。
人口維持のために必要な出生率は2・07程度だ。政府が少子化対策に取り組んで20年になるが、なかなか光が見えてこない。
実効性ある取り組みを加速させなければならない。
団塊ジュニア世代は40代に入ったが、晩婚化により30歳以上の出生率は前年を上回っている。その一方で、20~29歳の落ち込みで、出生率全体を下げた。
北海道の出生率は1・27で、都道府県別で3番目に低い。深刻だ。道が組織を整え、対策に乗り出したのは当然である。
年々強まる20代の出生率の低迷は、社会の変化と無縁ではない。
非正規労働者が2千万人を超え、労働者全体の4割に迫る。雇用が不安定で収入が少なくなると、男女とも結婚意欲が弱まることが指摘されている。
たとえ結婚しても、働く女性も男性も労働時間が長く、育児休暇が取りにくい職場が多い。都市部では待機児童問題が解消せず、保育所の利用もままならない。
これでは子どもを産み、育てる十分な環境とは言えまい。雇用環境を根本から変えなければ、解決にはつながらない。
政府は3月「少子化対策大綱」を決定、妻出産後の夫の休暇取得率を80%、一時預かり保育利用を年延べ1134万人―などの数値目標を掲げた。確実に進めたいが、それだけでは不十分だ。
同じように少子化に陥ったフランスでは、育児手当の拡充、出産・子育てと就労を両立させる多彩な政策を強力に進め、1995年に1・6台だった出生率を10年余りで2・00前後まで回復させた。
少子化解消は複合的な対策が必要であり、参考にしたい。
制度上の改善はもちろんだが、地域の協力も欠かせない。
国内一高い出生率1・86の沖縄県では、特に離島で隣近所で子どもを預かるなど、地域ぐるみで支え合うことが根付いている。
こうした「支え合い」も難題克服のヒントになる。
05年に過去最低の1・26となった後、団塊ジュニア世代(71~74年生まれ)が親になる時期に入り、上昇カーブを描いた。その傾向にブレーキがかかった。
出生数は、前年比2万6千人減の100万3千人余りで過去最少を更新、このペースが続くと今年は大台割れが確実だ。
人口維持のために必要な出生率は2・07程度だ。政府が少子化対策に取り組んで20年になるが、なかなか光が見えてこない。
実効性ある取り組みを加速させなければならない。
団塊ジュニア世代は40代に入ったが、晩婚化により30歳以上の出生率は前年を上回っている。その一方で、20~29歳の落ち込みで、出生率全体を下げた。
北海道の出生率は1・27で、都道府県別で3番目に低い。深刻だ。道が組織を整え、対策に乗り出したのは当然である。
年々強まる20代の出生率の低迷は、社会の変化と無縁ではない。
非正規労働者が2千万人を超え、労働者全体の4割に迫る。雇用が不安定で収入が少なくなると、男女とも結婚意欲が弱まることが指摘されている。
たとえ結婚しても、働く女性も男性も労働時間が長く、育児休暇が取りにくい職場が多い。都市部では待機児童問題が解消せず、保育所の利用もままならない。
これでは子どもを産み、育てる十分な環境とは言えまい。雇用環境を根本から変えなければ、解決にはつながらない。
政府は3月「少子化対策大綱」を決定、妻出産後の夫の休暇取得率を80%、一時預かり保育利用を年延べ1134万人―などの数値目標を掲げた。確実に進めたいが、それだけでは不十分だ。
同じように少子化に陥ったフランスでは、育児手当の拡充、出産・子育てと就労を両立させる多彩な政策を強力に進め、1995年に1・6台だった出生率を10年余りで2・00前後まで回復させた。
少子化解消は複合的な対策が必要であり、参考にしたい。
制度上の改善はもちろんだが、地域の協力も欠かせない。
国内一高い出生率1・86の沖縄県では、特に離島で隣近所で子どもを預かるなど、地域ぐるみで支え合うことが根付いている。
こうした「支え合い」も難題克服のヒントになる。
そんなことだけで私は少子化問題の解決にはならないと見ている。
理由は簡単だ、格差社会により、日本は深刻なまでに結婚すら難しくなっているからだ。更に生活困窮者の問題も深刻なのだ。
フードバンクふじのくに:1周年 生活困窮者に食材提供「市民や企業積極的に」 /静岡
毎日新聞 2015年05月20日 地方版
