2015年7月29日水曜日

人を奴隷にすればこのような結末になる

派遣労働法「骨抜き改正」で日本も...ドイツで起きた「一生派遣」の奴隷地獄が始まる!

 賃金は半分になったが、住居費や病気にかかるコストなどの支出は高い。心が引き裂かれ、憔悴ばかりして、故郷へ帰ら ざるをえない。帰る故郷がない、労働契約を解約されたある女性は、住居を失い、お金も底を尽き、通りでホームレスになった。彼女は「私は奴隷同然だと感じ た」と語る......。
 ある改正案が施行されたとたんに、あなたも奴隷同然の扱いを受けるかもしれない――。この5月、労働者派遣法の 改正案が衆議院本会議で審議入りしたのだ。労働者派遣法の改正案は、条文のミスと衆議院の解散で2回廃案となっており、政府は3回目の提出となった今国会で確実に成立させたいとしている。
 これまで派遣労働の派遣期間は、一部の専門業務(26業務)は「期間制限なし」で、それ以外は最長で 「3年」までとなっていたが、労働者派遣法の改正案では、業務を問わず1人の派遣労働者が企業の同一の組織単位(同じ部署)で働ける期間を「3年」に制限する。さらに、派遣元企業(派遣会社)は「3年」の上限に達する派遣労働者に雇用安定措置(派遣先企業への直接雇用の依頼等)を講ずることとする。このた め、政府は、正社員への道を開き、派遣社員の待遇を改善する改正だとする。
 しかし、派遣先企業への直接雇用の依頼等といった雇用安定措置を、注文を受ける弱い立場の派遣元企業(派遣会社)がはたしてできるのか。また、多くの派遣社員にとっては「3年」後の労働環境が派遣先企業次第で、不安定という事実は変わらないのだ。
 さらに、同じ派遣社員の同じ部署への派遣は3年を上限とされているが、同じ部署でなければ、いつまでも派遣社員としての雇用が可能になる(過半数組合等への意見聴取という条件付き)。
 派遣先企業にとってみれば、1つの部署を派遣社員で3年ごとに回転させることが可能となり(派遣労働の固定化)、さらなるコスト削減が可能になるのだ。企業にやさしい経済政策ばかりの安倍一味ならではの改正案と言っていいだろう。
  この派遣法改正に関しては、1月末、厚労省の担当課長が派遣業界団体の会合で「派遣労働というのが、期間が来たら使い捨てというモノ扱いだったが、(派遣 労働法改正によって)ようやく人間扱いするような法律になってきた」と述べ、問題になったが、今回の改正では、「派遣労働者がモノ扱いされる」状況は変わ らず、さらに「一生派遣」の奴隷地獄が始まるのだ。
 実際に最長派遣期間の上限規制を撤廃したドイツの例を見れば明らかだろう。『労働者派遣法の研究』(高橋賢司/中央経済社)によれば、ドイツは2002年に最長派遣期間の上限規制を撤廃している。こうしたドイツの労働市場の規制緩和の動き を日本は見習っているとされるが、その先に広がった光景は派遣社員が急増し、「賃金ダンピング」が横行する奴隷地獄だったという。冒頭に紹介した「私は奴 隷同然だと感じた」というホームレスになった女性の証言はドイツの労働者の声だ。
 まずは、派遣社員の急増。上限規制撤廃直後の2004年に38万5256人だった派遣社員は、2011年に87万2000人に倍増した。正社員が次々と派遣社員に切り替えられたのだ。
 代表的な事件がシュレッカー事件だ。
「薬 のディスカウント・ショップ・シュレッカー社は、労働者を解雇し、多くの支社を閉鎖し、MENIARという派遣企業を通じて、新たに開業した支社へ同労働 者を派遣させた。(略)当該労働者の賃金は以前シュレッカー社で雇用されていたときより低く定められ、賃金ダンピングだと同社は非難を受けた」(同書よ り)
 シュレッカー社が閉鎖した約4000の支社(小規模店舗)で雇用されていた約4300人は解雇され、新しい支社(大型店舗)で働くた めには、派遣企業MENIAR社との間での労働契約を締結することを迫られたのだ。賃金はそれまでの約半分になり、それまでにあったクリスマス手当も有給 休暇手当もなくなった。
 回転扉の一方の側からいったん外へ出し、ぐるりと回る扉の他方の側から中に入れたならば(正社員ではなく派遣社員 にすることで)、それまでとは別の扱いができるようになる現象をドイツでは「回転ドア作用」と呼ぶそうだが、このシュレッカー社の「回転ドア作用」と賃金 ダンピングは大いに問題視された。
 派遣社員にとっては無期限に続く低賃金という悪夢のような雇用環境だが、ドイツでは幸いなことに、2011年に「回転ドア作用」を制限し、労働者派遣は「一時的」なものとすると定義づけるなど再規制の道を選ぶことになる。
 しかし、この再規制は加盟するEUがそれまでの規制緩和路線から、雇用の安定性を重視する姿勢に転換し、ドイツに対して、政策転換を促したことが大きい。
 一方、日本で仮に派遣法改正で上限規制が撤廃された場合には、EUといった歯止めもないために、無期限・低賃金という悪夢のような雇用環境がいつまでも続きかねないのだ。
日本が見習ったドイツでは今、「雇用を増やすだけでなく、安定性の高い雇用を増やさなければならない、という基本的な姿勢」(同書より)が一般的になりつつあるというが、日本は周回遅れで、「一生派遣」の奴隷地獄に突き進もうとしている。
(小石川シンイチ)

