2013年8月25日日曜日

誰のための経営統合なのか



 2011年12月13日
イオンに食われる伊勢丹

今回はイオンになぜ伊勢丹が弱いのかを示すエピソードを示したい。

 その上で伊勢丹への苦言を行う。

イオンと伊勢丹の板挟み、オンワードの苦悩 

日経ビジネス

2005年8月25日

 オンワード樫山は8月末から順次展開予定だったSC(ショッピングセンター)向け新ブランド「エニィファム」を、SCでは最重要取引先であるイオンの店鋪では、当面販売の立ち上げを見合わせざるを得なくなった。

 イオンがこのほどオンワードに「新ブランドの契約に応じない」旨を通告したためで、その理由を探ると、そもそも、新ブランド誕生のきっかけの1つが、イオンのライバルの伊勢丹の意向にあったという裏事情に行き当たる。

 エニィファムは「組曲ファム」というブランドを改称したもの。オンワードの百貨店向けの主力ブランドで2000年に全社の売り上げの約10%を占める「組曲」のSC版として、組曲ファムは開発された。

 なぜ組曲ファムではいけないのか。ここで伊勢丹が登場する。

百貨店に配慮しブランド変更

  本誌1月31日号「時流超流」で報じたように、伊勢丹は昨秋、複数の大手アパレルメーカーに対して、「2006年2月までにSCに似たブランドを持つブラ ンドは全店から排除する」といった異例の通告を出した。その理由は「SC向けブランドと百貨店向けはもともと似ており、このままでは独自色がなくなってし まう。より安価なSC向けによって百貨店ブランドの価値が下がる可能性もある」からだ。

 つまり、オンワードをはじめとしたアパレルメーカー各社は、組曲のような百貨店向けのブランドを、SC向けに派生させるという戦略を見直さざるを得なくなったのだ。

  実際、ブランド改称の動きは業界に広がりつつある。「ピンキーアンドダイアン」というブランドを持つサンエー・インターナショナルはSC向けに「アンドバ イピンキーアンドダイアン」を展開していたが、「アンドバイピーアンドディ」に変更した。「オゾック」という主力ブランドを展開するワールドはSC向けブ ランドにもオゾックという名称を使用していたが、それをやめた。サンエー、ワールドは伊勢丹の影響を否定するが、「影響はある」と見る関係者が少なくな い。

 ところが今回、アパレル各社の百貨店寄りのブランド政策にイオンが異を唱えた。「組曲やピンキーアンドダイアンといったブランド名に引かれ て、購入する顧客が少なくない」(SC関係者)ため、こうした主力ブランドの名称がSCから消えた場合、顧客の足が遠のく可能性は低くない。イオンは自社 で運営するSCのほかに、イオンモール、ダイヤモンドシティなど、グループ内に複数のSCを持つ。各アパレルメーカーにとっては、まさに無視できない存在 だ。

 イオンとオンワードは店舗ごとに出店契約を交わしており、一部には「組曲ファムを展開する」といった一項を含む。イオンは「エニィファムへの変更は契約違反」と突きつけている。他のSCは新ブランドを認める方向だ。

長いつき合いと実利の狭間

 伊勢丹はオンワードの株式を2.5%持つ大株主でもあり、オンワードは百貨店事業に軸足を置くアパレルメーカーとして知られる。

  しかし、新規出店がほとんどない百貨店に比べ、出店計画が相次ぎ、勢力を伸ばすSCの影響力は大きくなっており、イオンはSC展開の頼みの綱でもある。ち なみに組曲ファムの売り上げ約100億円のうち半分以上をイオングループのSCで稼ぎ出している。オンワードがエニィファムの立ち上げを当面見合わせるこ とにしたのは、百貨店とSCの両雄の間で板挟みになったからだ。

 打開策はあるのか。オンワードは今年5月のエニィファム発表以降、組曲ファムの 製造を中止している。つまり組曲ファムを復活させようにも、在庫はない。そんな事情からオンワード内には、「組曲ファムの看板を掲げる店舗でエニィファム の商品を販売する」という案も浮上している模様だ。

 メーカーが小売り大手の主義主張に振り回される例は少なくない。ただし商品の命とも言えるブランドを取引先の都合で頻繁に変えていたら、消費者は混乱してしまう。問われるのはアパレルのブランド戦略だろう。(飯泉 梓)

 イオンはそのあと、マイカルをイオンリテールに吸収合併させて専門店ビブレを直営化した。

 このビブレは百貨店ブランドも一部兼ね備えた存在である。さらに専門店を強化すべく、セゾングループだったパルコと業務提携を進めている(このことで大騒動になったが)。決して侮れない存在であることは言うまでもない。

伊勢丹軽営陣はドバイがお好き(小野哲)

テーマ:企業・市民

2009-09-07 06:47:34

 北海道の百貨店・丸井今井が民事再生法を申請し、三越伊勢丹HDが出資して「経営再建」を始めている。

京都新聞 2009年4月30日(木)

三越伊勢丹に正式決定 丸井今井の再建スポンサー

 民事再生手続き中の北海道の老舗百貨店、丸井今井(札幌市)は30日、再建のスポンサー企業に三越伊勢丹ホールディングスを選ぶことを取締役会で正式に決定した。午後には記者会見し、発表する予定。

 丸井今井は1月29日に民事再生法適用を申請。売り上げ減少に歯止めがかからない状況で、今後、三越伊勢丹をパートナーに再生計画案をまとめ、立て直しを急ぐ。

 計画案では、既存4店舗のうち旭川店は撤退や業態転換が濃厚。室蘭店も「2010年1月をめどに存廃を判断」との従来の計画が引き継がれ、存続は困難とみられる。

 スポンサー選定では、三越伊勢丹と高島屋の2社が支援を表明し、4月15日に再建案を丸井今井に提出。雇用を重視した丸井今井は当初、4店舗存続の方向を示した高島屋を軸に調整したが、最終的に譲渡額の高い三越伊勢丹を選んだ。(共同通信)

  まず、丸井今井の倒産原因は、消費者の求める大衆性を無視した伊勢丹の経営方針を鵜呑みにしすぎたことが大きい。イオンですらも小型店出店に舵を切ってお り、一地方都市の札幌にドバイ並の購買力を求めること自体が無理な話ではないか。伊勢丹の指導で改装した紳士服売場はボロボロの惨敗で、新宿本店の手法を そのまま衰退している北海道に持ち込むこと自体無理だ。よほど伊勢丹はドバイがお好きなのだろう。だが、ドバイなんて所詮は幻想そのものでしかなく、経済 実態はそうは甘くはない。

 高島屋は鳥取県米子市、群馬県高崎市にある不採算店を残した上で子会社化して「つぶれたら終わり」と背水の陣を敷いて 経営再建を果たした。そうしたノウハウは丸井今井に十分反映できる。110億円と三越伊勢丹HDの130億円に比較して安い上、銀行サイドに負担を強いる ものだったが、私は高島屋案が理にかなったものであると断言する。丸井今井をだめにしたのは今井春雄、柴田哲治ら歴代無責任経営陣とそれを支えてきた北海 道拓殖銀行、北海道銀行にある。ぬるま湯での再建では意味がない。高島屋は経営再建のノウハウがあり、それでダックビブレ(マイカルグループだった東北地 方の百貨店で、現さくら野百貨店)の再建もアシストした実績もある(ただし、石巻・福島は撤退している)。

 カスミ(イオングループ・茨城県大手 ストア)が展開している低価格店舗・フードオフストッカーは不採算店を改装しているが、去年10月の段階で売り上げは前年比14.7%と極めて高い。徹底 したコスト削減があるが、何よりも地元住民のニーズに答えている事が大きい(47NewSサイトより引用)。去年8月27日にテレビ東京系列で放映された ワールドビジネスサテライトではフードオフストッカー北本店(埼玉県北本市)が紹介されている。店に倉庫を持たず、店頭で売り切ることにより廃棄ロスを半 分にし、正社員を極力減らしパート社員を中心にすることにより人件費を削減。その結果、生鮮品を通常の店舗よりも1~3割程安く販売している。売り上げは 改装前と比較して1.5倍になり、黒字化に成功している。またこの番組で同時に取り上げられたMEGAドン・キホーテ(ドン・キホーテ運営)では子会社の 長崎屋を改装しているが、改装開店1ヵ月の売り上げは三郷店で3.4倍、四街道店で2.5倍と順調である。今後半分以上の店舗を低価格店へと業態転換する 方針ですでに改装は進んでいる。その関係でそうご電器跡地にあった旭川のドン・キホーテがMEGAドン・キホーテとして長崎屋に移転したのだ。

  イオン本体でも、低価格店を展開し始めた。コンビニや商店街の空き店舗などの小型店跡地にコンビニ型スーパーとして「まいばすけっと」「アコレ」を出店し 始めた。2012年までに500店舗出店という。子会社のマックスバリュグループでも一部ディスカウントストアのザ・ビッグという店舗を運営し始めてい る。イオンのライバルであるセブンアンドアイもかつてやっていたDSのザ・プライスを運営している。主にイトーヨーカドーを改装しているが売り上げは伸び ているため新店まで出す話が持ち上がっている。

 食品ストアがこれだけ必死に生き残りを図ろうとしているのに、百貨店は相変わらず我が盟友が言ったようにブランドばかり。そしてイオンSCに出店したオンワード樫山に伊勢丹は間抜けな茶々を入れてイオンの激怒を買った(これについては我が盟友が昨年批判している)。

  いずれにせよ、三越伊勢丹HDによる丸井今井経営再建は失敗請負だ。西武百貨店は老舗百貨店五番舘(買収前は高島屋と業務提携していた)を買収して立ち上 げた札幌店を閉鎖して売却する。売却先は高島屋になる可能性が高い。セブンアンドアイはロビンソン百貨店ですらもイトーヨーカドーに改装した。セブンイレ ブンで分かっているように、セブンアンドアイは百貨店が時代遅れであることを知っている。そごう・西武百貨店に半ば強引にグループPBのセブンプレミアム を導入させたのも利益率の向上を優先したにすぎない。その他に札幌店の売却先としてパルコ、ヤマダ電機もあがっているようだが、最有力なのは高島屋なのは 明らかだ(経営統合の相手である阪急阪神百貨店との重複店舗は少なく、余力はある)。

 伊勢丹には余力はない。というのは伊勢丹吉祥寺店が来年3 月末で閉鎖される。逆に言えば、新宿本店の余力はなくなったという事だ。それを知らない北海道銀行の経営陣も、北海道がドバイに見えるのだろう。こうした おめでたいおバカさんの為に人生を翻弄される丸井今井従業員に私は同情する。

 

 

引用元

47NEWS>共同ニュース >記事詳細

カスミ 新業態の確立狙う フードオフストッカー 来期にも新店1号店

http://www.47news.jp/CI/200810/CI-20081029-00269.html

「ワールドビジネスサテライト」2008年8月27日(水)  23:00 ~ 23:58

http://kakaku.com/tv/channel=12/programID=561/episodeID=195366/

イオン、コンビニ型スーパー「まいばすけっと」500店出店[09/04/14]

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090414AT2F1301D13042009.html

イオン系DS「ザ・ビッグ」、滑り出し順調、「雑然」排除、安さ印象づけ。

2009年08月12日 / 日経MJ(流通新聞)

http://www.shopbiz.jp/rt/news/39541.html

三越伊勢丹、伊勢丹吉祥寺店を10年3月に閉店 2009年5月12日

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090512AT2F1200O12052009.html

京都新聞 2009年4月30日(木)

三越伊勢丹に正式決定 丸井今井の再建スポンサー

http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2009043000056&genre=B1&area=Z10

目先の効果に溺れて10年後の利益を失うのか(小野哲)

2011/08/05 08:13

パナソニックが傘下にある三洋電機の白物家電中で、洗濯機・冷蔵庫を中華大手のハイアールに売却することになった(洗濯機製造子会社・三洋アクアなども)。

 私はパナソニックによる三洋電機買収には疑問視をしていた。週刊誌によると、京セラが野村證券と共同で三洋電機を買収するというプランもあったそうだ。更にパナソニックは目先の効果ばかりを狙い、無理な人員整理を強行しており、そのやり方には厳しい批判がある。

  鳥栖にある子会社を閉鎖したり、川崎市綱島にある通信部門の工場を閉鎖して、正規雇用労働者を減らすやり方はおかしい(ちなみに綱島の工場跡地だが、私は 読売新聞社本社及び印刷工場にすべきと考えている。東京にこだわる理由など、今やない。大手町の本社は直ちに売却すべきだ)。そして今回のハイアールへの 売却である。内部留保にこだわって、将来の顧客を捨てるやり方では大きな禍根を残す。

 この事で、中華大陸製品のコピー家電が出来てしまい、日本 人の雇用は確実に潰される。それなら、中小企業にパナソニックの持つ特許(一定の期間を経過したものであればいいとおもうが)を無償で開放して、建設的な 競争に繋げるべきである。それこそが、パナソニックにとっても利益になる。なぜなら、下請に作らせて場合によってはパナソニックの名前をつけて売ればいい のだから(品質がそれだけ問われる)。特にパナソニックの下請中小企業には優先して無期限で無償提供すべきだ。

 丸井今井のスポンサーに選ばれた 伊勢丹は、今や北海道の民衆から恨まれている。当然である、目先の利益にこだわって、室蘭・根室・小樽・苫小牧・旭川地域の雇用を破壊した結果、多くの深 刻な失業者を生み出したのだからだ。北海道は今や、イオン北海道(旧ポスフール・マックスバリュ北海道)・アークス(東北大手ユニバースと統合)・コープ さっぽろの三強時代であり、イオンは確実に百貨店のジャンルに踏み込みつつあるのだ(しかも、不振だったマックスバリュ(札幌フードセンター)を改装した ディスカウントストア『ザ・ビッグ』は好調である)。

 パナソニックに問い掛ける。禊研修でどれだけの企業利益になっているのだろうか。それなら ば、ウォルマートに研修に行かせて、コスト削減について勉強させたほうがいい(それとても、ウォルマートのやり方は問題があるので何とも言えないが)。そ してコスト削減と同時にカットされた取引先の支援を行う事で、共存共栄を図るべきだ(むろん、慈善事業ではないのだが)。

 中小企業に技術を提供 することで、環境に優しく、コストを抑え、正規雇用を拡大することになる。日本の企業の9割が中小企業である現実から、パナソニックがとるべき対策は保有 特許の中小企業への無償開放である(家電量販店によるプライベートブランド品の製造にも繋がる)。それが現実的な対策である。

 また、特に東北地方の中小企業に特許を無償で開放するよう勧告する。そうすると、資金面が揃えば確実に東北地方の中小企業は再生できるのだ。ぜひとも、パナソニックの勇断を期待する。

のれんの重みを知らない伊勢丹経営陣(小野哲)

テーマ:ブログ

2010-04-05 13:25:59

 千葉にあった奈良屋を取り上げるのは今回で最後にしておきたい。

 というのは、杉本郁太郎氏は自身の代で同族経営をやめるという決断をされていたそうだ。なので、奈良屋からニューナラヤに店名を変えてもいいと考えていたようだ。

 小倉屋という昆布加工を中心とした食品製造業者がある。そのホームページではのれんについてこう書いている。

 明治から大正期、船場の商人にとって「のれん」の重みは絶大なもので、のれんを担保に銀行が金を貸すこともありました。

 「のれん」分けは長年主家のためにつとめあげた信頼の厚い者だけが許される免許皆伝。

 別家したものは主家の伝統を受け継ぎ、「のれん」に恥じない商いをすることが主家への恩返しでもありました。

  三越は奈良屋を買収して最後に千葉三越(店名はちば三越)に変更した。だが、のれんに込められた想いや人々の信頼感は引き継ぐことはできなかった。だから 伊勢丹による事実上の買収につながった。さて、丸井今井を伊勢丹は買収したが確実にいえるのは失敗の確率が大きいと言うことだ。地元の反対を押し切っての 閉店ばかりで、丸井今井ののれんへの信頼感は大きく損なった。それで再生してくれと言うのは無理な話だ。

 イオンは地方百貨店を買収して立て直した後、店名をジャスコに変えてきた。たとえば長野県にあったはやしや百貨店、ほていや百貨店は信州ジャスコになって最後は扇屋ジャスコ、北陸ジャスコ(旧いとはん)と一緒に本体へ吸収合併された。

 時代に合わせた百貨店のビジネスモデルを我々は考えるべきだ。このままでは伊勢丹が中小GMSを買収して本体に組み込んでノウハウを得ざるを得ない状況だろう(高島屋はすでに子会社がショッピングモール運営の経験を持っている)。

 百貨店の時代はこのままでは確実に終わるだろう。

  イオンモールやイオンタウンを見て欲しい。百貨店とどう違うのだろうか。やがて、伊勢丹も三越もなくなり、日本橋三越跡地にイトーヨーカドーが入居する時 代もそう遠くはないのかもしれない…。すでに私が何度も指摘してきたように地方百貨店がどんどんイオンの傘下に入ってジャスコになっていったことを考えれ ば時代の流れなのかもしれない…。

http://www.nikkeibp.co.jp/archives/392/392659.html

 それからあと、新たなニュースが入ってきたので追加する。

Business Newsヨーカ堂が百貨店ブランド売場「SEIBU」導入、そごう・西武と協働

2011年12月14日 15:00 JST

 セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が、グループ企業のそごう・西武と協働し"百貨店ブランド"を販売する衣料品売場 「SEIBU」を導入する。2011年秋より同社が運営する「アリオ上田」に「PORT D'URBAN(ポート・ダーバン)」など一部のブランドを導入しており、12月16日に予定されている「アリオ松本」のリニューアルオープンと共に本格 始動。西武が展開しているメンズ・ウィメンズのファッションブランドを積極的に販売することで、衣料品売場を刷新する。

 イトーヨーカ堂は、大型 SC「アリオ」の改装に伴って新たに"百貨店ブランド"の販売エリア「SEIBU」の導入を発表。大規模改装により12月16日にオープンする「アリオ松 本」のテナントとして、メンズとウィメンズの売場を設ける。販売するのは、メンズはレナウンの「PORT D'URBAN(ポート・ダーバン)」や日登美のカジュアルブランド「VUMPS(ヴァンプス)」、ウィメンズは東京スタイルの「address(アドレ ス)」や、アパレルメーカーの詩仙堂やエコーが展開するブランドなど。他のフロアにはイトーヨーカ堂初のSPA(製造小売り)型カジュアルブランド 「good day(グッデイ)」をはじめ、「GALLORIA(ギャローリア)」「L&B(エルアンドビー)」「Kent(ケント)」などのプライベートブ ランド(PB)が出店し、百貨店ブランドとの両立によって品揃えを充実させる。

 衣料品改革に取り組んでいるイトーヨーカ堂は、オリジナルブラン ドを衣料事業の柱と位置付けながら開発を進めている。そごう・西武との取り組みにより「グループの連携を図っていきたい」(同社・広報)とし、来期に計画 している約50店舗の改装に伴って「SEIBU」の展開を拡大する。

http://www.fashionsnap.com/news/2011-12-14/seibu-itoyokado/



2011年12月30日
日本航空の真の再生
 今回は日本航空のことで語りたいと思う。

 カツの入っていないカツ丼(小野哲)
テーマ:ブログ
2011-01-24 08:30:16
日航が152億円で買った土地、価値は24億円 和歌山

2010年9月1日16時9分
 日本航空が19年前に社宅用地などとして約152億円で購入した和歌山市内の土地が、建物を含めても24億8千万円(2009年9月時点の鑑定)の価値しかないことがわかった。日航が見込んでいた土地・建物の簿価(09年3月末)を205億4千万円も下回っていた。
 日航が経営破綻(はたん)に至った法的問題などを調査してきた有識者らの独立機関・コンプライアンス調査委員会(委員長・才口千晴元最高裁判事)が、26日付で管財人に提出した報告書で指摘。「土地購入の経緯が不明で、不当に高額」と述べた。31日、会社更生計画を発表した管財人は「内容を把握し、今後の対応を検討したい」と話した。
 問題となったのは、1994年の関西空港の開港に備え、日航が社宅や寮を建てるために91年に購入した和歌山市内の約11万平方メートルの土地。JR和歌山駅からバスで約30分、関空までは日航の送迎用バスで1時間弱かかる。関係者によると、この土地は地元選出の国会議員の後援会関係者が売却したという。
 同委の調査報告書によると、土地の約4割は宅地利用が困難な山林部分で、当時は水道やガス、電気も未整備だったが、日航は坪単価45万8千円、総額約152億円で購入した。
 同委が日航の当時の取締役会や常務会の議事録を調べたところ、ほかの候補地との比較や検討を十分にした形跡は認められなかった。また、事前に「127億円」との私的な鑑定結果が出ており、さらに25億円を上乗せして購入した経緯も「明らかではない」という。
 日航は土地購入後、第1期として約105億円を投じ、10階建ての社員寮(414戸)や社宅棟(109戸)、管理棟などを建設。関空の大幅な需要増を見込み、2期、3期と建て増す計画もあったが、今は「凍結状態」という。同委は「事業見通し自体にも問題があった」と指摘した。
 現在の入居率は寮が20%台、社宅は50%台。ある社員は「とにかく不便ということで有名」と打ち明ける。
 同委は、購入から19年がたち、民事・刑事とも時効が成立している▽土地取得の具体的な経緯が明らかにできない▽バブル経済の時期で、空港周辺でまとまった土地の購入が困難だった--などを理由に、当時の経営陣の法的な責任追及は困難と結論づけた。(永田工、沢伸也、佐々木学)
http://www.asahi.com/special/jal/TKY201008310549.html

 この話を持ち掛けたのはジミントーの二階であると囁かれている。
 だが、これを刑事・民事両方から責任追及しないのはおかしい。法律を改正してでも、遺族であっても追及すべきだ。なぜなら、国民の血税をぶち込んだばかりか、モノ言う労組に不当な整理解雇を押し付け、イエスマン労組は優遇なのだからだ。2010年10月28日付けの朝日新聞では『日航、元県議側に4.5億円 和歌山寮用地の仲介手数料 関係者証言』としてジミントーの二階俊博・元運輸相の後援会幹部(当時)から日本航空が和歌山市の山林を高値で購入する際、大手ゼネコンを経由して「仲介手数料」として約4億5千万円を支出し、手数料を、二階氏と親しい元和歌山県議(故人)の関係先に入金していた事が明らかになった。
 これらの責任追及がないのでは、まさしくカツの入っていないカツ丼(田中秀征氏の台詞)そのものである。これこそ詐欺ではないか。二階は直ちに全資産を日本航空に提供し、国会議員を辞職すべきだし、ジミントーも二階に引退を迫る義務がある。
 民主党は当初、日航の経営責任追及で2010年2月に過去の経営責任と政官業のもたれ合い関係を検証するプロジェクト・チーム(PT)を立ち上げ、経営破たんの経緯を本格追及するとしてきたが音沙汰なしだ。その上に会社経営陣と特定癒着労組幹部が協力して作った監視ファイルの存在が明らかになった。これらについては以下のニュースで理解願いたい。