県勤労者総合会館(静岡市葵区黒金町)で行われた記念フォーラムには、日本初のフードバンク活動を行った団体「セカンドハーベスト・ジャパン」で広報担当を務めた、井出留美(るみ)さん(48)が講演した。
井出さんは農林水産省「第1回食品産業もったいない大賞食料産業局長賞」を受賞した経歴を持つ。「食品ロスはコンビニやスーパーなどの企業が原因 というイメージがあるが、半分は一般家庭などの個人によるもの。1日に日本人1人あたりおにぎり約2個分ものロスをしている」と説明。「食品ロスと生活困 窮者という別々に見える問題を、同時に改善する手段にもなる」とフードバンク事業の効果を訴えた。
「フードバンクふじのくに」には昨年、約20トンの缶詰や米などの食品が集まり、内約18トンの食料支援を行った。会場に来ていた同市葵区の主婦、佐野昌代さん(55)は「私たち市民と企業が共に活動に積極的になるべきだと感じた」と真剣な面持ちで語った。【早川夏穂】
このNPOにかぎらず、現在生活困窮者の支援で大変な思いをしているところはたくさんある。
例えば、コンビニエンスストア。コンビニエンスストアに生活困窮者を雇用してもらい品出し作業などを行うなどする代わりに、廃棄する食品を提供すればいいのではないか。コンビニエンスストアの場合労働者の確保でも問題があり、彼らを雇用することで、労働力の確保につながる。
課題はある、住宅の確保だ。そこで、空き家対策の一環として生活困窮者向けのグループホームを透明性の高いNPOが運営すればいいのである。だが、生活保護を受けているシングルマザーはこんな悲しい罪悪感に苦しんでいる。そんなことでいいのだろうか。
「幸せになってはいけない」 生活保護シングルマザーを苦しめる罪悪感(ダイヤモンド・オンライン)
2015 年 6 月 12 日
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生活保護を受けているシングルマザーたちは、受給することが「権利」にもかかわらず、「申し訳ない」と思っている人が少なくない
「幸せになってはいけない」 生活保護シングルマザーを苦しめる罪悪感
http://diamond.jp/articles/-/73101
2015年6月12日 みわよしこ [フリーランス・ライター] ダイヤモンド・オンライン
2015年4月1日から施行された生活困窮者自立支援法のポイントの一つは、「伴走型支援」だ。多様な困難や問題を抱えた人々に対し、その人に適した支援を行いつづけるかたわら、支援者が「伴走」するというものだ。
しかし現実を見ると、民間有志による懸命の支援にもかかわらず、シングルマザーたちは“生活保護を受けている”というスティグマに苦しめられ続けている。
■生活保護シングルマザーを苦しめるスティグマ
「このごろ、『生きる』とは何なのか、考えさせられるんです。私、人間は幸せになるために生まれてくるんだと思います。その追求をするのが、福祉の役割で す。でも、その福祉で苦しむ人たちがたくさんいます。『幸せになってはいけない』と思い込まされて……何なんでしょうか? この世の中は?」
こう語るのは、「大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO)」代表として、子どもの貧困問題に取り組む徳丸ゆき子氏だ。子どもの貧困は、すなわち 親の貧困である。CPAOは、最も「しんどい」貧困状況に陥りやすいシングルマザーと子どもたちを主な対象として、親・子ども・周囲の大人を「まるごと」 支える活動を展開している。
子どもに対しては、「待ったなし」で、すぐにサポートを開始することが必要だ。そのためには、母親と子どもを同時に公共または民間のセーフティネットに つなぎ、生活を安定させなくてはならない。数多くの困難を抱えた母子の場合には、生活を安定させる手段が、生活保護以外にないことも少なくない。
「でも生活保護を受けているお母さんたちは、とても慎ましく、申し訳ながっているんです。たとえば、ファミレスで少しごちそうすると『おいしいもの食べちゃいけないと思う、生活保護だから』と」(徳丸さん)
どういうことなのだろうか?
