昨年1年間で当時の石破幹事長に10億円もの「脱法的裏金」が渡っていた――。28日公表された13年分の政治資金収支報告書から、安倍自民党の政治資金の不透明な実態がまたひとつ、明らかになった。

  13年分の自民党本部の収支報告書には、石破氏個人に計38回に分けて総額10億2710万円を支出したことが記されている。支出名目は「政策活動費」 ――。聞きなれない言葉だが、受け取った議員は個人の領収書1枚を渡せばオッケー。あとは何に使おうがウヤムヤ。詳細な使途報告の義務はない。いわば「政 党版官房機密費」のような“つかみ金”である。

 昨年の自民党本部の総収入は約233億円。うち「政党交付金」と「立法事務費」は約177億円に達する。実に収入の75%を税金に頼っているのにケタ違いのカネが闇に消えているとすれば、許しがたい。

  政治資金の専門家も「厳しく言えば脱法的な裏金のようなもの。億単位の資金の最終的な使い道を見えなくするのは、政治資金を国民の不断の監視下に置こうと した規正法の趣旨に反する」(神戸学院大学法科大学院教授・上脇博之氏)と厳しく批判するが、安倍自民党はお構いなし。他の党幹部にも〈別表〉の通り、不 透明な政策活動費が大量にバラまかれている。

 注目すべきは昨年の参院選直前に石破氏への支出が突出していること。公示1カ月前の6月7日から3日前の7月1日にかけ、1回につき1000万~5000万円に分けて計9回、ポンと3億3000万円ものカネが渡っていた。

  恐らく選挙対策に使ったのだろうが、実は2年前の総選挙の直前にも同様に自民党総裁の安倍首相に計2億5000万円の政策活動費が支出された。今も安倍自称首相は党本部からの不透明な資金をフトコロに収めているのではないか。そう疑いたくなるような自民党の「政治とカネ」のデタラメぶりである。