2015年5月6日水曜日

金権スポーツは間違っている

 セリエA・パルマFCが経営危機に陥っている。
 だが、これは裏返せば今の日本の金権野球にも言えることなのである。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/soccer/eusoccer/1415/columndtl/201503040001-spnavi


パルマ財政危機問題の経緯と展望
異常な経営体質で膨れ上がった巨額の債務
片野道郎
2015年3月4日 14:00

破産手続きか、セリエA撤退か?

 イタリア・セリエAが非常事態に直面している。
 リーグ最下位パルマの財政難が深刻化して、ホームゲーム開催やアウェー遠征、スタジアムや練習場の維持管理といった最低限のクラブ運営費用にも事欠くほどになり、2月22日のウディネーゼ戦(ホーム)、そして3月1日のジェノア戦(アウェー)が中止・延期となった。
 選手は昨年7月分、チーム職員は11月分から給料を受け取っておらず、税金の滞納や取引業者への未払い金はそれぞれ数千万ユーロ(数十億円)に上る。クラブの抱える累積債務は、総計で1億5000万ユーロ(約200億円)を大きく超える巨額に膨れ上がっている。
 2月半ばには、パルマ検察局が税金滞納を理由として、パルマに対して破産宣告を行った。3月19日の第1回聴聞までにクラブ側が再建案を提示しない場合には、一方的な破産手続きに入ることになる。
 セリエAのリーグ規程では、参加チームが4試合続けて試合をキャンセルした場合には、自動的にリーグへの参加資格が取り消され、残り試合はすべて記録上0−3の不戦敗という扱いになることが定められている。したがって、もしこのままの状況が続き、今週末8日のアタランタ戦(ホーム)、そして来週末15日のサッスオーロ戦(アウェー)が中止となった場合には、上記の破産手続きを待たずに、パルマのセリエA撤退が決まるわけだ。
 ここに至って、これまで事態を静観してきたイタリアサッカー協会(FIGC)もやっと重い腰を上げる。セリエA参加20クラブによって構成されるレーガ・セリエAが6日(金)に臨時総会を開き、救済措置について検討することになった。
 しかし、もしここで各クラブの意見が割れ、パルマがシーズンを最後まで戦うための支援策がまとまらなければ、今週末のホームゲーム(対アタランタ)も中止・延期となることは避けられない。そうなれば「時限爆弾」のスイッチが入ることになる。
04年に破綻、ギラルディがオーナーに就任
 この状況を前にして誰もが思うのは、なぜこんな状況になるまで問題が放置されてきたのかということ。その問いに答えるためには、まずここまでの経緯を振り返る必要がある。
 2000年代に中田英寿が所属していた当時のパルマは、地元に本社を置く国際的な食品・乳業メーカー「パルマラット」の傘下にあった。しかしそのパルマラットが04年末、不正会計操作によって約100億ユーロ(約1兆3366億円)にも上る巨額の損失を隠蔽(いんぺい)していたことが明るみに出て破綻。パルマも親会社とともに政府の管理下で一度負債を清算、ACパルマからパルマFCに名称を変えて新会社として出直すことになる。管財人の下で経営が安定してきた07年1月、再建委員会が行った競売を通してクラブの経営権を買収したのが、昨年11月までオーナー会長として経営に当たってきたトンマーゾ・ギラルディだった。
 ギラルディは1975年生まれで現在39歳。パルマの隣県ロンバルディア州ブレシア県の小都市に本拠を置く工業用ベアリングメーカー「ラ・レオネッサ」の3代目で、母親が経営する同社の副会長を努めている。パルマを買収するまでは、地元の小さなクラブ・カルペネードロのオーナー会長として、チームをアマチュアで一番下のカテゴリからセリエC2(4部リーグ)まで昇格させるという実績を誇っていた。
 ギラルディが会長になってからのパルマは、08年に一度セリエBに降格したものの1年で復帰し、09−10シーズンからはセリエAで8位、12位、8位、10位と中位に定着。そして昨シーズン(13−14)は、就任3年目のロベルト・ドナドーニ監督の下で6位に躍進して、UEFA(欧州サッカー連盟)ヨーロッパリーグ(EL)への出場権を手に入れるまでになった。