「そのお母さんたち、『幸せだと思うのは申し訳ない』と思っているんです。そこまで思いつめているんです。『いいじゃないの』と言って、一緒に食べてもらうんですけど」(徳丸さん)
生活保護だから、生活保護らしく。「恥ずかしい」と思うべき、スティグマ(烙印)を感じるべき。そういうプレッシャーは、私の接してきた生活保護利用者 のほとんどが感じている。時に「働いたら損」「税金でラクする賢い選択をした自分」といった露悪的な言葉を口にする人々も、少し立ち入った会話をすると、 強い自責の念や恥の意識やスティグマ感を持っており、その裏返しとして露悪的な言葉を口にしている場合が多い。
「でも、福祉スティグマは、日本だけにだけあるわけではないんです。欧米にも、公的扶助に対するスティグマはあります。でも、内容と程度が全く違うんです」(徳丸さん)
■生活保護を「権利」と言えない社会が子どもたちの夢や希望を奪う
2014年8月30日、前日に発表された「子どもの貧困対策に関する大綱」を受けて大阪市内で開催された集会「緊急アクション関西 ~子どもの貧困対策大 綱できてんて? ほんで、どうすんねん?」で現状を訴える、徳丸ゆき子さん(大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO)代表) Photo by Yoshiko Miwa
徳丸さんは、英国滞在経験がある。当時の友人たちは、その後、さまざまな人生を歩んでいる。中には現在、日本の生活保護に相当する公的扶助を利用している人もいる。
「私、お母さんたちの『おいしいもの食べちゃいけない』を、その友達に話したんです。そうしたら、驚かれたんです。『どうして? 権利じゃないの』って」(徳丸さん)
私は徳丸さんの話を聞きながら、外国で公的扶助を利用して生活している低所得層の人々の表情を思い浮かべた。もちろん、「不幸そうに見える」「自分を卑 下している」といった人も、いるにはいる。しかし多くの場合、教育を受けたり就労活動をしたりすることも含めて自分の人生を展開させることに喜びを持ち、 生きることを楽しんでいる。
「……日本がどうなっているのか、どうしてこうなのか、私、説明できないんです。日本語でも説明できません。自分の頭の中で理解できないんです。まして、英語で言えるわけはありません」(徳丸さん)
お国柄や地域性、文化や風土は、影響を及ぼしてはいるだろう。しかし、それだけで説明できるだろうか? 説明できないだろう、と私は思う。
「日本の生活保護に対しては、『こんなに、生きていることが虚しくなる制度って、何だろう?』という気持ちになります」(徳丸さん)
生きることを虚しく「させる」側の論理は、何なのだろうか?
「一言で言えば、『自己責任』ですよね、嫌な言葉ですけど。だから、『ゼイタクなんかするな』というプレッシャーになるんでしょう。そういう言葉を実際に言われても言われなくても、皆さん、感じて、萎縮していくわけです」(徳丸さん)
その影響は、若干でも人生を選びとる可能性を持つ大人たちだけが受けるわけではない。
「萎縮していく親のもとに子どもがいて、夢や希望を奪われていくんです。人は、幸せになるために生まれてくるはずなのに」(徳丸さん)
少子化が社会問題とされはじめてから、既に長い時間が経過している。しかし、問題にされるのは、子ども自身の人生や幸福ではなく、「社会を支える若い世代の人数が不足する」であることが多い。
「親は子どもを、社会のために産むわけではありません。社会にとって、子どもは『喜び』であるはずなんです。でも今の日本には、その純粋な喜びが……ないですね」(徳丸さん)
では、誰が何をすれば解決できるのだろうか? そのための費用は、どうすれば確保できるのだろうか? ボランティアが活躍して解決にあたるとしても、ボランティア活動の可能な状況を維持するために、結局は費用が必要なのだ。
■「伴走型支援」を実現させるために行政に何が可能なのか?
2013年12月、改正生活保護法とともに成立した「生活困窮者自立支援法」には、不完全ながら、いわゆる「伴走型支援」のメニューが含められている。 徳丸さんやCPAOのスタッフたちが、シングルマザーと子どもたちに対して行っている活動は、まさに、この「伴走型支援」だ。
しかし、限られた人数・体力・気力・時間で可能な支援は、多くない。行政による伴走型支援が、最も望ましい姿ではないだろうか? そのための資源確保と支援の実施を行政に求めるのが、本来の筋なのではないだろうか?
