2013年9月18日水曜日

いじめの悪循環は断てないのか

 
 大今良時の「聲の形」に見る、いじめ論を考えたい。
 これは漫画ではありえない、本当の姿である。日本社会についてはニューヨーク医科大学助教授にして精神科医、そして厚生労働省の天敵で知られていた宮本政於氏のエピソードを取り上げたい。宮本氏は厚生省に入った後価値観の違いから凄まじいいじめ被害を受けた。
 だがその歪みを厳しく指摘し、「お役所の掟」でその前近代性を暴いた。その結果、厚生省はデマを流して宮本氏を不当に懲戒解雇したが、その後は老人ホーム賄賂事件が暴かれる、薬害エイズ事件などありとあらゆる失態を犯した。つまり、宮本氏に閉鎖性を見事にまで暴かれたのである。ではなぜ宮本氏は不当にいじめられたのか。
 私は「聲の形」と共通したものを見出す。要するに同調化の強要だ。ここでいういじめられる動機は難聴者でありガキ大将だったという、くだらない動機だ。当然ガキ大将もいじめていたことを考えると許せるものではないが、同調効果の強要をやればその段階でカルトと同じなのである。宮本氏がいじめられたのは恐らくそのファッション性と、英語、そして精神分析能力だったのだろう。
 そこに日本がグローバル化社会に生き残れない大きな要因がある。徹底した異端の排除だからだ。竹中平蔵のような保身に長けた愚か者は生き延びても、植草一秀氏や伊波洋一氏のような人物はありとあらゆる苦しみを受ける。そしてその結末はすさまじいまでのファシズム社会だ。しかもこの同調化効果で始末に負えないのは加害者や傍観者どもが「善意」で対応している故にある。
 

地獄への道は善意で舗装されている

マルクス著『資本論』第1巻第3編第5章第2節「価値増殖過程」

 いじめが犯罪そのものであることは論を待たないことなのだが、民事上のこととされて隠避されているのが今の実態なのだ。それでいいのだろうか。
 過去のコラムを引用したい。なお、コメンターの方々の見識の高さに私は救われている。

 2012年07月06日
荒らし投稿者の心理

 荒らし投稿者を精神分析で見てくると、ある特徴が見えてくる。
 私がGoogleで検索したら、こんなサイトを見つけた。荒らし投稿者は自己愛性人格障害当事者と言うのだ。その特徴をここにまとめる。

 自己愛性人格障害の主な9つの特徴
1.自分の重要性は大変大きなものであると考えている
2.限りない成功、権力や才能といったものの空想にとらわれている
3.自分が特別な人間であるため、地位の高い人にしか自分は理解されないと思っている
4.過剰な賞賛を求める
5.自分だけに特別な計らい、特権があると思っている
6.自分自身の目的の達成の為なら、他人を利用する
7.他人に対する共感の欠如
8.他人に嫉妬する
9.尊大で傲慢な態度や行動をとる

 この前私や青い鳥氏、フリスキー氏に喧嘩を売ってきた愚か者はこの中で3、4、6、7,9に相当する。この種の病気を正すには精神科の認知行動療法しかないのだが、本人が受けると言う意思がない限り無理だろう。
 そこで、プロバイダーに提案したい事がある。今までのネット利用は基本的に性善説と私は思っている。あくまでもプロバイダーとユーザーの契約は悪用しないでしょうと言う性善説だが、それではユーザーのモラルにゆだねられるだけだ。確かにユーザーの中にはきちんとした人はいるのだが、2・6・2の法則もあるように、必ず悪に走るものがいる。
 そこで、私は性悪説による契約にすべきと考えている。すなわち、人間は悪を犯す生き物なのだから事前に警告すべきだと言うことだ。そのために荒らし投稿には事前にIPアドレスの強制公開を行なうと言う警告をしている。それで無益な荒らし投稿は減った。
 またサイトによっては違法アップデートや下半身で稼ぐ連中もいる。そうした連中へのけん制として、契約する際に「公序良俗に反した使い方をしていたと発覚した場合はプロバイダーの利用権を一時停止します」の一文を盛り込むのも一つのアイデアだ(だがこの提案には欠点がある、介入する際の基準があいまいで場合によっては権力者に悪用される可能性もある)。
 だが、他にもいいアイデアがあると思う。そのアイデアがあれば私はそのアイデアを採用してでも前に進みたいと願う。


この記事へのコメント
>その病気に気がつかずにいじめられたりパワハラ被害を受けたりして、何もかも失った事もあります。そのために人との付き合い方もごく少数の人しか付き合わないと言う鉄則にせざるを得ませんでした。

