2014年7月29日火曜日

諦めるのはまだ早い~鈴木明子~

 今回取り上げる「諦めるのはまだ早い」シリーズは、バンクーバー五輪(「ソチ五輪」と称するものについてはロシアの独裁に抗議する意味で認めない)で8位入賞を果たし、昨シーズンで引退した鈴木明子さんである。
 この人をなぜ取り上げるのか、皆さん首をかしげるだろう。だが、じっくり読んでほしい。

鈴木明子さん 引退届提出を報告 プロとして「表現者に」

2014年4月4日13:28 スポニチ

 2大会連続で冬季五輪に出場したフィギュアスケート女子の鈴木明子さん(28=邦和スポーツランド)が4日、自身の公式ブログを更新、日本スケート連盟に引退届を提出したことを報告し、現在の心境などをつづった。
 「卒業」のエントリーで「世界選手権を終え3/30に日本スケート連盟に引退届を提出しました」と報告。「日本での世界選手権で現役生活を終えれることは競技者として最高に幸せでした」と振り返り「(内容は少し悔しさも残るけど…)今はとてもほっとしています」と胸中を明かした。
 選手と しては引退するものの、プロスケーターとして滑ることは続けるため「様々なかたちで自分がスケートを通して経験してきたことを伝えていく表現者になってい きたいと思います」と決意を表明。ファンへの感謝の言葉を並べ、最後は努力家の鈴木らしく「これからも精進してまいります」と結んでいる。
 鈴木は前日3日には名古屋市で安藤美姫さん(26)、織田信成さん(27)とともに引退セレモニーに臨んだ。

 彼女は精神疾患の一つでもある摂食障害当事者だったのである。
 ※食行動の重篤な障害を呈する精神疾患の一種である。体重や体形へのこだわりなど心理的要因により食事の取り方が異常になる疾患。食べる量が極端に減ったり、食べては吐くを繰り返したりする「拒食症」と、発 作的にむちゃ食いを繰り返す「過食症」がある。発症者数は推定年間2万3000人。拒食症では栄養失調などの合併症による死亡率は7~10%と高く、無月経や成長障害などの後遺症が残ることもある。
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20121006151839309 より引用

鈴木明子さん 摂食障害治した母親の一言「食べられるものから…」



元フィギュアスケート選手の鈴木明子さん(28)が2日放送のTBS「私の何がイケないの?」(月曜後7・00)に出演。東北福祉大時代、体重制限を気 にするあまり極端なダイエットを敢行したことが影響で拒食症になり、体重が32キロまで激減するなど摂食障害に苦しんだ過去を公表していたが、その原因が 母親との関係にあったことを明らかにした。
 競技が続けられず故郷の愛知に戻り、母親と精神科へ。そこでカウンセリングを受けた結果、担 当医から告げられたのが「母親との関係」だった。「母親にとって理想な子供でないといけないという思いが自分の根底にあった」と鈴木さん。母親に認められ たい一心で、初の1人暮らしでも「これまでは親にやってもらっていたので適当にはできなかった」と食事にも完璧を求めてストレスをためていったことが摂食障害につながったという。
 回復のきっかけも母親の言葉。食事中に「食べられるものから食べようね」と温かく見守ってもらえたことで「母親に認めてもらったというか“こんなんでも生きてていいんだ”と心強く思った」と振り返った。
 現在、公式HPに掲載されている鈴木さんの身長は1メートル61で体重は48キロ。通常3年かかる治療だが、鈴木は約半年でリンクに復活。現在はネイルに興味を持つなど、選手時代にはできなかった“普通の女の子”を楽しんでいる様子も紹介された。
[ 2014年6月2日 19:54 ]

 絶望の果てに叩き落されても、這い上がろうとするそのメンタルに敬意を表したいと思う。
 彼女の現役引退ははっきり言って痛い。こういう人がメンタル面でのケアを行うのなら、橋本聖子のような程度の低い輩はいなくて済む。
 摂食障害で止まっただけこれはまだいい。最悪の場合は、双極性障害との合併症になりかねないのだ。だが、諦めるのはまだ早い。鈴木さんは障がいを克服して見事に這い上がったのだ。慶応大学でのシンポジウムでも彼女は障がいを克服していったことやその結果について語っていたが、これはどの障がいの当事者にも言える事なのかもしれない。
 起きたことはしょうがない。だが、そこで生まれた問題点を修正し、克服することでそれは結果としてプラスになるのだ。

 また、ネット世論に警告する。
 ほんのわずかな振る舞いで「性格が悪い」と決めつけるやり方はある意味酷い差別的な振る舞いである。絶対にやってはいけない。批判には事実や発言と照らしあわされなければその批判は正統性がないのである。