2015年10月6日火曜日

農業の真の再生にあるべきもの

 農業を会社でやろうというのが安倍独裁政権の目論見である。
 だが、それは完全に破たんしたといっても過言ではない。


農業ブームは幻想?撤退企業数は過去最高 黒字はごく一部、地域との関係失敗も
2015年2月19日 6時0分
ビジネスジャーナル
http://news.livedoor.com/article/detail/9800426/

 近年、農業への関心が高まっている。2005年に7904社だった農業生産法人数は、13年には1万3561社にまで増加しており、その事業形態も多様化している。例えば、大手コンビニエンスストアチェーンのローソンは、全国の農地で収穫した野菜で商品開発・流通を行っており、塚田農場などの飲食店を展開するエー・ピーカンパニーは、宮崎県日南市で農業法人APファームを設立し、自社農場にこだわったメニュー開発をコンセプトとしている。ほかにもパナソニック、シャープといった電機メーカーの参入も相次いでいる。また、個人レベルでも、国からの補助金など支援制度の充実を受けて、地方へ移住して農業を始める動きに注目が集まっている。

●分かれる各都道府県の優劣
 1月18日、東京ビッグサイトにて「JOIN移住・交流&地域おこしフェア」が開催された。当イベントは農業で仕事をするための移住・地域おこしのために協力を考えている参加者と、その受け入れ先として各地方自治体をマッチングさせることを目的としている。会場内には数千人を超える参加者が顔を見せ、テレビ局など10社を超えるメディア関係者も集まっており、農業への関心の高まりを感じさせた。
 東京都、神奈川県、大阪府といった大都市を除いて、ほぼ全道府県の自治体が出展しており、長野県、新潟県、福井県、兵庫県などはそれぞれ3~5程度のブースを展開させていた。来場者に話を聞くと、「漠然と農業に興味があるという程度で参加しましたが、具体的な施策、条件が聞けて自分にもできそうだと感じました」(20代女性)など、好意的な意見が目立った。
 秋田県は、体験型の研修も企画しており「参加するだけで5万円プレゼント」という触れ込みで来場者に声をかけていた。地域活性化運動は、全国規模で行われていることもあり、獲得競争も過熱していた。長野県など、PRに長けた県の盛況ぶりは特徴的だった一方、茨城県など人だかりが少ない県も散見された。過疎化が進む地方では、差別化できるポイントを積極的にアピールしなければ移住者を獲得できないことは必至で、今後は各自治体間でさらなる競争が生まれそうだ。

●参入だけでなく、撤退も多い農業ビジネス
 法人に目を向けると、農業への参入数も多いが、撤退していく企業の数も過去最高水準になっている。数多くの地域活性化のプロジェクトを成立させてきた農業コンサルタントは、いかに2次、3次事業へと展開していけるかが鍵と話す。

「法人数が増加している背景には、農業生産法人のハードルが若干下げられたことに加え、地域と連携して農業に従事する人を役員として迎え入れ、別法人を立ち上げるなど、ビジネスモデルが多様化していることが挙げられます。メインとなる事業に加えて、別法人名で農業ビジネスを行っている企業が増えていますが、農業だけで利益を出せているのはごく一部です。参入数が増加している一方で、撤退している数も増えています。利益を出せる条件としては、まず地域住民に理解を得て、信頼関係を結ぶことです。地域住民との関係性で失敗するケースも少なくありません。そして、スーパーや道の駅といった流通販路をしっかりと持っていることが重要です。加えて観光も視野に入れて、淡路島のたまねぎ、京都のなすといった地場産商品の農業体験が可能な旅行ツアーを組むなど、生産・流通以外への展開をしている企業が成功しています」

 大手農機メーカーで長年地域農業を支えてきた社員は、法人数の増加も考慮する必要があるが、まだまだ個人農家の存在が大きいと話す。

「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の問題なども含め、農業が変革期を迎えていることは紛れもない事実です。業界内の状況は、売り上げの昨年対比で微減といった企業が多く、これは消費増税の影響が大きかったと分析しています。現場から上がってくる意見では、やはり若年層の農業への関心は確実に高まっていますし、これは各行政機関やメディア戦略の恩恵といえるでしょう。日本の農業を世界に輸出するといった企業も増えてきていますが、単体ではまだまだハードルが高いのが現状です。ただ、複数社が協力して日本ブランドのコメを中国に輸出するといった動きも出てきており、ビジネスモデルは徐々に変化していくでしょう。とはいっても、長年積み上げてきた日本の農業スタイルは急には変わりませんし、今後の変化のためには個人農家の存在が鍵を握るでしょう」