 ちなみにこのハレンチなシュレッカー社は2012年に破産となった。
 詳しくは以下の記事を参考に願いたい。

ドイツ 2012年6月5日

破たんのシュレッカー、解体へ=1.3万人失職[商業]

 破たんした国内最大のドラッグストアチェーン、シュレッカー(Schlecker)が解体されることが決まった。1月に破たん手続きを開始して以来、既に1万人が失職しているが、残る1万3,200人も数週間中に解雇される見込み。国内各紙が報じた。
引 き受け先には米投資会社サーベラス(Cerberus)・キャピタル・マネジメントが最終候補に残っていたが、提示額が低く合意に至らなかった。交渉筋に よると、債権者委員会は7億5,000万ユーロ程度の売却額を想定していたという。百貨店大手カールシュタットのオーナー、ニコラス・ベルクグルーエン氏 も買収に関心を示していたが、これまでに解雇された従業員による提訴が相次いでいることなどを懸念し、断念したもよう。
 統一サービス産業労組(Verdi)や州政府の一部からは、シュレッカーの従業員に対する政府支援を求める声が挙がっているが、レスラー連邦経済技術相は、ドイツの労働市場が好調であることなどから救済は行わないとの考えを示している。
 な おシュレッカーの子会社イーア・プラッツ(Ihr Platz)と大型店「XL」は、ミュンヘンを拠点とする投資ファンドDUBAGが買収することで合意した。また黒字を出しているオーストリア、イタリ ア、スペイン事業については引き続き身売り先を模索する予定。フランスとチェコ事業は既に売却が決まっている。

http://news.nna.jp/free_eu/news/20120605dem001A.html

 こんなものであろう。
 生活者にとってシュレッカーはどうでもよい話なのだ。だが、そこで働いていた人達にとっては仕事場がなくなるのは深刻な問題だ。こんな女性を生み出したのは一体誰か。

街角で生きる若年女性ホームレスに見た「貧困から脱出できない闇」

All About5月31日(日)22時45分

抜け出す方法が分からない。だから抜け出せない

都会の片隅。高架橋の下。道端に広げられた段ボール。無造作に食べ散らかされた弁当や菓子パンの残りかす。華やかなビルのネオンが煌びやかに点滅する街角で見かけるギャップが痛々しい。

流 れ着いた街角で生きるホームレスたち。これまでは、高齢男性の専売特許だった底辺の世界に若い女性が増加しています。政治家が景気回復、生活向上を訴え始 めて久しいですが、減るどころか、若者にまで貧困が拡大している現状を日刊SPA「都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち」が報じていま す。

週刊誌の色物記事ではないかと疑いの目をもつなかれ。これはじわじわと着実に広がりを見せる深刻な問題なのです。本日は、少し文体を変えつつ、実際に新宿の街で出会った一人の女性を例に考えてみたいと思います。

■新宿の路地で出会ったアヤ(仮名)28歳
その日、アヤ(仮名)は、繁華街のコンビニエンスストアの出入り口で膝を抱えて座っていた。待ち合わせの時間より少し早く着いた筆者は、コンビニで購入したパックのジュースで乾いた喉を潤しながら、ふと、ゴミ箱の隅に座り込むアヤの存在に気が付いた。

上の歯がほとんどない。どうみても20代後半にしか見えない顔つきとは裏腹に幾本ものしわが何本も頬を伝っている。

コンビニで販売されている1リットルパックのお茶を脇に抱え、大事そうに古びたバッグを足元に広げていた。おもむろにバッグをかき回すと、小銭が路上に広がった。見ていられなかった。

