2014年5月8日木曜日

これで何が医者なのか 佐藤一樹&加藤克彦

 私はこのところ起きている医療過誤に対して厳しい批判をし続けてきた。
 これ以上ゆがんだ医療を見逃すわけにはいかない。批判を医療界は不当に拒んできたが、それは大きな間違いなのである。まずは、医療過誤被害者遺族の声を聴いてもらおう。  


医師側は本当の被害者まで「クレーマー」扱いするな! 平柳利明

 医療訴訟が増えたことが医療崩壊の一因であるかのように言う医師がいます。しかし、医療崩壊による質の低下が先にあるからこそ、医療過誤や訴訟が起こるのであって、本末転倒ではないでしょうか。
 私たちは、東京女子医大附属日本心臓血圧研究所(心研)で手術を受け、亡くなったり重い障害を負ったりした子どもの親同士で連絡を取り合い、病院側に真相究明を求めました。大学側も私たちの求めに応じ、多くの時間と労力を費やして調査してくれました。その結果、8組の家族が和解に至ったのです。
 カルテの記載や管理がずさんだったことも含め、すべてをさらけ出してくれたおかげで、私たちも「人手が足りない状態で大変だった」と思えるようになりました。医師だって人間ですので、絶対ミスを犯さないとは言えません。当時、日本最高レベルと言われた心研でさえ被害者を出したのです。
 医療事故を減らすためには、医師や看護師を増やし、ミスを犯しにくいシステムをつくる必要があります。それにはお金がかかるのですが、国は「皆保険制度を守る」という美名の下、医療費をあまりに低く抑えています。国は医療安全を低く見すぎているのではないでしょうか。

 当然のように医療を受けすぎている患者側にも問題があります。薬を何種類も飲んだり、手術を受けたりすると、それだけ医原病(医療行為を原因とする病気や障害)のリスクが高まります。患者側も医療を受けるときにはリスクが伴うという覚悟が必要です。
 医師側は事故が起きたとき、あまりにもウソや隠蔽が多すぎます。ちゃんとした事故調査もしていないのに、本当の被害者までクレーマー扱いして非難する。日本人は「話せばわかる」民族なのですから、医師は患者をもっと信じて、ともに歩んでほしいですね。

○ひらやなぎ・としあき 1950年群馬県生まれ。
2001年、東京女子医大で受けた心臓手術の医療事故で、
御令嬢(当時12歳)を亡くした。
医療安全を求める講演活動などを行っている。

 その平柳さんの御令嬢を医療過誤で殺したのが佐藤一樹という男で、なんと驚くことなかれ、不当無罪判決を盾に医療行為を医)いつき会ハートクリニック院長なる病院もどきを東京都足立区でいまだに続けている高慢無知ぶりを発揮している。
 こういう男を野放しにする限り、医療の信用性はどんどん劣化していくのだ。佐藤に対して平林さんは二審での証人尋問で痛烈に断罪した。この文章そのものを引用する。佐藤の傲慢さがこの冷静な言葉からみえてくる。


 「佐藤は自分の犯したことが分かっていない(傲慢で馬鹿な)人間なんだな、と思っております。いつもこちらをにらみつけて来るよぷな態度で、私達が加害者であるような、自分が被害者だというような顔をしているというのは、本当に腹立たしい気持ちです」
 「医師というのは世間から高く評価され、その裏返しに責任があるわけです。人工心臓委が負うべき責任というものは、技師にはない責任ですね。その責任を負う為に、医師はお金も高くもらえます。お金を高くもらえる裏返しに、責任があるんです。人工心肺装置を扱う医師は、自分の仕事に責任をとれという意味なんですよ。分かりますか、回路にガスフィルターがついているなら、そのフィルターについても、問題がないかどうかとみて、問題が起きれば全部の責任を取るのが医師なんだよ。だから、医師は高いお金をもらえるし、白衣を着て病院の中を闊歩できるんだよ。それをよく分かって欲しいと思うよ。それを、何故、いろいろな屁理屈(や言い逃れ)を言って逃げるんだ!!」
 「これは皮肉な事なんですが、娘は佐藤と同じように、自分も心臓が悪かったものですから医師になりたいと言っていました。本当にあすこで終わってしまう子であれば、もっともっといろんなことをやってあげたかった。本当に悔やんでいます。もう悔やみきれません」
 「(我々の無念や怒りが)分かるか!!!」
(一部修正、社会的制裁を佐藤に下す観点で呼び捨てにしています)
引用元 鈴木敦秋『明香ちゃんの心臓―〈検証〉東京女子医大病院事件』講談社

