2015年8月9日日曜日

地域の資産としてのスポーツクラブ~プロ野球が衰退する理由~

 今回取り上げるのは、FC United of Manchesterである。
 皆さんは一見、あのマンチェスター・ユナイテッドのことを指すのかと思い込んでしまうだろう。ところがどっこい、そうではない。このチームはファンの圧倒的反対を押し切ってアメリカNFLタンパベイ・バッカニアーズのオーナーであるマルコム・グレーザーによって買収された。このクラブは元々鉄道会社のサッカー部だったのだ。
 労働者階級のサポーターによって支えてきたこのクラブをマルコム・グレーザーは私物化した。そのによるクラブ支配に反対するサポーターの一部は、クラブの負債が3億2,000万ポンドに達していることに懸念し、2005年に新クラブFCユナイテッド・オブ・マンチェスターを結成した。このクラブがすごいのは、5000人収容の自前のスタジアムを構えていながら、胸スポンサーがないことだ。
 つまり、サポーターによって支えられているのである。年会費12ポンドを払って会員になれば一人一票で クラブの経営権を獲得できる。チケットの値段、監督人事から、チーム方針、ユニフォームのデザインまで自ら決める。彼らのユニフォームにはサッカーの商業主義に反対する彼らのポリシー故にスポンサーロゴはない。だがクラブ のコンセプトに共感し、それでもスポンサードしてくれている企業はある。
http://lf88higu.blogspot.jp/2015/02/fc.html
 
 次に、このニュースを見て欲しい。イオングループのプレスリリースである。

2015年7月8日

イ オ ン 株 式 会 社
イオンリテール株式会社

Jリーグ×AEON始動!
イオンがJリーグとトップパートナー契約締結
Jリーグとイオンで地域を元気に!

 イオンは、小売企業グループとして初めて(公社)日本プロサッカーリーグ(以下:Jリーグ)とのトップパートナー契約を締結します。この度のトップパートナー契約締結は、Jリーグの「地域に根ざしたスポーツクラブ」を核としたスポーツ文化の振興活動が、地域に根ざし地域社会に貢献するというイオンの基本理念と合致することから実施するものです。今後双方の有する様々資産を有効に活用して地域を元気にしてまいります。
 今回のトップパートナー契約により、全国のイオングループ店舗において、Jリーグ各クラブの試合をショッピングセンターで観戦するパブリックビューイングやサッカー教室、選手と地域の皆さまとのふれあいイベントなどサッカーを核に地域を盛り上げる取り組みをJリーグとともに進めます。
 また、5月下旬から一部クラブで発行をスタートした、クラブのオリジナルデザインでサポーターの想いをクラブに届ける地域ポイントカードの機能を併せ持つ「サッカー大好きWAON」の取り組みも、各クラブと連携して拡げていきます。

 いかにもイオンらしい。
 イオンは地域密着型の企業で知られている。そのイオンが、プロ野球よりもJリーグをとったということは、J3のチームにとっても大いにいい話なのである。イオンにとってはJリーグを使ったプロモーションが狙いなのだろうが、Jリーグにとっても地域密着を進める上では絶好のパートナーを得たと言ってもいい。
 なぜプロ野球が衰退するのか。簡単なことである、スポーツを企業の広告塔としてしか考えていないからにほかならないのだ。例えば、今のプロ野球にどんな魅力があるのだろうか。単に金でしかないのではないか。ソフトバンクホークスなど、高額の年俸の割には働いていない選手がいるし、某金権球団に至っては傲慢な選手の引き抜きだ。まさに馬鹿げているとしか思えない。
 こうしてつまらなくなっていくのである。