2014年2月4日火曜日

堕落した作家もどき 幸田真音

【佐高信の風速計】 ゴルフと麻雀

 例によって林真理子が『週刊文春』九月一日号のコラムで、「私を含めて、みんな(東電非難など)何もしなかったではないか。今だってみ んな東電協力者の “魔女狩り” が収まるのを、息を潜めて見守っているだけである」と書いている。しかし、「林のまわりでは」と限定をつけなければ「みんな」とは言えない。今さら、このしたり顔のおばさんを批判するのもかったるいが、やはり、林のような “魔女” は狩っておくべきである。たとえば、東電がスポンサーのラジオ番組を持っている作家の幸田真音という魔女が、四月二五日に東電元社長の南直哉などを発起人 として大々的に還暦祝いの会をやった時、司会をしたのはゴルフ・プロデューサーの戸張捷だった。乾杯の音頭が作家の渡辺淳一。
 『朝日新聞』OBの志村嘉一郎著『東電帝国 その失敗の本質』(文春新書)には『朝日』が原発広告を解禁していく過程が興味深く書かれているが、志村は入社した時、先輩に「ゴルフと麻雀はやるな」と言われたという。ゴルフは招待ゴルフになるし、麻雀はカネが動く。企業が記者を籠絡するには絶好のツールだからである。幸田真音を含む多くの原発文化人は多分、ゴルフで吸引されていったのだろう。
 私には高校以来の友人で、伝説の音楽プロデューサーと言われているらしい三浦光紀がいる。小室等や井上陽水など、三浦と私を知る者からは軟派の三 浦と硬派の私の結びつきに首をかしげられたこともあるが、ふと気づいたら、二人ともゴルフと麻雀をやらない。それに車の運転免許も持っていない。やはり共 通点はあるのである。
 いずれにせよ、ジャーナリストには反骨精神を持ってほしい。上杉隆と烏賀陽弘道の共著『報道災害【原発編】』(幻冬舎新書)によれば、『朝日』と NHKは南相馬市に支局があるのに早々に記者がいなくなったという。市役所の職員は「ジャーナリストっていうのはあんなもんなんですか」と言ったとか。ま た、国や東電の発表をほとんど疑いもせずそのまま書くメディアに対して、同市の土建会社の経営者がしみじみこう嘆いたという。
「いやぁ、オレたちは今まで北朝鮮のことを『ひどい国だ』『悪い国だ』『自由がない』って言っていたけど、日本も同じだよなぁ」
 上杉は、これまで「安全デマ」に加担してきた辛坊治郎の責任も追及している。
(9月2日号)




 その佐高と幸田は高杉良と一緒にかつて城山三郎経済小説大賞(ダイヤモンド社主宰)の審査員の一人だった。その幸田はいまではアベシンゾーを持ち上げるまでに堕落した。これが恥知らずと言わずしてなんというのか。
  しかも東日本大震災から1ヶ月余の425日に、東京は日比谷の帝国ホテルで『還暦祝』とやらをやらかした。その発起人などには東京電力元社長の南直哉や日本銀行前総裁の福井俊彦、そして塩爺こと塩川正十郎らが並び、作家の渡辺淳一や漫画家の弘兼憲史らがスピーチしたとか。これにはさすがに私も絶句した。
 城山氏が逝去した際に心を込めたお別れの言葉を佐高とセゾン元会長の堤清二がしたのに対して下半身に絡んだあほな事を言ってブーイングを買った渡辺が一緒なら、城山氏はあの世で嘆いている。佐高に元モーニング娘の矢口真里でさえ、結婚披露を延ばしたことにひっかけられ“常識”は矢口真里以下とこき下ろされる段階でもう、作家失格だ。