「帰るところないの?」

思わず声をかける。歯の無い顔でニッと笑うと、臆せずに筆者のいぶかし気な質問へ返事をする。

「家はあるよ。でも帰らない。帰れない。だから、いつもここにいるの」

なんとなく、あまり詳しい事情を聞いてはいけない気がした。財布から些少ではあるが、3000円を渡し、近くの漫画喫茶でも良いから、路上にいることはよくないと諭した。アヤは再びニッと笑うと躊躇することなくそれを受け取ってバッグへ押し込んだ。

しかし、筆者の行為が傲慢で軽率だったと気が付くには、そう時間はかからなかった。

■抜け出す方法が分からない。だから抜け出せない
しばらく後、所用を済ませて再びそのコンビニエンスストアの前を通りがかった筆者。終電間近。出入り口の前にうずくまる人影がある。アヤだった。

すでに顔見知りになっていた筆者は、再び話しかけてみる。アヤは、私の矢継ぎ早な質問へ屈託もない笑顔で答えてくれた。

アヤによれば、お金をくれる男性が何人もいるらしく、街角にいなければお金をもらえないのだという。施しをする男性が来れば、温かいシャワーを浴び、ベッドで寝られる。それが、彼女にとっての仕事だった。

はっ きりとは言わなかったが、体を男性に委ねてお金をもらっていることは容易に想像ができる。アヤと話している途中、建設作業員風の男がそばを通った。その人 は、たまに500円をくれる人なのだという。彼女と話していた20分間。あの人も知り合いという男性が幾人も通り過ぎていった。

定職はないが、運送会社の荷物の仕分けの仕事を派遣でやることもある。しかし、給料の高い派遣の仕事は、すぐにクビになってしまい長続きしない。だから、今は路上で生活するしか方法がないのだと。

「同じような悩みを持ってる女性を支援するNPOがあるの知ってる?」と聞いてみた。聞くまでもなかった。NPOを知らないのだ。

……それに。と続けるアヤ。「だって、あたし何度も警察のお世話になってるし、そんなところ行ける訳ないじゃん」。そう上目使いの屈託のない笑顔で答えた。NPOは警察とは違うことを分かっていなかった。

■社会は現実を分かっていない
終電間際だったこともあり、そのままアヤとは別れた。

家に帰りテレビの報道番組を見れば、アヤのような女性を救うというテーマの番組をたくさん見かける。そして、政治批判をして番組はシャンシャンで次のテーマへ流れてゆく。

しかし、では、政治が具体的に彼女を救えるのかと漠然と考えてみた。すでに携帯電話は止まり、新しい情報を得ることができないアヤ。そもそも、文章もほとんど書けないから定職にも就けない。「助ける」という男性は、彼女を抱くために甘言しか彼女に与えない。

彼女のような女性を救うためには、いくら政治家が法改正をしたところで救われないであろう。そうではない。私たちが彼女たちの存在に気が付き、話を聞き、住まい、食事、仕事をどうしたら提供できるか考えてゆく。これしか救う方法はないのではないか。

今、 ボランティアで支援する動きが出始めていると聞く。私たち一人ひとりが、そのような活動の存在を知り、モノ、カネ、またはそれらの活動に参加するのが最も 良い。何らかの形で関わる世の中に変化してゆかなければ、今後、この抜け出せない闇に苦しむ女性が増えるのではないだろうか。

(Kido)
 私はこのブログで何度も口酸っぱく「政治とは生活なのだ」と繰り返してきた。
 だが、その意識を知らず奴隷根性にこびりついた多くのマジョリティは己等が籠の中の鳥であることを知らずにのんきなことばかりする。「24時間テレビ」を見てその刹那は「ただ哀れだ」としても、それが継続されなければ意味は無いのだ。だから、私は「24時間テレビ」を信用しない。
 人を奴隷にする経済構造を厳しく改革し、みんなで共存する経済へと作り変えねばならない。それができなければ、日本は極右と極左の恐るべき綱引きになり行政の混乱と破綻になってしまう。

 また、昨日国際法違反のとんでもない判決もどきが垂れ流された。
 このことに対しても厳しく批判を加えておく。

周南5人殺害:「強固な殺意」被告に死刑判決

毎日新聞 2015年07月28日 20時05分(最終更新 07月28日 21時58分)

