2013年10月29日火曜日

金融ビックバンの果てに 東邦生命保険・セゾン生命保険の場合

2012年05月01日

  
 
 


 
 今回はかなり長い話になる。
 まずは、東邦生命保険の歴史から語る必要がある。
 1898年 太田清蔵(-1946/新平。初代社長、貴院議員)により2月に「徴兵保険」設立。
 1918年 1月「戦友共済生命」設立。
 1925年 1月 徴兵保険が「第一徴兵保険」に改称。
 1932年 11月、戦友共済生命が第一徴兵保険に契約を包括移転し、解散。
 1945年 10月「新日本生命」に改称。
 1946年 太田清蔵(1893-1977/新吉、博多大丸社長)が二代目社長に就任。その関連で福岡市にビルを所有し、大丸が入居していた。
 1947年 10月、「新日本生命(相)」設立。「東邦生命」に包括移転し、解散(1948/3)
 1947年 12月、新日本生命を「東邦生命保険相互会社」に名称を変更。歴史的経緯から駐屯地や地方本部といった自衛隊施設へ出入りする営業を行っており、自衛官世帯の契約が多かった。
 1977年 太田清蔵(新太郎)が社長に就任。
 1982年 博多大丸跡地にエレデ博多寿屋が入居。
 1984年 東邦生命保険相互会社とその関連会社に働く従業員の共済制度として東邦生命福祉会設立。
 1986年 東邦生命福祉会をTOHOヒューマンセンターに改組。人事厚生、福利厚生、健康保険組合の各業務を集約し、人に関する業務全般を処理する総合福祉センターとなる。
 1995年 大田清蔵が社長を退く。それと同時に大田一族による同族経営に終止符が打たれる。
 1997年 株価の下落による運用株式の評価損発生や融資先の不良債権処理に加え、予定利率の逆ざやによって財務基盤の悪化が明らかになり、アメリカの大手ノンバンクであるGEキャピタルと資本提携し、10%出資して
合弁会社「GEキャピタル・エジソン生命保険株式会社」(議決権所有はGE:9、東邦:1)を設立。東邦生命の新規募集事業と営業部門の従業員をエジソン生命へ包括移転し、東邦生命としての新規契約は停止、この時点で東邦生命は既存保険契約の保全管理を主に取り扱う会社となった。だが1997年度だけでも前年比20%程度の保険契約の満期・中途解約の続出による資金流出があった。
 1999年 3月期決算での債務超過状態が確実視されていたが、東邦生命は同月、劣後ローンで450億円余りを調達した。さらに、渋谷の本社「東邦生命ビル」の信託受益権を約200億円でゴールドマン・サックスへ売却した。これらの資金はそれぞれ運転資金に充当されたとみられた。
 1999年 6月4日、同年3月期決算で2000億円を超える債務超過と見込まれ、トーマツによる監査では意見不表明とされた。同日、金融監督庁による業務停止命令が発令され、経営陣は自主経営の断念を表明、東邦生命は名実ともに経営破綻に至った。
 1999年 エレデ博多壽屋がビルの老朽化に伴う再開発で閉鎖。
 



 セゾン生命保険
 セゾン生命
 1975年 12月、「西武オールステート生命保険」設立。オールステート社との合弁。
 1990年 4月、社名をセゾン生命保険に変更。
 1997年 セゾングループがセゾン生命保険の株式を買い取り傘下におさめる。
 2000年 オールステート社が日本から撤退。
 2002年 10月、GEエジソン生命に吸収合併される。



 AIGエジソン生命保険
2003年 GEがGEキャピタル・エジソン生命の売却を決めたことから、8月にAIGが同社の全株式を買い受けて子会社化。
2004年 1月、AIGエジソン生命保険に社名変更。
2006年 5月、AIGグループの日本法人であるAIGスター生命保険との経営統合で合意。2008年8月29日、合併契約書締結、同年9月16日に両社の臨時株主総会での特別決議を得た上で2009年1月1日に両社は合併してAIG生命保険株式会社となることとなった(手続上はAIGエジソン生命が存続会社)。
2008年 9月、アメリカAIGがサブプライムローン問題の影響を受け、経営危機に陥ったためAIGの経営再建策の1つとして、業績が良く高値で売却の見込める日本の生命保険事業3社(同社、AIGスター生命保険、アリコジャパン)を売却することが、同年10月3日に発表されたため、合併計画を延期。
2011年 2月1日、アメリカのプルデンシャル・ファイナンシャルグループがAIGエジソン生命とAIGスター生命を買収した。
2012年 1月1日、AIGエジソン生命保険・ジブラルタ生命保険・AIGスター生命保険の3社が合併、ジブラルタ生命保険に。一方、銀行窓販チャネルについてはジブラルタ生命の子会社であるプルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険(旧・大和生命保険)へ移管・統合された。

 今回、かなり複雑な話だっただろうと思う。
 バブル経営の罪の深さがまざまざと皆さん思い知ることになっただろう。それと同時に外資系が日本の企業を乗っ取り、継続性でも怪しいことが明らかになった以上規制緩和の効果はきわめて薄いことが明らかだ。競争と安定はバランスよく配置しなければならないのだ。