2015年5月25日月曜日

原発マフィアの代理人 田中俊一

規制委員長候補・田中俊一氏の「もうひとつの顔」 (東京新聞)

(東京新聞「こちら特捜部」2012年7月24日)

 政府は原子力規制委員会の初代委員長に、元日本原子力学会会長の田中俊一氏を内定した。
 国会の同意が必要で、近く諮られる。政府はこの人事に「透明性」「中立性」を求めた。人選はその理念にかなっているのか。田中氏を「市民派」「脱・原子力ムラ」と評価する見方もあるが、本当にそうなのか。「こちら特報部」も身体検査を試みたが、どうにも納得がいかないのだ。 (小倉貞俊、中山洋子)

  田中氏が「市民派」「脱・原子力ムラ」と見られるのは、福島原発事故直後に緊急提言をした十六人の原子力専門家の一人だったからだ。
 総力を挙げて事故収拾にあたるべきだとする提言の冒頭で「原子力の平和利用を先頭に立って進めてきた者として、国民に深く陳謝いたします」と率直に謝罪した。
 事故の当事者意識を欠く専門家らに失望が広がっていたが、少なくない人々がこの謝罪に「研究者の良心」を感じた。
 田中氏は福島県出身。事故直後から同県内で除染活動に携わり、政府の縦割り行政を批判してきた。しかし、実際に政府の人選基準はクリアできているのだろうか。
 福島県除染アドバイザーを務めるが、田中氏が策定に加わった同県飯舘村の復興計画について「避難より除染ありき」と疑問視する声は多い。
 田中氏は事故直後、高線量の同村長泥地区で民家の除染実験を行い、「(飯舘村は)これだけ広いんだから」と、除染土の仮置き場を村が提供するよう説得。「何もしなければ帰ってこられないんですよ」と被災者を追い込む姿がテレビで放映され、物議を醸した。
 同地区は今月十七日、「帰還困難区域」に再編されたが、飯舘村の酪農家で、現在は同県伊達市に避難する長谷川健一さんは「除染はまったく進んでいない」と断じる。
 「田中さんは『線量を下げることはできる』と言ってこられた。だが、除染がどれだけ困難な作業かは、住民たちも分かっている。村から避難する選択肢を排除する中途半端な除染や、場当たり的な仮置き場の設置案には同意はできない」
 被ばく限度量に対しても、楽観的な発言がしばしば注目されてきた。
 委員を務める政府の原子力損害賠償紛争審査会の議論では、自主避難者に賠償を認める方針に異を唱え、国が住民帰還の目安とする年二〇ミリシーベルトという基準への賛意を強調してきた。
 昨年十二月六日の会合では「放射線被ばくの恐怖と不安は個人差も大きく(中略)、賠償という形で対応することが、克服する最も適切な方法であるとは考えていません」と発言している。
  さらに三月八日の会合では、避難区域の見直しについて「それなりに放射線量のある場合でも、年二〇ミリシーベルトを切ると(避難の対象から)解除される」 と懸念する能見善久会長に対し、「現実には半分以上、さらにもっと多くの人が住んでいる」などと、帰還を後押しする発言を繰り返した。
 こうした主張が結果的に東京電力の賠償軽減につながることから、被災者たちの間では田中氏に対し、「東電を助けるために住民を切り捨てている」といった批判の声も上がっている。
 田中氏の経歴をたどると、原子力ムラを牽引(けんいん)してきた軌跡が見える。現在も、そこから距離を置いたとは思えない。
  東北大原子核工学科を卒業後、旧日本原子力研究所(原研)に入所、副理事長を務めた。原研と「もんじゅ」を運営する核燃料サイクル開発機構が合併した独立 行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)では顧問に就任。原子力学会会長、内閣府原子力委員長代理なども歴任した。
 現在、田中氏が関わる団体は二つ。ひとつは三月まで会長を務め、現在は顧問をしている財団法人「高度情報科学技術研究機構」(茨城県東海村など)で、一九九五年に同「原子力データセンター」を改称した。
 もう一つは副理事長を務めるNPO法人「放射線安全フォーラム」(東京都港区)。同団体主催のセミナーでは「プルサーマルの必要性と安全性」などのテーマで、同氏自身も講演してきた。
 この団体の理事や顧問の顔ぶれを見てみると、田中氏の“ムラ人脈”の太さが浮かび上がる。例えば、取締役が同団体の理事に名を連ねる放射線管理商品販売会社「千代田テクノル」(文京区)。同社は二〇〇〇年、原研から放射線源の販売部門を移譲された“つながり”がある。
 先のセミナーの会場も同社内で、現在は「フォーラム」と福島県の個人被ばく線量測定事業に取り組むなど、除染ビジネスで連携している。
 テクノル社と取引のある社団法人「日本アイソトープ協会」(文京区)の専務理事は「フォーラム」の顧問。同協会は医療用放射線源などの輸出入や製造販売を担う。
 民間調査機関によると、同協会の主要な取引先である医薬品製造会社(江東区)は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の関連会社と住友化学が共同出資。福島第一原発1号機の原子炉はGE製。住友化学は原発推進派の米倉弘昌経団連会長が会長を務めている。
 こうした連関は果てしなく広がるが、ここまででも、今回の規制委委員候補五人のうち、田中氏と更田豊志氏(原子力機構副部門長)、中村佳代子氏(日本アイソトープ協会主査)の所属機関が何らかの糸でつながっている事実が浮かぶ。
  当の田中氏は“ムラの住人”という指摘をどう受け止めているのか。「こちら特報部」の取材に「周囲が勝手にレッテルを貼っている。ムラがどうだとか、私は 考えていない。科学者、技術者の立場としてやるべきことをやってきた」ときっぱり。加えて「一方的な価値観を押しつけようとするメディアは、歴史に過ちを 残すことになる」と憤りを隠さなかった。
 ただ、こうした客観的な所属や人脈が、少なくとも規制委の掲げる中立性や透明性とかけ離れていることは明白だ。
  奥平康弘・東大名誉教授(憲法)は、原子力推進に携わってきた田中氏の委員長登用は「避けるべきだ」と断じる。「原発事故を引き起こした制度の運用にかか わった人が、委員会の委員になることは避けがたいのかもしれない。しかし、強大な権限を持つ委員長にだけはしてはならない」  そして、人選についてこう注文を付けた。
 「意見を取りまとめる委員長に知識があることは望ましいものの、実務経験はむしろいらない。中立、客観的であり、国民から信頼を得られる人であることが大前提だ。政府は任命前に、国民の目線で考えるべきだ」