 現在の注目の高さを一過性のものにしてしまわないためにも、農業に関わる法人、行政、メディア関係者の連携以外に、個人農家に対しての配慮を深める必要がありそうだ。
(文=栗田シメイ/ライター)


 はっきり言って、農業は甘くない。
 自然相手なのであり、企業の利益優先の世界が通用するわけがない。また、命のインフラそのものであり安易に考えてはいけない。
 アメリカでもTPPに反対の声が上がり始めていることをメディアは取り上げるべきである。


2015年2月24日(火) しんぶん赤旗
米加州リッチモンド市
「TPP除外地域」宣言
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-24/2015022407_01_1.html

 【ワシントン=洞口昇幸】オバマ米政権が環太平洋連携協定(TPP)の妥結を目指すなか、西部カリフォルニア州リッチモンド市(人口約10万7000人)の議会がTPPに反対し、地方自治体として不服従を示す「TPP除外地域(フリー・ゾーン)」を宣言する決議をこのほど可決しました。
 同決議は17日に圧倒的多数の賛成で採択。連邦議会内でTPP交渉をオバマ大統領に一任することになる、貿易促進権限(TPA)法案の成立に向けた動きがみられるなかで、決議は交渉の中止と、秘密交渉の過程と関連文書の公開を政権に求めています。TPA法の成立も慎むよう訴えています。
 決議では、TPPは、労働者を劣悪な条件で働かせる企業を禁止する同市の条例や地域経済を助ける地元製品購入の方針を無効にし、北米自由貿易協定(NAFTA)以上に製造業の海外移転をもたらすなどと指摘。「国境を超えた企業支配をさらに拡大」し、「市民から意思決定を剥ぎ取り、地元と世界で民主主義を奪う」としています。
 同様の決議は、同州バークリー市でも昨年9月に採択。同州はNAFTAなどTPPと同様の性質を持つ自由貿易協定で、最も雇用を失った州の一つといわれています。
 2013年10月に、中西部ウィスコンシン州デーン郡の議会が全米初の「TPP除外地域」宣言を出し、直後に同郡内の州都マディソン市の議会も、TPP反対決議を採択しています。ニューヨーク市でも同様の決議が検討されています。


「正義派の農政論」
http://www.jacom.or.jp/column/nouseiron/nouseiron150225-26514.php
【森島 賢】
農協と農業を外資へ売るな
 安倍晋三「首相」は、国会の冒頭の施政方針演説で、いわゆる農協改革を第1に取り上げ、「農協改革を断行します」と宣言した。まるで、勝ち誇るように高揚した言い方だった。農協を説得して、農協法の改正にめどをつけた、と言いたかったのだろう。「戦後以来の大改革」、「農政の大改革」が緒についた、と言いたかったようだ。
 「首相」がいう農協改革の行きつく先には、何が待っているのか。
 待っているのは、農協の株式会社化であり、信用・共済事業の分割であり、さらに、農業への外部資本の導入である。外部資本といっても、細々とした国内の関連資本などではない、巨大なグローバル資本である。
 そうなることを、「首相」が認識しているかどうか分からないが、これは、外国で実際に行われ、失敗している事実である。
 イギリスでは、牛乳の農協ともいうべき酪農家組織(ミルク・マーケティング・ボード)を解体し、大手スーパーと多国籍企業に売り飛ばした。その結果、酪農家は買い叩きにあい、乳価は半値程度に下がった。酪農家は激しい抗議運動で応えた。
 カナダでは、4つの農協を株式会社化した。それまでの市場シェアは80%だったが、株式会社になったので、独禁法を適用され、50%以下に下げることになった。このため、美味しい農家だけを取引相手にした。その後、まもなく欧州資本に会社ごと売った。そして、市場シェアを35%に下げた。
 オーストラリアの小麦は、政府機関であるAWBが独占的に輸出していた。この機関は、農業者に共同計算で精算するなど、実質的な農協だった。これを株式会社化した。初めのうちは、農家向けの議決権つきの株式と、議決権なしの株式とに分けて、農外資本の支配力を制限していた。だが、それもやめて、結局、米国資本に売ってしまった。
 ハワイを最近訪れた十勝(北海道)の農業者は、景観の激変ぶりに驚いたという。以前に訪れたときは、農地はパイナップルの緑で覆われていた。その後、株式会社の経営になったが、まもなく撤退し、いまは目を覆うような荒地になってしまった。これをみて、自分は、自分の農地で、家族といっしょに農業をしていて良かった、とつくづく思ったという。
 こうした事例をあげれば、きりがない。



