2017年8月6日日曜日

一億「仲代壬琴」化社会:刺激の奴隷の果て

 『爆竜戦隊アバレンジャー』という特撮番組が2003年2月16日から2004年2月8日まで放送された。
 この作品は東映制作で「スーパー戦隊シリーズ」第27作にあたる。その中で現代日本につながる物騒なキャラクターがいるので取り上げたい。
 その人物こそ、今回のブログコラムのタイトルにも使った仲代壬琴である。
 彼の設定というのは、「アメリカで14歳の頃に医師免許を取得した元天才外科医師」という触れ込みで、「人並みはずれた知力・体力を持ち、幼い頃から自分の思うものすべてを手に入れてきた。しかし、天才でありすぎたために親を含めた周囲から異端視され友や仲間とも呼べるものもいない孤独な生活をし、「努力する楽しみ」と「達成する喜び」を知らず、医者でありながら楽しいか楽しくないかを手術の基準とし、人生に飽きて刺激を求める。それによる心の虚無感を埋めるときめきを求め続けていた(「ときめくぜ」という口癖もそれ故)。性格的には冷静を通り越して冷徹ですらあるが、荒っぽい面も併せ持つ」。
 そこで、強大な力を偶然手に入れ、医師を辞め戦いを「ゲーム」として参戦。「どうせなら、力を自分の為に楽しく使おうぜ」「本音で行こうぜ。退屈な世の中でこんな凄い力持ったら、人生面白くしたいと思うのが人の心ってもんだろ」と言い放ち、敵でも味方でも、力を奪い取る「ゲーム」の駒にすぎない彼は、自分を好きだという少女の思いまでもゲームのために最大限に利用しようとした。だが、最後は仲間にその力を見事なまでに悪用され、敵対していた者達に助けられたわけだ。

 この仲代、今の日本人そのものを射抜いているのではないか。
 仲代がいわば刺激の奴隷に成り下がったのに対し、そのことを我々は笑えないのではないか。今のネット社会は「努力する楽しみ」と「達成する喜び」なんてない。ネットではびこるカンニングはまさしくその象徴なのだ。
 まさに荒っぽい方法がネットで堂々とまかり通る。しかも、始末におえないことに今の場合はヘイトトークに手段を選ばないデマがまかり通る。そしてそのカウンターですらも手段を選ばない強引な手段で攻め立てる。
 法律に則りこてんぱんにすればいいまでのことなのだが、いつの間にか叩くことで刺激を得ているような風潮は問題がある。そのやり方に最近問題があると思ったのはネットでヘイトを吐きまくる人物に対して、「あいつはアスペルガー症候群当事者では」と認定した動き。
 そうしてみんなが「仲代壬琴」化してしまい、その挙句の果てが刺激の奴隷になってしまい、最後は「なんでこうなるんや」と思うまでの危険な行動を行ってしまう。ほんとうに困ったものである。