14−15シーズンのEL出場権が剥奪
 しかし、クラブとして順調な発展を遂げているように見えたこの時が、パルマがその後わずか9カ月の間に経験することになる急激なちょう落の始まりだった。
 6位でシーズンを終えて間もない昨年5月末、手続き上の不手際により約60万ユーロ(約8000万円)の税金支払いが遅れたことを理由に、UEFAクラブライセンスが取得できないことが明らかになり、ピッチ上で勝ち取ったEL出場権が剥奪されるという「事件」が起こる。
 ギラルディは記者会見を開いて「リーグとサッカー協会に手続きを相談してその通りにした結果、ELを失った。この世界は腐っている。もうサッカーからは足を洗う」と大見得を切り、会長辞任とクラブの売却を表明した。クラブの運営は、ゼネラルディレクターのピエトロ・レオナルディに委ねられた。
 この時には、ギラルディはリーグや協会の融通の利かないお役所的対応によってヨーロッパへの切符を剥奪された「被害者」であるように見えた。しかし後になって発覚したのは、この13−14シーズン末の時点で、パルマはすでに1億ユーロ(約134億円)を超える累積債務を抱えていたという事実。税金の支払いが遅れたのも、資金繰りが悪化してキャッシュが不足していたためだった。
 にもかかわらず、この時点でリーグが定める財務基準(前年度分の給料が3カ月以上遅配されていない、移籍金の支払いが滞納していない等)はクリアしていたため、パルマは続く14−15シーズンにも問題なく登録を果たし、セリエAを戦うことになった。
 こうしてシーズンが始まった9月、ギラルディは「クラブを売りに出したが買い手がつかなかった。このまま私が去ったらクラブは消滅してしまう」と言って会長に復帰する。これで一連の問題は決着し、経営の継続性と安定性は確保されたように見えた。

12月半ばに経営権を譲渡
 しかし、ピッチ上の成績はまったく芳しくなかった。戦力的には中位を確保するだけの力があるにもかかわらず、開幕からの10試合は2勝8敗という惨憺(さんたん)たる結果で、順位表の底辺をさまよっていた。
 誰もが首をひねる中、11月に入ると新たな事実が明らかになる。リーグが3カ月ごとに行っている財務チェックを通して、7月以降の給料がまったく支払われていないばかりか、新シーズンに入って以降は、クラブの運営にかかわるあらゆる支払いがストップしていることが分かったのだ。この不安定な内部状況がピッチ上のパフォーマンスにも大きな影を落としていたことは明らかだった。
 マスコミの前に出たギラルディは「水面下でクラブの売却交渉が進んでおり、それが決着すればすべてが精算される見通しだ」と語ったが、未払い分の給料を支払おうとしないばかりか、それ以降パルマに姿を現さなくなった。
 この極度に不透明かつ困難な環境の中で毎週の戦いを続けることを強いられたチームは、その後も黒星を重ねることになる。
 そして12月半ば、パルマは、クラブの経営権がキプロス=ロシア合弁の石油採掘会社が出資する持ち株会社「ダストラソ・ホールディング」に譲渡されたと発表する。親会社には年間20億ユーロ(約2673億円)の売上があるという触れ込みだった。
 奇妙だったのは、この会社の実質的な所有者、すなわちパルマの新オーナーが誰なのかが、まったく明らかにされなかったこと。クラブの会長に就任したのは、経営の引き継ぎを担当するという弁護士だった。とはいえ、さまざまな周辺情報を総合すると、背後にはこれまでボローニャ買収やミランへの出資などがうわさに上ったアルバニアの石油成金レザルト・タチがいると見てほぼ間違いない、というのがマスコミの一致した見解だった。
 謎の新オーナーの下、パルマは1月に入るとウルグアイ代表MFクリスティアン・ロドリゲス(前アトレティコ・マドリー)、ポルトガル代表FWシウベストル・バレラ(前WBA)を獲得するなど、積極的な補強に打って出る。1月21日には、タチの経営する石油精製会社の幹部だった29歳のアルバニア人、エルミル・コドラが会長に就任した。