 日本で、農協を株式会社にしたらどうなるか。
 いきなり株式会社にするのではなく、改革案では、農協の「理事の半数を原則として認定農業者や農産物販売・経営のプロとする」としている。ここに、地雷が隠されている。
 「認定農業者」は、大規模専業農業者だけだ、と誤解しやすいが、そうではない。「認定農業者」には、法人が含まれている。株式会社代表も大勢が農協の理事になれる。そうなれば、株式会社が農協理事会を乗っ取りやすくなる。
 農協を株式会社が乗っ取るための第1歩になる爆弾が、ここに密かに仕掛けられている。



 さて、農協を乗っ取った株式会社は、どうなるか。
 法人税が高くなるだけではない。株式会社は、当然だが独禁法を適用される。だから、共同販売や共同購入、計画販売やリレー出荷などは、談合として摘発されるだろう。
 それだけではない。全農のように大きな市場シェアは持てなくなる。市場シェアを下げざるをえない。
 それをテコにして、取引相手である農家を選別する。会社にとって都合のいい、美味しい農家、つまり、買い叩きに対して従順に従う農家だけを取引相手にする。そして、不平をいう農家は容赦なく切り捨てる。さらに、それをテコにして、資材価格を吊り上げる。それに不平をいう農家も切り捨てる。
 不平をいう農業者に行き場所はない。株式会社は、賃金に不平をいう農業者は、農作業の従事者に雇わない。低賃金に従順な農業者だけを雇う。こうして、農協だけでなく、農業を乗っ取る。



 こうした悪辣なことをするから、しばらくの間は株式会社の農業経営が続くかもしれない。しかし、やがて行き詰まる。株式会社による農業が長く続く例は、ごく一部の例外を除いて世界中にない。やがてイギリスやカナダやオーストラリアのように、破綻して外国籍の強欲なグローバル企業に、会社ごと売り飛ばす。
 グローバル企業はなにをするか。
 全農がアメリカで行っているような、GM(遺伝子組換え)農産物と、非GM農産物との分別集荷はしない。日本もGM食品で溢れる。TPP交渉が妥結すれば、そうなっても法律で規制できなくなる。規制すれば、政府はTPPの中のISD条項で訴訟を起こされる。そして、結局、政府は巨額の賠償金をグローバル企業に支払うことになる。BSEの疑いがある牛肉も自由に輸入され、日本市場を席巻する。



 こうした農業も、やがて行き詰まるだろう。そして、企業は農業から撤退する。跡地はどうなるか。
 ハワイのような荒地になるかもしれない。
 貪欲な企業は、跡地に太陽光発電の施設を作るかもしれない。これには政府の手厚い補助金がある。補助金目当ての太陽光発電である。
 それに適さない跡地は、産業廃棄物の捨て場にするおそれもある。そうして、村人たちに嫌われる。まさか、原発の放射性廃棄物は捨てないだろうが、怪しい。



 政府は、こうした事態を見通せぬまま、農業・農村の荒廃へ向かって、まっしぐらに突き進もうとしている。その第1歩が、邪魔をする農協への攻撃であり、その総司令部である全中の法的否認である。
 政府にとって、農協の反TPP運動にみられるような、政治に対する批判や反対が、よほど不都合なのだろう。いまや、わが国には農協しか政治を批判する大衆団体はない。労組も生協も力を失った。春闘は政府だのみである。
 だから、農協に攻撃を集中し、破壊しようとしている。そうしておいて、農業・農村を人身御供にし、外資へ捧げようとしている。
 こんなことを認めるわけにはいかない。農協組合員とその家族の2千万人を超える有権者の怒りが、全国に渦巻いている。
 この企みは、断固として阻止しなければならない。先日から始まった国会の内外で、大多数の国民とともに、抗議の声を大きく張り上げねばならない。
 いま、緊急の課題は、全国の抗議の声を、どう組織するかだろう。それが、全中解体の企みを打ち破る王道である。
(2015.02.25)





