2013年10月29日火曜日

金融ビックバンの果てに 平和相互銀行・太平洋銀行の場合

2012年05月03日




1913年 相互無尽株式会社を設立。
1951年 10月20日、第一相互銀行に転換・改称。経営危機を迎え、大日本無尽から相互銀行に転換した日本相互銀行の支援を受ける。しかし、再建後は富士銀行に接近して、日本相互銀行による救済合併を免れた。
1988年 1987年度決算での総預金量は6000億円、当時の当時の相互銀行業界69行中24位になる。だがこれらはバブル経済によるもので、小林千弘社長(当時)の下で、不動産業やいわゆる地上げ業者への過剰融資を展開した結果で、後々不良債権になる。
1989年 10月、太陽神戸銀行(現:三井住友銀行)、三和、富士、東海の都銀4行による管理体制に入り普通銀行(第二地銀協加盟銀行)に転換、太平洋銀行と改称。
1996年 3月、債務超過に陥り、経営破綻。4月に破綻した太平洋銀行の営業資産・店舗・行員を引継ぐ銀行の設立準備室を設置、5月に新行名「わかしお銀行」を発表。
1996年 6月6日、太平洋銀行を受け継ぐさくら銀行出資のわかしお銀行を設立、銀行免許を取得する。預金保険機構より1,170億円もの金銭贈与が行われる。
1996年 9月17日、太平洋銀行の営業資産・預金・支店網・行員・システムを引継いで営業開始。
2001年4月1日 - さくら銀行が住友銀行と合併したため、三井住友銀行の子会社となる。
2003年3月17日 バブル崩壊で含み損のあった三井住友銀行を吸収合併し、含み益のあったわかしお銀行を存続会社として、都市銀行となり三井住友銀行に名称変更した。7月22日に旧三井住友銀行のシステムと統合。


  

 

 平和相互銀行
1949年 6月1日、東北林業を小宮山英蔵(終戦直後の屑鉄売買で財を成した。政治家もいて、竹下派に属していたほかその親族が民主党の小宮山泰子議員)が買収、日本殖産株式会社として設立。
1950年3月 大日殖産株式会社を吸収して、頼母子講を近代化した形の平和貯蓄殖産無尽株式会社へ商号変更
1951年10月20日 相互銀行法の制定・施行に伴い株式会社平和相互銀行に商号変更。
1954年11月 東京住宅無尽株式会社を吸収
1974年4月1日 福徳信用組合を合併。
1979年 創業者の小宮山英蔵会長が死亡すると、グループの後継の座を巡って英蔵の娘婿だった池田勉(専務)と英蔵の長男である英一(取締役から常務)との間で対立が生じる。"四天王"を排除して実権を握ろうとした池田に対し、英一は監査役の伊坂重昭の後ろ盾を得て池田の失脚に成功する。この過程で精一社長(英蔵の実弟)も会長へと棚上げされて、やがて会長も辞任に追い込まれる。池田を失脚させて一時は経営の実権を握るかに見えた英一だったが、やがて伊坂や稲井田隆社長らを中心とする新経営陣との確執が表面化、結果として英一は常務を解任される。
1982年 不動産融資事件発覚。
1983年 馬毛島事件発覚。
1985年 金屏風事件発覚。これらは全て竹下派に関連した犯罪であり、平和相互銀行事件と称されている。
1985年8月 大蔵省銀行局長吉田正輝の陣頭指揮のもとに、10人の検査官を動員、異例ともいえる5ヶ月間にわたる長期検査を実施した。この検査で、融資額半分を占める約5千億円が回収不能の不良債権と判明する。これが報道されると、信用不安により当時1兆2000億円だった預金が瞬く間に8000億まで減少した。
1985年12月 稲井田社長が退任し、大蔵省OBだった田代一正会長が社長に就任。これをきっかけに事実上大蔵省管理となる。
1986年2月 伊坂も監査役を辞任させられる。この間、竹下登の意向を受けた大蔵省及び平和相互銀行を合併しようと暗躍した住友銀行(しかも、竹下に不正な政治献金まで行っている)の間で救済合併が準備される。竹下の悪事の実態は伊坂の証言で全て明らかにされている。
1986年10月1日 住友銀行に吸収合併される。

 今回取り上げる三井住友銀行の源流とも言える二つの銀行を私たちはシビアに見ていかねばならない。
 第一に、行員や顧客をそっちのけにシェア争いにばかり目が行きがちな経営陣の無責任さを私たちは批判しなければならない。シェアよりも大切なのは安心して預金を預けられるかではないのか。図体がでかいから安全だとは思わない。
 この前取り上げた北海道拓殖銀行がいい例ではないか。急激な成長を求めれば求めるほど足元がぐらつくのだ。この金融グループについてはオリンパスに関して不当な行為に終始しているため私は許すわけには行かない。このシリーズではまだまだ容赦なく取り上げるとだけ、言及しておきたい。また、大蔵省を受け継いだ財務省はこの悪事を厳しく反省しなければならない。
 消費税よりも、法人税・所得税・トービン税の導入が待ったなしであることはいうまでもない。さらに国会議員の意識を変えるためには給与の日当制導入は待ったなしだ。そうすることで、政治家と称するプロはいなくなり、愚直な議論が始まる(ハシゲベイビーズどもは論外なのはいうまでもないのだが)。