「いいえ。あくまで、行政にできることは行政で、民間は民間でやるべきだと思います」(徳丸さん)
それでは、行政に「できない」ことは、何だろうか?
「まず、行政には『公平でなくてはならない』という制約があります。当然ですよね、税金で動いているわけですから。行政が何もかもを行うと、逆に民間を圧 迫することにもなります。『行政はここまで』という枠は、必要です。『開庁時間は9時から5時まで』とか。でも、その枠がある限り、本当の伴走はできない んです」(徳丸さん)
生活の危機、場合によっては身体や生命の危機にも陥っているシングルマザーと子どもたちを支えるためには、「平日9時から5時まで」というわけにはいかない。しばしば、深夜、困難や問題が発生している場に行き、直接介入を行う必要も発生する。
「私たちCPAOでは、枠を作らないように努力しています。そういう支援が、必要とされていますから。もしも、本当の伴走型支援を行うというのなら、行政 が私たちのような民間団体に予算をつけて伴走型支援を委託し、費用対効果を別途測定する……という形にしか、なりようがないのではないかと思います」(徳 丸さん)
では、財源はどのように確保すればよいのだろうか?
2015年4月2日、政府は「子どもの貧困対策基金」を創設して民間資金を活用する方針を発表した。子どもの貧困率は、最新の2012年統計で 16.3%と、過去最悪の状況となっている。基金は、生活や学習を支援する団体への資金援助や、才能ある子どもに対する教育に用いられるとされている。
「子どもの貧困対策基金は、『今、国にお金がないから民間で』ということなんだと思います。でもその前に、寄付文化を根付かせたり、税制を整備したりする必要があります。今、日本では、寄付には何のメリットもありませんから」(徳丸さん)
たとえばCPAOが認定NPOになれば、「寄付したい」という気持ちを持つ人に寄付金控除が適用され、寄付が得やすくなるのではないだろうか?
2014年8月30日「緊急アクション関西 ~子どもの貧困対策大綱できてんて? ほんで、どうすんねん?」で、問題を共有して解決策を話し合う参加者たち。「子どもを幸せにする」というテーマは、関わる大人たちを元気にするようだ Photo by Y.M.
「認定NPOにすることも考えてはいるのですが、そうすると、膨大な事務作業が必要になるんです。事務担当者を雇って、その人の給料を稼ぐための仕事を増 やすことになります。そこまで考えると、認定NPOにすることに大きな意味はないので、今の形のままでどこまでやれるか探っているところです」(徳丸さ ん)
寄付以外の選択肢は、行政からの委託だろうか?
「すると、単年度なので、事務担当者の身分や待遇を安定させることが難しくなるんです」(徳丸さん)
社会的に必要とされる活動を、安定して支えるための資金を確保する仕組みは、現在の日本には存在しない。
「だから結局、『公的な税金で』ということになるんです。安定していると言えるものは、日本には、税金しかありません。キリスト教のように『収入の 1/10を献金として社会に捧げる』という文化があるわけではありませんから、個人や企業の寄付に頼るわけにはいかないんです。すると、税金しかありませ んが……公的資金を十分に子どもたちに回していただくためには、時間がかかります」(徳丸さん)
その間にも、CPAOは困難を抱えた数多くの親子に伴走しつづけるしかない。
「公的資金が子どもたちに回ってくるまでの何年間かを待つわけにはいきません。今、目の前の子どもはどうなるのでしょうか? 貧困の連鎖が既に生まれてい たり、不登校になって貧困が連鎖しかけている子どもたちは、どうなるのでしょうか? 目の前のことで、精一杯です」(徳丸さん)
■「目先」のことだけを考えず人と人のつながりを
「保育園や公園の周辺で、子どもの声が『うるさい』といって抗議する高齢者が話題になりました。そういう話を聞くと、『日本は、子どもはいらないんだな、国がなくなってもかまわないんだな』と思うこともあります」(徳丸さん)