JAL客室乗務員が勝訴 労組の個人情報無断収集
2010年10月29日
 日本航空の「JAL労働組合」が客室乗務員の個人情報を無断収集し、ファイルを作成したことをめぐる損害賠償訴訟の判決が28日、東京地裁であった。青野洋士裁判長は「ファイル作成により、不快、不安、憤りを抱くなどの精神的苦痛を被った」と述べ、原告の客室乗務員ら計193人に請求通り1人当たり1万円を支払うよう労組側に命じた。
 判決によると、労組側は1996年以降、「日本航空インターナショナル」(JAL)の客室乗務員9862人(元職を含む)の人事考課、家族関係、病歴、思想・信条など158項目にわたる職場内外の個人情報を無断で収集し、電子データ化してファイルを作成した。2007年2月にファイルの内容が外部に漏れていたことが発覚した。
 判決は、労組側の情報収集は「正当な目的があるとはいえず、プライバシーの侵害に当たる」と述べた。
 原告側は当初、JALも提訴。同社は請求を全面的に認めて原告1人当たり22万円を支払った。

http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2010/10/jal-f708.html

 この労組のメンバーを中心に整理解雇が行われている。
 これは絶対におかしい。特定の労組を切り捨てる事は憲法違反であることは明らかだ。それなら、私は日本航空の再建案として航空子会社の完全売却を提言する(売却先は日本の中小企業・旅行会社など)。そこで公平な競争を行ってから、日本航空を再建してほしい。
 また、沖縄の普天間空軍基地を米軍が無条件返還することが前提になるが、私は沖縄県の空港を普天間に一本化し、アジアのハブ空港にすることを提案している(それだけ鉄道路線の整備は欠かせない)。例えばそのコアとして日本航空子会社の日本トランスオーシャン航空を沖縄県と中小企業、市民に売却させ、トランスオーシャン航空はアジア便に参入させる。そうする事で日本航空はフェアな競争で足腰を鍛えられるメリットがあるのだ。
 日本が既存の権益所有者によって私物化され、アメリカ企業にのみ開かれている不公平な社会には断固として異議を唱え続けるしかない。チュニジアのような革命がこのままでは起きる可能性すら否定できないのだ。やられる前に自ら衿を正せと言いたい。

公平・公正な競争が資本主義の原点である(小野哲)
テーマ:ブログ
2010-04-28 07:53:45
RBSの英支店網買収検討 スペイン・サンタンデール銀など4社
2010.4.8 05:00
 スペイン最大の銀行のサンタンデール銀行とナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は、英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の英国内支店網の一部買収に関心を表明している数社に含まれることが、事情に詳しい関係者2人の話で明らかになった。この買収には少なくとも4社が関心を示している。
 協議が非公開であるとして関係者が匿名を条件に語ったところによると、スペインの銀行2位、バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)と、英資産家、リチャード・ブランソン氏率いる金融会社、バージン・マネーもRBSの支店買収に名乗りを上げているという。入札は6日午後5時が締め切りだった。
 スコットランドのエディンバラに本拠を置くRBSは、2008年と09年に政府から救済を受けた後、欧州連合(EU)規制を順守するため、支店網の売却を進めている。
 売却するのは「ウィリアムズ・アンド・グリン」のブランドでイングランドとウェールズ、スコットランドに展開する318支店。RBSの英国内支店数は約2250カ所。
 シーモア・ピアスのアナリスト、ブルース・パッカード氏は「このような資産が売却対象となるのは異例で、それだけに魅力がある」と述べ、「困難で時間がかかる恐れのある自社内での支店網構築ではなく買収で支店網を獲得できる」と指摘した。
(ブルームバーグ Andrew MacAskill、Ambereen Choudhury)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100408/mcb1004080505003-n1.htm


資産家ロス氏、ヴァージン・マネーに22%出資-RBS支店網買収支援
  4月4日(ブルームバーグ):米資産家で投資家のウィルバー・ロス氏は、英資産家リチャード・ブランソン氏率いるヴァージン・グループの金融サービス部門ヴァージン・マネーの株式を取得した。4大金融グループの一角で、英政府が出資するロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の英支店網買収を目指すヴァージンの動きを支援する考えだ。
  ロス氏(72)は4日のインタビューで、自ら率いるWLロスがヴァージン・マネーの株式約22%を1億ポンド(約144億円)で買収したことを明らかにした。また、RBSが英国内に持つ300余りの支店に対するヴァージンの買収提案に最大5億ポンドの資金支援を約束したと語った。
  ロス氏とヴァージン・マネーは2007年、最終的に国有化された英中堅銀行ノーザン・ロックに対して共同で買収提案を行った経緯がある。ロス氏はヴァージン・マネーのジェーンアン・ガディア最高経営責任者(CEO)について、「非常に困難な経営環境の下で」事業拡大を進めたとして、手腕を称賛している。
  ロス氏は、ヴァージンがRBS支店網の買収案を6日の期限までに提出する計画だと述べる一方、買収条件については言及を避けた。RBSの支店網と関連資産がRBS本体から切り離された場合、英6位の銀行が誕生することになる。
  ヴァージン・マネーに電話で取材を試みたが返答はない。ロス氏のヴァージンへの出資に関しては、英紙テレグラフが最初に報じていた。
(C)bloomberg
更新日時: 2010/04/05 11:32 JST


 今回、イギリスで起きていることを取り上げたい。
 リーマン・ブラザーズの経営破綻による経済危機で、イギリスでは多くの銀行が国有化された。英国四大銀行Lloyd's Bank、The Bank of Midland(香港上海銀行グループ)、Barclays Bank、National Westminster Bank(Nat-West ナットウェスト 現在RBSグループ)のうち、ロイズとRBSが国有化された。基本的にはこうしたやり方は望ましくない。言ってしまえばカジノバーを英国王室が買収するようなはしたない真似である(エリザベス女王には申し訳ない言い方なのだが)。
 だが、破綻した結果多くの労働者が路頭に迷った結果、社会不安になる事は明らかだ。そこで、無責任経営者には私財を提供させ、場合によっては刑事責任も問う事が必要で、さらには従業員には待遇が悪くなることも当然重なってくる。日本では日本航空の会社更生法申請による事実上の国有化で、多くの従業員には不利益が伴ってくる。
 だが、歴代経営陣への経営責任の追及や天下りで不当な利益を稼いでいる連中、更には日本航空への利益供与と引き替えに身内を特別待遇させてきた政治屋や官僚連中の責任追及がなぜかおざなりになっている。そこに、私は鳩山政権の限界を感じる。稲森和夫氏を会長に起用したのは小沢一郎氏を支持した事への謝礼だとすれば、なおさら再建は非常に難しい。
 私は日本航空の再建には、地方路線の分割を考える。たとえば、鈴与グループのフジドリームエアラインズのように、コミュニティー航空会社を立ち上げる動きがあれば支援し、路線を譲渡すればいい。そして、既存の鉄道網と一体で格安チケットとして販売すればそこそこ再建できる。たとえば、山形と名古屋を結ぶ路線は仙台空港に利用客が奪われている。そこで、山形から仙台への交通の便を改善して格安チケットで販売すればいい。ただ闇雲に切り捨てるのではなく、需要回復の計算をたてて再構築することが必要であり、前原誠司国土交通大臣や辻元清美副大臣の姿勢には甚だ疑問に感じざるを得ない。同じ疑問は次に取り上げる東京新聞の記事からもにじむ。

【政治】
仕分け2日目 賃貸住宅は民間移管
2010年4月27日 朝刊

 政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は二十六日午後、独立行政法人(独法)を対象とした事業仕分け二日目の作業を続行。都市再生機構(UR)による賃貸住宅事業に関し、高齢・低所得者向けを除いて民間に移管すべきだと判定した。官民の役割分担を明確化することで、国費が投入される独法のスリム化を図るのが狙いだ。 
 同機構の賃貸住宅は現在、約七十六万戸に約百六十万人が居住する。ただ、高齢・低所得を理由とした家賃減額対象はこのうち八万戸程度にとどまる。
 住宅不足を解消するという当初の目的は薄れたとし、高齢・低所得者向け住宅の供給も政府や地方自治体へ移行する方向で整理を求めた。同機構の市街地再開発など都市再生事業も縮減が必要とし、関連企業が抱える剰余金約四百七億円の国庫返納も要請した。
 研究開発に携わる六法人の二十三事業のうち、物質・材料研究機構の新材料の研究開発に関する三事業は、重複する法人への統廃合を視野に、他法人で実施と判定。事業の廃止は宇宙航空研究開発機構の広報施設(JAXAi)にとどまり、残る事業の必要性は認めた。
 一方、科学技術振興機構については、月一億円の賃料を支払っている都心の七事務所の統廃合を求めた。
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 事業仕分けでURに事業の大幅縮小が言い渡されたが、私には不可解な話である。かねてから問題となっていた天下りなどへのメスは入ったが、UR住宅に住む住民はほとんど置き去りにされている。むしろ、今は派遣切りなど自民党の国家私物化でめちゃくちゃにされた庶民を守る受け皿として積極的に活用すべきだ。民間ではまず、こうしたライフラインは実現し得ないのだ。高級賃貸住宅は縮小すべきだが、一気にやってはいけない。
 RBSの分割は当然である、というのは独占企業の一つであり、ヴァージン・マネーなどの企業が買収することで金融市場は活性化される(ただし、金融商品などギャンブルまがいのサービスはもってのほかである)。だが、URの縮小は住民を無視した暴論である。
 困ったときにパフォーマンスとして事業仕分けをすれば人気は回復するとネオコン連中は思いこんでいるようだが、はっきり言ってばかなものだ。まずは米軍普天間基地やキャンプシュワブを無条件で日本に返還するよう鳩山氏はバラク・オバマに毅然として迫るべきなのであり、日本共産党の志位和夫氏が指摘するように法人税や所得税を値上げして税の公平性を回復すべきであり、ハラスメント罪を制定して厳しく取り締まる、権力犯罪を取り締まる捜査機関の設置、派遣・請負労働者を派遣元及び請負元の正社員に即刻かつ強制的にさせる法律を即刻作るべきなのである。目先のパフォーマンスでは政治はできない。
 鳩山氏や小沢氏は「政治とは生活である」と言っているが、このままの調子では失望感だけが残りかねない。今からでも遅くはない、ハシャいでいるお間抜けなネオコン連中(自民党、みんなの党、たちあがれ日本、新党改革、日本創新党)を黙らせるには日本共産党と建設的なライバル関係を維持しつつ共闘すべきである。

GMとJAL(小野哲)
テーマ:企業・市民
2009-11-13 07:17:11
 今回、日本航空についてコメントする。
 以前私はJALとアメリカのデルタ航空の提携構想を批判した。要するにデルタ航空がJALを乗っ取る計画だ。資本注入は、アメリカ資本による日本乗っ取りを意味する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091110-00000017-jij-biz
アメリカン航空、日航・デルタの提携阻止へ=米当局に申し出も-FT紙など
11月10日6時2分配信 時事通信
*【ニューヨーク時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)などは9日、経営再建中の日本航空 <9205> との提携強化を目指している米アメリカン航空が、日航と世界最大手デルタ航空との提携を阻止する意向を改めて表明したと報じた。米アメリカン航空の親会社AMRのアーピー会長が従業員向けに声明を発表したもようだ。 
最終更新:11月10日6時5分
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 また、JALの企業年金減額や地方路線撤退がリストラというが、抜本的な提案を岩手県がしている。産経新聞の記事を今回参照にする。
http://sankei.jp.msn.com/region/tohoku/iwate/091022/iwt0910220236000-n1.htm
【フォーカス】JAL再建で休止対象の「花巻-中部線」小型機化が存続の鍵 岩手
2009.10.22 02:33
 再建策検討が大詰めを迎えた日本航空(JAL)。東北では唯一、「花巻-中部空港(愛知)」線(2往復)が休止対象になっている。同路線の平成20年度の実績は搭乗率45.1%、年間6億円の赤字と厳しい。岩手県は「機材の小型化で存続を」と訴えるが、苦境のJALから理解を得られるか。先行きは不透明だ。(中川真)
 「自動車などの需要回復で伸びるビジネス路線。中長期的に見れば航空会社のためになるはずだ」
 先月25日の定例会見。休止対象と報道されたJALの花巻-中部線について、達増拓也知事は「収益性の高い優良路線」になりうるとアピールした。
 県内には、金ケ崎町にトヨタ車を組み立てる関東自動車工業があり、部品メーカーも集積しつつある。トヨタの本拠地・名古屋と直結する路線だから、正規料金で行き来する出張客も多いのでは…。
 経済界なども、こうしたイメージで花巻-中部線をみていた。ところが、実態はまったく逆だった。
 JALは今月6日、佐藤学執行役員らが県を訪ね、同路線を来年5月の大型連休後に休止したいと正式に伝えた。
 その席で、JAL側は個人客より運賃単価が低い団体観光客の比重が大きい利用実態や、昨年度の赤字が6億円に達し、今後も搭乗率が伸びないと赤字が10億円台に乗りかねないことなどを説明。「将来の需要増を待つ余裕はない」と率直に語ったという。
 20日朝、盛岡出張のため花巻空港に降り立った愛知県の男性会社員に聞くと、「休止されると仕事に影響する。機内は団体客が目立っていたが…」と複雑な表情で話した。
 最大のネックは機材だ。東北の空港には、14年に統合した旧・日本エアシステム(JAS)から引き継いだ路線が多い。このため、表のように、機齢20年近い「MD(マクドネルダグラス)」の機材が他地域よりも目立つ。
 MDは 150~ 160人乗りの中型機。旧JASが全国のローカル路線に就航させたが、航空需要の減少によって「高燃費で定員過剰」(航空関係者)という悩ましい存在になっている。
 花巻のほか、東北では青森、三沢、山形の各空港も国内線はJAL路線だけ。機材の大きさは路線の存廃と直結する重要な問題だ。
                   ◇
 そこで、岩手県が期待を寄せるのが小型化だ。東京のJAL本社を19日に訪ねた宮舘寿喜副知事は、着陸料の引き下げなどの提案と合わせて、小型機導入を強く求めた。
 ブラジルの最新鋭ジェット機「エンブラエル 170」(76人乗り)など小型機に切り替えれば、搭乗率は一気に上がり、赤字脱却も期待できるからだ。
 小型機化はJAL再建の重要目標でもある。12月には花巻-札幌線(2往復)をMDからエンブラエルなどの小型機に変更し、3往復に増便して利便性を高めるという。
 JALは県に対して、花巻-中部線の小型化も「検討している」と話したが、全国の地方空港が小型機にラブコールを送っており、結論は見えてこない。
 小型化には難点もある。団体客を誘致しにくくなることだ。宮舘副知事は「路線維持が最優先。休止すると簡単に再開できない」と苦渋の選択を強調するが、中高校生の修学旅行への影響も懸念される。県は多客期のMD活用なども合わせて求めているという。
                   ◇
 今回の問題で浮き彫りになったのは、航空業界の潮流と逆行するかにみえる県の空港行政だ。県は大型機就航を目指して滑走路を延長(2500メートル化)するなど、総事業費 370億円(うち国費53億円)をかけて整備を続行中だ。
 ところが、4月に開業したばかりの新ターミナルには、JAL用カウンターしかなく、JAL定期便と外国チャーター便の搭乗手続きが同時にできず、新規航空会社も誘致できないという“欠陥”が表面化した。
 そこで、県は急遽(きゅうきょ)今年度補正予算案にビル増設とカウンター新設に向けた調査費(3000万円)を計上。「後手に回るばかりで戦略がない」(企業経営者)といった批判が高まっている。
 航空業界が激動する今後、東北各県の空港行政も厳しく問われそうだ。
 今、飛行機よりも新幹線が進化しているのだ。フル新幹線ばかりか、ミニ新幹線も進化しており、経済効果もフル企画の新幹線を建設するより、ミニ新幹線に在来線を改造すれば効率的だ。
 経済的効果を軽視し、地元の見栄ばかりを優先した結果、地方は疲弊した。こうなると最後の切り札は移民受け入れ政策しかなくなる(そうなると中国、ロシア、韓国からの移民が多くなるだろう)。GMも地元のメンツばかりに振り回された。それが場合によって許される事もあるが、大半は許されない。始末に悪いことに採算無視、政治主導ばかりがはびこった結果、そこにいびつな経済が生み出されて人々は依存する有様だ。何しろ、経営状態が前々から悪いのにエミレーツ航空並の待遇の良さ。リュウマの独り言というブログでは日本航空の破産を主張している。
 11月1日付けのコメントでは、年間給与でこうだそうだ。
 パイロットだけに限れば、    日本航空1,964万円、
                   スカイマーク  619万円。
 ついでに、キャビンアテンダントは    日本航空676万円、
   ポロシャツで頑張っている    スカイマークは314万円。
  退職金はヒラで推定6000~8000万。
 私はGMと同じ香りを感じる。非正規雇用の労働者からみても贅沢な待遇ではないか。また、競争の観点からも、地方路線を運営する子会社をサッサと売却すべきだろう。旭川ー羽田間一つとっても、北海道エアコミューターに移してジェット機での運行を取りやめたらどうか。
 日本エアコミューターだってさっさと売却すべきだろう。競争がなかったから明らかに過剰な給与を受けていたのではないか。なにもアルバイトのキャビンアテンダントにしろといっているのではない。だが、一般的な常識からしても銀行と同じ高給取りではないか。
 日本トランスオーシャン航空は台湾共和国と日本を唯一結ぶ路線だそうだ。それなら、なぜ日本航空インターナショナル本体が参入しないのか。JALエクスプレス (JEX) 、JALウェイズ (JAZ) 、ジェイエア (J-AIR)とここまで子会社が多いのなら、無理矢理管理職を増やしているのかと思ってしまう。
 一時期、東亜航空、日本国内航空、全日空、日本航空の四社体制があり競争が激しかった。そこで自民党政府は路線や運賃を政府によって調整することで競争を抑制し、国内航空業界を保護育成しようと考えた。そこで東亜航空と日本国内航空は合併して東亜国内航空(後の日本エアシステム)になった。だが、それは同時に会社への政治家の介入を許すきっかけにもなった。そして航空会社の口利きをうけた地方議員などが政府に働きかける代わりに子弟を正社員として送り込んでいたともいう。これは、すなわちジェット機の購入選定でも明らかにある。たとえば過剰な運行予測に基づいてジェット機ばかり購入しているが、無理がある。ロッキード疑惑はア
メリカの日本の貿易黒字減らしの内政干渉と、政治屋どもの利権が合体して生まれた事件なのだ。
 だから三菱重工の開発した小型ジェット機に期待を寄せているようだが、そもそも需要予測が明らかにおかしい。静岡空港だって日本航空は撤退して格安航空のフジドリームエアラインズ(鈴与グループ)が一部引き継いでいる。それとても価格を安くしなければ乗ってくれないのだ。旭川ー羽田間で運行していた全日空は関係の深い北海道国際航空(エアドゥ)に運行を委託した。それほど厳しいのだ。
 そのほかにも会社幹部が株主向けの飛行機券を闇で売りさばいていたなど信じられない不正など、このブログでは明らかにしている。そして、空港建設に関連して政治屋どもはさらに暗躍する。
 日本航空の再建にあたっては、こうした政治屋どもの不正を厳しく暴き、裁き、無責任経営者どもと一緒に刑務所にぶち込む必要がある。日本航空再建問題は、自民党の国家私物化という腐敗を暴く絶好の機会でもある。むろん、民主党も率先して小沢一郎幹事長も自身が日本航空とどう関わったのかを説明すべきだろう。
 そうした膿を抜き出し、労働組合や退職者の理解を得てから(これは彼らも受け入れざるを得ないのだが)、リスクプレミアに釣り合うほどの給与に戻す事。本来、ロッキード疑惑でマスメディアはそこまで暴く機会はあったのに、しなかった。そのころから電通による広告費による支配が始まっていたのだ。
今回参照にさせていただきましたのは以下のサイト・ブログです。
http://ryuma681.blog47.fc2.com/blog-category-15.html
リュウマの独り言

http://www.araki-labo.jp/samayoe004.htm  
ロッキード事件とは?
 これで、ロッキード疑惑についてはある程度説明しています。
 また、市川の英国人外国語スクール教師の殺人事件で関係者が身柄確保となりましたが、このことについては現段階では容疑であり、裁判が始まっていないためくれぐれも焦らないようお願いします。最近、ロス疑惑報道と重なるような報道があいついているため、メディアには慎重な報道を求めたいと思います。