たいへんなご経験をされましたね…、わたしは、ご本人ではありませんので綺麗ごとや、偉そうな知ったかぶりは、言いたくないのですが…、わたしの51年の人生のなかで、今が何もかもが最も悪くなってきていると思います。社会に寛容さがなくなり、それに比例して人間性や優しさも削ぎ落とされ、ことごとくが悪くなってきた様に思えてならないのですよ…。そんななか、小野哲さんの様な真っ当な方が生きずらくなってきていると思います。小野哲さんや、フリスキーさんに心から感謝してます。悪いものは、悪い…、良いものは、良いと、ハッキリ言えるまともな社会になることを望んでいます。
たまには、小野哲さん…、フリスキーさんのブログで息抜きの語らいでもしましょうよ…。気が向かれたらで良いですから…、フリスキーさんは、面白い方ですよ…。

Posted by 青い鳥 at 2012年07月07日 16:42


 青い鳥さん
 どうも私の性分がまじめすぎるのも、発達障がい故なのかもしれません。
 その性分はどうにもならないと諦めています。今の社会は一度失敗したら徹底的に攻撃される社会です。その恐ろしさをかの荒らし投稿者は知りませんね。私の中には複雑な人格があり、合理主義的思想と生真面目な性格とごちゃ混ぜになっているほかに気休めするときには気休めすると言う極端な面があります。
 そうした事に苦しんできたのかもしれません。今は精神科医によるカウンセリングを受けたりしていますので、精神的には安定していますが過去の傷はやはり重いと思います。ですから、傍観者は私にとってはいじめ加害者と同意でしかありません。


2012年07月12日
デヴィ夫人の「正義感」を嗤う
 以前からデヴィ夫人の歪みっぷりは嘲笑ものだったが、ここまで歪めばもうおしまいだ。

 【大津中学生自殺】いじめたとされる男子の名前と写真をブログに掲載したデヴィ夫人を国民が大絶賛「デヴィ夫人さんは凄く良いことをした」
2012年7月11日

 いじめを苦にしたといわれている、大津市の中学校2年生男子の自殺問題。いじめたとされる男子やその親の写真などがインターネット上に流出しており、担任教師の写真や本名まで特定される騒ぎに発展している。
 そんななか、デヴィ夫人が自身の公式ブログに「自殺した少年をいじめたとされる男子」やその親、担任教師の写真や本名を掲載し、大きな話題となっていた。するとインターネットユーザーらがデヴィ夫人を大絶賛。以下のようなデヴィ夫人を称賛する声がブログに寄せられている。
 
・いじめたとされる男子らの情報を掲載したデヴィ夫人に対する感想
「デヴィ夫人! 貴方を見直した!」
「よくぞ書いて下さいました。デヴィ婦人は世間の見方です」
「デヴィ夫人さんは凄く良いことをしたと思いますよ」
「何のお手伝いも出来ませんが、みんなデヴィ夫人の味方です」
「デヴィ夫人芸能人でここまでこの事件に触れられた事に感激しました」
「デヴィ夫人だからこそ何かアドバイスがあればお願いします!」
「デヴィ夫人の思いに深く共感しコメントさせていただきました」
「デヴィ夫人がもっとメディアに出てイジメという言葉自体を無くして欲しい」
「デヴィ夫人の様に著名で影響力の有るお方に一般人の心境を理解して頂いて、涙がこぼれます」
「怒りあふれる事件内容ですが、デヴィ夫人のお言葉に賛同します!」
「デヴィ夫人も大変だと思いますが影ながら応援させていただきます」
「デヴィ夫人の怒りが伝わってきました。私も同感です! 許せない!」
「デヴィ夫人のようなお方がこのような日記を書いてくださって本当に感謝です」
「デヴィ夫人。本当にありがとうございます。私もデヴィ夫人を支持します」
「デヴィ夫人ぱねぇっす!」
 
 基本的にマスコミは、たとえ事件を起こした男子でも、未成年の場合は名前や写真を公表することはない。しかしデヴィ夫人がアッサリと男子や親、担任教師の個人情報をブログに掲載してしまった。本来ならば歓迎されるべきことではないが、あまりにも自殺問題の内容がひどかったため、世論も「デヴィ夫人の大胆な行動」を支持するかたちになったようだ。
 