 この言葉に佐藤は完全に目が泳いでいただろう。毅然とした平柳さんに理があることは誰の目からしても明らかだ。
 だが医師という世界はなぜか医療過誤を庇うゆがんだ体質だ。だからオウム真理教信者でその技術を犯罪者逃亡に悪用していた輩が平然と医療行為をいまだに続けているのだ。これがおかしいと言わずしてなんというのか。

2008年09月21日
【福島の大野病院医療事故】医療事故で娘を亡くした平柳利明さんに聞く
 医療事故に対応する仕組みづくりが本格化している。下仁田町出身の歯科医師平柳利明さん(58)は、01年に東京女子医科大病院の医療事故で娘を失ったことを機に、患者と医師の両方の視点から医療事故を見つめ、患者やその家族の支援にあたっている。高崎市の医師佐藤仁さん(71)に話を聞いた先週に引き続き、福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が亡くなった事故をめぐる受け止め方を平柳さんに語ってもらった。
朝日新聞 朝刊 マイタウンニュース 関東 群馬発 企画・特集 2008年09月21日 00:08:00 無断転載禁止


 ――大野病院の医療事故で加藤克彦自称医師の無罪が確定しました。どんなお気持ちですか。

 「証拠から判断する限り、無罪は当然だ。ただし、個人の責任が立証できなかっただけで、落ち度はあった。医療界は、この事故でどうすれば助けられる可能性が高くなったのかを検証してほしい」
 「無罪だからといって医療への信頼は回復しない。医療界が裁判で医師側ばかりに肩入れしたのは、信頼回復にマイナスだったと思う。医療事故の裁判で患者側の証人になった医師を裏切り者呼ばわりする手合いがまだいる」

 ――医師への信頼が損なわれたのはなぜでしょう。

 「本当の姿が見えてきただけだ。教師から『聖職』のイメージがはがれ落ちたのと変わらない。医師も普通の技術者だと思った方が良いかもしれない」

 ――医療界には都合の悪いことを隠蔽(いん・ぺい)する体質があると指摘する声も聞かれます。

 「そこは、劇的な変化を遂げたと思う。昔は事故がないのが当然で、事故対応など考えなかった。隠蔽もカルテの改ざんも日常茶飯事だった。今は隠すと損だという環境ができてきた。東京女子医大ではカルテの改ざんを理由に、医師が保険医登録を取り消された。事故はゼロにできない。こじらせないためには医師が正直なことが大事だ」

 ――医療安全調査委員会(仮称)の構想について。

 「実現するかどうか、医療側の良心が試されている。強制力は必ず持ってほしい。特に、医師を聴取する強制力を。調査に協力した人は、しない人より処分を軽くするといいと思う。ちゃんと調査して行政処分を下す仕組みができれば、警察が動く必要もなくなるだろう」

 ――東京女子医大では患者参加型の事故調査の仕組みができました。

 「病院が自らの欠点を発見できるところが良い。院長の権限が強まるし、教訓を全科で共有できる。ただ、運用は楽ではないし費用もかかる。患者側も大変で、まず多くの類似事例を調べ、病院に納得してもらう必要があった」
 「私は医師と患者双方の考えが分かるから仲介役になったが、特に、重度の障害が残った患者のためには医師側と妥協するまいと思った。一方で、医師側の事情も分かる。落としどころを探る作業はしんどかった」

 ――こうした取り組みで十分でしょうか。

 「往診先で患者と茶飲み話ができる医師は、医事紛争と無縁だ。トラブルは感情的な問題で起きることが多く、患者への接し方一つで解決したりこじれたりする」
 「医師は書類の記入など雑用が多すぎる。もっと本来の仕事に専念し、じっくり診察できるようにしなければならない。患者も、自分で信頼できる医師を探す努力が必要だ」(聞き手・渕沢貴子)

 加藤自称医師の傲慢な姿勢については
http://wing-of-icarus.blogspot.jp/2013/10/3_27.html
 で断罪している。だが加藤は反省の色がないのだから驚きだ。遺族は加藤の口先だけの謝罪に嫌悪感を示しており、娘の眠る墓場を他の場所に移した、当然のことである。加藤と佐藤がやるべき償いはたとえ無罪であっても、医療行為からの引退だけなのだ。川崎協同病院安楽死事件で冤罪被害を受け、不当医療行為2年の国際法違反の処分を下されたのを毅然として受け入れ、医療行為を潔くやめた須田セツ子氏の足元にも及ばないのは明らかだ。「カエサルの妻は疑われることが罪」なのである。
 たとえ裁判が無罪であっても、私ならば家族を佐藤や加藤のような傲慢な人間に診察してもらいたくない、医師としての資格がすでにないのだから。