2014年7月13日日曜日

とある記事から~発達障がいを考える~


“怠惰”“甘え”が原因ではない! 「働けない」若者の実態とは

2014.7.2●若年無業者483万人。働けない理由のトップは?
 働いている者の多くにとっては、仕事が自分のアイデンティティーの一部になっている。自己紹介でも何の仕事をしているか述べるのが当たり前だし、 意識していようがいまいが、口を開けば、仕事の話ばかりしてしまう。今の世の中では、「働いている」ことが自分の存在の証明になっているような気がする。 7月ともなると、大学4年生はそろそろ来年の就職先が決まっていないと焦り始める頃であり、大学3年生はインターンシップなどの応募が始まり、就職活動へ の第一歩を始める時期だろう。就職できない自分を想像すると、きっと恐ろしくなるに違いない。「プロの自宅警備員だけど、質問ある?」と2ちゃんねるにス レッドを立てていられるほど、元気があれば、まだ良い。だが、本当は、若くして職のない者は、笑い話にできないほどの孤独を抱えている。「働く」ことが当 たり前とされる世の中で、彼らはなぜ「働く」ことができないのか? 世間が思っているように、「働けない」ことは本当に甘えなのか? その実態は、今働く者にとっても、これから働こうとしている者にとっても、決して遠い世界の話ではないはずだ。
 15~39歳の「若年無業者」は、潜在数で日本に483万人ともいわれているが、彼らに対する風当たりはとてつもなく強い。日頃から若年無業を支援する活動をしている、特定非営利活動法人育て上げネット理事長の工藤啓氏は著書『無業社会 働くことができない若者たちの未来』 (朝日新聞出版)の中で、誰であっても、若年無業者になってしまう可能性があることを指摘している。工藤氏が実施した調査では、若年無業者の75.5%が 何らかの就業経験があると言い、一度就職できたからとはいえ、若年無業者になる可能性はあるのだ。工藤氏に言わせれば、若年無業者は、誤解にさらされた存 在だという。最も顕著な誤解は、「働くことができない若者は怠けている」というもの。だが、内閣府の「平成25年度版子供・若者白書」によると、「若年無 業者が求職活動をしない理由、就業を希望しない理由」は最も多い回答は「病気・けがのため」であるらしい。「怠惰」と指摘されそうな「急いで仕事につく必 要がない」「仕事をする自信がない」といった回答を占める割合は思いのほか低いのである。
●上司からの叱責、冷遇で退職。再び働く気になれず
 工藤氏が支援現場で出会った無業の若者たちは、決して特殊な者ばかりではない。たとえば、有名私立大学を卒業後、大手飲食店に入社したAさん(男 性/25歳)は企業説明会や面接で聞いていた職場環境と実態の解離に離職を決意した。入社直後の研修中は、食を通じて社会に貢献したいと同期たちと真剣に 話したこともあったというが、それぞれの店舗に配属されると、疑問を感じ始めたのだという。Aさんは自分の努力次第で客が増え、売上も増加させられるはず だという考えから深夜遅くまで働いたが、残業代は一切出なかった。思い切って、上司に抗議すると、上司は自身が本社から課せられるノルマやその達成のため に、家族との時間も取れないくらい働き続けているのにその態度は何だと、顔を真っ赤にしてAさんを叱責、彼を冷遇するようになったという。Aさんはこのこ とがきっかけで、会社を退社したが、これまで蓄積した疲労が出たのか、働くことを考えられなくなってしまったそうだ。おまけに、友人と会う頻度も減ってし まっている。それは、「最近何をやっているのか」と周りに聞かれるのが嫌であるためだ。また、再就職したくても、外側から知れる範囲の職場環境や条件待遇 と実態がどの程度違うものか、ということに過敏に反応してしまい、なかなか応募してみようというところまでいっていないという。
 Aさんのように志望の企業に就職できても、上手く行かない場合もあれば、まず就活に失敗してしまう例もある。大学時代はファミレスやファストフー ドでアルバイトをしていたBさん(24歳/男性)は就活となると、緊張してしまい、受けた数だけ不採用通知が届くのがつらくなって精神的に追いつめられて しまった。いくら練習を積んでも、面接になると、緊張はピークに達して言葉が出て来ず、焦るほどに何を話しているかわからなくなってしまい、不採用ばかり が続く。しまいには「自分が就活をしないことが誰かのためになるのではないか」という考えに取りつかれ、この半年はカウンセリングを受けた以外はほとんど 何もせず、図書館で本を読むくらいしかしていないという。
●「仕事を選ばなければ誰でも就職できる」は間違い
 誰もが知る有名大学に入ったとしても、さらには、どうにか有名企業に入ったとしても順風満帆なキャリアが約束されているわけではない。働くことが 「当たり前」という考えの一方で、働ける・働き続けることが当たり前でなくなりつつある。しかもそれは、誰にでも起こりえる日常の出来事になっている。
 現代の日本社会は、一度無業状態になってしまうと、人間関係を喪失してしまう。すると、他の人からアドバイスや応援をしてもらうことも難しくなる し、自己肯定感やモチベーションにも悪影響が生じる。そして、若年無業となり、そこから抜け出せなくなってしまうのだ。きっかけは、景気低迷や労働環境の 悪化とともに、至るところに存在している。
 若年無業者の現状を垣間みると、自分にあった職場に巡り合えていない者が多いように感じる。もっと業界研究や企業研究をしていれば…と思わされる 事例も少なくはない。仕事を選ばなければ、誰でも就職できるという考えは間違っている。しっかりと仕事を選ばないからこそ失敗してしまうのである。だが、 仕事が見つからないといっても、無業である期間を嘆く必要などないはずなのだ。ただ、その期間を無目的に過ごしてはいけない。遠くへ羽ばたくためのさなぎ の期間として、自分の目標とするキャリアを胸に描けば、自分の道は開けるのではないか。そうであってほしいと、私は信じてやまない。
文=アサトーミナミ

 この著作は読んでいないので何ともまだ私は書評の対象にすることはできない。
 だが、これは最近増えている発達障がいとも密接したかかわりがある。発達障がい当事者だが、自己肯定感がもともと低い傾向にあると指摘されている。

http://piasapo-japan.com/guide_book_2012.pdf

 また、この記事では叱責というが、明らかな過剰叱責ではパワハラなのは明らかだ。パワハラとはまさしくハラスメントの一種、すなわち立派な犯罪だ。ただですら入ってまだ数カ月もしていないのにいきなり叱責では話にならない。
 また、新自由主義経済に伴うグローバル経済化の加速により競争が地球そのものにまで広がり、過剰なまでの競争がはびこっている。その結果は結果だけが全てというとんでもないものである。その犠牲者を生み出すつもりなのだろうか。
 競争がいいというのなら、そこで敗れた者達はホームレスになり新たな格差を生み出す。そこを止めるのが政治の仕事なのだが、今の異常な政府はむしろ格差を生み出す方に舵ばかり切っているのだから問題なのだ。それではよくはない。