・デヴィ夫人のブログに寄せられたそのほかの意見
「本当に周りがグルになって、隠蔽隠蔽のオンパレード。こんなんじゃ、いじめが無くなる訳がない!」
「夫人の勇気ある行動に感動しました! これはいじめではなく殺人じゃないか!」
「殺人を肯定するような学校、市が日本に存在している事が驚きです」
「イジメ簡単に終わらせたくない殺人ですね。殺人よりひどい。ジワジワと精神を奪ってくのですからね」
「国をあげての大問題です。人間の道理がわからない人には、制裁を加えるべきです」
「なぜ日本は容疑者の人権を守るんでしょうね。人権とはなんなのでしょう」
「法律改正を望みたいです。そして無数に広がる子供たちの夢を、大人の勝手な都合で壊し、なくしてほしくないです」
「亡くなったあの子の命は汚い大人たちよりも尊いものだったと、思います」
「死人に口なしで終わらせない為にも少年の死が無駄にならないようこれからも訴え続けてください」
「絶対に許してはいけないと思います。未成年であれ、人を死に追い込んだことは罰するべきです」
「どうして、被害者の親族はずっと苦しんでるのにのうのうと暮らせるんだろ」
「イジメは殺人と言っていい位の犯罪です! ちゃんとした罰を与え責任を負わせるべきだと私も思います!」
「人が一人亡くなる、とんでもない事をしたのになんの罰も受けないなんてあり得ません! 死ぬ程反省するべきです」
「私には二歳の息子がいますがこんな学校社会で子供は育っていかなければいけないなんて不安で仕方ないです」
「このままだと、結局世の中真面目なやつほどバカをみるということになってしまいます」
 
 ほかにも、「この事件について、小学生の息子と話し合いました。が、とても全ての情報を伝える事が出来ませんでした。とてもショッキングな殺人事件です。ご遺族の気持ち、死ぬ事を選ぶほどに追い詰められた少年の気持ち。想像を絶するものでしょう。やりきれません」という声が寄せられていた。あなたは、今回のデヴィ夫人の行動をどのようにとらえているだろうか?

 だが、私は全く賛同できない。
 私自身ハラスメント被害者である。だが歪んだ正義感に基づく独善的な態度では被害者や遺族を逆に苦しめる事を意味する。さらに国連の人権規約にも違反する私的制裁だ。この事件に関しては中日新聞より引用する。

【社会】

中2自殺で学校捜索 「いじめ」暴行容疑 
2012年7月12日 02時06分
 大津市立皇子山(おうじやま)中2年の男子生徒=当時(13)=が昨年10月、マンションから飛び降り自殺した問題で、滋賀県警は11日夜、暴行容疑で大津市教育委員会事務局と中学校を家宅捜索した。早ければ8月中に捜査の結果を出す。
 県警によると、家宅捜索は昨年9月29日に大津市の陸上競技場での体育大会で、同級生の少年3人が男子生徒の両手を鉢巻きで縛り、口に粘着テープを張るなどした暴行容疑。男子生徒は10月11日朝、自宅マンション14階から飛び降り、死亡した。
 中学校が全生徒を対象にしたアンケートで男子生徒が「殴られたり蹴られたりしていた」と直接見た生徒がいることや、「ハチの死骸を食べさせられそうになっていたと聞いた」などの記述が複数あり、県警はこれらの強要や暴行容疑などでの立件の可否を調べる。
 県警は11日、少年課内の特別捜査隊の捜査員ら20人と大津署の5人で専従捜査チームを設置。学校と市教委の幹部らから事情聴取を始めた。今後生徒にも話を聞く。
 県警はこの日、中学校から教員の日記やノート、生徒の出席簿、市教委からいじめ関係ファイル、生徒指導の関係書類など合わせて129点を押収。市教委から全生徒へのアンケートの原本の任意の提出を受けた。
 男子生徒の自殺後、父親(47)は大津署に「処罰できる方法はありませんか」と三度にわたり被害届を出そうとした。署はいじめの加害側とされる生徒が刑法では問えない14歳未満であることなどから「犯罪事実の認定は困難」などと受理していなかった。
 県警は捜査は継続しているとしたものの、市教委や学校関係者からの資料提供もすべてではなく、次々に非公開とされた資料が明らかとなり、「大津市教委は事実を伝えているのか、一抹の不安、不信がある」(県警幹部)として、家宅捜索が入る事態になった。
 県警の満重昭男生活安全部長は「自殺を未然に防げなかった原因は何かなど、事実や原因を徹底的に究明すべきと考えた。それこそが、再発防止の前提にもなる」との異例の談話を出した。
(中日新聞)

 警察もミスを犯したのだが、ようやく調べる事になった。
 私はこの判断に一定の理解を示す。日刊現代でデヴィを厳しく批判したアイドルがいるそうなのでその記事を載せる。


