2014年5月22日木曜日

発達障がい当事者としての想い

はじめに

私は、中小企業の販促物制作のディレクションを行うかたわら、
医療系のディレクターや医療ライターのお仕事もさせていただいています。
先日、医療系の出版社のお仕事で、『大人の発達障害』というテーマで
精神科のドクターの取材(インタビュー)をさせていただき、
某情報誌に記事としてまとめさせていただきましたが、
この『大人の発達障害』というテーマが興味深く、
より多くの方々に知っていただこうと思い記事にまとめたいと思います。
会社を経営されている社長さんおよび、部下を持つ上司の方は、
ぜひ、読んでいただき、情報として知っておいていただければと思います。


大人の発達障害って何?



『大人の発達障害』と聞くと、どうしても『障害』というワードが印象的で、
何かしらの問題を抱えた人であるというイメージが強く湧くかも知れません。
実はこの『大人の発達障害』とは障害ではなく、特別視するものではありません。
(発達障害の種類にもよりますので全てではありませんが)
特に、知的障害と混同されがちですが、これもちょっと異なります。
『大人の発達障害』は、知能が低い障害ではなく、主に“性格特性”であることがほとんどです。


●対人コミュニケーション能力が低い
●問題解決能力が低い、
●想像力や気を聞かせる能力が低い


などが主な症状で、
知的レベルには問題がなく、むしろ優秀な人が多いと言われています。
これらのことから、この『大人の発達障害』を研究している
星野仁彦先生は、『大人の発達障害』ではなく『発達アンバランス症候群』と
言い換えるべきではないかと提言しています。


学童児に治療が見過ごされたケースがほとんど



発達障害とは、主に学童期見られ、思春期から成人になる過程で
しだいに症状が無くなっていくと考えられていました。
しかし、学童期に発見されず、大人になっても症状が持ち越されると、
途端に、社会で対人関係の悪化やうつ症状などの問題として表面化し、
悪化すると「適応障害」となり、この段階に精神科を受診するケースが多くなります。
本来であれば、学童期に発見され、早い段階でそれぞれのケアが必要なのです。
それが見過ごされ、大人になって症状が顕在化した状態が『大人の発達障害』です。
特に問題なのは、背景に発達障害があると、通常のうつ病の治療などを行なっても改善しないことが多いそうで、どんどん悪化し、ますます社会に適応できなくなってしまうことです。
そのため『大人の発達障害』は、できるだけ早期に発見し、それに応じた適切なケアが必要になります。


主な発達障害とは



『発達障害』にも様々ありますが、代表される発達障害は下記のような症状です。
・自閉症
・アスペルガー症候群
・注意欠陥他動性障害
・学習障害
・発達性言語障害
・発達性協調運動障害
症状の詳細はこちらを御覧ください
対人コミュニケーションがしずらく、言われたことを鵜呑みにしやすく、場の雰囲気を読んだり、他人に気を使う事、人の顔色を読むことができない、物 事の優先順位が付けられず、同時に2つの事ができない、予期せぬ事が起こった時にパニックになるなどの特徴を持つアスペルガー症候群なども非常に多いそう です。
しかし、このような発達障害を持つ人は、
とても真面目で、素直で、言われたことを真にうけとめ、
人として、とても魅力的な人が多いのです。
つまり、人よりちょっと不得意な所を
周りの人が気をつけてあげ、より良く仕事がしやすい環境にしてあげる事で
非常に高い能力を発揮できる人であることを知っていただくと良いと思います。


『もしかして大人の発達障害?』と思ったら



もしも、『もしかして大人の発達障害?』と思ったら、
精神科や心療内科を受診してみます。
『大人の発達障害』であれば、必ず子供の頃もそういった特徴があるはずです。
医師が両親から聞き取りをすることで発見できるケースが多くあります。
また、IQ検査をすることで、より明確にわかるそうです。
ただ、この「発達障害」とは脳の器質的な異常が原因で、
多くが遺伝子の問題であり、そのため親のどちらかも発達障害を持っているケースも多いそうです。
そのため、学童期には見過ごされてしまうケースも有るわけです。
よって、第三者の会社の上司や経営者が気づき、
心療内科を受診するケースもあるそうです。
周りの人が気づいてあげることも、本人にとって良い方向に働く事があります。
そして、診察の結果、『大人の発達障害』であることが分かっても慌てる必要はありません。
特別な治療は、さほど必要なく、重要なのは「身近な良き理解者」を得ることだそうです。
会社でいうならば、上司(経営者)です。
きちんと自分の特徴を周りの人に知ってもらい、自分の得意・不得意リストを作り、それを周りの人が配慮してくれればいいのです。
もちろん、本人は得意分野をどんどん突き詰めていきますので、それで出来ないこと(不得意分野)をカバーしていきます。
何よりも、身近な良き理解者の存在が、社会での適応を良好にしていきます。
逆に、これがなされず、どんどん社会で孤立していくと、精神的な症状が悪化して深刻なうつ病になったり、依存症になってしまったりします。
『大人の発達障害』を持つ人が、うつ病など精神的な病に侵されるケースはそのほとんどが二次的な影響であり、ここも身近な理解者の存在がその二次的症状を緩和していけるのです。
現在、学童の5%、国立大学の10%に「発達障害」を持つ人がいるそうです。
それだけ身近な事なのかもしれません。
そして、こういった症状をきちんと知ることで、
本人はもちろん、周りの人達もより良く仕事ができると思われます。
ご経営者および上司のポジションにいる方は、
この機会に良く知っておいていただければと思います。
(C) nobrand 2013


 いま、私は何とか恵まれている方だと思っている。
 というのは前の職場をいじめで追い出されたに等しい経験をしたからだ。今の職場は私の障がいに対する配慮があり、その一方で駄目な時にはきちんという。
 配慮もある一方で特別扱いもない。そういう職場だからこそ、何とかここまでたどり着いたのかもしれない。

 地域によって、個々の障がいに対する取り組みは大きな格差がある。
  千葉県では精神系の支援についてはそこそこ充実しているのに対してその隣の茨城県の取り組みはかなり遅れている。これが現実なのだ。単に障碍者福祉手帳を 取りました、仕事につきましただけでこうした支援は終わりではない、今後もどうやって継続していくかが問題なのであり、堂々と駆使できるようになるのは権 利なのである。
 だが、駆使する方はその権利に甘えることなく、努力もしないといけないのも事実なのだ。
 甘えることなく、私は努力を重ねていきたいと思う。