山口県周南市金峰(みたけ)の5人殺害・放火事件(2013年)で殺人と非現住建造物等放火罪に問われたA被告(60代後半) に対し、山口地裁は28日、求刑通り死刑判決を言い渡した。大寄淳(おおより・じゅん)自称裁判長は完全責任能力を「認めた」うえで、「強固な殺意に基づく残忍な 凶行。被害者は5人と結果は極めて重大で、遺族の処罰感情は峻烈(しゅんれつ)だ。地域社会に与えた衝撃も大きい」と述べた。弁護側は即日控訴した。
 被告は公判で捜査段階の供述を翻し「5人のうち4人の足と腰は殴ったが、頭は殴っていない」などと無罪を主張していた。
 判決はまず、被告が事件を実行したかどうかを検討。「凶器とみられる木の棒に被告の指紋がついていた。現場は農山村地域で、被告がたたいた直後 に、第三者が殺害する可能性は考えられない。死亡後に出火しており、失火の可能性もない」と指摘した。そのうえで、捜査段階の検察官調書について「『後頭 部に近い部位をたたいた』と動作を交えて説明しており信用性がある」と「評価」して、「被告が殺害、放火したと認められる」と決めつけた。
 続いて、当時の刑事責任能力の有無を判断した。両親が他界した2004年ごろから、近隣住民がうわさや挑発、嫌がらせをしていると思い込み、こう した誤った妄想が一定期間以上続く「妄想性障害」を発症しているとの鑑定結果を採用。「この妄想が動機を形成する過程に影響はしたが、殺人や放火を選択し たのは被告の性格によるもので、妄想の影響ではない」と決めつて検察の主張もどき通り完全責任能力を認めた。
 最後に死刑を「選択」した理由を説明した。「被害者の口の中に木の棒を入れて圧迫するなど、凄惨(せいさん)さ、執拗(しつよう)さが際立っている」 と決めつけた。「どの被害者にも殺害されるような落ち度がなく、被告に前科がないことなどを考慮しても極刑は免れない」とした。【杉山雄飛、土田暁彦】

 ◇判決の認定内容

A被告は(1)2013年7月21日、貞森誠さん(当時71歳)、妻喜代子さん(同72歳)を殺害、放火して夫妻の家を全焼させ(2)同日、山 本ミヤ子さん(同79歳)を殺害し、家に放火して全焼させ(3)同日、石村文人さん(同80歳)を殺害し(4)翌22日、河村聡子さん(同73歳)を殺害 した。

 このA被告は2003年頃には酒の席の口論がきっかけで、貞森らに切りつけられ、実際重傷を負っていたのである。
 そうしたことを踏まえた判決とはとても言い難い。当然私はこのA被告の犯した罪は許し難いと思う。しかし、貞森らの罪も厳しく査定し、踏まえると死刑判決は妥当性を欠く。この地で生まれ育ったA被告は、地元の中学を卒業すると上京し、左官工の仕事に従事していた。1994年に年老いた両親の面倒を見るため故郷に戻ってきた当初、A被告は、両親の介護だけでなく、“村のために働こう”とも考えていた。その提案を“都会崩れが何言っとるんや”と馬鹿にされいじめられ始めたのだ。
 当時40代だったA被告は、集落では、いちばんの若手。“生意気な都会の若造”と陰口を叩かれる一方で、若いという理由だけで地域の草刈りや農作業を“都会から来たんじゃから、金も持っとろう。みんなのために草刈り機買って、草でも刈れ”すべて押し付けられていた。A被告は自腹ですべて負担させられた上に草刈り機をあぜ道に置いて帰宅すると、ある集落の人間が、草と一緒にその草刈り機を燃やす器物損害犯罪を犯した。そのことにA被告が抗議したところ「あれ? あんたのもんだったの?」と嘲笑っていたという。
 こうした犯罪行為への批判が全くないのだから、アホとしか言いようのないひどい判決もどきだ。
 さらに突っ込んでおかねばならない。精神疾患当事者を死刑にすることは国際法が許さない。ストックホルム宣言という、アムネスティ・インターナショナルの宣言がある。さらにアメリカでは2008年に精神疾患当事者が圧倒的多数の反対の声を押し切られて正義と称する名前のもとに殺されたが、国際刑事裁判所はこの暴挙を厳しく断罪している。
 つまり、大寄という男は、法律の基本が全く分かっていないお馬鹿さんということになる。それもそうだろう、高校生に論破される「首相補佐官」が大手を振っていられるのだから、この程度のばかが平然としていられるのも無理はない。
 私はこの場合は懲役35年が向いていると考える。つまり、仮釈放はない。しかもこの裁判もどきが裁判員裁判という名前の裁判ショーだったことに、この事件の本当の姿は全く見えなくなってしまった。つまり、厳罰ポピュリズムである。
 まさに奴隷の論理そのものではないか。

*なお、被害者の罪を厳しく糾弾するため、今回は被害者の実名を強制公開します。
 事実から目をそらさないよう強く求めます。