コマーシャルに操られるニュース(小野哲)
テーマ:media
2009-09-21 06:35:01
今回、ある商品の販売自粛についてコメントをさせてもらう。
 だが、この問題は単に企業だけの問題ではない。まずはこのニュースリリースを見ていただきたい。
 
http://www.kao.com/jp/corp/important/20090916_001.html
2009年09月16日 花王株式会社
エコナ関連製品の一時販売自粛について
 この度、『エコナ クッキングオイル』をはじめとするエコナ関連製品の一時販売自粛・出荷停止を行うことといたしましたので、お知らせ申し上げます。
 最近、欧州を中心に、油脂中に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの安全性について議論がなされていることを受け、当社においても、2009年6月中旬に分析を行った結果、『エコナ クッキングオイル』に、グリシドール脂肪酸エステルが含まれていることを確認いたしました。このグリシドール脂肪酸エステルは、油脂の製造工程における一般的な脱臭の過程で副生されるもので、パーム油等の精製植物油にも含まれていることが報告されています。
 このグリシドール脂肪酸エステルについては、現時点までの情報、調査からは、安全性への懸念を明確に示す報告はありません。
 しかし、一部の消費者の皆さま方におかれましては、一部の情報により、このグリシドール脂肪酸エステルの安全性に対する懸念や不安をお持ちの方がおられます。
 当社は、消費者の皆さまにお届けする製品において、「安全性」の確保はもとより、「安心感」をもってご愛用いただけることを事業の基本姿勢としており、また、日頃より、そのための情報の開示にも努めております。こうした姿勢に則り、この度、製品中に含まれるグリシドール脂肪酸エステルを、消費者の皆さまに安心してお使いいただけるレベル(一般食用油と同等レベル)に低減できるまで、当該製品の一時販売自粛・出荷停止を行うことといたしました。
 なお、エコナ関連製品、およびその主成分であるジアシルグリセロールの安全性については、これまで世界的に標準とされる試験法で多くの評価を積み重ね、科学的根拠と客観的な評価に基づき、安全性に問題のないことを確認しております。
 ご愛用の消費者の皆さま方、お取引先、並びにご販売店の方々にはご迷惑をおかけし、誠に申し訳なく心よりお詫び申し上げます。
一時販売自粛・出荷停止を行なう「エコナ関連製品リスト」
<食用油、ドレッシングソース、マヨネーズタイプ>
・エコナ クッキングオイル
・エコナ ヘルシー&ヘルシークッキングオイル
・エコナ クッキングオイル 炒め専用
・エコナ 炒め油
・エコナ 揚げ油
・エコナ ドレッシングソース 和風
・エコナ ドレッシングソース ごま
・エコナ ドレッシングソース イタリアン
・エコナ ドレッシングソース グレープフルーツ
・エコナ ドレッシングソース 胡麻と豆板醤
・エコナ ドレッシングソース ねぎ塩
・エコナ 生たまねぎのおいしさたっぷり ドレッシングソース
・エコナ すりたてごまのおいしさたっぷり ドレッシングソース
・エコナ 国産にんにくのおいしさたっぷり ドレッシングソース
・エコナ マヨネーズタイプ
・エコナ ギフトセット 全29品
<業務用食用油>
・エコナ クッキングオイル 8kg
<ドッグフード>
・ヘルスラボ ヤングアダルト(1~5歳)小粒 1kg
・ヘルスラボ ヤングアダルト(1~5歳)ふつう粒 1kg
・ヘルスラボ ヤングアダルト(1~5歳)小粒 3kg
・ヘルスラボ ヤングアダルト(1~5歳)ふつう粒 3kg
・ヘルスラボ アダルト(6~9歳)小粒 1kg
・ヘルスラボ アダルト(6~9歳)ふつう粒 1kg
・ヘルスラボ アダルト(6~9歳)小粒 3kg
・ヘルスラボ アダルト(6~9歳)ふつう粒 3kg
・ヘルスラボ シニア(10歳~)小粒 1kg
・ヘルスラボ シニア(10歳~)ふつう粒 1kg
・ヘルスラボ シニア(10歳~)小粒 3kg
・ヘルスラボ シニア(10歳~)ふつう粒 3kg
・ヘルスラボ 特別療法食 800g
 これらは全て花王ホームページより引用。
 さて、ここで問題になっているグリシドール脂肪酸エステルとは何か。Wikipedia日本語版で検索をかけたら、体内で発ガン性物質に変わる懸念が指摘されているもので2009年7月に厚生労働省から、この物質がエコナに高濃度で含まれることが報告された。だが、その以前から危険性を指摘してきたメディアがあった。
 筑紫哲也氏や本多勝一氏、佐高信氏らが編集委員を務める週刊金曜日 第579号(2005年10月28日発売)では川村敏久氏による記事で「ちっとも『健康』じゃない 花王『エコナ』に発ガン促進作用の疑いが」というタイトルで報道されている。その際に花王は反論を求められて無視した。その他にも「買ってはいけない」でも取り上げられている。
 問題は全国的とはいえ小さなメディアの週刊金曜日に花王エコナの問題が取り上げられたのに、朝日新聞から読売新聞などのメディア産業が全く取り上げなかったことにある。
 ここで、佐高氏の苦い話をしよう。彼は週刊現代で1992年から人気コラム「今週の異議あり」をもっていた。そこで93年頃にカネボウの名誉会長という伊藤淳二を厳しく批判したら週刊現代での連載を打ち切られたばかりか、週刊東洋経済などにも連載を打ち切るよう圧力をかけられたというのだ。この事を佐高氏は週刊金曜日のコラム風速計で怒りをもって告白している。その他にも総会屋の論壇同友会ホームページでは伊藤のワンマンぶりを示す恐ろしいエピソードがある(趣旨は伊藤が会長を勤めていた日本航空批判だが、逆に言えば伊藤のワンマンぶりが浮き彫りになった記事である)。
 新聞でもこのような話は山ほどある。逆に言えば、植草一秀氏が小泉純一郎の独裁的な手法を批判したことを理由に二度も痴漢とでっち上げられて不当逮捕された際、メディア産業は警察の発表ばかり鵜呑みにした事もいかにメディア産業が権力と一体化して腐敗しているかを物語っている。しかも、広告費なしではやっていられないほどなのだ。だから原子力発電の危険性を指摘した元技術者をまともに取り上げない。もしインターネットがなければ井上静氏の医療過誤訴訟は負けていた確率が高い。つまり、コマーシャルにニュースは操られているのだ。
 メディア産業は政府に情報公開を求めるが、私は彼らにこう皮肉って聞いてみたい。「あなたがたはどれだけ企業広告を受け取っているのですかね」と。覚せい剤の酒井法子などにマイクを向ける暇があるなら、まずは己から噛みつけと言いたくなる。
 因みに週刊金曜日は読者購読料を中心に据えている。他の雑誌が広告費に頼った経営なのに対し、週刊金曜日では広告費に依存していない。それだから花王の問題を取り上げられたのではないかと思う。


足し算程度で経営が出来るか2009(小野哲)
テーマ:企業・市民
2009-09-13 10:14:16
今回はこの二つの記事を取り上げたい。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00162823.html
日本航空、米・デルタ航空と資本・業務提携を検討のほかにエールフランスとも提携検討
経営再建中の日本航空が、アメリカのデルタ航空との資本・業務提携を検討しているほかに、エールフランスとも提携を検討していることが新たにわかった。
デルタ航空との資本提携は、JAL(日本航空)が数百億円規模の第3者割り当て増資を実施し、デルタ航空に割り当てる案が有力で、デルタ航空はJALの筆頭株主になる見通し。
またエールフランスとは、ヨーロッパ向けの不採算路線でコードシェアの拡大などを行うことで交渉しているという。
提携した場合、JALは事業基盤を強化する利点があるが、提携の実現は流動的とみられている。
その理由の1つが、JALは、アメリカン航空などが参加する「ワンワールド」に加盟し、デルタ航空やエールフランスは「スカイチーム」に加盟しているため、JALがデルタ航空などと提携を結び、ワンワールドを脱退する場合、違約金が発生する可能性もあるため。
(09/12 12:32)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090910AT1D0907G09092009.html
パナソニックの三洋電機TOB承認へ 公取委
 公正取引委員会は9日、パナソニックが進める三洋電機のTOB(株式の公開買い付け)を承認する方針を固めた。両社が2次電池分野などで世界有数のシェアを握るため、独占禁止法などに照らして問題がないかを慎重に審査してきた。両社は米国や欧州、中国でも競争法の審査を受けている。日本での承認はTOB実現に弾みをつけそうだ。
 パナソニックと三洋電機は昨年12月、資本・業務提携を発表し、パナソニックが三洋電機を子会社化する方針を示していた。公取委は両社からの説明を聞き、独禁法上の問題はないと判断したとみられる。パナソニックは残り3カ国・地域の承認を得たうえで、TOBを実施する方針だ。(9月10日 07:00)
 パナソニックによる三洋電機TOB(公開株式買い付け)が承認されたと思ったら、日本航空へのアメリカ・デルタ航空の資本参加が交渉されているようだ。
 マズゴミはまたしても足し算程度で事を論じているようだが、そんな程度で事を論じる事は恐ろしい。拡大、生き残りの為にはレイオフも許されるという物騒な事がまかり通っている。デルタ航空と日本航空のアメリカ方面への発着枠は成田で35%とこの時点で独占禁止法に抵触する可能性が高い。それとも、デルタ航空に日本航空の路線をアウトソーシングするなら、米仏企業による日本航空の乗っ取りに等しい。また、航空法にも抵触する可能性がある。
 同じような視点から私はキリンホールデングスとサントリーホールディングスによる経営統合に反対している。生き残るためという美名の元に人権無視が行われるのなら、全く意味はないのだ。経営統合するなら、独占する分野を売却・譲渡してからにして欲しい。サントリーはウイスキーに強いほか、ワインもそこそこ強い。キリンがメルシャンを傘下にしているのはワインの強化であることははっきりしている。これが独占的なガリバー企業を生み出すのは明らかだ。更に世界屈指の酒造メーカー・ディアジオとも提携しているのだから、この経営統合構想は完全な価格を決定できる独占的な企業の誕生を意味する。また、広告費によって彼らに都合の悪い記
事が出にくい可能性がある。
 その動きを止めるために公正取引委員会があるのだが、彼らは吠えない番犬に成り下がった。吠えない番犬など、ペットでしかない。伊勢丹による北海道の百貨店・丸井今井買収も完全に独占禁止法違反である。伊勢丹は東急百貨店と業務提携している上、三越も傘下にしている。その二社が札幌にあるのだから、独占禁止法に抵触していると言わずして何というのか。よって高島屋が買収することが北海道にとっても伊勢丹にとっても丸井今井にとってもよかったのだ。東急百貨店と伊勢丹傘下の三越が合弁で札幌三越を立ち上げて現在の東急百貨店札幌店のあるビルに移るなりしてしまえば伊勢丹は過剰な店舗網を減らせていたのだ。
 法律を運営する際には、法律の原点に絶えず立ち返る必要がある。このことは感情を抜きにして認識すべき事であり、よく考えるべきだ。アメリカでもクライスラーが破産してフィアットに買収されたではないか。体力を維持するためには適度な競争が必要なのだ。独占的なガリバー企業では、日本経済は歪んでしまう。


JALの負の遺産(小野哲)
テーマ:ブログ
2008-08-12 22:46:31
 日本エアシステム(旧東亜国内航空、東急系)と経営統合した日本航空が1985年に群馬県で羽田発伊丹行きの123便の墜落事故を起こしてもう、20年以上がたった。
 だが、空の事故は絶えることがない。新規参入のスカイマークなんかは故障機をそのまま運行させていた上、パイロット確保がままならない状況である。日本航空はそうした中で相変わらず負の遺産を引きずっている。「何かあればお上が助けてくれる」という幻想だ。
 そうした姿勢は甘えになって繋がり、あの事故になったのではないか。しかもビックリすることに労働組合がこの会社は乱立している。そりゃ、一つや二つは分かるが余りに六つじゃビックリマークである。いかに経営陣の労働組合対応策が歪んだものだと分かる。
 お上からの免許を受ける会社ほど歪みやすい。フジテレビジョンはまともな労働組合をつぶすため様々な妨害を今でもやっている。読売新聞グループの腐敗は当然言うまでもないし、オリックスや三井住友フィナンシャルグループの荒っぽい手法は新生銀行の暴走にも繋がっている。JR東日本のマジョリティに犠牲を強いるセレブ優遇策もそうした甘えが生んだ歪みでしかない。
 今日、123便の犠牲者の遺族は一年で最も忘れられない地獄を味わう。その悲しみや苦しみを我々は真っ向から見据えるべきだ。

 日本航空の真の再建には、欠かせないものがある。
 それは安全第一の思想である。だが、このニュースは重大だ。

2011年5月14日(土)「しんぶん赤旗」

日航、リストラで安全トラブル
国交相が検査報告
穀田議員質問

 大畠章宏国土交通相は13日の衆院国土交通委員会で、再建中の日本航空に対する立ち入り検査結果について報告し、「各職員の労務内容の変化に起因すると考えられるトラブルも発生している」と述べ、整理解雇をはじめリストラ人員削減が安全を脅かしていることを認めました。日本共産党の穀田恵二議員への答弁。
 立ち入り検査は、穀田氏が予算委員会(2月17日)で、日本航空で異常な人減らしによって安全が脅かされている実態を告発したことを受けて実施されたものです。
 大畠国交相は、2月23日から3月31日までの間に立ち入り検査を実施したことを報告。「個別の安全上のトラブルについて、その原因分析、評価、再発防止策の徹底等の対応がとられている」としながらも、人員削減による労務環境の悪化で「安全」が脅かされている実態を認め、「日本航空の取り組みを監視し、ひきつづき運航の安全確保に万全を期す」との認識を示しました。
 穀田氏は、整理解雇や成果主義の徹底、賃金・労働条件の切り下げなどの影響で転職する若年層が増えているとして、「実態はより深刻になっている」と指摘しました。

 しかも日航は2010年末に解雇を強行した時点で史上最高の営業利益をあげていた。
 安全に金を出さないで従業員を整理解雇するとは矛盾も甚だしい。稲盛和夫会長も「(解雇した)160名を残すことは不可能ではない」と発言し、今年度も東日本大震災の影響を受けても大幅な黒字であった。そんなやり方は許されるのだろうか。胸に手を当てて考えて欲しい。
 コスト削減はあくまでも現場の創意工夫によって構成されるべきものであり、上からの命令ではいけない。

2012年01月17日
日本航空よ、それでいいと思うのか
 以前、日本航空についてはこのコラムで批判している。

http://tetsuono123.seesaa.net/article/243325140.html

 だが、それを置き去りにして呆れた人事が発動された。
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819696E3E5E29F9B8DE3E5E2E3E0E2E3E08698E2E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

日航次期社長に植木氏 大西氏は会長、グループ戦略課題に
2012/1/17 20:55
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 日本航空は17日、2月に植木義晴専務執行役員(59)が社長に昇格する人事を発表した。会社更生法の適用を申請して19日でちょうど2年。京セラ創業者の稲盛和夫氏(79)を会長に迎え入れ、収益構造の立て直しには一定のめどを付けたが、改革は道半ばだ。今秋に予定している株式再上場に向け、新体制には課題が山積している。

 植木氏は2月に開催する臨時株主総会後の取締役会で社長に就任する。稲盛会長は代表権のない取締役名誉会長に、大西賢社長(56)は代表取締役会長にそれぞれ就く。

 17日に記者会見した稲盛会長は社長交代の狙いについて、「生え抜きによる執行体制が大切」と強調。自身については「あと1年で取締役名誉会長も辞める」と語り、今後は経営者の育成に力を入れる考えを示した。

 2010年1月に更生法の適用を申請した日航は2月、稲盛氏が会長、生え抜きの大西賢氏が社長に就任。12月には企業再生支援機構が出資し、再建が始まった。

 11年3月期は連結営業利益1884億円と過去最高を達成。12年3月期も従来目標の2倍弱を見込む。機構は13年1月までに支援を終える予定で、日航は今年9月にも株式再上場を目指す。

 2期連続の営業黒字が見えてきた日航だが、課題は残されている。好業績は経営破綻時に金融機関が債権放棄した効果が大きく、今後は航空機購入などで債務が増えるとみられる。11年4~9月期の利用率は東日本大震災の影響もあり国際線で前年同期比7ポイント減の68%、国内線はほぼ横ばいの62%にとどまった。「イベントリスクが多く、すぐに業績が悪くなることがある」(稲盛会長)。

 今年3月からは、既存の大手航空よりも3~7割安い低運賃で旅客を運ぶ国内格安航空会社(LCC)が相次いで就航。このうち1社は日航が出資するものの、新規参入組との競争は激化が予想される。

 再建を確実なものにするには、より徹底した収益管理が必要となる。日航は昨年4月、稲盛会長が京セラで導入した部門別採算管理制度を導入したが、日本トランスオーシャン航空(那覇市)などのグループ会社への導入はこれから。

 日航の社員は単体1万3000人に対し、グループは1万9000人にのぼる。本体よりも社員の多いグループには企業理念などの浸透に温度差があるとの指摘もある。

 現在の日航について植木次期社長は17日の会見で「薄日が見えてきた状態」と語った。「安定した巡航飛行に入るキーポイント」と位置付ける株式再上場に向け、構造改革を続ける必要がある。

 うえき・よしはる=75年(昭50年)航空大学校卒、日本航空入社。10年2月、執行役員、同12月、専務執行役員。京都府出身。

日本経済新聞社

 残念だが、この記事には抜け落ちているものがある。
 「恐怖新聞」しんぶん赤旗から引用する。


2011年10月28日(金)「しんぶん赤旗」

“1兆円もうけてから安全語れ”

日航社内教育の異常 穀田氏が国会質問

 経営再建中の日本航空(JAL)が、“1兆円もうけてから安全を語れ”と社内で教育し、安全を軽視している実態が26日の衆院国土交通委員会で明らかになりました。
 日本共産党の穀田恵二議員がとりあげたものです。
 穀田氏は、JAL再建にあたる加藤愼管財人代理が社員に対する教育で、「1兆円の内部留保を築いてから安全について語ってほしい」と発言していることを告発。現場では、「台風を避けると燃料代20万円が余計にかかる。揺れるけれども台風を突っ切って行きます」と言って運航する驚くような事態や、機内販売を増やすためにベルト着用指示を遅らせるケースがあることを示し、「『利益なくして安全なし』とする稲盛和夫会長の経営哲学の弊害が表れている。絶対安全を指導するべきだ」と求めました。
 前田武志国交相は、「指摘のようなことが続くような体質が経営の中にあれば放置するわけにはいかない。適切に監督したい」と述べました。
 また穀田氏は、JALのパイロットと客室乗務員165人が解雇撤回を求めている裁判で、稲盛会長が整理解雇は「経理上必要なかった」とあらためて証言したことをあげ、「解雇は必要でなかったのは明らかだ」と迫りました。
 これに対し前田国交相は、「そういうことでいいのか疑念は持つ」としたうえで、「裁判の結論を待って国交省としての対応を決めたい」と述べました。
 穀田氏の質問には、多くのJAL労働者が傍聴にかけつけました。

加藤愼管財人代理の社内教育での発言(抜粋)
 まずは京セラの内部留保(1兆円)を超えることを目標としてほしい。
 きちんと内部留保して、揺るがないような財務基盤を築いてから安全について語ってほしい。何かというと「安全のために」とか、「社会的使命が」とか言いますけど、これだけ何千億円も人の財産を踏み倒して、そんな会社が安全について語っても残念ながら社会からは受け入れられない。

 恐怖新聞と評したのはあの井上静さんである。
 だが、それを引いたとしてもこの日本航空の常識はずれには驚きだ。さらに、こんなものまで作り出した。「私たちは一人ひとりの意識を変えていくことが必要と考え、JALのサービスや商品に携わる全員がもつべき意識・価値観・考え方として、JALフィロソフィを策定しました。これにより、私たちは同じ価値観をもち、判断および行動をしていくことで、全員が心をひとつにして一体感をもって、お客さまに最高のサービスを提供し、企業価値を高めることで、社会の進歩発展に貢献していくよう全力を尽くしていきます」なる冒頭文から始まり、このようになっている。

 1部 素晴らしい人生を送るために

第1章 成功方程式(人生・仕事の方程式)
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

第2章 正しい考え方をもつ
人間として何が正しいかで判断する 美しい心をもつ
常に謙虚に素直な心で 常に明るく前向きに
小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり 土俵の真ん中で相撲をとる
ものごとをシンプルにとらえる 対極をあわせもつ

第3章 熱意をもって地味な努力を続ける
真面目に一生懸命仕事に打ち込む 地味な努力を積み重ねる
有意注意で仕事にあたる 自ら燃える
パーフェクトを目指す

第4章 能力は必ず進歩する
能力は必ず進歩する

 2部 素晴らしいJALとなるために

第1章 一人ひとりがJAL
一人ひとりがJAL 本音でぶつかれ
率先垂範する 渦の中心になれ
尊い命をお預かりする仕事 感謝の気持ちをもつ
お客さま視点を貫く

第2章 採算意識を高める
売上を最大に、経費を最小に 採算意識を高める
公明正大に利益を追求する 正しい数字をもとに経営を行う

第3章 心をひとつにする
最高のバトンタッチ ベクトルを合わせる
現場主義に徹する 実力主義に徹する

第4章 燃える集団になる
強い持続した願望をもつ 成功するまであきらめない
有言実行でことにあたる 真の勇気をもつ

第5章 常に創造する
昨日よりは今日、今日よりは明日 楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
見えてくるまで考え抜く スピード感をもって決断し行動する
果敢に挑戦する 高い目標をもつ

 それなら、以下の訴訟に対して直ちに原告の要求を受け入れ、無条件で和解して謝罪するのが筋ではないのか。

2011年10月1日(土)「しんぶん赤旗」
日航不当解雇
回避「不可能でない」
証人尋問で稲盛会長 東京地裁

 日本航空にパイロットと客室乗務員の解雇撤回を求める裁判は30日、東京地裁(白石哲裁判長)で客室乗務員原告団に対する第6回口頭弁論を行いました。証人尋問で稲盛和夫日航会長は、165人の整理解雇を回避できたかについて「経理上不可能ではない」と発言し、改めて解雇が不当なものであることが明白となりました。
 稲盛会長は、2月の日本記者クラブ講演で「(解雇した)160名を残すことが経営上不可能でない」と発言しており、「整理解雇の4要件」のひとつ「解雇の必要性」を満たしているのかが、裁判の焦点となっていました。
 法廷で稲盛会長は「(解雇回避が可能なことは)収益からみて、誰が見ても分かる」と証言しました。それでも解雇した理由について、「更生計画では解雇しないといけなかった」と言い訳しました。
 しかし、原告側弁護士からの反対尋問で、更生計画の目標に対して自己資本比率、純資産などの実績が大幅に上回っていることを認めました。人件費削減目標を206億円も超過達成したことを問われ、「希望退職で計画より多く辞めていったからだろう」と、すでに希望退職で十分な人員削減がされていたという認識を示しました。
 解雇を通知した12月9日時点で、日航本体の人員削減目標1500人を退職者が約200人上回っていましたが、稲盛会長は「細かいことは知らなかった」「更生計画上必要だと、管財人に聞いていた」と無責任な発言を繰り返しました。
 日航安全アドバイザリーグループ(柳田邦男座長)の「安全投資は財務状態に左右されてはならない」という提言について、「よく知りません」、航空法103条(「輸送の安全の確保が最も重要である」)を認識しているか問われ、「いま聞かれても、よく分かりません」と、安全無視の姿勢を浮き彫りにしました。原告の島崎浩子さんは、年齢の高い人や病欠歴のある人を解雇対象とする不合理さを証言しました。

 私は限定コラムで会社更生法前にこのようなコラムを書いた。

2009-11-24 08:06:35
迫力不足の日航再建案(小野哲)
テーマ:企業・市民

 日本航空の再建で、企業年金で退職者につき30%減額の提案が行われた。
 このことについては以前私は日航についてのコメントをしたように、企業年金や給与の減額には理解を示す。だが、日航はまだやらねばならないことがある。それは政治家との癒着を表にすべてさらすことだ。今までジャンボ機の購入選定に旧運輸族などの族議員やアメリカ政府が絡んでいたことは明らかだ。そして需要の薄い路線に無理矢理口を出して路線を開いた政治屋にも、その要求にホイホイ従った無責任経営者にも責任はある。彼らへの責任追及はなぜしないのか。
 新自由主義の経済学者達は国からの独立を言う。だがそれは企業の利益についてだけであって、債務については国に丸抱えしてもらうのが彼らの教えのようだ。だが残念だが、そんな無責任なやり方は絶対に受け入れられない。そうしたやり方があったから、マイカルの経営破綻の際の会社更正法か民事再生法かというくだらない争いになったではないか。最後は様々などうりに従って会社更生法になった。
 日航の経営再建には巨大化した組織のスリム化だけではなく、過去の無責任経営者や介入した政治屋どもへの責任追及がワンセットにならなければならない。小型ジェット機への切り替えは私も賛成しているが、購入するだけの資金があるのかを考えてほしい。地方路線については北海道については北海道との合弁会社・北海道エアコミューターに移したらどうか(無論担当スタッフも)。それが誘致した地方にも責任感を担わせるのだ。
 山形一つとっても、山形新幹線の開業で飛行機の存在意義は薄れている。恐らく、今後政府は土地の確保や効果対費用の観点からフル企画の新幹線ではなくミニ新幹線の建設に舵を切る可能性が高い。そうなると、飛行機への需要は薄れていく。静岡空港については最初から無駄だったし、茨城空港について言えば韓国大手のアシアナ航空の就航は決まったが日本国内の航空会社の就航はない。そこに絡む道路開発に政治家が介入するなどの話がある。
 因みに新自由主義者の一人である大前研一は月刊サピオで日航をJR東日本に買収させろといっているようだ。それも一つの考え方なのだが、そうであってもなくても日航にたまった膿みをどれだけ抜き取るかが、今後の経営再建の最大の鍵である。前原国土交通大臣にはその点をふまえて、日航再建に取り組んでいただきたいと思う。