大津市いじめ アイドルがデヴィ夫人の行動に疑問投げかける
【芸能】
2012年07月11日 14:00 更新
大津市で昨年10月に起きた公立中2年の男子生徒の飛び降り自殺に関連し、タレントのデヴィ・スカルノ(72)がいじめを行ったとされる男子生徒やその両親とみられる写真と名前をブログに掲載したことについて、アイドルが疑問を投げかけた。タレントの杏野はるな(24)が11日午前、デヴィ夫人の行動に疑問を呈する記事をブログにアップした。「例のいじめの件についてデヴィ夫人さんがブログで加害者と思われる方の写真等を出して、少年院に! と書いておられました。私は個人的には好きなやり方じゃありません」と書き込んだ杏野。さらに、「まず個人をどうするのではなく、全体の教師の教育、そして親の役割について動かれた方が良いと思うのです」とつづっている。

 私は杏野女史の勇気を支持する。
 デヴィはブログから、大津市いじめ事件の加害者とその両親とみられる写真と実名を削除していない(加害者らの実名はイニシャルに置き換てごまかしている限り同じ)。「健全なサイト運営にふさわしくない言葉・表現が含まれている可能性がある為アクセスすることができません」と表示され、閲覧不能にされた私に言わせるとこんな不公平な話はない。
 イコール、サイバーエージェントのコンプライアンスの問題にもつながってくるのだ。私はSeesaaに移籍して正解だったと確信している。
http://ameblo.jp/annno-haruna/

この記事へのコメント
杏野さんというアイドルの存在をそれまで知りませんでした。でも、彼女のブログを読むと、
自信が売名行為と揶揄されることさえ受け入れる覚悟のようです。この逆転の発想から本質を捉える聡明さを私は支持します。そうだよな。タレントは売名してナンボですからね。そして、大事なのは、売名だろうがなんだろうが、何を伝えるかであって。

Posted by フリスキー at 2012年07月12日 14:25

これって…少年法第61条に引っかかるんではないのでしょうか?

少年法(抄)
(昭和二十三年七月十五日法律第百六十八号)
第六十一条  家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
(総務省法令データ検索システムより)

 この件について、まだ公訴が提起はされてませんが、警察が動いていて、どこをどう考えても、いじめ加害者は家裁送致(事件発生時に満14歳以上であれば逆送もかなり高い確率で考えられる)確定でしょうから 完全にOUTだと思います。
ただし、少年法のこの条文…罰則無いんですよこれが…(というか少年法自体に「罰則規定」がない)
なので、民法上の「不法行為」で賠償は取れるかもしれませんが…そんな訴訟提起しようものなら、世論からのフクロ確定ですし…泣き寝入りしかないのかもしれません。
Posted by こっぱなお役人(北方在住) at 2012年07月13日 01:09

デヴィさん個人的に大嫌いです。
彼女のしでかした事は一歩間違えれば犯罪でしょう。
著名人がこのような事をやってはいけません。
これに浮かれる輩たちはいじめの根本を理解しておらず、明日はいじめる立場になる危うさを持っていると思います。
いじめの痛みは経験した者でなければ分からないでしょう。
デヴィさんブログ引っ越すのかと思ってましたがいまだ留まってますね。
謝罪はしているようですが。
Posted by 俊樹 at 2012年07月15日 18:46


 フリスキー様
 杏野女史のブログは直接確認はしていませんが、覚悟は本物のようですね。
 全くその通りなんです、問題は中身なんですね。「仏作って魂入れず」では意味がありません。
 こっぱなお役人(北方在住)様
 今回のケースでは少年法第61条に抵触しているのはもちろんですが、国際法違反(北京ルールズ、こどもの権利条約)です。
 ですが、日本はそうした事が守られていません。山口県光市の母子暴行致死事件でもメディア産業が被告人の実名を公開した事からこの事は明らかです(私は実名を公開したメディアのボイコットを行なっています)。愚かなポピュリズムをあおった結果こんなあほな事がまかり通っているのですね。
 神戸俊樹さん
 発言の趣旨に賛同します。
 デヴィ・スカルノの犯罪は罪には問われませんが民事訴訟に問われる可能性があります。私は複雑な立場をいじめに関して経験していて加害者の立場に立った事もあれば被害者の立場に立った事もあります。被害者になってはっきり言える事は傍観者も立派な加害者であると言うことであり、被害者にとってはいじめのこころの傷に全く時効はないと言うことです。
 デヴィは芸能界から引退すべきでしょう。もし、今回の被疑者がいじめ加害者じゃなかったと言うならば確実にデヴィはネットで関係ない人物をいじめた事を意味します。逆切れしているようですが反省の色がない事を自分から明らかにしているに等しいのです。