日本で子どもが生まれなくなるということは、日本に人がいなくなるということ、日本という国がなくなるということに他ならない。
「世代で分断することは、したくありませんが、公的資金は今、総額で『高齢者11:子ども1』の比率なんです。選挙権を持っている、人数の多い、高齢者の 意見が通りやすいせいなのでしょうか? すべてが『目先』です。長い目で見た政策は、何もありません。もしかすると、そのメンタリティが日本人なのかもし れませんが、長期的に考える人がいないから、『今』『今』『今』で、若い人たちにシワ寄せが来てしまいます」(徳丸さん)
CPAOの活動目的は、設立当初から、
「短期的なサポート/緊急介入、中期的な『養育の社会化』モデル事業、長期的な視野での政策提言と制度改変を目指し、活動を展開」
となっている。遠からぬ将来、政策提言が行われるだろう。さらに、制度改変につながるかもしれない。しかし現在のCPAOは、やはり「今」にこだわらざるを得ない。8歳の子どもの「今」を支えるために、たとえば5年後の予算確保を待つわけにはいかないからだ。
「子どもたちは、本当は希望のはずなんです。その希望である子どもたちを、日本の社会は、なぜ、こんなに大切にしないのか? と思います。でも、私たちは本当に、何もできません」(徳丸さん)
そんなことはない、と私は思う。しかし、日本で貧困状態にある数多くの子どもたちと親たちすべてに働きかける力は、CPAOにはない。
「とにかく、『子どもたちに、暖かい気持ちを伝えられれば』と思っています。生きていれば、いろいろなことが起こります。その時、人や社会を信じていれば サバイバルできるんじゃないかと思います。できることは、そのくらいです。子ども時代の、たった一度の暖かい経験で生き延びてきたというシングルマザーの 証言を、いくつも聞いています。それぐらいなら、私たちにもできる。実際に、関係した子どもたちから、私たちに『SOS』の連絡が来るようになってきてい ます」(徳丸さん)
とはいっても、子ども時代の健全な生育を支えられる家庭環境も、社会に接続されるために充分な教育も、「気持ち」だけで実現できるわけはない。
「でも、最後は『人と人』です。困った時に『助けて』と言えない、人や社会に絶望した人が、自殺や餓死を選ぶんです。人や社会を信じて、声を上げ続けてくれたら、生き延びる確率は高くなるはず。活動を通して、『世の中、捨てたものではない』と感じています」(徳丸さん)
そうあってほしい。私も、自分自身のために、そう信じたい。
次回は、7月から施行される生活保護の家賃補助(住宅扶助)削減に関して、誤解されやすいポイントを中心に、何が起ころうとしているのかをレポートする。日本の「住」の最低ラインは、どのように変化するのだろうか?
法廷・取材帳:強盗致傷罪で懲役5年 更生へNPOの支援受け /埼玉
毎日新聞 2015年06月12日 地方版
母の内縁の夫をコンクリート片で殴って金を奪ったとして、強盗致傷罪などに問われた被告の男(46)のさいたま地裁の裁判員裁判に先月、困窮者支
援事業に携わるNPO法人「ほっとプラス」(さいたま市)の藤田孝典代表理事が弁護側証人として出廷し「被告の自立更生を支援する」と訴えた。有罪判決を
受けた被告の罪はもちろん重いが、新たな犯罪被害者を生まないためにも、再犯防止の取り組みを応援したいと感じた。弁護人の主張によると、被告は元々周囲とのコミュニケーションが苦手な性格で、2011年ごろに11年間、真面目に務めてきたアスベスト処理の仕事の減少から職を失い、事件までの約1年間は公園で路上生活を送っていた。
生活に窮した被告は不仲だった母の内縁の夫に暴行を働き、約11万円を奪ったとして逮捕された。検察側は法廷で「役所などに相談して生活保護を受けることもできたはず」と「主張」したが、被告は「高齢者じゃないと受給できない」と思い込んで公的な支援も受けていなかった。
法廷で藤田さんは、社会で孤立してしまった被告が「必要な支援を受けられていれば事件は起きなかった」と今後の支援を約束。判決は、懲役5年(求刑・懲役8年)の実刑だったが、藤田さんらの支援があれば「再犯可能性は低い」と認定し、量刑上の考慮をみせた。