 そこで、私からは改めてJALに要求する。
1.整理解雇被害者に謝罪した上、彼らの要求を無条件で受け入れる。不可能な場合は新たに新「日本エアシステム」(格安航空会社として復活させる)をKDDI、イオン、ソフトバンクなど親密な取引先の出資により立ち上げ、彼らを正規雇用として受け入れる(ただし、関西空港や千歳空港ではなく、大阪空港や丘珠空港などの地方空港に拠点を置き、それだけ格安運賃で運行する)。日本エアシステムは安全第一と公平な競争の環境の下で成長させていくので、日本航空傘下にはおかない。
2.過去の経営陣の経営責任を厳しく追及し、1兆5279億円の負債および3000億円の公的資金については彼らの私財を提供させる。むろん、彼らに不当な口利きを行い、航空便の就航や従業員の就職斡旋、ジャンボ機の就航にかかわった政治家や官僚もこの中に入れることは言うまでもない。
3.日本オーシャントランス航空については沖縄県や財界、市民に売却し沖縄県を中心にしたハブ空港構想の下で経営を活性化させる。活性化後、JALは羽田-那覇間のみの開設を認める。

 これらの条件を満たさない限り、本当の日本航空の再建はないのである。

2012年01月31日
企業買収で果たして正解なのか
 今回は買収についてのコラムになる。

 何の為の買収なのか(小野哲)
テーマ:企業・市民
2011-10-09 19:43:20
マルナカ、イオン傘下に
 流通大手のイオン(千葉市)は5日、中四国の食品スーパーのグループ、山陽マルナカ(岡山市南区)とマルナカ(高松市)を11月に買収すると発表した。買収額は計約450億円。イオン傘下のマックスバリュ西日本(兵庫県姫路市)は今月、広島市へ本社移転を予定しており、中国地方の食品スーパーでイオンの存在感が高まる。
 9月末時点で山陽マルナカは広島、岡山県などに76店、マルナカは香川、愛媛県などに138店を展開。イオンは今回の買収で中四国を中心とした計214店を傘下に収め、全国の中では比較的、食品スーパーの営業基盤が弱かった中国地方での事業を強化する。
 イオンは11月25日付で山陽マルナカの全株式と、マルナカの株式の95%を、両社の持ち株会社や経営者から取得する。両社のスーパーの店名は現在のまま残す。両社の社長は、引き続き中山明憲社長が務める。
 イオンと両社は昨年8月、商品の共同調達や物流の効率化などの包括業務提携を締結したが、提携が具体化しなかったという。イオンと両社は昨年末から協議を進め、先月下旬に資本提携の契約を結んだ。マルナカは「人口減少を見据え、生き残るために判断した」としている。
 イオンは中国地方で大型ショッピングセンターを相次ぎ出店しているが、食品スーパーでも一気に存在感が高まる。イオンは「中四国でのスーパーの店舗網をより強化していきたい」としている。
中国新聞 2011年10月6日
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201110060161.html

マルナカ:イオンの子会社に 中山社長「今よりプラス」 /香川
(毎日新聞)
 ◇「店舗、従業員削減せず」
 大手スーパー、イオン(本社・千葉市)の子会社となることが決まったマルナカ(同・高松市)と山陽マルナカ(同・岡山市)の中山明憲社長(53)は5日、高松市内で開いた記者会見で、狙いについて、「イオンの力を導入した方が今よりプラスになる。厳しい市場の中で互いの強さを引き出したい」と強調した。一方で小売業が置かれた厳しい状況についても言及。子会社化が業界生き残りのための方策であることもにじませた。【浜名晋一、吉田卓矢、馬渕晶子】
 中山社長によると、マルナカとイオンは昨年8月、商品調達などでの協力を定めた業務提携を締結。子会社化については、昨年12月ごろから協議を始めたという。背景には「資本を含めた提携でなければ、メリットが出せない」とのマルナカ側の思惑があったという。
 中山社長はイオンの傘下に入った後も、マルナカ店舗の閉鎖や従業員の削減などは行わないと説明。マルナカ店舗の客にとっても、イオンのプライベートブランド商品を購入できたり、電子マネーを利用できる利点があると強調した。
 また、今後の検討課題として、物流の共通化を進める他、マルナカが得意分野とする生鮮食料品を中四国のイオン店舗に調達することなどを挙げた。
 マルナカが現在、「成長市場」として進めている関西への出店に対しては、「さらに出店できるチャンスが増える」と期待を示した。
 マルナカは四国4県などに138店舗を展開し、今年3月期の売り上げは2068億円。山陽マルナカは岡山県を中心に76店舗で、同期の売り上げは1257億円。
 ◇「それぞれ特徴残してほしい」
 一方、マルナカの客からは、驚きの声も上がった。
 マルナカ香西店(高松市香西本町)に買い物に来ていた同市香西東町の無職、Aさん(62)、Bさん(57)夫婦は「買う品物によって、使い分けているので、それぞれの特徴は残してほしい」。同市鬼無町の主婦、Cさん(37)は「これによって、商品が安くなればいいが」などと話していた。
http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20111006ddlk37020603000c.html

 突然の買収でマルナカは混乱しているようだ。
 今回は四国新聞より記事を引用させていただく。そして、考えていただきたい。『この買収で規模を追求することより、顧客満足度をどれだけ追求するかが小売の常道なのではないか』と。

従業員/寝耳に水 衝撃隠せず ブランド力飛躍の契機に
2011/10/06 09:23
 「突然の話で頭の中が真っ白」―。イオンの子会社化のニュースに、香川県内のマルナカ各店で働く社員らにも衝撃が走った。
 子会社化について、従業員への事前連絡はまったくなかったという。高松市内の男性店長は「夕方、携帯電話のニュースで知った。まさに寝耳に水。まだ知らない従業員もたくさんいる」とショックを隠さない。
 「イオンとの業務提携以降も、仕事内容に何の変化もなかった。提携を実感しないまま、子会社になるなんて」とはパート従業員の女性(59)。「勤務態勢や仕事のやり方が変わったりすると困る」と不安を口にした。
 その傍らで、ある女性社員は「全国ブランドになることは店にとってはプラス。今までにないサービスができるようになれば、お客さんにも喜んでもらえる」とイオンのブランド力に期待を寄せた。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20111006000099

取引業者/経営に新風 合理化心配
2011/10/06 09:23
 イオンのマルナカ買収のニュースを受け、マルナカと取引関係にある県内の企業からは「若い社長の力とイオンの先進的な流通システムでいい方向に向かってくれれば」と好意的な声の一方で、「今後、取引を切られるのでは」などと不安がる見方も広がった。
 9月末の社長交代に続く、マルナカの経営の大転換に、高松市内のある卸売業者は「立て続けに大きなことが起きて戸惑っているのが本音」としながらも、「経営に新しい風が吹いてくれれば」と前向きに受け止めた。
 しかし、マルナカとイオンが将来、仕入れを一本化することへの懸念の声も。マルナカとの取引が売り上げの半分を占める高松市内の別の卸売業者は「コストを考えれば、1、2年先にはイオンルートでの仕入れになるはず。重なる部分は切られると覚悟しなければ」と打ち明けた。観音寺市内の別の卸売業者も「イオンはプライベートブランド商品が売り。マルナカにもイオンの商品が並ぶんじゃないのか」とため息交じりに話した。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20111006000101

 残念ながら、卸売業者の懸念は当たっている。
 マックスバリュ北海道による王子サービスセンター(苫小牧市)のストア事業引き受けで、どれだけの業者がマックスバリュ北海道から切られたのか。以前、地方百貨店を考えるシリーズで私は取り上げたが、この悲劇はマルナカで繰り返される。
 そうしたコスト削減に対応が出来るようフォローしてこそ、イオンは本当の意味で一流企業になれる。場合によっては合併の斡旋もするべきだ。安さばかりを追求するのではなく、地域密着の観点からも、地元企業と連携を深める必要がある。
 そのことについてはじっくりと見届けていこうと思う。

 だが、買収とても前向きなものもある。

脅迫論は通用しない(小野哲)
テーマ:企業・市民
2011-07-14 07:37:07
http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20110629ddlk35020411000c.html
トクヤマ:社長「安定電力に原発必要」 国際競争力の低下懸念 /山口
 周南市を拠点とする総合化学メーカーのトクヤマの幸後(こうご)和寿社長は28日、同市御影町の同社徳山製造所で会見した。福島原発の事故を受け、全国で原発停止が相次いでいることについて「国内の電力バランスを考えると、原発の再稼働は必要」と述べ、原発を含めた安定したエネルギー供給の重要性を強調した。
 同社は石炭を燃料にした火力発電所で、自社工場で使う電力をほぼ100%自家発電している。幸後社長は「節電や計画停電による減産は大きい。原発が全部止まれば国内の生産活動は止まってしまう」と強調した。また「原発が止まって化石燃料の価格が上がれば、日本の国際競争力は下がってしまう。一般論として生産拠点を海外に移さなければならない」と述べ、原発停止による国内産業の空洞化に懸念を示した。
 政府に対しては「日本の電力供給をどうするのか、ぶれないエネルギー政策を示してほしい」と注文をつけた。【遠藤雅彦】
〔山口東版〕
毎日新聞 2011年6月29日 地方版

 原発をやめると、財界は海外に工場を移転するとほざいているらしい。
 結構だ、それなら、我々からは以下の提案をしようじゃないか。呆れた珍説は我々には通用しない。これを機会にトクヤマにはガスタービン発電への切替をお勧めする。ガスは中東から当面の間輸入をお勧めしたい。
 逆にいえば、石炭火力発電を売電できるのだから、「ソフトバンクだけじゃなく俺達にも電力事業に参入させろゴラァ」と言えばいい。そういう前向きな貪欲な発想がないのに私は驚きだ。「ボクにはできっこなーい」と尻込みするガキを連想させる。地元新聞によると精一杯らしいが、まだまだ改善策はある。

 1 海外へ工場を移転するなら、従業員に無償で工場と設備、関連特許を譲渡し、従業員と合弁で販売会社も立ち上げてもらう。
 これらでの雇用は正規雇用でなければならない。それだけやれば、それだけ法人税を安くすればいい。

 2 合併・買収により休眠特許になった特許を国が買い取り、従業員に無償で貸し付ける。そうするとベンチャー企業の誕生に繋がる。時限ではあるがファブレス(製造拠点なし)企業を認める。その場合は複数企業に貸し付ける(倒産時のリスクヘッジからで、バイデザインなどのケースから学び取るべき教訓はそこにある)。

 3 中堅・中小企業の合併を政府が斡旋し、それだけ正規雇用に結び付ける。もしくは、ファブレス企業と製造拠点を持っている中小企業の経営統合を支援する。

 4 マイクロ水力発電、波力発電への中小企業の参入を強化し、太陽熱発電(給湯器を改良し、発電設備にもする)を独自に改良させて、原発からの脱却を2年で進める。また、風力発電設備、太陽熱発電設備を1世帯10万円で購入できるまでコスト削減を推し進める。

 5 大企業には環境上の規制を強化する。海外移転した場合は更に環境負荷に応じて炭素税をかけて、輸入しにくいようにする(原発による電力で製造した場合は石油と同等にすること)。逆にヒューレットパッカードのように日本に海外企業が製造拠点を立ち上げた場合は正規雇用に応じてそれだけ法人税を安くする。

 6 大学ベンチャー、従業員ベンチャー企業に信用組合・地銀が融資する場合、身元を保障出来れば政府も日本政策投資銀行を通じて支援を行う。大学の特許を地元中小企業が使った場合も同等の優遇措置を行う。

 7 化学産業への中小企業の参入を推進し、大企業は撤退した場合は撤退後10年間は企業買収も含めて再参入を認めない(合併した場合は相手に有利な条件を受け入れる)。ただし中小企業への製造面での支援なら認める(経営統合により重複した部門を売却する場合は中小企業のみとする)。

 8 ファブレス企業には一定の期間のみ支援を行い、自社雇用による製造拠点を自前で確保した場合は支援を継続するが、しなかった場合は打ち切る。あくまでもファブレス企業は時限的なものでなければならない。

 9 送電ネットワークの電力会社からの分離・国有化が条件になるが、地域電力会社(県地域)として、中小企業に参入を促す。主に風力・波力・太陽熱・マイクロ水力になるかと思われるが、正規雇用と掛け合わせて法人税を減免する(ただし、大企業の資本参加は規制する)。

 宮城県多賀城市にあるソニー事業所の撤退で、私から提案をする。
 ソニーと提携しているサムスンの日本法人に液晶テレビ製造拠点を立ち上げてもらい、正規雇用を維持させるのである。単なる雇用にしてはいけない。地元の中小企業とも日本サムスンには合弁で製造拠点運営会社を立ち上げてもらい、日本人向けの商品を送り出せばいい。
 そうした前向きな提案と雇用闘争を掛け合わせることで、ソニーを追い詰める事も一つの知恵である。


 また、千葉県市川市で英会話語学講師が殺された事件で被告人に無期懲役が求刑されたが、検察の矛盾点がボロボロ明らかにされており、弁護サイドが圧倒的に有利な情勢になってきた。
 裁判員の方々には事実のみに基づき、推定無罪の原則と裁判の本来の目的を噛み締めながら、フェアな判決を出されるよう、この場で勧告する。絶対に感情に振り回されないよう、強く求める。遺族の法廷での態度は糾弾されるべき卑劣なものだった。愛娘の魂を侮辱しているその行為には、激しい憤りを覚えた。法廷侮辱罪あり、お涙頂戴の三流意見陳述と見苦しく、私には失望感しか残らなかった。
 メディアには、遺族の記者会見は絶対に参加しないよう警告する。裁判の意味を真摯に考え、行動してもらいたい。

 これが一般的常識である(小野哲)
テーマ:ブログ
2010-10-19 00:55:59
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1010140047/

ベイ買収で県知事が住生活G会長の発言批判
「企業宣伝の論理は一時代前の感覚」

2010年10月14日 神奈川新聞社
 松沢成文知事は14日の会見で、横浜ベイスターズの買収交渉を進めている住生活グループの潮田洋一郎会長の発言について、「自分の会社の宣伝さえできればいいという論理で球団を買おうとしているのには、大きな違和感を覚える」と述べ、厳しく批判した。
 知事は「新聞のインタビュー記事しか読んでいないので誤解があったら大変失礼」と前置き。その上で、ブランドの知名度向上のための通常の宣伝広告費と、球団名を使った場合の比較などをした会長発言に触れ、「一時代前のプロ野球の感覚。企業宣伝のためにプロ野球を使うやり方では、プロ野球自体が発展していかない」と語った。
 現在はJリーグのような地域性重視がプロスポーツに求められているとし、「市民、県民と一緒になり地域活性化につながるチームを作りたい、だから経営したいという理念がまったく感じられない」と指弾。
 本拠地について「制約はない」と述べた発言には、「ぜひ横浜にベイが残ってほしい。ただ、地域なんかどこでもいい、自分たちの企業の名前が売れればいいという言い方だけだと、本当に長続きするのかという疑問がある」と語った。

 良く言ってくれた。
 私は松沢を嫌っているが、この発言には同調する。そもそも、横浜ベイスターズは地域密着の歴史と言ってもいい。マルハ(現マルハニチログループ)が前身の横浜大洋ホエールズを横浜ベイスターズにして、企業スポーツから地域密着のスポーツクラブに転換したから、横浜市民の支持を得られたわけだ。
 そうした理念を無視して住生活グループのブランドであるリシクルのアピールに横浜ベイスターズを使おうというのはおかしい。企業の論理だけでスポーツクラブを持つ考えは明らかに間違っている。それで失敗したのが東京ベルデーでありアビスパ福岡であり、ジェフ千葉ではないか。地域でスポーツクラブを支える形が、誰からも愛されるスポーツの姿であり、住生活グループの論理は明らかな過ちである。
 そんな住生活グループを悪名高いナベツネが歓迎していることから、以下に日本の『プロ野球』がお粗末なのかが分かるだろう。それなら、廃部になる実業団野球部を譲り受けてそこがリシクル野球部と名乗ればいい。
 もしこのままの形で決着するなら、私は現ベイスターズ球団に以下の要求を行う。

1 読売新聞社の最悪の独裁者である渡邉恒雄に現在就任している全ての職務から辞職するよう要求すること。
2 みんなの党、日本創新党、新党改革、自民党、民主党ネオコン・ネオリベ一派を新たなプロ野球コミッショナー事務局にまねきいれ、現在のメンバーは更迭すること。
3 リシクルなどと企業名を入れるなら、横浜ベイスターズの名称を横浜市民が今後立ち上げる可能性がある市民球団に無償で譲渡し、設立などに無償・無条件に協力すること。
4 仙台にある草野球チーム仙台フェニックスをプロ野球の新たなエクスパンションチームにし、下部組織として独立リーグと連携、最下位のチームは下部組織と入れ替え、5位は下部組織リーグ2位と入替戦を行う。そうすることで楽天が『新規参入』した時のオリックス、読売新聞社による談合に厳しい制裁を加えられる。
5 今後3年以内に各チームから企業名を取り除くことを提案する。
6 地域の少年野球チームをユースチームとして受け入れ、育成型チームに転換する。なお、読売新聞社所有のチームについては所有を10年間禁止する。
7 メディアグループによるプロチームの所有を2年以内に禁止する。

 今回の提案はあくまでも一案にすぎない。
 しかし、地域にねざした球団こそが地域の象徴である。イングランドのプレミアリーグでは名門のリバプールというチームのオーナーが代わった。このチームはアメリカ人の共同オーナーが所有していたが経営不振になり売却となったのだが、オーナーの意向に添わない買収先だった。
 それでも、サポーターが受け入れたのは地域密着だった。このリバプールの例えからも住生活グループは教訓が得られる筈だ。もし分からないなら、潮田の頭はかなりボケているのだろう。

 企業買収が歓迎される場合は、地域に愚直に密着しているかにかかっている。
 たとえどんなに強くても、地域を無視したら自滅する。

想いを受け継ぐ者達へ(小野哲)
テーマ:スポーツ
2011-08-11 06:22:39
栗原放心 目真っ赤「長野まで行きたい」
http://www.nikkansports.com/ajaxlib/root/soccer/news/p-sc-tp0-20110803-814722.html
 サッカー元日本代表でJFL(日本フットボールリーグ)松本山雅所属のDF松田直樹選手(34)が2日午前、急性心筋梗塞のため、長野県松本市内のグラウンドで練習中に突然倒れ、同市内の病院に緊急搬送された。搬送時には意識がなく、心肺停止状態だったという。集中治療室(ICU)で人工心肺装置を使って血流を維持し、微弱ながら心臓の鼓動は戻ったが、同日夜に会見した担当医は「極めて厳しい状況」と説明した。
 今すぐ長野に飛んでいきたい…。日本代表のDF栗原勇蔵選手(27=横浜Fマリノス所属)が、兄貴分の松田選手が心肺停止で救急搬送されたことに胸を痛めた。2日は日本代表候補の札幌合宿に参加。症状を気にしながら約2時間の練習を黙々とこなした。目をまっ赤に腫らして「行けるのなら、長野まで行きたい」と悲痛な叫び。松田選手の背中を追い続け、日本代表をつかんだ男は、遠い北海道の地から回復を祈った。
 目を真っ赤に腫らし、栗原選手は放心状態だった。約2時間の長い、長い、練習が終わるとすぐにロッカールームに戻って携帯電話で兄貴分の容体を確かめた。自分にできることは、それしかなかった。ただ回復を祈るだけ。そして一語、一語を絞り出すように、松田選手への言葉をつないでいった。
 「行けるのであれば、長野まで行きたい。想像ができない。詳しいことは分からないし、どういう状態なのかも…。あまり良くなさそうだから、すごい気になってた。直接、連絡することもできないし。祈るしか、それしかないと思う」
 本心は練習どころではなかった。それでもプロとして、日本代表として、目の前の仕事に集中しなければいけなかった。それこそが、松田選手が教えてくれたことだから-。横浜ユースから昇格した02年、W杯日韓大会に出場した日本の中心に松田選手がいた。栗原選手にとって日本代表への憧れは、松田選手への憧れだった。クラブの練習では、数え切れないほど叱られた。そして、叱られた後には決まって食事に連れて行ってくれた。怖い兄貴は、どこまでも優しかった。
 「サッカーをやっている時は頭を切り替えて…。でも練習が終わったら、すぐ気になって、それで確認したんだけど。何も分からないから…。(代表から)帰ったら、長野に行く」
 どんなに胸が痛んでも、今は代表に専念していくしかない。ちょうど1カ月後には、14年W杯ブラジル大会へと続く予選が始まる。兄貴が元気になった時、W杯予選で必死に戦う姿を見てもらいたいから。【益子浩一】
 [2011年8月3日9時8分 日刊スポーツ紙面から 一部、記事に加筆]