2015年2月6日(金) しんぶん赤旗
TPP合意急ぐ日米政府
米・牛肉・豚肉 日本が譲歩 農家ら「国会決議違反、撤退を」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-06/2015020601_01_1.html

 日米政府は、早ければ3月中の環太平洋連携協定(TPP)大筋合意を目指して、2国間協議の決着を急いでいます。交渉参加12カ国の国内総生産(GDP)の約90%を占める日米の合意をてこに、全体の合意を推進する意向です。そのため、農産物重要品目の関税協議で、日本政府が国会決議に反して米国の要求を受け入れる危険が差し迫っています。
 オバマ米大統領は1月20日、今年の施政方針を示す一般教書演説で、TPPなどを推進する執念を示し、議会に対し大統領貿易促進権限(TPA)の付与を求めました。通商代表部(USTR)のフロマン代表も2日の講演で、「TPPの最終合意の輪郭が明確になりつつある」と見通しを語りました。
 甘利明「TPP担当相」(以降被告)も3日、2月中にも日米間の決着を図る意向を示し、「春の早いうちに交渉参加国12カ国の閣僚会合が持てることが望ましい」と述べました。
 日米協議では、日本政府は、主食用米の輸入を拡大するため、無税で輸入するミニマムアクセス(最低輸入機会)とは別枠で「TPP特別枠」を新設し、米国産を含めて年間5万トン規模の拡大を検討していると伝えられます。米国は、20万トン規模の拡大を要求しているとされます。日本は現在、ミニマムアクセスで年間77万トンを輸入しており、米国からは36万トン程度を輸入しています。うち、主食米は数万トン。甘利被告は1月27日、米国産主食米輸入について「1粒も増やさないということは不可能だ」と述べ、早々に白旗を掲げました。
 牛肉の関税では、現行の38・5%を9%前後まで段階的に削減する方向で検討。輸入量が急増した場合に発動するセーフガード(緊急輸入制限)では、日本以外11カ国からの輸入総量を基準にし、現在の輸入量の50万トンから段階的に引き上げる案が浮上しているとされます。
 豚肉では、高額の豚肉の関税4・3%を撤廃。1キロ=542円以下の豚肉については、セーフガードの導入を条件に、1キロ当たり最大482円の関税を50円前後へ段階的に削減する方向です。
 こうした政府の対応は、農産物重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)を交渉対象にしないよう求めた国会決議に反します。農民運動全国連合会(農民連)の笹渡義夫副会長は、「現在の交渉は、国会決議を完全に逸脱している。国会決議に従い、交渉から直ちに撤退すべきだ」と指摘します。

 TPP トランス・パシフィック・パートナーシップ協定(環太平洋連携協定)。太平洋をめぐる諸国の間で経済活動のルールを共通にし、多国籍大企業が思いのままに活動できるようにすることが目的です。現在、日米など12カ国が交渉中です。米国が主導し、米国のルールを共通ルールとして押し付けようとしています。そのため、国内産業や国民生活を守るために定められた各国の制度や規制が壊される危険があり、日本を含む交渉参加諸国で反対運動が起きています。


 では、どうやれば日本の農家は活性化できるのか。
 私はNPO法人とJAによる共同体の農業を作るべきだと考える。日本はこのままでは間違いなくジンバブエの二の舞になる危険性が極めて高い。私はTPP締結をやめるべきだと断言する。

1.農家によるNPO法人設置を推進する。
2.NPOは、ユニバーサル就労を積極的に行う。
3.NPO法人とJAは提携し、地域に合わせた生産物を、消費者の求めに応じて販売する。
4.農業を運営するNPO法人に対し、政府は無税措置を20年間行うこと。
5.大企業及び外資系による農業参入は原則として禁止する。参入する場合は、必ずJAに加入を義務付け、JAの指導管轄下に入ることを義務付けること。また、地域の人たちを正規雇用で積極的に雇用し、撤退も20年間は認めない。
6.農業の法人化を推し進める場合、必ず正規雇用化すること。
7.JAによる監査機能を維持し、会社やNPOによる経営の場合は、厳しい査察を必ず行うこと。