被害者に肉体的、経済的な損害を与えた被告の罪はもちろん重い。一方で、「被告が知的・発達障害を抱えている可能性もある」と感じているという藤田さんが、被告に寄り添って立ち直りを手助けしようとしていることに救われる気がした。
被告にはまず、事件に対する反省と被害者への償いが必要だ。そしていずれ刑務所を出たら、きっと藤田さんの支援を受けて更生の道を歩んでほしいと願っている。
◇ ◇
「法廷 取材帳」では、裁判を傍聴した記者が法廷で感じたことをコラム風に書き留めます(随時掲載)。【遠藤大志】
アパレルの女性店員が貧困化するワケ「食費を削って服を買い、薬を飲んで耐えています」
日刊SPA! 2015.05.12 R-30
ここでは、「20代女性の貧困問題」について、その壮絶な実態を一部紹介する。
◆食費を削って服を買い、薬を飲んで耐えています
~前島知美さん(仮名・28歳)/アパレル関係~
若い女性が多く働くアパレル業界。華やかに見えるが、実は低賃金で過酷な労働を強いている面がある。契約社員としてショップ店員を務める前島さんの年収はおよそ150万円。休みはほぼなく、もちろん、福利厚生など皆無だ。
「19歳のときに『カリスマ店員』に憧れて飛び込んだものの、現実は華やかな世界どころか、若いコを倒れるまで使い潰すのが当たり前のブラックな業界でし た。徹夜で残業をしたり、休日出勤も当たり前なのに手当ては一切出ない。一人当たりの売上げノルマもあるのに、13万円しかない月給のなかから自腹で自分 の店の服を買わないといけない。食費を削って服を買うコも多いので、ガリガリに痩せて病気になったり、みんな常に大量の薬を持ち歩いています」
同じ職場の10代の女性は劣悪な環境に耐え切れず、ストレス性の糖尿病で倒れたという。
「『アパレルには健康なスタッフはいない』というのが業界のあるあるネタです。若いコは生活苦や体を壊してどんどん辞めていく。それでもアパレルに憧れた コはどんどん入ってくるから、ブラックな体制は何も変わらない。私も数年単位でお店を転々としていますが、どこも似たりよったりで、生活は全然楽になりま せんね」
時折、ふと疲れた顔を見せる彼女もまた、精神的にギリギリの状態で働いていた。
「資格を取る時間もないし、みんな目の前の仕事をこなすことしか考えられない。それに職場は10代や20歳そこそこの若いコばかりなので、法律の知識がな いから辞めた後も泣き寝入りするしかない。業界もそれを知ってて利用してるはず。人を追いつめて使い潰す業界の体質そのものが、貧困女子を量産しているん だと思います」
他業種へ転職できるようなスキルも身につかず、心と体を壊せば再起するにも時間がかかる。きらびやかな世界の闇は異様に深い。
<私の未来予想図>
資格もスキルも取れない以上、結婚に逃げるしか術はないです
生活保護を受けることは恒久的にはいただけないが、一時的なら構わない。
後でそれだけ社会に勤労で貢献すればいいまでのことなのである。中には、とても考えられない非常識な同期で生活保護を受ける輩もいるが、そうは問屋が卸さない。生活保護の現場は大変厳しいと言ってもいい。
しかも、生活困窮が原因で犯罪を犯すケースだって後を絶たない。何しろ1億円の作家がいまでは良くて400万円しか稼げない時代なのだ。問題は、彼ら彼女らの社会的支援がどこまで拡充されているかなのである。
それなのに、ネオナチジャパンはこんなお馬鹿なことを言う。放言のデパートとしか言いようのないアホータローこと麻生太郎自称副総理兼財務相は2014年6月21日、宇都宮市のホテルで開かれた自民党県連の政経フォーラムで「学校で一番いじめられてるやつはといえば、けんかは弱い、勉強できない、しかも貧しい。3つそろったら丸腰。いじめの対象になります」などと暴言した。
ここまでなめているとしか思えない。政治の仕事というのは、生活者を支える仕事である。その当たり前ができないものは政治を語る資格はない。