 栗原選手が敬愛してやまなかったその松田直樹氏が、8月4日に搬送先の病院で家族に看取られながらご逝去された。
 松田氏の冥福を祈る。ネット掲示板ではお悔やみの言葉であふれているようだが、やるべきことはある。まず、地方クラブの資金面での支援である。J2サガン鳥栖の場合、旧鳥栖フューチャーズの悪いイメージと、無責任経営者の為にトラックの免許を取るしかないまで選手達が混乱したが、松本育夫氏という、情熱あふれる監督が来た事で変わっていった。この数年にはJ1昇格は出来ると思う。
 だが、現実を見るとそんなに甘くはない。まず、誰でもボールがあればスポーツが出来るような環境が必要である(解決策とは地域密着クラブの導入であり、東京ヴェルディの盛岡市・岩手県移転は経営陣やサポーターの反対を押し切ってでも絶対に実現させるべきだ)。
 レンホーはそうした意味でも無能だった。松田氏の無念など、このパフォーマンスお姉ちゃんには理解できまい。選挙民はこの破廉恥女に今すぐ辞職を迫るべきだ(この女がやめても、全然問題はない。レンホーよりもはるかに実力派である日本共産党所属の正統参議院議員である小池晃氏が控えているからだ)。
 女子ワールドカップで優勝したことで盛り上がっているなでしこブームもバブルのようにすぐに萎む可能性があり、時間をかけた育成路線に徹するべきだ。幸いにして、セレッソ大阪がなでしこリーグに参戦するそうだ。
 まだまだある。今回の東日本大震災で被災したソニーだが、工場を閉鎖しようと企み、批判をうけたら何とフィリピンに職を斡旋しようとオフザケばかりしている。そのソニー経営陣の給料は会長とかというストリンガー君など2億円というのだから、ありえない。こんな馬鹿に、高額の給料とはまさしく泥棒に追い銭じゃないかと言いたくなる(普通なら、経営陣の給料を年収500万円に下げてでも正規雇用を守るのがルールである)。
 負担できる人にはそれに見合うだけの負担をすべきなのは、政治の仕事だがジミントーはそれを放棄した。そして、ロベスピエール岡田、トイプードル前原ら無能なミンシュトーネオコン一派も同じ失態を犯した。松田氏の魂を引き継ぐなら、その失態を繰り返さない強い決心と覚悟も引き継いで欲しい。
 その他にネットのマナーの悪さには呆れた。松田氏のプライバシーに関する書き込みが多発して、離婚だのでギャアスカ騒いでいたらしいが、そんな事をするから、ビックブラザーに情報統制を正当化されてしまうのだ。不快感を通り越して気持ちが悪くなった。我が盟友ならどんな表情をするだろうか。そんな書き込みをやらかした輩どもは遺族に直ちに謝罪し、損害賠償しろと私は怒鳴りたい。松田氏の魂を引き裂いたばかりか、家族まで巻き込むとは以っての外だ。
 我々は2ちゃんねる対策や荒らし投稿には厳罰で対応してきた。それは、ネットにもルールがある事を訴えてきた我々にしては当然だ。もし、こんな状況が悪化すれば我々は厳しい決断も辞さない。それほどの強い危機感を我々は携えている。あのスパイダーマンでピーター・パーカーですらも『大いなる自由には大いなる責任が伴う』と語っている。
 その言葉の重みを弁えない輩に我々の想いは理解できまい。

 企業買収にあるべきは人、そして地域、顧客である。
 それらを無視するとろくなことはない。あのアルテ高崎がつぶれた時にJFLで別の受け皿を立ち上げようとしたが盛り上がりにかけていたではないか。同じことは小売業でも言えるし、ボジョレーヌーボーのペットボトル瓶規制の動きにもあった。

価値観、そして地域の為に経済ができること(小野哲)
テーマ:企業・市民
2009-11-22 19:18:54
この前、2009年のボジョレーヌーヴォーが解禁された。
 今回はこの事を突破口にして一つの議論をおこす。これはものの価値観と地域が関わってくる議論である。西友(ウォルマート傘下)がペットボトル750mlにしたボジョレーヌーヴォーを890円で販売するとした後、同じような商品をドンキホーテが880円で販売するとした直後に748円に値下げした。
 このような価格競争は果たしていいのだろうか。ドンキホーテの労働環境は極めて劣悪で、ネットでは告発が相次いでいるのだ。しかも、ドンキホーテは法令違反も利益の為なら辞さない。千葉県の自称知事の森田健作に賄賂を贈っていたことなどは序の口で、時間外取引を悪用してオリジン東秀の乗っ取りをおこない、イオンに奪取される、また名古屋の名門百貨店の丸栄に投資目的で株式を買い集めるなどしている。
 まず最初に話すが買収は何も悪いことではない。だが、あくまでも置くべきは地域へどんな貢献をドンキホーテがするかなのだ。その中で人権を踏みにじるような商いなら、それはデフレ経済へのアクセルを踏み続けるに等しいことなのだ。アルバイトの待遇なのに、これはどう考えても正社員並みに働いている労働者にはそれに見合った雇用をするのが当然なのだ。
 ドンキホーテはそうした努力をしないで今までただ突っ走るだけ突っ走ってきた。だが、東証一部に上場した以上それに見合う品格が要求される。その事も分からないのなら、私は断固として批判の鉄槌を下す。
 次は西日本新聞の記事を引用する。
 
ボジョレのペットボトルはノン 伝統壊すと仏統制委
2009年11月19日 20:10 カテゴリー:経済
 19日に解禁されたフランス産新酒ワイン「ボジョレ・ヌーボー」を管理する統制委員会のダニエル・ビュリア会長は同日、都内で記者会見し、日本でペットボトル入りのヌーボーが販売されたことについて「伝統やイメージを重んじる観点から反対だ。委員会として禁止するつもりだ」と述べた。
 会長によると、統制委が定めた基準を満たさなければ「ボジョレ」と名乗ることができない。現在は使用に関する基準はないが、会長は「来春までには禁止を決定したい」として新たな基準を設ける意向を示しており、ペットボトル入りのボジョレは今年限りとなる可能性も出てきた。
 フランスには農産物の原産地と品質を国が保証する「原産地統制名称(AOC)」という制度があり、ビュリア氏が会長を務める統制委はボジョレのAOCを管理。会長は「(ペットボトルの採用を)知ったのが夏だったため、対処する時間がなかった。ペットボトルでは長期間、ワインの質も保てないはずだ」と語った。
 今年初めてペットボトル使用に踏み切ったワイン大手のうち、メルシャンは「採用したボトルはガラス瓶と同じようにワインの品質を保つことができる」としている。
 ペットボトルは通常の瓶より軽いため輸送コストが下がり、商品価格を抑えるメリットがあるとされる。
(C)共同通信社・西日本新聞社

 はっきり言おう。この種の発言は極めて独善的な暴言であるということを私はビュリアに申し上げる。
 ペットボトルをボジョレーヌーヴォーの採用に用いるのはまだましな方だ。ビュリアは九州大手のディスカウントストアであるMrMaxを見て欲しい。そこでは紙に入ったスペイン製のワイン1.4lが販売されている。そうした現実を見て、劣化するとは言えまい。
 価格の主導権を要するに確保したい為の暴言だというのが私の見解だ。だが、そんなことをすればするほどボジョレーヌーヴォーの価値は低下する。統制委員会は環境問題に相応しい対応を取って欲しい(ペットボトルよりは紙の採用を働きかけるなど)。伝統にこだわった結果三越がダイエーに追い抜かされ、伊勢丹の軍門に下ったことから読み取れる教訓はある。
 小売業の競争の激化は、地域にあった小さな商店の滅亡、そしてコミュニティに根付いていたストアの撤退を招く。以前私は埼玉県日高市にあった東急ストアが撤退した結果、住民が命がけで山道を登って近くにあるマミーマート(住友商事系列)に買い物に行かねばならなくなったことをコラムで書いた。その後その跡地の一角に医院ができたそうだが、住民の望んでいる小売店はまだ来ていない。ドンキホーテやイオンリテール、ヨークマート(セブンアンドアイグループ)、西友はこの事をどう思うのか。競争社会が過剰に進行した結果のこの闇への責任を取らないのなら、地域をなめているとしか言いようがない。
 また、ウォルマートはコスト削減の為に取引先に細かいまでの要求を行う。アメリカのLRネルソンという、スプリンクラー大手の会社がある。その会社にウォルマートはあろうが事か、取引の中止をちらつかせながら共産中国に工場を移転させるよう迫ったのだ。ネルソンはやむなくその要求をのみ、アメリカの工場を閉鎖せざるを得なかった。その従業員は当然低賃金の会社、ウォルマートなどに回らざるを得なくなった。
 これが適正水準のコスト削減なのだろうか。人権を踏みにじりコスト削減を行うのなら、それこそがデフレへのアクセルを踏み続けているに等しい。その結果、貧富の差は激しくなり、貧困層は犯罪に走る。以前私が指摘した児童ポルノは典型的な貧困層による犯罪である。いや、罪を自覚している方だけまだましな方なのかもしれない。それが違法薬物や闇金融、マフィア社会が絡んできたらそれこそ、取り返しのつかないことになる。自民党はそうした格差拡大に手を貸した大罪がある。
 北海道でも流通業の競争は激しい。イオンが地元大手のポスフールを買収してイオン北海道に社名変更した他、北海道最大手のアークスは東急ストア子会社の札幌東急ストアを買収して東光ストアに社名変更した。コープさっぽろも生活協同組合の枠を超えた買収戦略に踏み出した。ビッグ3の競争の影で、ついて行けなくなった業者の衰退に拍車がかかる結果になる。
 デフレ経済の典型的な結果は100円ショップ、いやそれ以上に安くするディープディスカウントストアの出現である。関東で言えば、ジェーソン、ロジャーズ、トライアルカンパニーである。ジェーソンではDVD-Rが1枚60円もかからない(ダイソーでも105円かかる)。そうしたストアで働く人達の労働環境は極めて劣悪である。売り上げ至上主義はそこでまかり通っておりクレーム対応は会社としても取り組みが下手であることは言うまでもない。
 売り上げばかりに目が行く経営ではなく、地域に根ざした経営こそが企業経営の基盤だ。それも10年20年先の繁栄に向けた施策を出すことが会社の経営者の仕事であり、それで失敗した場合経営者は大きな責任を担う。それが日本では全く無視されてきた。だが、私は無視することはしない。丸井今井を破綻に追いやった無責任経営者をことあるごとに滅多切りにしているのも、そうした無責任社会に我々がきっぱり拒絶する意向を示す必要があるからだ。

 今回は、以上の記事で締める。

2012年05月17日
規制緩和という名の暴走 大型店の場合
 今回は大型店に関して取り上げる。

http://www.kokuminrengo.net/old/2004/200402-small-ion.htm
自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年2月号
特集 商店街と大型店出店問題
ジャスコが町を破壊する!

 市議会でジャスコ出店反対の請願を採択

苫小牧市商店街振興組合連合会理事長 鎌田 國孝

 ジャスコを核店舗とするイオンのショッピングセンター(SC)出店の動きを知ったのは昨年二月。苫小牧の中心街から約四キロの王子製紙の十四・五万平米の土地をイオンが借りてSCにするという計画です。店舗面積は四万平米、年間売上予想が二百億円。すでにある長崎屋、イトーヨーカ堂、ダイエーを合わせたくらいの店舗面積です。
 自動車と燃料を除く、苫小牧の小売商の売上高は約千五百億円ですから、ジャスコが二百億円売上げれば、一四%になります。大変な打撃です。
 札幌から苫小牧まで特急で四十三分、その間に千歳があります。苫小牧の人口は十七万三千人で、商業人口が十八万五千人。ところが、イオンは、室蘭や千歳も入れて、商圏は五十万人と計算している。「過剰な売場面積ではない。新陳代謝だ。負ければつぶれていく」という、地元を無視した大型店共通の理屈です。
 もし計画通り出店が決まれば、地元商店街はもちろん、既存の大型店も含めて大変な影響が出ます。商業者だけの問題ではなく、「まちが壊れる」という立場で出店反対に取り組んでいます。
 市内にある二十二の商店街組織が一致して、市議会に「ジャスコ出店反対の陳情」を出しました。そして昨年九月二十五日の市議会の文教経済委員会、翌二十六日の市議会本会議で、出店反対の陳情書が賛成多数で採択されました。
 市長はジャスコ出店について「いろんな人の意見を聞いて」とか「法律(大店立地法)上、出店は止められない」という態度でした。商工会議所は商業部会や食品飲食部会は反対ですが、商工会議所会頭は王子製紙の関連会社の会長で、建築部会や工業部会の意向もあり、商工会議所としては反対していない。そういう状況の中で、市議会の採択がインパクトがあり、市長は「売場が四万平米は広すぎる。せめて二万平米に」と発言しています。やっとここまできました。イオン側は来年春にオープン予定で、十二月はじめに売場面積を示す予定でした。まだ提示がないので現在は少し静観しています。
 また王子のサービスセンターを買収してイオングループが「マックスバリュ」を五店舗展開したため、地元の生鮮食料店も近くの既存のコンビニもやめてしまい、生鮮の買い物ができない地域が広がりました。苫小牧市民の五人に一人は六十五歳以上で、さらに高齢化が進みます。大型店は、車を持っていないお年寄りにとっては不便です。
 北海道内の各地で大型店が問題になっています。とくに釧路では、一昨年にイオングループが店舗面積三万五千平米でオープンし、市内の商店街は二、三年で三百店舗ぐらい減ったと聞いています。
 大店法時代、私は商調協(商業活動調整協議会)の委員を長くやっていました。今は北海道商店街振興組合連合会の副理事長ですが、ずっと大型店のことばかり、本当にやるせないです。
 二〇〇〇年に大店法が廃止され、大店立地法になったため大型店の出店がほとんど規制できなくなりました。自民党の武藤嘉文先生に規制を強化してほしいと要望しています。大店法がなくなった中で、各自治体がマスタープランをつくり、まちづくりの観点から特別用途制限地域を設定して大型店の出店を規制できないかと昨年春頃から取り組みを始めました。金沢市や京都市では、まちづくり条例をつくって一定の効果を上げています。まちづくり条例や特別用途制限地域を市に要請していますが、市長はやる気がない。苫小牧市の大口納税者である王子製紙の土地に網をかけることはできないという態度です。市からは効果的な中心市街地の活性化策は出てきません。


国内最大規模の水戸メガモール計画

茨城県水戸市

 茨城県の県都である水戸市に国内最大クラスの商業施設「水戸メガモール」の計画が明らかになったのは昨年二月頃。
 総合商社の日商岩井と市内の不動産会社が進めている計画。日商岩井が全国十カ所に計画している大型ショッピングセンター計画の一つで、三十一万平米の土地にスーパーや十スクリーンの映画館を核に、二百店の専門店、ホームセンターや家電などの大型専門店、パチンコ店も含めた娯楽施設、七千台をこえる駐車場。店舗面積七万四千平米で、商圏人口は県人口の三分の一の百万人、年間売上高は三百億円という。店舗面積七万四千平米は、市内の小売店舗総面積(大型店・百貨店を除く)の約四五%に匹敵する。
 「中小商店の五百店が閉店に追い込まれる」「中心商店街が衰退したら交通網や病院など社会基盤の沈下を招く。商店街だけの問題ではない」と市内三十五の商店会が加盟する水戸商店会連合会は昨年七月末から署名運動を開始、昨年八月下旬に約七千人の署名を添えて反対請願を市議会に提出した。十二月には八千五百人分の反対の追加署名を市長に提出。市議会の特別委員会で審議中。
  ◇  ◇  ◇  ◇

市内の商店街関係者の話

 すでに水戸周辺に大型店がひしめき合っている。来年も三、四店が出店予定だ。人口二十五万人の水戸にお化けのような水戸メガモールをつくって成功するとは思えない。
 メガモールが出店すれば水戸市はまちとして成り立たなくなる。大型店同士のつぶし合いの中で、地元商店街もつぶれていく。極端に言えば終戦後の焼け野原と同じだ。空洞化で、お化け屋敷があちこちにできる、そういう町になる。
 出店予定地は、昔の水戸市の水源地。農地法にも引っかかる。十五年以上前から開発がストップしたままの商業施設がつくれない市街化調整区域だ。商店街だけでなく、まちがどうなるのかという問題だが、地元商業者の声がなかなか届かない。


すさまじいイオン出店の影響

倉敷商店街振興連盟会長 西山 敬二

 倉敷にイオン(ジャスコ)が巨大なショッピングセンター(SC)を開店したのは一九九九年九月。中心市街地から約四キロ離れたクラレ(倉敷レーヨン)工場跡地の十三万平米の敷地に、店舗面積六万一千平米、四千台の駐車場。ジャスコが核店舗で、百三十の専門店、映画館八館などからなるイオン倉敷SCができました。
 計画発表はそれより二~三年前で、まだ大店法の時代です。商調協(商業活動調整協議会)で審議されましたが、商工会議所の会頭がクラレですから、店舗面積もほとんど削減もなく結審し、出店が決定。私は当時、商店街の役員をやっていませんでしたが、商業者が放ったらかしにされた形です。
 倉敷駅前の中心街の商店街には三越、天満屋、ダイエーの大型店がありましたが、ダイエーが二〇〇二年に閉店。不況で苦しむ商店街にとって、イオン開店の影響はすさまじく、瞬間的には空店舗率が三〇数%になりました。現在は、二二~二三%くらい、とくに中心街から少し外れたところでは空店舗が多い。
 イオンの年間売上高は初年度から三百三十億円、最近は三百五十億円くらいになっている。倉敷市の人口は四十四万人ですが、四十年前に合併した関係で商圏が分断され、旧倉敷市の商圏は十七~十八万人。そこでイオンだけで年間三百億円以上、常識では考えられません。百三十店のテナントが入っていますが、地元からはほとんど入っていません。イオン倉敷SCには映画館が八館あり、倉敷市内にあった映画館はほとんど閉店しました。隣の岡山市内の映画館も影響を受けています。
 二〇〇〇年六月に大店法から大店立地法になり、大型店がより自由に出店できるようになりました。私はイオンが出店して影響が出はじめた二〇〇〇年から商店街役員を始めましたので大変でした。都市計画を専行している人や「倉敷の街を何とかしたい」と協力してくれる人がいて、「花七夕祭」など街に人を呼ぶ取り組みをやっています。
 ヨーロッパでは百年単位のまちづくりに基づいたマスタープランがあって都市計画を進めていますが、日本にはそうした長期的な都市計画がない。だから行政が経済原則だけで大型店出店に対応し、平気で工業地や農業地を商業地に転用していく。
 出店時には、大型店も行政側も「いい話」しかしません。彼らの理屈には共通性があり、これに対抗する論法を商店街の側が持つべきです。
 一つは「大型店出店が雇用拡大になる」です。行政側は市民向けには「雇用が二千人増えた」などといいます。しかし三時間程度のパートの人を一人として計算しているだけで、見せかけの雇用拡大です。しかもイオン出店でどれほどの商店街がつぶれ、失業したかには触れようとはしません。追及すべきです。
 もう一つは、「イオン出店で市の税収(とくに固定資産税)が増える」です。中心商店街は地価が高く、固定資産税の評価が高い。一方、イオンなどの大型店は郊外の工業跡地や農地ですから、固定資産税の評価は低い。イオン出店後、中心市街地の地価は三年連続二〇%以上の下落です。「イオン出店で増えた分と中心市街地で減った分を計算したことがあるのか」と追及したら行政側は何も言えなかった。
 また大型店は出店時に道路整備など大型店に有利な都市計画を要求します。ゆめタウン高松SCは、無料バス運行をやらせました。これらは市の財政負担です。さらに地元商店の売り上げは地元に還元されますが、大型店の売り上げは本社に送られ、新規出店の投資に使われます。
 倉敷ではダイエーが閉店、地場の食品店もどんどん倒産して、お年寄りの日常的な買い物に支障が出ています。また電器屋さんや金物店などもなくなっているので、釘や金槌を買うのにタクシーで郊外の大型店に出かけるという事態になっています。高齢化が進む中で、まちづくりどころか、まちの破壊です。大型店ばかりが栄えれば、地域の文化の多様性はなくなり、日本中が同じまちになってしまいます。そんなところに文化など育ちません。
 大店法の廃止など、アメリカ流の規制緩和を進めてきた政府の無策が露呈しています。政治も長期不況で大変なのに、緊縮財政で多くの国民には増税、負担増だけです。農家や商業者を基盤にしてきた自民党の基盤は大きく揺らいでいます。
 大店法がなくなったいま、大型店出店の歯止めに役立つのは、まちづくり条例くらいではないか。いまの状況では日本の文化、生活が破壊されてしまう。地元の市民にとって暮らしやすい、地域の文化を大事にするまちづくりを実現するには商業者だけでは不可能です。まちづくりを一緒に考え、行動してくれる市民と一緒に活動することが大事です。



まちを破壊するイオン出店は許せない

宮崎県・宮崎市商店街振興組合連合会理事長  宮下 広計

 宮崎市では、イオン宮崎ショッピングセンター(SC)出店問題が大きな問題となっている。イオンの計画によると、中心部から車で十分足らずの場所に、二十二万平米の敷地、七万平米の店舗面積、商圏人口は五十万人(宮崎市の人口三十万人)で年間売上高は三百億円という。
 進出する土地は、市街化調整区域内の農地であり、都市計画法などにも違反している。しかも土地賃貸料は中心市街地と比べて四十倍も安く、価格競争という面でも違いすぎる。出店されれば、宮崎市の中心街は崩壊し、空洞化する。地元商店街との共存共栄は不可能です。市内の商店街団体は出店反対運動に取り組んでいます。また周辺十三市町村もそれぞれの地元商店街の活性化に悪影響があると反対を表明しいる。戦後焼け野原から五十八年かけてできた宮崎の町が、また廃墟になるのは国家的にも損だし、地方の文化的や社会資本の破壊にもつながる。
 イオン宮崎SCの出店が表面化したとき宮崎市の津村市長は、「宮崎山形屋の二号館増床」と「寿屋宮崎店の再開」が実現すればイオン出店を認めないと発言していた。二〇〇二年の七月の市議会で「寿屋の再開のメドが立たない」と判断し、イオンの出店を容認しました。実際は、寿屋は再開した。寿屋にテナントを出店していた経営者が「市長の発言で寿屋の再開が遅れ従業員の人件費を無駄に支払った」と市長と市を相手に損害賠償の訴訟を起こしました。訴訟では「都市計画マスタープランの見直し、市街化調整区域への出店計画など、イオン宮崎SCの容認自体が違法」という姿勢で取り組んでいます。
 大店法がなくなった背景には、アメリカからの規制緩和の圧力がありました。大型SCがたくさんあるアメリカでも、人口五万、十万の都市では、騒音や排気ガスなどで環境が破壊されると訴訟を起こし、州によっては勝っています。イギリスは郊外店を認めていないし、ドイツは町で売っているものは大型店では売らせないという法律があります。ヨーロッパでは地元の商業者だけでなく、街並みや地域の特色、文化を守っている。アメリカ流は、地域をこわしてしまう。
 イオンを中心に九州各地でも大型店出店の動きが活発化しています。熊本、鹿児島でも申請が出ています。すでに佐賀市ではイオン大和(店舗面積三万七千平米)と世界最大の米ウォールマートの傘下に入った西友を核店舗とする「モラージュ佐賀」(店舗面積三万七千平米)出店などで、地元商店街は完全にダメになりました。イオンは大分にも出ています。宮崎では日向市や延岡市が完全にダメになり、都城市も大変です。中心の宮崎市がダメになったら、宮崎県はイオンの町になってしまう。
 中心市街地活性化法ができたが、実際はなかなか容易ではない。大型店出店で地元商店街は破壊され、メインストリートも衰退する。まちが破壊されます。宮崎市は観光都市ですから、ゴーストタウンのような中心街になったら大きな損失です。宮崎のまちづくりの立場からも、市長はイオン出店容認を撤回すべきです。

