2017年2月12日日曜日

鉄道会社の責任を問いかける

兵庫・北条鉄道の自由なボランティア駅長 パン屋に婚活にお寺まで?
by 南文枝 (更新 2016/7/30 07:00)

 2016年7月1日、兵庫県南部を走る第3セクター、北条鉄道(兵庫県加西市)が運行する列車内で、ある女性歌手のCDデビューを記念したコンサートが開かれた。
 白いシャツに黒いパンツとエプロン姿、頭に黒い帽子をかぶった女性が車両の中央に立ち、笑顔でアップテンポのデビュー曲「生きてるって素晴らしい」を歌い出す。両端の座席に座った観客らは、カメラやスマートフォンで撮影しながら、伸びやかな歌声に聴き入っていた。
 女性は2曲を歌い終え、観客に語りかけた。「ご乗車いただきありがとうございます。まさか自分がCDを出し、人前で歌うことになるとは思いませんでした」
 今年6月にCDデビューを果たした北垣美也子さんは、北条鉄道・法華口駅(加西市)のボランティア駅長。さらに、同駅舎内にあるパン工房「モン・ファボリ」の店長でもあるのだ。コンサートは始発の北条町駅から終点・粟生駅を折り返す貸し切り列車内で行われ、法華口駅に停車した際は、常連の男性が飼い犬と応援に駆け付けるなど、多くの人たちが窓の外から手を振っていた。
 北条鉄道は、国鉄の赤字ローカル線を引き継ぎ、1985年に営業を開始。2006年度から、駅の維持管理をしながら、特技や趣味を生かして同鉄道を盛り上げてもらおうと、ボランティア駅長の募集を始めた。今では北垣さんを含む約20人が、駅舎での婚活相談や僧侶による法話、切り絵教室、駅周辺のボランティアガイドといった個性的な活動を繰り広げている。現在も、16年8月20日まで第6期のボランティア駅長を募集中だ。
 同社によると、ボランティア駅長効果か、06年度は約31万1000人だった利用者数が、15年度には約35万人まで増加。始発から終点駅までを1往復2万2000円で利用できる「貸し切り列車」も人気を集めているほか、「応援隊」として立ち上がった地元住民の協力を得て、「おでん列車」などのイベントを成功させてきたかいもあり、2015年度 の営業収益は過去最高を記録したという。
 ボランティア駅長の中でも、北垣さんのように歌手、パン工房店長と三足のわらじをはく人は珍しい。パン工房がオープンした12年11月から店長を務めている北垣さん。オープン準備中にボランティア駅長の募集を知り、「地域のために何かできれば」と手を挙げ、12年9月に就任した。
 当初はパン工房で働きながら、時間を作って駅の清掃などをしていたが、やがて「列車に手を振ろうかな」と考えるように。上司の許可を得られたため、パン工房が営業している午前10時~午後4時の間、列車が発着するたびにホームに出て手を振るようになったという。
 ホームで右手を挙げて列車の見送り、出迎えを続けるうちに、乗客から手を振られたり、会釈されたりすることが増えた。列車の運転士も窓を開けて話しかけてくれるように。「車窓越しのコミュニケーションがうれしい」(北垣さん)。のどかな田園風景をバックに、笑顔で手を振る北垣さんの姿は話題となり、法華口駅には、いつしか鉄道ファンらが撮影に訪れるようになった。
 北垣さんは、幼いころから歌うことが好きだったという。高校時代は合唱部で活動し、卒業後、進学先の専門学校があった東京では、「新都民合唱団」にも所属していたこともある。そして16年春、たまたま訪れた姫路市内のカラオケ喫茶で、音楽プロデューサーの小谷繁さんからCDデビューを持ちかけられた。
 北垣さんは最初、「ボランティア駅長とイメージが違うのでは」と戸惑ったという。周りからは「それって大丈夫?」と心配された。しかし、「やってみたい」という思いが強くなり、「マイナスにはならないはず。自分を信じてやろう」と、デビューを決めた。16年5月に緊張しながらレコーディングに臨み、6月にCD「生きてるって素晴らしい」(税込1300円)が発売された。
 7月1日のコンサートは、顔見知りの利用客やファンらでにぎわった。よくパン工房を利用するという40代の会社員男性は「CDを買って聴いたが、生歌も普段と違った雰囲気で良かった。またこういうイベントをやってほしい」とうれしそう。小谷さんは「彼女の魅力である、素直な人間性がにじみ出るような、癒やされる歌声を多くの人に知ってもらえればうれしい」と話す。
 北垣さんは、「大好きな歌を歌うことで、自分も癒やされている。『人生で行き詰っていいても、自然が癒やしてくれる』という曲の世界観を伝えたい。ボランティア駅長やパン工房との三足のわらじは大変だが、一生懸命、真剣に取り組みたい」と意気込む。
 CDはパン工房などで販売されている。1915(大正4)年に建てられた法華口駅の木造駅舎は趣があり、国の登録有形文化財にも指定されている。北垣さんの笑顔の出迎えを受けに、訪れてみてはいかがだろうか。(ライター・南文枝)

http://dot.asahi.com/dot/2016072800312.html


 ローカル線の経営危機は深刻である。
 しかし、本来の鉄道路線は赤字が基本で、その赤字を埋めるためにサイドビジネスを行うことが許されているのにすぎない。東武鉄道の住宅地開発などはその一部にすぎない。そもそも、JR西日本は北条鉄道の存続にどれだけ努力したのだろうか。私はそこに厳しく問いかけたい。
 その一方で口約束に終わっているケースも有る、しなの鉄道にJR東日本は篠ノ井-長野の区間の分離の約束を果たしていない。そのことをおかしいと指摘したしなの鉄道サイドに詭弁で逃げている。それなら、しなの鉄道はそもそもJR東日本から分割する必要はないということだ。
 努力不足も甚だしい大手鉄道会社にもっと政府は自助努力を迫るべきなのである。JR北海道は赤字を理由に地方路線の廃止を画策しているが、それならまず、会社更生法を申請した上で北海道民が出資する形で北海道民鉄道として再生すべきなのは明白だ。
 JR東日本なんぞは特にひどい。特急ばかりに傾斜し、圧倒的多数が使う各停についてはお粗末な対応に終止している。『3分遅刻』とアナウンスでいつも横行しているが、乗り換え時間も含めると事実上その10倍のリスクを弱者は押し付けられているのだ。


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