<デスクメモ> この人事は、首相官邸前行動や十七万人の脱原発集会に対する政府の回答なのだろう。再稼働のため、大飯原発以外にも、約二十基が安全評価(ス トレステスト)の一次評価を終え、規制委の始動を待っている。国会がこの人事を通せば、結果は火を見るより明らかだ。原子力ムラの再興は許されない。 (牧)

  この東京新聞の記事は3年前だが、指摘は全く間違っていなかった。
 その後田中は原発マフィアの代理人として、全く何一つ原発の稼働についての番人としての仕事をサボりまくった。圧倒的多数の国民が大反対の鹿児島県の川内原発不当再稼働容認の罪はどうなのか。
 こんな言葉では逃げているとしか言いようがない。まさに人の良心を札束で叩き売ったとしか言いようがない。

川内原発再稼働に規制委トップ「安全とは言えない」、政府も責任回避で自治体が反発
2014年8月24日 1時0分 ビジネスジャーナル

 今や、反原発の旗手となった小泉純一郎「元首相」が吠えた。九州電力の川内(せんだい)原発1、2号機の再稼動に関連し「政府は安全だから(再稼動)を進めると言うが、原子力規制委員会委員長が安全とは言えないとしており矛盾している。おかしい」と、安倍晋三極右政権(小泉と安倍になどの極右政治家については正当性を認めない社会的制裁の観点から自称首相もしくはカッコを付けて最初に呼称し、後は被告とします)が進める原発再稼働路線を強く批判した。
 規制委は7月16日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)について「新規制基準に適合している」とする審査書案を定例会で了承した。川内原発1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。川内原発は合格第1号となったが、規制委の田中俊一委員長は「新規制基準を満たしたから安全とは言えない」「世界一の安全基準という言葉は政治的な発言」と発言。規制委は基準に適合しているかどうかを審査するだけであり、再稼動するかどうかは政治の判断のため、規制委は一切関与しないとしている。
 一方、安倍「政権」は今年4月、「規制委の基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し再稼動を進める」と明記した「エネルギー基本計画」を閣議決定している。規制委の審査に合格すれば自動的に再稼動できる仕組みをつくり、「政治判断はしない」といった発言を繰り返した。政府も規制委も原発再稼動を判断しない。では、誰が再稼動を判断するのか。審査合格後は電力会社が立地自治体に再稼動の意思を伝え、立地市町村長、次いで知事が再稼動に同意する手続きを取る。再稼動の最終判断は電力会社と立地自治体にゲタを預けられているのが実情である。
 こうした動きに対し九電の瓜生道明「社長」は、定例記者会見で地元同意の進め方について「規制委が原発の安全性を、政府は原発の必要性を説明するべきだ」と語った。鹿児島県の伊藤祐一郎自称知事も定例記者会見で「エネルギー政策は最終的には国の責任であり、再稼動を地方公共団体に委ねるのは筋違い。明確な方向性を示してもらわないと、国の責任が明確にされない」と述べ、政府に再稼動の必要性を明記した文書を示すよう要請したことを明らかにした。

●最終責任不在のまま再稼働へ
 九電は電力会社の中でも原発依存度が高かったため、原発停止が続く中で特に厳しい経営を強いられている。九電の2014年4~6月期の連結決算は最終損益が406億円の赤字で、財務状況は深刻だ。6月末時点の純資産(単体)は2985億円まで減り、自己資本比率は3月末の8.1%から7.2%まで下がった。連結ベースでも自己資本比率は3月末時点の10.5%から9.6%と、初めて1ケタ台に落ち込んだ。8月に日本政策投資銀行から1000億円の緊急融資を受け入れるため、自己資本比率は単体で2ポイント程度改善する見通しだが、赤字が膨らめば、さらなる経営悪化を迎えることとなる。
 赤字から脱け出すには、原発の再稼動に期待するしかない。川内原発と玄海原発(佐賀県玄海町)が稼動できなければ、電気料金の再値上げ、再々値上げのコースをたどることになる。政府と規制委、地元首長、電力会社の中で、原発再稼動に最終責任を負うべきなのは誰なのか。その責任の所在があいまいなまま、川内原発は早ければ年内にも再稼動する見通しだ。
(文=編集部)

 ならば、はっきり答えは出ている。
 田中は九州電力に会社更生法を申請するよう命令し、脱原発の道を歩ませると同時に歴代無責任経営陣共に私財を提供させるべきではないか。これが、田中のすべき仕事なのは誰の目からしても明らかだ。
 すでに太陽光発電は普及している。原発の再稼働に正当性も根拠もない。困っているのは電力会社だけである。電力会社の都合だけで再稼働を認めるとは言語道断である。田中は人間としての良心を、投げ捨てているから無責任な事なかれ主義に終始するのであろう。
 愚かな男である。