 さらにいうならば、大型商業施設の出店で地方の商店街は閉店に追い込まれ、その跡地に風俗店が出店する始末なのである。
 それのどこが経済効果なのか。こうしたビジネスへの厳しい規制は待ったなしだ。群馬県伊勢崎市では大型ベイシアの建設で商店街の商店は閉店に追い込まれ、とサラ金・パチンコ屋・風俗店の進出がひどい。これも小泉「構造改革」の成果に過ぎなかった。人の恥で金を稼ぐことへの後ろめたさはないのだろうか。イオンは茨城県でも傘下にカスミを有しているほか、つくば市に大型商業施設の開業を決めている。もはや茨城県はイオンの町になってしまった。
 イオンは強引な出店への批判に対して最近ではイオンリカー、イオンバイクなどの専門店を商店街の中に出店するようにしているが、それとても対処療法に過ぎない。イオンはもっと地元の商店街に歩み寄るべき義務がある。
 最後に昔書いたコラムを再び掲載する。


昔のジャスコさんも今やイオン様(小野哲)

2011/05/28 20:12

イオン「強引商法」に限界露わ この苛烈なテナント契約内容
選択 5月11日(水)16時46分配信
 三月十八日、予定から約二年も開業が延期になっていた、福岡県大牟田市の「イオンモール大牟田」がグランドオープンを迎えた。当初はテープカットなどのイベントが予定されていたが、その一週間前に発生した東日本大震災の影響で自粛し、結果として来客数は予想を二割下回った。
 大幅に開業が延期された理由について、「テナントが集まらなかったことが大きい」と語るのは地元の市会議員だ。この土地には二〇〇一年に、広島に本社を持つ企業(イズミ)が、「ゆめタウン」というショッピングセンター(SC)を開業し、地元商店街は既にその影響を受けていた。この市会議員が語る。
「大牟田市は、『第二の夕張』化が懸念されるほど財政が逼迫している上、二十世帯に一世帯が生活保護。小さな商店主がイオンにテナントを出せるはずがなか。そもそもイオンのハードルが高すぎばい」
 結局、二年もかけて地元から集めたテナントは「メガネ店、製茶店など全百三十六店舗のうちわずか十軒ほど」(地元商店主)にすぎない。残りは全国どこでも見かけるチェーン店が占めた。先の市会議員が続ける。
「六年ほど前にイオンが視察にきた時は、『この土地を活性化させます』という話だった。どこでもそうらしいが、結局は全国チェーンだけ呼んで、壊滅状態の地元商店街にとどめを刺す結果になる」

金を巻き上げる「システム」
 では、そのイオンのショッピング・モールがテナントに求める出店条件とはどのようなものなのか。手元にりんくうタウン(大阪府泉南市)の「イオン泉南ショッピングセンター出店募集要項」という書類がある。泉南市もまた、イオンの進出で「見るも無残なシャッター商店街になった」(地元商工会幹部)街だ。それもそのはず、百六十七もあるテナントのうち、地元からの出店は一軒のみ。しかも厳密には泉南市ではなく隣接する堺市からの出店だった。前出商工会幹部はこう不満を口にする。
「なにが地域活性化ですか。植樹なんてやってますが、そんな、ちんけな文化事業には私らはもう騙されませんよ」
 募集要項を見て驚くのは、テナント側の負担が異常に大きいことだ。まずは地代だ。地元市会議員が呆れながら話す。
「もともと埋立地で企業が集まらず、イオンは大阪府から坪五百円で借りている。それを物販テナントに坪一万五千円で貸している」
 さらに月に坪当たり一千円の「営業保証費」や、売り上げの一・二%が徴収される「販売促進費」などがある(ただし、金額は物販やサービス、飲食など業態により異なる)。加えて、レジスターはイオン指定機種を使用することが決められており、売上金はイオン指定の金融機関で一括して預かり、共益費(坪当たり八千九百円)などを差し引いた上、各テナントへ翌月か翌々月に振り込まれる。また、駐車場負担金が坪当たり二千五百円、出店者協議会費七千円(一カ月)、ロッカー使用料一扉一千円(同)など、あらゆる名目でテナントから金を巻き上げる仕組みになっている。地元喫茶店主が語る。
「地元の家族だけでやってるような零細な店はとても出店など無理ですわ。最初は地元商店街にもイオンに店が持てるみたいな甘いこと言って、いざ出店となったらとんでもない条件を出してくる」
 そして驚くことに、テナントの負担金はこれだけではない。前掲したものは、あくまで継続的にかかる費用であり、出店の際には「初期費用」が別にかかる。当初、イオンへの出店を検討していた別の飲食業者が話す。
「オープンの販促費だけで五十万円にプラス坪当たり一千円や。これだけでもうあかん」
 この上、共用スペースの内装費が坪五万円、現場管理費が坪一万一千五百円、内装管理費が一区画二十万円と坪当たり三千三百円。さらには、「レジスター工事費」や「消火器設置費用」「電話施設料金」など、テナントの負担は積み重なる。この飲食業者は憤る。
「内装費や駐車場料金は、分からんでもない。でも、なんで消火器に七千五百円もかかって、一般駐車場代の他に従業員駐車場代も取られるんだ。さらに電話一台五万五千円や。営業保証費とか協議会費もわけわからん」
 ここまでみると、イオンは小売り流通業者の仮面を被った、「場所貸し」であることがよくわかる。
 二〇〇三年、太田房江大阪府知事(当時)は府議会企業水道常任委員会で、イオンの進出についての質問にこう答弁した。
「かねてより存じ上げておりました岡田(卓也)名誉会長に、これはりんくうタウンのまちづくりを進めるという観点から積極的に検討していただくようにお願いに行ったということであります」
 質の悪いジョークにしか聞こえない。地元議員は現状を嘆く。
「太田さんに泉南市を歩いてほしい。生きている商店自体が少ない」

反対運動には「内容証明」
 そして、この議員が最も危惧しているのが、イオンの「撤退」だ。
「イオンはスクラップ&ビルドが社是の会社やろ。儲からなかったらとっとと撤退するという話や。まちを壊された上に撤退されたら、ここはなんもない荒野になるで」
 〇八年に発表した三カ年計画では、六十もの店舗を閉鎖するとし、全国で「悲劇」は始まっている。
 この発表の一環としてジャスコ=イオンが閉鎖されたのは泉南市に近い和歌山県の海南市だ。いきなりの撤退で「どっと買い物難民が生まれた」(海南中央商業協同組合幹部)という。地域社会に散々影響を与えた後に、撤退しているのだ。
 こうしたイオンの強引な手法に対して、強烈な反対運動も全国各地で起きている。福島県伊達市では、県の条例により大型店舗の進出を拒否した。また、東京都東久留米市では、住民有志が「南沢五丁目地区計画を考える会」を結成、六年にわたってイオン建設反対運動を展開している。
 イオン側もこうした状況を察知していないわけではない。ある幹部が「自戒をこめて」と前置きしてこう打ち明けた。
「私どものビジネスモデルが時代にそぐわなくなっているのは承知しております。だから、いったん作った大きな箱物をどう再利用するか熟考している状況です。百円ショップみたいな小さなショップの集合体とかいろいろプランはあるんですが」
 しかし、こんな殊勝なことを言う一方で、反対運動をしていると顧問弁護士が連名で「出店反対は憲法違反」などとする内容証明を送りつけてくるのだから質が悪い。
 冒頭で記した、イオンモール大牟田のテナントは、「かなりテナント料をダンピングしてかき集めたようだ」(地元マスコミ関係者)とされる。イオンの行き詰まりと、ビジネスモデルの破綻は明らかだ。スクラップ&ビルドはイオン自体に必要な処方箋ではないか。
http://www.sentaku.co.jp/category/economies/post-1622.php

2011年5月11日


 今回、月刊誌選択というものから引用させていただいた。
 私はこの記事を読んで感じた事は一つ、「丸井今井と同じやな」。それにつきる。北海道にかつて最大手の百貨店があった。それが丸井今井といい、札幌、旭川、小樽、室蘭、函館にあった。北海道民からは『まるいさん』と慕われていたのだが、バブル経営で高級百貨店に舵を切った結果、『丸井今井様』になってしまった。この事については以前コラムで書いている。
 イオンは専門店の集積体になっているようで、そのビジネスモデルに介入はしないが、問題はコミュニティ経済にどのような影響を与えているのか、それが本質である。また、最近ではパルコを買収しようと動いた事はみなさんご存知であろう(業績不振で苦しむ渋谷の東急百貨店本店を買収してパルコを集約させ、イオンの専門店と三菱商事系列の成城石井を共同で出店することだってありえる。提携している三越伊勢丹に売却するという噂があるが難しい)。
 更に最近ではダメになった店舗をディスカウントストア『ザ・ビック』に改装し、地域の商店街に価格競争してくるのだから、たまったものではない。地域住民の経済を無視した価格破壊では、意味はない。批判に最近では『まいばすけっと』なるストアを出店しているがこれとてもドミトナント(集中出店)なのだからたまったものじゃない。
 イオンは今後出店したいというなら、寂れた商店街に出店することをお勧めする。『イオン様』から、『イオンさん』に戻れと言いたい。このままじゃ、丸井今井のように民事再生法を申請しかねない。まあ、イオンのことだからウォルマートに乗っ取られないように三菱商事を事実上の白馬の騎士にしているのだろう。
 だが、あくまでも小売りは地域住民の求める需要にどこまで愚直に応えられるかである。

買い物難民=格差問題(小野哲)

2009/09/08 21:15

最近、買い物難民という言葉が出てきている。
 ニュータウンや山間部にあった小規模なストアが経営不振のため閉店されていくというモノで、今年にはNHK首都圏での報道もあった。
NHKアーカイブズより引用
特報首都圏「スーパーに通えない」
チャンネル:総合/デジタル総合
放送日: 2009年7月10日(金)
放送時間:午後7:30~午後7:58(28分)
ジャンル: ニュース/報道 > ローカル・地域
番組HP: http://www.nhk.or.jp/shutoken/tokuho/

地域のスーパーが採算悪化で撤退する中、日々の買い物に困る“買い物難民”と呼ばれる高齢の人たちが、都心住宅地やニュータウンで増えている。その実態と解決策を探る。
地域のスーパーが採算悪化で撤退し、日々の買い物に困るという“買い物難民”が増えている。最寄りのスーパーまで片道30分、山道を自転車で通うお年寄り。運転は危険と自覚しながら、自動車に頼らざるを得ない人。なかには、買い置きしていた缶詰やレトルト食品ですませるという「食の貧困」まで招いている。事態打開のため、自治会が自ら青空市を設けるところも出てきた。都市に起こった買い物空洞化の現状をリポートする。
西東  大 【ゲスト】茨城キリスト教大学講師…岩間 信之 【語り】掛川 裕彦
 その報道によると埼玉県日高市のニュータウンにあった東急ストアが閉店されて、住民は2キロ離れた地元大手のマミーマート(住友商事系列)に自転車を使って買い物しなければならない。しかも、買い物する量まで抑えねばならないのだ。
 住民は閉鎖された建物及び土地を持つ井門インターナショナル(ラオックスのフランチャイズを展開していた)とも交渉しているが新しいテナント発掘には難航しているのが現実だ。そうなると生協を活発化させるしかないのだ。その一方で郊外型大型店が最近増えてきており、例えば日本最大級のショッピングモールというイオン越谷レイクタウンなど、我々も度肝を抜く凄まじい集客力である。
 こうした場所に行くには車か電車しかない。若いときには何ともないと思っても、年老いたらもう無理な話だ。そのために地方の大型店の一部では買い物バスを走らせているほどだ。
 買い物の量を規制したら、当然食生活は貧困になるのは目に見えている。欧米でもこうした現象が露わになっており、こうした動きをフードデザート(Food deserts)という。フードデザート研究チームによれば、この定義は 「イギリスでは郊外のスーパーストアに通えないできないダウンタウンの貧困層は,都心に残存する,値段が高く,かつ野菜やフルーツなどの生鮮品の品揃えが極端に悪い雑貨店での買い物を強いられています。イギリスでは,彼らの貧しい食糧事情が,ガンなどの疾患の発生率増加の主要因であると指摘する研究報告が多数見られます。一方,アメリカではフードデザートエリアにジャンクフード店が入り込み,肥満問題が発生しています」とある。
 つまり、買い物難民=格差問題でもある。豊かな食生活を維持するには当然金がかかるわけだ。購入するのは日持ちのきく冷凍食品や缶詰ばかり、買い物するにも命がけというんじゃ、話にならない。これこそ某漫画の「ジジイババアを抹殺しガキどもを奴隷とせよ」を地でいくようなものだ。
 大型店の野放図な出店が、地域破壊をもたらしたのは明らかだ。新自由主義では「競争社会だから当然だ」と居直るだろうが私はそうは思わない。小さな商店といかに共存できるかが、大資本とコミュニティが共存する大きな鍵なのは論を待つまい。
 これからは、地域の声を尊重すべきではないか。公正取引委員会の機能を即時回復させることが日本経済の真の再生につながる。
 なお、今回のコメント作成に当たりこの記事から大いなるインスパイアを受けました。ありがたく思います。
http://kyoudoubaiten.ti-da.net/e2532371.html

 なお、参考記事として以下の記事を追加させていただきます。
「消費不振で新規出店の減少率最大 「買い物難民」増加も」
 長引く消費不振の影響で、大手スーパーなど流通各社が自治体に届け出た大型店の新規出店計画の件数が、2008年度は650件と、前年度と比べ13・4%減ったことが、経済産業省の調査で7日分かった。届け出義務を定めた大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行された00年以降では最大の減少率。今年4~5月は67件と前年同期比40・2%減で、出店抑制の傾向が強まっている。
 背景には流通各社の業績低迷、土地・資材価格の上昇、郊外出店を規制する改正まちづくり3法が07年に施行されたことがある。
 流通各社は新規出店を抑制するとともに、不採算店の閉鎖を加速。加えて多くの地元商店街が衰退しており、地域によっては生活必需品を購入できる店舗が近隣になくなるといった「買い物難民」の増加も懸念され、移動手段が比較的限られる高齢者らの生活に支障が生じる可能性がある。経産省は「地域経済を支えるには地元商店街の再生が不可欠だ」と指摘する。
 調査によると、出店届け出件数はここ数年、700件台で推移。07年度が751件だったものの、08年度は一気に101件も減った。業績不振の総合スーパーが大幅減少したほか、量販店や食品スーパーも抑制基調。規模別では、店舗面積7千平方メートル以上の大型店の減少が目立つ。
 08年度件数を都道府県別でみると、東京や埼玉などの都市部や、出店エリアが広い北海道が多い一方、鳥取1件、島根ゼロと、過疎地や景気悪化が深刻な地域への出店が敬遠されているようだ。
2009/07/07 22:41 【共同通信】


2012年06月19日
テスコジャパン買収が持つ意味

【12/6/16号】 2012年6月11日
週刊ダイヤモンド編集部

セブン、イオンの“二強”が大攻勢!
「スーパー再編」は最終章へ突入

ウォルマートが買収に来た!市場急縮小でうごめく面々
 品質の確かなナショナルブランド品を地域最安値で提供する「高品質・エブリデーロープライス(常時低価格)」で消費者の支持を集め、首都圏で年商2300億円超、経常利益140億円を上げる有力スーパーのオーケー。
 その創業経営者である飯田勧社長の元をエブリデーロープライスの本家本元、米ウォルマートのトップが幹部を引き連れて訪れた。狙いはオーケーの買収である。
 子会社・西友の立て直しにめどが付いてきたウォルマートが、日本での事業拡大に向けて地方スーパーの買収に乗り出しているのは周知の事実。
 イオンは昨年、合わせて年商約3000億円の規模を持つ四国の有力スーパー、マルナカとその関連会社の山陽マルナカを子会社化することに成功したが、ウォルマートもイオンの対抗馬として買収に動いていたとされる。
 マルナカグループは多額の債務が身売りの原因と指摘される一方、オーケーは実質無借金経営。「ウォルマートが日本で一番欲しい会社は当社だろうが、断った。そうしたら何歳まで社長を続けるのかと聞いてきた。私が死んだら、また買いに来るつもりらしい」と今年84歳になる飯田社長は笑う。
 食品スーパー業界では今、再編の動きが加速している。
 昨年は、セブン&アイ・ホールディングスが近畿日本鉄道子会社の食品スーパー、近商ストアに30%出資したほか、北海道最大手スーパーのアークスが青森県の地場トップであるユニバースを経営統合。今年9月には岩手県のジョイスもアークスの子会社となる。
 食品スーパー最大手、ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「最近はM&A関連の案件が持ち込まれることが増えた」と再編の動きが活発化していることを認めるが、そのライフは業界きっての優良企業として知られるヤオコーと商品開発や資材調達などで提携協議に入ると発表した。
 今、再編機運が高まっている最大の要因は、市場の縮小である。
 小売業の市場規模はおおむね所得水準と人口によって決まるが、厚生労働省の毎月勤労統計によれば労働者1人当たりの現金給与総額は1997年をピークとしてほぼ右肩下がり。全国スーパーの売上高は翌98年から減少に転じている。

「縮小拡大」が最後の生き残り策
 そして、本格的な人口減少社会がこれから始まろうとしている。昨年10月1日時点での日本の総人口は、前年比で25万9000人減と50年以降の統計で最大の落ち込みとなった(総務省調べ)。
 市場縮小が加速する中での生き残り策を、アークスの横山清社長は、「縮小拡大」戦略と称している。規模を拡大することで企業体力をつけ、同時に本部経費などの間接コストを相対的に引き下げていかない限り、厳しい競争に勝ち残るのは難しいというわけだ。
 地方スーパーの再生支援を手がけるなど、小売業経営に詳しいフロンティア・マネジメント代表の松岡真宏氏は、「小売業では人口減少が先行する地方で先に変化が起こり、それが大都市圏へと波及していく」と指摘するが、日本の北端でアークスが仕掛けた再編が徐々に本州へと広がっているのも、その文脈で説明できる。
 もう1つ、食品スーパーを再編に走らせているのが、昨年の東日本大震災の影響だ。
 震災のあった2011年度決算は、イオンとセブン&アイ・ホールディングスのツートップをはじめとして多くの小売業が増益や過去最高益を記録した。
 震災後のまとめ買い需要、チラシ販促自粛による安売り競争の緩和などがあったためだが、こうした一時的な底上げ効果はすでに剥落し始めている。
「震災によって(食品スーパー業界では)経営の悪い部分が一時的に隠されたが、実際の影響が出てくるのはこれから」(岩崎社長)なのだ。
 その影響として多くの食品スーパー経営者が懸念しているのが、コンビニエンスストアの出店攻勢である。セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社は11年度決算でいずれも史上最高益を記録、今年度はそろって過去最高の出店を計画している。その強気の背景にあるのが、スーパーからコンビニへという客の流れの変化だ。

恒常的なオーバーストア状態のなか「回転差資金」で生き残る赤字企業
 震災後、最寄りのコンビニで食品や生活物資の買い出しをする女性や高齢者が増えた。
 最近のコンビニは弁当や総菜が豊富な上に野菜や調味料も置いている。「遠くのスーパーまで行かなくてもコンビニで十分」(新浪剛史・ローソン社長)と気付いたことで、若い男性が中心だったコンビニの客層が一気に広がった。
 市場飽和が指摘されてきたコンビニが食品スーパー市場を蚕食することに新たな成長機会を見いだしたのだ。
 80年代の日米構造協議を経て、市場開放のために大規模小売店舗法の出店規制が緩和されたのが91年、そして、2000年には大店法そのものが廃止され、スーパーの総店舗面積は業界売上高の減少にもかかわらず一貫して増加を続けてきた。
 恒常的なオーバーストア状況の中でスーパー各社は身を削る価格競争を続けているが、「回転差資金で生き残っている赤字企業も多い」(大手スーパー経営者)。スーパーは買い掛けで問屋から商品を仕入れ、支払いは最短でも1ヵ月先というケースが多い。その間も店頭販売で日銭は入ってくる。この回転差資金で食いつないでいる企業が少なくないというのだ。
 だが、それもいつまで続けられるのか。「来年3月に(債務の返済を猶予する)中小企業金融円滑化法が期限切れとなる。それで、経営危機に陥る地方スーパーが増えるのではないか」と松岡氏は見る。
 スーパー業界はこれから再編の最終章へと突入していく。

 セブン&アイ、イオンは今、2期連続での最高益更新に向けて邁進しています。合計売上高20兆円にならんとする二強ですが、成長の方向はコンビニエンスストアの進化と売り場の専門化。
 総合スーパーという成功体験を捨て、市場変化に適応する両雄は、全国1万7000の食品スーパーの存続を脅かす存在になるでしょう。
 イオンによるマルナカ買収、アークスによるユニバースやジョイスの統合、ライフとヤオコーの提携……中小企業金融円滑化法が期限切れとなる来春、スーパー業界はM&Aラッシュになりそうな様相です。
『週刊ダイヤモンド』6月16日号の特集では、二強が大攻勢をかける「最後の流通再編」を総力取材しました。“巨人”の軍門に下るか、合従連衡して抗戦するか。生き残りを賭けて、激動する小売業界を、詳しくレポートしています。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 大坪 亮)

 今回この記事を引用したのには理由がある。
 東京、神奈川、千葉、埼玉、群馬、長野、静岡に店舗網を持つテスコジャパン(イギリス・テスコ社の子会社/旧シートゥーネットワーク、フレック、タネキン)がイオンに売却される事になったからだ。ロイターより引用する。

イオン<8267.T>、英テスコ日本事業の株式50%を取得へ 日本撤退は2段階
2012年 06月 18日 18:25 JST
 [東京 18日 ロイター] イオン(8267.T)は18日、世界第三位の小売業・英テスコ(TSCO.L)の日本事業に出資すると正式発表した。首都圏での展開を強化する。株式の取得価格は会計上の「備忘価額」(実質的に資産価値がゼロの場合の名目価格)で1円で、テスコの日本法人の株式の50%を秋に取得し、首都圏を中心に展開する117店舗を事実上引き継いでお年寄りや1人暮らしの世帯が増えている都市部の小型スーパー事業を強化することで、テスコと合意した。テスコジャパンはイオンの持ち分法適用会社となる。
 テスコは、残り50%も売却し、2段階のプロセスで日本から撤退する予定。残りの株式取得に関して、イオンは「まずは事業強化が最優先」(コーポレート・コミュニケーション部)としており、現時点では未定。いずれイオンがテスコジャパンの株式を買収すると見られている。
 テスコは、首都圏を中心に「テスコ」や「つるかめ」など117店舗を展開している。イオンは、中期計画で大都市を重点エリアと位置付け、首都圏での展開を積極化しており、テスコの店舗を有効に活用できるとして判断した。イオンでは「出資の決め手は決め手は首都圏での店舗網。両社の持つ経営資源やノウハウを活用し、事業競争力の向上に取り組む。都心での事業拡大につなげていきたい」(同)としている。
 当面は店舗名などはそのまま継続するが、今秋をめどとした株式取得後は、当面、店舗名や従業員の雇用は維持し、イオンの流通網やプライベートブランド『トップバリュ』の導入などの一方で主に首都圏で展開する小型食品スーパー「まいばすけっと」や専門店や小型店舗「マックスバリュエクスプレス」などへの業態転換も検討する。テスコジャパンの雇用は維持する。
 テスコジャパンの負債は英テスコが負うほか、事業再構築費用として約4000万ポンド(約50億円)の追加投資を行う(これが最後のテスコサイドからの投資になる)。
 野村証券アナリストの正田雅史氏は「テスコは店舗展開がばらばらだが、イオンはいろいろな店舗フォーマットを有しており、こういう案件を買収しやすい。取得価格が1円であるうえ、債務はテスコが処理するなど、イオンにとって、非常に条件が良い」と評価している。
 小売り各社は、競って都市部を強化しており、正田氏は、今後、都市部での買収が増えていくと予想している。
 テスコは、2003年に「つるかめランド」や「かめちゅーる」を運営するシートゥー(C2)ネットワークを328億円で買収し、日本に参入した。その後、200億円程度を日本事業に投資しているという。商品で差別化できずに2011年8月下旬に競争激化による経営不振から「十分な規模のビジネスを築けなかった」として日本からの撤退を発表し、売却先を探していた。 
(ロイターニュース 久保信博 清水律子;取材協力 ジェームス・トパム;編集 田中志保)
一部同業他社の情報を追加しています

 テスコはイオンにテスコジャパンを売却したがっていた(毎日新聞の報道によると)。
 ロイター報道によるとドンキホーテやトライアルカンパニーが買収に名乗りを上げていたようだがテスコジャパンが売却額を200億円としていたため難航していたようだ。最近のイオンは都市型百貨店のパルコ買収に動いている(専門店だが実質的には百貨店と見ていい)。Jフロントリテイリングが筆頭株主になったものの、イオンはTOBをかける可能性が高い。
 その次には福井県への再進出である。四国に関して言うならばすでにマルナカを買収した事でイオン本体が参入する必要がなくなった。イオンはマルナカに足りないものを加える程度でいいのだからだ。筆頭株主でもある三菱商事が出資しているアルビス(富山県)が福井県に進出しているので合併すればいいと思っているのだろう。後はパルコを買収してボンベルタ、フォーラス、ビブレと合併させ、そこにイオンの食品ストアを加えるだけでいいと見ているのかもしれない。
 市場に株式が出ている以上こうしたM&Aはつきものである。否定はできない。だが、こうしたものが膨張すればするほど経済は衰退する一面もある。市場に任せるのではなく、私たちが育てる経済こそが必要だと私は考えている。大資本に任せるのではなく主導権を我々が握って大資本に立ち回りできるような経済をどう考えていくかを考えねばならない。
 イオンは函館でも大規模店舗の建設を計画しているが、ほとんど門前払いであるようだ。次にイオンが考えるとすればダイエーを吸収合併する手である。丸紅との主導権争いがあるがいずれにせよダイエーは単体で生き延びる事は難しくイオンと株式交換で経営統合する事を選ぶしかない。丸紅もイオンの背後にある三菱商事の存在ゆえに手は出しにくい。
 経済というのは複雑なものでありこのような観測コラムを書くことも一つの自由な発想であるが、他の人にもさまざまな観測記事があると思う。これは一つの考えと思って笑って考えて欲しい。しかし、何のための拡大かは考えて欲しい。

2012年07月04日
空気の読めないJフロント
Jフロントがパルコ買収へ、1株1100円・65%上限にTOB
ロイター 2012年7月4日(水)15時25分配信
[東京 4日 ロイター] Jフロント リテイリング<3086.T>は、パルコ<8251.T>の株式を公開買い付け(TOB)し、買収する方向で最終調整に入った。現在保有する33.24%から引き上げ、実質買収することで、シナジー効果を高めたい考え。5日に正式発表する予定。複数の関係筋がロイターに明らかにした。
 Jフロントによるパルコ株式のTOB価格は1株あたり1100円で、TOBは65%を上限に実施する予定。取得金額は約420億円になる見通し。パルコの上場は維持する方針。
 Jフロントは、今年3月23日、森トラスト(東京都港区)からパルコ株の33.24%を取得し、筆頭株主になっていた。今回、過半数を超える株式を取得し関係を深めることで、両社間の相乗効果を高める狙いがある。
 Jフロントは、パルコとはグレードやテイストで共通点があるとみているほか、協業により首都圏のプレゼンスを高められるとみていた。
 3月にJフロントが33.24%を取得した後、パルコの株式を追加取得するには、金融商品取引法によりTOBを実施しなければならない。3分の1を超える規模の株式の取得にあたるためだ。
 ただ、すでにまとまった数量の株式を取得した買付け者(Jフロント)は、3カ月間は、3分の1を超える取得はできないルールになっているため、次に何らかの行動を起こすにも6月下旬以降になるとみられていた。
 今回のTOB価格(1株1100円)は、Jフロントが3月に森トラストから株式を取得した際と同価格となっている。

<政投銀、TOBに応募へ>
 現在、150億円分の新株予約権付社債(CB)を保有する日本政策投資銀行は、普通株式に転換し、TOBに応募する見通し。政投銀が保有するCBの譲渡や転換を制限する期限は8月25日に到来するため、政投銀は26日以降、いつでも普通株に転換することができる。政投銀の保有するCBを普通株に転換すると、保有比率は18.7%となる。
 第2位株主は12.3%を保有するイオン<8267.T>。イオンの広報担当者は「現時点で何か答えることはできない」と述べた。
 Jフロントは「株式公開買付けの開始に関する一部報道があったが、当社が発表したものではない。当社として何も決定したものはなく、開示すべき事実はない」とのコメントを発表した。
 パルコの広報担当者は「当社としてそのような事実は把握していない」と述べた。

(ロイターニュース 清水律子、江本恵美、編集:宮崎大、内田慎一)


 はっきり言って愚かな買収劇である。
 すでにイオンはパルコに三行半を突きつけた。イオンは子会社のミニストップと三菱商事系列のローソンとの提携を強化した(情報端末LOPPIをミニストップに導入する)。すなわち、ローソンは髙島屋とも提携関係にある。このままの情勢だと三菱商事主導による大型再編は避けられない。その中に髙島屋は否応なく巻き込まれていくのではないか。
 髙島屋にとってもイオンとの提携は利点がある。北海道と九州に髙島屋は本拠を持っていないか少ない。そこで、イオン北海道および九州(いずれもマイカル子会社だった)のイオンの余剰店舗を髙島屋に転換する可能性がある。
 合併に関して言えば対等合併以外ありえない。もしくは持ち株会社だろう。イオンの目的はトップバリュの拡大だ。百貨店向けのトップバリュとして想定されているのはセレクトといわれるものだろう。ローソンとの合併で三菱商事の資本を強化できるほか、髙島屋はローソンやイオンの店舗網を使って自社商品を拡大するメリットもある。
 イオンがパルコへのTOBをかける事はまずないと私は見ている。イオンはそんなことなら、自前の百貨店としてボンベルタ成田を全国に拡大する事だってある。そこにビブレ、フォーラスが合流する可能性だってある。この視点はあくまでも観測であってこれが現実になるとは思わないが百貨店は明らかに冬の時代だ。
 Jフロントはこのままならセブン&アイの傘下になるといわれている観測記事だってある。そうなれば、「そごう・西武・松坂屋・大丸」という恐竜のような百貨店がはびこる事を意味する。しかし、どんなにやったって時代の進化に取り残されたこの業界(髙島屋は違うが)が対応する事は難しい。阪急百貨店神戸店跡地にイオンが出店する事は一つのシンボルに過ぎない。もしくは、イオンは海外の大手百貨店を買収して日本にブランドを輸入するかもしれないし分からないが、この時代と言うのは答えがなかなか見えない。

 このエントリーは一つの視点に過ぎません。
 皆さんでも考えてほしいなと思います。経済のあり方も含めて…。

2012年08月17日
小売業は地域ビジネスでなければならない
 今回、以前取り上げたようにテスコジャパンをイオンが買収することをさらに深く取り上げたい。

イオンがテスコ日本法人をわずか1円で取得できた理由
ダイヤモンド・オンライン 2012年6月27日(水)8時30分配信

 イオンは今秋を目途に、英小売り大手テスコの日本法人テスコジャパンの株式50%を取得する。
 当面はイオンの持ち分法適用会社とするが、テスコはすでに日本からの撤退を決めているため、いずれはイオンが完全子会社化する方向とみられる。
 テスコジャパンは首都圏を中心に食品スーパー「つるかめ」「テスコ」など117店を展開しており、営業収益は550億円に上る(2012年2月期)。
 だが、店舗の半数が今も赤字であるため、今後、イオンはプライベートブランド「トップバリュ」の投入や、ITシステムや物流網のインフラ活用などで、経営改善を目指すことになる。
 今回、業界関係者を驚かせたのは、1円という譲渡価格だ。テスコは03年7月に旧シートゥーネットワークを買収することで日本に進出。その後も中小スーパーを買収しており、日本への投資額は約300億円に上る。それ故、一時、売却交渉額は200億~300億円ともささやかれていた。
 破格なのは譲渡価格だけではない。テスコはテスコジャパンの立て直し費用として約50億円の“お土産”をつける上、テスコジャパンが抱える債務も負担。合計で二百数十億円をテスコが負うことになり、イオンの投資コストはほとんどない模様だ。
 なぜテスコジャパンはこれほどに買いたたかれたのか。
 そもそもテスコが日本からの撤退を発表したのは昨年8月。それ以来、セブン&アイ・ホールディングス、ウォルマート、ドン・キホーテなどさまざまな名前が挙がったが、売却先探しは難航した。その最大の理由は、テスコジャパンの店舗サイズの問題だった。
 テスコの前身である旧シートゥーネットワークは、商品の安さが売りのディスカウントストア。出店コストを優先したため、立地や店舗サイズは100平方メートル以下から800平方メートル前後までバラバラである。だが、テスコが売却交渉で最優先したのは、全店舗の引き受けと約1900人に上る従業員の雇用の維持だった。
 結局、店舗を一括で引き受けられるのは、多様な業態を抱えるイオンぐらいしかなかった。
 一方、イオンにとって、テスコジャパンへの出資の最大の狙いは首都圏における出店用地の確保である。11年度からの3カ年の中期経営計画において、大都市を重点エリアと位置付け、小型店舗を積極出店している。特に東京23区、横浜市、川崎市で展開するミニスーパーの「まいばすけっと」は、今期で150店増の400店とする予定で、来期以降も年間200店ペースの出店を計画している。それ故、「テスコジャパンの買収は時間を買うという点でメリットがある」(イオン関係者)。
 テスコジャパンへの出資は、イオンが首都圏において積極攻勢に転じる狼煙となりそうだ。
 (「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

 ではイオンに関して言いたいことがある。
 イオングループで首都圏大手の小売業・カスミ(茨城地盤)がある。そのカスミはライバル企業のヤオコーと取手市で競い合う関係にある。なのに不思議なことに取手花火大会に協賛金をカスミやヤオコーは出していないというのだ。地域に密着した企業とは思えない態度ではないか。
 「イオングループは、地域に貢献し、地域のお客さまとともに、環境保全や地域の食文化継承、雇用の創出等、地域の活性化に取り組む、地域密着経営を推進しています」という謳い文句が空文化しているということだ。「イオンリカー」なんて地元の酒屋キラー、「イオンバイク」は自転車屋つぶし、食品小型ストアで言えば「アコレ」「まいばすけっと」が地元の八百屋・鮮魚店・精肉店キラーである。
 以前私は月刊選択の記事を取り上げてイオンを批判した。イオンはその暴走を日本ではなくベトナムやタイ、マレーシア、中華大陸(香港も含める)、カンボジアに広げようとしている。さらにはコンビニで言うならローソン、ココストアと提携(出資も含める)した。イオンの膨張が果たして正しいと言えるのだろうか。
 小売業の原点はあくまでも地域の人たちが主導権を握るビジネスだ。地域壊しじゃ意味はない。イオンにはくれぐれもその意味を忘れないで欲しい。

2012年08月21日
膨張するイオングループに警告する
マルエツがラオックスと業務提携、国内と中国で小売事業展開を相互支援
財経新聞 2012年8月21日 18:13 http://www.zaikei.co.jp/article/20120821/111383.html
 食品スーパー事業を展開するマルエツは21日、総合家電量販店のラオックスとの間で業務提携を行うことで合意したと発表した。各々の経営資源を有効に活用し、日本国内及び中国における小売事業の展開について相互に支援することを目的とし、業務提携を実行していく。なお、現在マルエツとラオックスは日本国内の相互の店舗に商品供給を行っている。
 具体的には、事業支援では、マルエツが中国において小売事業及びECサイトを展開するにあたって、ラオックスは日本側での助言及びその他支援をする。商品連携では、日本国内において双方にメリットがあり別途合意した場合、マルエツはラオックスに食料品を供給し、ラオックスはマルエツに家電品・家電小物品等を供給する。
 また、両社は、相手方の店舗物件にテナントとして出店することについて検討するとともに、各々が保有する不動産情報を相互に提供し、迅速かつ効果的な出店を可能とするための必要な協力を行う。さらに、人材交流や人材教育なども実施していく方針。

 その他にもマルエツはラオックスの親会社、中国の家電量販店大手である蘇寧電器(江蘇省)と香港に合弁会社「丸悦(香港)公司/資本金は2億香港ドル(約20億4800万円)、出資比率はマルエツ70%、蘇寧グループ30%」を9月に設立し、来夏に1号店を江蘇省無錫(むしゃく)市に来年5月開業予定の複合商業施設「無錫蘇寧プラザ」内に高級食品ストア「リンコス」を出店する。一般スーパー「マルエツ」や小規模都心型の「マルエツ プチ」をあわせて今後5年間で計100億円程度を投じ、100店舗、年間売上高700億円弱に拡大する。
 だが、このマルエツはイオン(31.96%)、丸紅(28.79%)と事実上のイオングループである。イオンは子会社のマルナカを通じて2%の株式も持っているため、事実上三分の一の主導権を握っているわけだ。さらにイオンは子会社のマックスバリュ東海とイオンキミシマを合併させた。さらに中華大陸へのマックスバリュ(マックスバリュ東海、マックスバリュ西日本、マックスバリュ中部)進出に三菱商事(イオンの事実上の親会社)、三菱食品(三菱商事子会社の食品問屋)が協力するなどしている。
 今のイオンを一言で言うなら膨張している感は否めない。イオンを率直に言えば今の最新鋭店舗は百貨店向けの化粧品を扱う子会社がテナントで入るなどしている。子供服大手のナルミヤインターナショナル(SBIグループ傘下)やコーセー、ポーラ・オルビスとの共同開発による商品の投入などで、百貨店とどう違うのかわからなくなってきているのだ。
 さらに価格力で強いわけだから膨張している。地方ストアで言えば最近ではマルナカグループの買収、居抜き出店、事実上のテスコジャパン買収など、膨張している感じは明らかだ。中国大手のドラッグストアザグザグ、九州のドラッグストアモリ(ナチュラル運営、グローウェルHDが20%出資)など、ドラッグストアでも膨張している(おそらくCFSコーポレーションとグローウェルを合併させ、将来的にはツルハホールディングスをも合流させるつもりなのだろうが)。
 だが、トップバリュなるブランドのために膨張し、それだけデフレを拡大させることは正解なのだろうか。この前指摘したように地元密着を掲げながらもその実態は矛盾している。それでイオンは正しいと言えるのか。もう少し深く洞察してもらいたい。

2012年10月11日
誰のための買収か ソフトバンクの場合
ソフトバンク、イー・アクセスを買収 完全子会社化

 ソフトバンクが株式交換によりイー・アクセスを完全子会社化することで合意した。
2012年10月01日 17時02分 更新
[ITmedia]

 ソフトバンクとイー・アクセスは10月1日、株式交換によりソフトバンクがイー・アクセスを完全子会社化することで合意したと発表した。
 同日夕、都内で両社が記者会見を開き、ソフトバンクの孫正義社長とイー・アクセスの千本倖生会長が発表した。
 「相互の経営資源を迅速かつ効率的に活用できる体制を築くことができ、モバイルブロードバンドの普及を一段と加速させていくことが可能になる」としている。
 イー・アクセスの携帯電話サービス「イー・モバイル」事業は継続する。
 孫社長は「1.7GHz帯がカギ」と話し、LTE世界標準バンドの1.7GHz帯でLTEを既に展開しているイー・アクセスと組むことで、ソフトバンクが展開する2.1GHz帯でのLTEと組み合わせ、LTE競争で優位に立つ狙いを説明。iPhone 5は「ハードを一切変更することなく1.7GHz帯に対応できる」という。
 買収は「ソフトバンクから強烈なラブコールした」という。きっかけは「テザリング」。イー・アクセスとの統合によりネットワークに余裕をもたせる狙いがあったという。iPhone 5でのテザリングサービスは来年1月15日スタートの予定だったが、これを前倒しし、12月15日にスタートする。
 またiPhone 5のパケット定額(月額5460円)では月間1.2Gバイト超の場合は速度制限をかける場合があるとしていたが、制限を取りやめ、1Gバイト/3日間超過時に速度制限をかける場合がある、と他社と同等の条件にする。

 この買収劇ではKDDIも周波数帯拡大を狙い、ソフトバンクより早い時期からイー・アクセスや、同社の筆頭株主で約3割の株式を保有する米ゴールドマン・サックスに接近していたそうだがソフトバンクの好条件の前に敗れ去ったのが現実である。
 1800億円の買収金額で果たして、ソフトバンクは何を得られるのか?この買収で得られるインフラ価値で7200億円(新しい周波数帯(1.7GHz帯と、3.9世代向けに割り当てられた700MHz帯)や顧客基盤を獲得、ネットワークの共用)であるほか買収に当たり、TOB(株式公開買い付け)ではなく有利利子負債7900億円程度を膨らませないために株式交換を用いる(ただイー・アクセスの純有利子負債(6月末で約1850億円)が加わる)。
 シェアで見ると傘下のソフトバンクモバイルとイー・モバイルを合わせた携帯電話の累計契約数は約3434万件、更にウィルコムの約500万件をいれると、3589万件で業界2位のKDDI(au)を抜いて実質業界二位の3911万件になるわけだ。
 ソフトバンクはイー・アクセス社員をレイオフしない方針だ(ウィルコムのスポンサーになった際にも同様の措置を取った)。私は思うが、買収がいつもユーザーや顧客をそっちのけにしたものになりがちなのだとしか思えない。今私はウィルコムを使っているがWindows Mobileの機種がなくなったので不便だ。携帯電話外者の都合だけで方針が変わるのではたまったものではない。
 それでいいと言えるのだろうか。ぜひともソフトバンクにはWindowsフォンの販売を継続願いたいし、せっかく買収したのだからウィルコムからソフトバンクもしくはイーモバイルへの乗り換えをしやすくして欲しい。さらに注文状がイーモバイルにある。クレジットカードでの支払いだけという現在の支払方式を銀行口座を持っている人にまで拡大することだ。
 それができてこそ、初めて顧客あっての買収になる。

 残念な買収劇がまたあった。
 財経新聞より引用する。

ゼンショー、食品スーパー「マルヤ」にTOB 買収額は約35億円
2012年10月4日 11:38

 牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス(HD)は3日、首都圏で地域密着型の食品スーパーマーケットチェーンを展開するマルヤの普通株式を公開買付け(TOB)により取得し、同社を買収すると発表した。
 公開買付けの期間は2012年10月4日から2012年11月1日まで(20営業日)。買付け価格は普通株式1株につき150円。買付額は約35億円となる見込み。
 マルヤは、1962年に生鮮食料品等の小売販売を目的として埼玉県春日部市に設立された会社であり、1994年に店頭公開、1995年に東京証券取引所市場第二部上場を果たした。同社は、2012年2月20日時点で、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県に50店舗を有し、生鮮食料品・非生鮮食料品・日用品雑貨等を主体とした地域密着型スーパーマーケットチェーン「マルヤ」を展開している。
 一方、ゼンショーHDは、牛丼チェーン「すき家」のほか、和風牛丼・京風うどんの「なか卯」、スタンダードレストランの「ココス」及びハンバーグ&ステーキレストランの「ビッグボーイ」等を全国的に展開するなど、フード業の経営を幅広く行っている。
 今回、ゼンショーHDは、同社からの商品供給や共同仕入れにより、マルヤの商品力の向上を目指す。精肉に関しては、ゼンショーHDグループでは牛肉を中心に多量の畜産物を扱っていることから、共同仕入れによる調達力を強化できるという。青果では、ゼンショーHDの子会社であるユナイテッドベジーズが日本全国に開発した産地からの直接仕入れ、さらに様々な業態への出店で培った店舗運営ノウハウにより営業強化を図る。そのほか、鮮魚、デリカ、食品と、あらゆる分野でゼンショーHDの仕入れ・調達ルート・商品開発ノウハウ等を活かし、マルヤの企業価値向上を目指す。
 また、マルヤの不採算店舗や閉鎖店舗の業態転換やリーシングをゼンショーHDグループ全体で取り組み、ゼンショーHDの出店力を活かして小売店舗とレストランの複合店舗の出店も含めて新規出店を行い、店舗数の増加を目指す。

 そんな暇がゼンショーにあるなら、まずは悪徳極まりないブラック会社の体質改善を急げと言いたい。
 1.非正規労働者で希望するものは全員正規雇用職にする。
 2.すべての時間外残業を禁止し、それだけ地域限定正社員を採用すること。
 3.ハラスメントをやらかした従業員は三度警告の上左遷すること。
 4.経営陣は非正規労働者の年収の8倍以上の報酬を受け取ってはいけない。
 この四点を直ちに実施すれば抜群の利益を稼げる企業に成長する。

2012年11月25日
「1+1=2」とは限らない
 今回は小学校の算数から取り上げる。
 この1+1=2というのは加法の数式のひとつである。しばしば、最も単純な計算問題として言及され、様々な比喩に用いられる。計算結果が 2 とされる初等的な意味の他にも、抽象的な意味を持ち得る。だが、これは深く突っ込んで話していかねばならない。
 数学基礎論から申し上げると初等教育では 1+1=2 は自明のこととして扱われるが、公理から出発して証明された命題のみを真実として認める、というエウクレイデス以来の哲学からすると、1+1=2 の論理的な位置付けを明らかにすることが望まれるということだ。
 では、それが確かなことを考える必要がある。実際社会で取り上げると、JAL(日本航空)とJAS(日本エアシステム)が持ち株会社で経営統合した時メディアは最強連合と持ち上げた。彼らいわく1+1=2というわけだ。だが、そうじゃない。JALは経営統合以前にものすごい数の労働組合を抱えていた。しかもその一つ一つが会社との癒着を深めていた。その結果1+1=-10という形、すなわち会社更生法の申請に追い込まれたのだった。無論労働組合だけのせいではない、そこに関わった無数の政治家の口利きの結果もある。
 失敗したケースとして、キリンビールとサントリーの経営統合の話もある。確かに経営統合を双方は計画したが主導権で問題となった。サントリーの株主は鳥井一族である。その鳥井一族が経営統合後の会社の経営権の主導権を握ろうとしたのだった。
 更にサントリーはキリンビールが苦労して買収した協和発酵キリンの売却を求めたのだった。キリンにとってはバイオ製薬産業への参入には欠かせないピースだったのだ。そうして経営統合はご破算となったのだった。まあ、旧三菱と旧UFJの意識の違いもあったのかもしれないのだが。
 その旧三菱と旧UFJで話があるとすれば、旧東海系列のセントラルファイナンスが三井住友カードと提携したのは旧三和への反発もあったのだろう。三菱UFJ誕生は単に1+1=2ではなく、1+1=3となってしまっていたのである。
 金融で経営統合に苦労しているみずほ銀行だが、これも何のことはない、DKB(第一勧業銀行)と富士銀行のメンツのせめぎあいに過ぎなかった。日本興業銀行について言うなら、企業向け融資銀行だったのでそれほど問題はなかったのだ。そして同じような関係は親密な証券会社の経営統合でも言えた。みずほ証券(第一勧業証券および富士証券と興銀証券と農林中央金庫の子会社である農中証券、旧興銀系の新光証券)、旧日本勧業証券と角丸証券が合併してできた日本勧業角丸証券(勧角証券)と公共証券(NTTグループ)と合併してできたみずほインベスターズ証券が合併しすることになったのだが、これもかなりの主導権争いがあったのだ。
 思想にしても同じ事は言える。無理に同化することや思想を押し付けることはない。もともと違うのだからだ。保守思想の人もいれば左翼思想も右翼思想もあるわけだ。それらを一つにまとめようとしたのがヒトラーであり、スターリンであり、ニコラエ・チャウシェスクであり、毛沢東だったではないか。私はそうしたものを心より嫌悪する。そうした輩に政治家としての権力を握られることは実に怖いし恐ろしい。
 これで思い当たる人たちは手に胸を当てて考えて欲しい。話を聞いて欲しいと思うのなら、相手の思想を認めることからはじめるべきだ。相手を否定するのではなく、相手に建設的な提案を持ちかけること。つい最近私にコメントをしてきた人たちはその約束を守っているのだ。
 これは複雑な思想である。肯定するのでもなく否定するのでもないのだ。提案することだ。そして相手の提案に自分の提案を示し、融合していく。それが、人なのだから。

この記事へのコメント
>旧三菱と旧UFJで話があるとすれば、旧東海系列のセントラルファイナンスが三井住友カードと提携したのは旧三和への反発もあったのだろう。

わたしは、旧UFJ銀行の前身の(株)東海銀行に1979年に入行し、リテール部門(個人向けローンなどの融資)を経て、法人向け融資を長年担当しておりました。三和銀行(筆坂秀世氏の出身行…(笑))と合併し、UFJ銀行を設立した目的は、東海地方に基盤がある当行と、関西方面に強い三和さんとの利害が合致したことや、リテール部門や法人部門のそれぞれの強味を補完しあったものとの認識を、わたしは持っています。現在の三菱東京UFJを取り巻く環境や戦略等については、小野哲さんのご考察の方が、精緻であると存じます。 いずれにしても、メガバンクは、金融機関本来の社会的使命を想起し、健全な民主的経済の発展に寄与すべきでしょう。 そういった面で捉えれば、脱原発の立場や、儲け主義の高利カードローン業務等から撤退した、東京巣鴨の『城南信金』さんなどが、金融機関の鑑ではなかろうかと、わたしは個人的に考えます。 三菱東京UFJの新頭取は、国際金融畑を歩んだわたしと同郷岐阜出身のバンカー今井信行氏ですが、国際金融市場でのマネーゲームから一刻も早い撤退の英断をし、中小零細企業の生き残りを支援すべきです。そうすれば、長い目で見た場合、金融機関の範になり、あらゆる方面での信頼も厚くなると、わたしは考えます。新自由市場原理主義経済は破綻していることが白日の下に晒されている現在、マネーゲームに現を抜かしている場合ではない筈です。
Posted by 青い鳥 at 2012年11月25日 20:19
先のわたしのコメント、下記の通り訂正ください。

三菱東京UFJの新頭取の氏名を誤記しました。

【誤】 今井信行

【正】 平野信行

小野 哲さん…
研修ですか?、、良い方向へ向かっておみえみたいで、安心しました。お互い、マイペースを保ち、焦らずに一歩一歩、歩んでいきましょう。p(^-^)q

Posted by 青い鳥 at 2012年11月26日 08:23

2013年02月20日
イオングループの三菱商事グループ入りは時間の問題である
イオン、通販子会社の全株取得 三菱商事から
2013/1/18 21:34 日本経済新聞
 イオンは18日、グループで60%を出資する通信販売子会社デジタルダイレクト(東京・千代田)について、三菱商事から残り40%の株式を全て取得したと発表した。取得額は非公表だが、数千万円とみられる。
 デジタルダイレクトはシニア向けに食品や衣料品などの通販を手掛けている。イオンは2009年にグループで合計60%を出資していた。「シニアシフト」「デジタルシフト」を成長の柱に掲げるイオンはグループの顧客基盤を活用しながら、デジタルダイレクトの通販事業を拡大する。

 このニュースは三菱商事がイオングループを完全に買収できるということを意味している。
 イオンの筆頭株主は三菱商事である。だが、イオンはダイエーを買収するという目的もありとりあえず全方位外交を貫いている。ダイエーの筆頭株主はあの丸紅だ。丸紅はあのロッキード事件を起こした過去がある。
 さらにイオンはコンビニ強化をもくろんでおり、三菱商事子会社のローソンとイオン傘下のミニストップが情報端末LOPPI導入や日本郵政グループと提携するなどしている。イオンはファミリーマートにも秋波を送っていたがファミリーマートは伊藤忠商事を通じてユニーホールディングスとの提携に踏み切った。ユニーと提携しているのはイズミヤ、フジだ。ユニーにはコンビニ子会社のサークルケーサンクスがある。ファミリーマートとの合併も時間の問題といわれている。
 そうしているうちに1月、金沢市に本拠を持つ東京ストアーという食品ストアが民事再生法を申請した。現時点ではスポンサーはいない。豆腐製造会社やパン製造会社、美術品販売会社なども設立したこの会社は最盛期の二〇〇一年三月期には県内に十七店舗を構え、約百八十二億円の売上高があったが、県外の大手スーパーなどが郊外に大型店を展開し、同社も店を大型化したが後手に回った。一二年三月期の売上高は約百三十六億円にまで減り、赤字が約二億五千万円あった。さらに、バブル期に計画した中国への出店などが約十億円の赤字を生み出し、バロー(岐阜県)に虎の子の売れ筋店舗3店を売却した結果自滅したのだった。
 こうした食品ストアの倒産で困るのは地域の顧客だ。今頃自動車で郊外に出てイオンです、ユニー・アピタですと買い物できるのであろうか?コンビニにしても、値段という課題がある。だからこそ、地域ストアの維持は生活インフラのためにも必要なのだ。だが、ゾンビのような経営再建案ではいけない。会社更生法による公平な会社再建と運営できる規模の経営を行うことこそが必要なのだ。

2013年03月25日
イオンが町中を支配する

消費者にとって吉か凶か 気がつけば…町中は右も左もイオンばかり
【政治・経済】
http://gendai.net/articles/view/syakai/141510
2013年3月18日 日刊現代掲載

ついにダイエーを完全子会社化
 流通大手の「イオン」が「ダイエー」を完全子会社化する見通し、と報じられた。イオンは現在、ダイエー株を約20%保有。筆頭株主の「丸紅」が持つ29%の株の買い取りを打診、さらにTOBで過半数の株を握る計画だ。
 もともと三重の小さなスーパー「岡田屋」に過ぎなかったイオンは、90年代から地方スーパーの買収や資本参加で規模拡大を加速。「ヤオハン」「マイカル」「いなげや」「パルコ」「テスコジャパン(「つるかめ」運営(旧シーツ―ネットワーク、フレック、クリーンストア)、イオンエブリが運営)」「マルエツ」……などを次々と傘下に収め、今月には「ピーコックストア」の買収を発表したばかり。ダイエーを手に入れれば、売上高6兆円超の巨大流通グループが誕生する。
「輸出産業は『アベノミクス効果で円安』と大ハシャギですが、食料品や日用品の多くを輸入に頼っている流通業には大逆風です。値下げ競争の激化に加え、来年には消費税もアップという“三重苦”。イオンとしては、一刻も早く経営基盤を強化したかったのでしょう」(流通業界事情通)
 とはいえ、こうなると右を向いても左を向いても町中、イオンの店舗ばかりになる。イオンの拡大戦略は消費者にどんな影響を及ぼすのか。
「企業規模が大きくなれば、『バイイングパワー』が増す。今以上にメーカーに価格や仕入れ値を安くするよう強く迫れるようになります。食料品、日用品が主体のスーパーは、売値こそが最大の競争力。ダイエーの完全子会社化は、ライバルの『セブン&アイ』に対抗する上でも重要な戦略です」(経済ジャーナリストの永井隆氏)
 消費者にとっては、より商品を安く手に入れることができる機会が増える。メーカーへの交渉力が強まることで、利益率の高いプライベートブランド(PB)の「トップバリュ」だって、これまで以上に品揃えが増えそうだ。
「『イオン』は13年2月期で約7000億円と見込むPB商品の売上高を、14年2月期には一気に1兆円に引き上げる計画を立てている。今回のダイエー完全子会社化も、その流れの一環でしょう」(経済誌記者)
 コメも野菜も菓子も洗剤も衣服も寝具も……。身の回りのモノがすべて「トップバリュ」で占められる日もそう遠くないかも。これで本当にデフレから抜け出せるのか……。


 イオンがダイエーを買収するといっても、私は40%前後の出資にするのだろうとみている。
 その理由は簡単だ、イオンは子会社のイオンリテールを使ってダイエーに吸収合併させるはずだ。存続会社はダイエーだが社名はイオンリテールになるはずだろう。そうすれば、イオンは過剰な出資を避けられるわけだ。さらにこの買収には意味がある。
 ダイエーには百貨店子会社がある。中合といい、東北一体に店舗網を構える。そこでイオンは中合にビブレ、フォーラス、ボンベルタ成田と統合させて百貨店にするはずだ。ダイエー子会社のオーパもなんだかの措置を講じるはずだろう。
 更にありうるとすれば東京都への進出である。三越伊勢丹グループの誕生により松屋は浮いた形である。恐らく出資するのではないかと私は見ている。有楽町西武跡地への進出にイオンはこだわっていたというのだから、なんだかの形で出店するのではないか。
 とにかく、小売業界の動きは今25年前とは激動の時代になった。松坂屋と大丸の経営統合、三越と伊勢丹の経営統合、そしてセブン&アイによるそごう・西武買収。GMSにしても、イオンによるマイカルの買収、そしてイオンと三菱商事の提携による最有力ネットワークの形成(三菱商事は成城石井、ローソンの親会社)である。西友はウォルマートと提携したものの、居抜き出店しかできない。
 だが、イオンにしか選択肢がないのはおかしい。私はそう思う。

2013年03月27日
ダイエーとイオンの経営統合は何をもたらすか
UPDATE1: イオン<8267.T>、ダイエー<8263.T>株を1株270円でTOBへ 連結子会社化
2013年 03月 27日 16:45 JST
[東京 27日 ロイター] イオン(8267.T: 株価, ニュース, レポート)は27日、ダイエー(8263.T: 株価, ニュース, レポート)株を公開買い付け(TOB)し、連結子会社化すると正式発表した。TOB価格は1株270円。筆頭株主である丸紅(8002.T: 株価, ニュース, レポート)は、保有するダイエー株29.34%のうちの24.34%を応募する。イオンとダイエーの売上高の合計は6兆円を超え、巨大流通グループが誕生することになる。
 TOBは、公正取引委員会の企業結合審査が終了次第、実施する。審査が1次で終了した場合は4月上旬に開始することになるが、2次審査まで進むと、7月中旬ごろにずれ込む可能性がある。
 イオンは丸紅からの応募分とすでに保有しているダイエー株とを併せ、44.23%の株式を保有する。また、取締役の過半数をイオンから送り込む方針。ダイエーの上場は維持する。ダイエーの商号、店舗名、従業員の雇用などの変更も行わない。
 ダイエーは、イオンによるTOBに賛同している。また、丸紅は引き続き5%のダイエー株を保有し、「ダイエーの発展のためにイオンと協力を行っていく」としている。
 TOB価格270円は、26日の終値317円に対して14.83%のディスカウント、直近3カ月の終値の単純平均222円に対して21.62%のプレミアムが付いている。
 TOBには上限は付いておらず、買付代金の上限は403億円。ただ、27日終値もTOB価格を上回っており、応募で合意している丸紅分を除いて、どの程度応募があるかは不透明だ。
 イオンは、中期経営計画で「アジアシフト」「大都市シフト」「シニアシフト」を掲げている。今月に入り、J.フロント リテイリング(3086.T: 株価, ニュース, レポート)から食品スーパー「ピーコックストア」(東京都杉並区)を買収すると発表しており、都市での店舗強化に向けた投資を積極化させている。ダイエーの連結子会社化も大都市シフトの推進に資するほか、ダイエーにとっても、スケールメリットを活かした商品の調達、物流やシステムの効率化などを図ることが可能となるとしている。イオンは、グループのプライベートブランド「トップバリュ」などを活用してダイエーの立て直しを急ぐ。
 イオンのフィナンシャルアドバイザー(FA)はSMBC日興証券。
 イオン、ダイエー、丸紅の3社は、午後5時15分から記者会見を行う。イオンは岡田元也社長、ダイエーは桑原道夫社長、丸紅は岡田大介常務執行役員が出席する。
 (ロイターニュース 清水 律子)

 私が現在通っている地域にはダイエーとイオンが今度子会社化する食品スーパーがある。
 一般株主からの応募も含めて発行済み株式の5割超の取得を目指すようで、その後イオンリテールとの経営統合を行うのではないかとみられる。恐らくイオンはダイエーの屋号をイオンに変更する可能性が高いと思われる。
 また、同地域にあるイオンとダイエーの重複店舗についてはダイエー子会社の中合に譲渡したうえで百貨店化する可能性があるとみている。ただですらイオンは最近ファッション面でも強化を進めている。イオンの場合、ビブレという有力チェーンがある。恐らく、フォーラスという旧イオン系のファッションビルを統合するだろうがそのほかにもダイエーにはオーパという同様の業態の子会社がある。オーパにビブレ、フォーラスの事業を譲渡したうえで中合の立て直しに入るのではないかと思われる。
 イオンはこの買収でスケールメリットを追求すると同時に1兆円以上の債務を返済するべく動くのではないかとみている。その次に百貨店の買収に入るのではないか。だが、そんなに大きくしていいのか。

 
イオンから始まる流通大再編 百貨店進出もあると専門家予測
2013.03.06 07:00 週刊ポスト
 売上高5兆円を超える巨大流通グループのイオンが、首都圏で88店を展開するスーパーマーケットのピーコックストアを300億円で買収する。いま、総合スーパーやコンビニなどと激しい価格競争を繰り広げた食品スーパーは、経営が苦しくなり再編の渦に巻き込まれている。その象徴が今回の買収劇だったといえる。
 イオンにとっても、“首都圏シフト”は急務だった。大手紙の経済部記者が語る。
 「イオンの弱点は、イトーヨーカ堂やセブン―イレブンを展開するセブン&アイに比べて首都圏に拠点が少ないこと。いまやイオン陣営にはダイエーやマルエツといったスーパーのほか、コンビニのミニストップ、小型店のまいばすけっと、その他ドラッグストアがあるものの、都心部はまだ攻めきれていない。今後もいろんな業態を手中に収めながら、グループ規模を拡大させてセブン&アイの追撃を許さない戦略だろう」
 東京・名古屋・大阪の3大都市圏に日本の人口の51%が集中しているとのデータもあり、今後、さらに都市部への人口回帰が続くとなれば、イオンの戦略もうなずける。
 「買い物の行動半径がどんどん狭まる中、郊外で大きな店舗を構えて待っているだけでは経営は行き詰まる。ダウンサイズ化してどんどん都心部に入らなければ商機はない」(前出・記者)ため、イオンのような総合スーパーが業態の“分割”を迫られているのだ。
 しかし、ピーコックの買収は単なる首都圏スーパーの陣取り合戦にとどまらず、流通業界全体の構図をガラリと変える大再編の“序章”に過ぎないとの見方もある。
 流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏がいう。
 「日本の流通業界は大手グループと総合商社のがっちりとした連携によって成り立っています。2強でいえば『イオン・三菱商事VSセブン&アイ・三井物産』の覇権争いです。そう考えると、三菱商事傘下のローソンがイオングループのミニストップと一緒になっても何ら不思議はありません」(前出・鈴木氏)
 既に、ローソン店舗にある情報端末の「ロッピー」を、ミニストップに順次導入するなど、両コンビニは親和性を深めている。また、三菱商事系ファンド会社が買収した高級食品スーパー・成城石井との合流も囁かれている。
 さらに、イオンが譲り受けたピーコックは大丸松坂屋百貨店を運営するJ.フロントリテイリングの傘下。なんと、スーパー買収を契機に、百貨店との連携まで深めたい思惑が絡んでいるとの憶測がある。
 「イオングループに唯一欠落している業態は百貨店です。かつてイオンとJ.フロントは、パルコ買収を巡って取り合いをしたために敵対関係にあると見られていました。結局、パルコはJ.フロントの子会社になりましたが、今回、ピーコックを差し出すなど接近したということは、将来的にイオンとJ.フロントが百貨店を通じた共同販促のような形で連携を深めるきっかけになるかもしれません」(鈴木氏)
 イオンが本当に百貨店の経営参画まで視野に入れているとしたら、あまりにも壮大な再編、そして寡占化が進むことになる。
 「コンビニもスーパーも百貨店も首都圏ではオーバーストアで、採算の取れる適地が限られています。だから、イオンのように資本提携やM&Aを繰り返しながら、それぞれの既存マーケットを深堀りしていくしかないのです。首都圏は小売業にとって最後にして最大の攻略マーケットといえます」(鈴木氏)
 拡大を続けるイオン。果たして流通コングロマリットの最終形はどこにあるのか。

 イオンは将来的にはJ.フロントと合併するかもしれない。
 そのためにもイオンは高級食材部門のトップバリュを計画している可能性が高い。それが、ピーコックストア買収の意図にあると私は見ている。それでも私は言う。
 本当にこの拡大はいいのかと。

2013年04月29日
ユーザーそっちのけの買収劇にシラケすら覚える

米衛星放送大手:スプリント買収提案…ソフトバンク上回る
毎日新聞 2013年04月15日 22時23分(最終更新 04月15日 23時12分)

 米衛星放送第三位ディッシュ・ネットワークは15日、ソフトバンクが買収を決めている米携帯通信大手スプリント・ネクステルに対し、買収を申し入れたと発表した。総額255億ドル(約2兆5000億円)とソフトバンクによる買収額を上回っており、スプリントをめぐる買収合戦に発展、ソフトバンクは戦略の見直しを迫られる可能性もありそうだ。
 ディッシュは携帯電話通信に使える電波の周波数帯を保有。約1400万人のテレビ加入者も抱えており、統合効果が高いとしている。チャールズ・アーゲン会長は声明で「ソフトバンクより優れた代替案をスプリント株主に提示している」と述べた。(共同)

 この買収劇もそうだが、ソフトバンクによるスプリント買収も私は疑問的にみている。
 ソフトバンクグループのユーザーにどんな利益があるのだろうか。そのことについては以下のサイトが詳しい。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1012&f=business_1012_017.shtml
ソフトバンクが米スプリントを買収する5つの利点(要約)
1 より大きなネットワーク。スプリント株の過半数を獲得することで、ソフトバンクは米国内のコンテンツ配信のための新しい大規模なプラットフォームを得られるだろう。米国で同1位のAT&Tや2位のベライゾン・コミュニケーションズにとっても強力なライバルとなる可能性がある。
2 ソフトバンクとスプリントの買収は、他方面においても強力な基盤を築くことになるかもしれない。スプリントは世界のIT企業を歓迎する大手の企業顧客を抱えている高速無線通信サービスのクリアワイヤの過半数株を買収している。
3 製品の多様性。スプリントは米国の主要通信キャリアとしては最も遅い2011年第4四半期に、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の取り扱いを始めた一方、スプリントはアンドロイドOSの開発元であるグーグルとも、良好な関係を築いている。端末の調達台数を増やして交渉力を高めることで、端末開発や販売が従来より有利に進められるほかネットワーク機器調達力の向上も可能。
4 高速データ通信サービス「LTE」の拡充が期待できる。IBMのライバルであるヒューレット・パッカード(HP)やデルなどにとって、魅力的な提携先となるかもしれない。
5 スプリントをより大きなコンテンツサイトとする。ソフトバンクのニュースサイトやメディアサイトなどから、スプリントは恩恵を受けるだろう。また、ソフトバンクがかつて投資していたヤフーとの業務提携の可能性もある。ヤフーがソフトバンクとスプリントにつながる可能性もあることから、グーグルやマイクロソフトのビングなど、他のウェブサイトにとって新たなライバルとなる可能性もある。

 だが、これに欠落しているものがある。
 ソフトバンクモバイルユーザーへのメリットだ。端末が安くなるとかそんな事ではない。料金はどうなのかということやどんなサービスを提供するかだ。買収というド派手なアドバルーンでは問題は解決できない。
 それでも、ディッシュによる非現実的(お漫画そのもの!!)な買収劇は論外であり、私はソフトバンクによるスプリント買収には条件付きで賛成している。携帯電話に成長分野があることは誰の目からして当然なのであり、ディッシュはその時間を買おうと焦っているのである。
 そこでソフトバンクと強い提携関係にあるスプリントを乗っ取ろうとあほな茶々を入れているのだ。だがディッシュには深刻な債務がある。この買収がうまくいかないのは明らかで、他力本願的な条件ばかりがそろっているのもそこだ。
 そこで、ディッシュに言いたい。買収劇から手を潔く引き、ユーザーの為になることをしてほしいと。ソフトバンクモバイルがスプリントを買収することは時間の問題だ。そこで、ディッシュはソフトバンクと提携して、10%の出資を受ける代わりに日本に自社の放送コンテンツを輸出すればいいのである。当然、ディッシュの放送内容をそのままアメリカではスプリントが独占して流す契約にすればいい。さらには21世紀フォックス(ソフトバンクと親密)にも出資してもらうのだ。
 この提携はディッシュにとってもソフトバンクにとってもいい。ディッシュは放送事業の拡大になるし、ソフトバンクはコンテンツの確保にもなる。また日本のアホバカな放送局に強烈なダメージを加えられる面もある。日本に欠けているのは市民コンテンツだ。市民コンテンツをこの放送局に流し込めば、日本テレビをはじめとするメディア産業にとっては打撃だ。
 また、携帯電話ばかりかソフトバンクテレコムとこの提携関係を拡大するのもいい。そうすることでソフトバンクは通信と放送の一体化を進められる。ド派手な買収劇よりも大切なのはユーザーなのだということを忘れないでほしい。