2カ月でオーナー交代、買収価格は1ユーロ
 しかし、表向きの華々しさとは反対に、チームを取り巻く状況はまったく改善していなかった。オーナーが変わったにもかかわらず、7月からストップしている選手の給料は未払いのまま、それどころかチーム職員の給料も11月以降支払われていないことが判明する。
 クラブ存続のためには、未払いの給料を精算するだけでなく、それまで積み上げてきた巨額の負債を穴埋めして、財政を健全化することが必要。しかし、決して表に出てこようとしない新オーナーにそのつもりがあるのかどうかは、まったく定かではなかった。
 1月26日には、チームリーダーのひとりである元イタリア代表FWアントニオ・カッサーノが「この7カ月間毎日、明日払うからと聞かされ続けてきた。こんなふざけた話にこれ以上付き合うわけにはいかない」と言って、クラブと合意の上で契約を解消し、チームを去った。続いてブラジル人DFフェリペも同じ道を選ぶ。
 このように状況がさらに深刻さを増してきた2月、事態はさらなる展開を見せることになる。「ダストラソ・ホールディング」がわずか2カ月足らずで、事実上1ユーロも投資しないままパルマを手放したのだ。
 シーズン3人目のオーナー(5人目の会長)となったのは、イタリアと国境を接する隣国スロベニアの都市ノバ・ゴリカに本社を置く「マピ・グループ」を所有するジャンピエトロ・マネンティ。ロシアのエネルギー系企業と資金的なつながりがあるという触れ込みで、1年前にはやはり財政難に陥ったセリエBのブレシア買収に乗り出したイタリア人である。この時は、公証人の前で契約書にサインするところまで行きながら、保証金を積んでいないことが判明してキャンセルになった。
 今回パルマの経営権を買い取った金額は、わずか1ユーロ(約134円)。就任記者会見では「買収価格は問題ではない。問題はクラブが抱える負債だ。その穴埋めに1億ユーロの資金を用意している。信頼してほしい」と大見得を切った。

買収した企業は実態のないものばかり
 ところが、それから何日経っても、マネンティは「東欧からイタリアに金を振り込むには手続き上の問題がある。もう少し時間がかかる」と言い続けるばかり。その間に、「マピ・グループ」の本社所在地がノバ・ゴリカ郊外にあるみすぼらしい田舎家の2階にあり、資本金もわずか7500ユーロ(約100万円)という事実上の幽霊会社であること、登記簿に記載されている会社の法人口座は2月半ばに閉鎖されていたことなどが明らかになってきた。さらに、そのマネンティに経営権を売却した「ダストラソ・ホールディング」も、資本金わずか1000ユーロ(約13万円)のペーパーカンパニーだったことが判明する。
 こうなっては、負債の穴埋めはもちろん、未払いの給料が精算される希望すらほとんどないことは、誰の目にも明らかだった。事態を重く見たパルマ検察局は、冒頭で見たように2月17日に税金滞納を理由としてパルマFCに破産を宣告。クラブが保有するチームバスとミニバン、コンピュータやロッカールームの家具などの資産を差し押さえて競売にかけ始める。クラブの銀行口座に残っていた現金も数十万ユーロ(数百万円)単位まで減り、練習場の電気やガスはストップ、試合開催のために必要なスチュワードを雇うために警備会社に支払う費用にも事欠くところまで逼迫(ひっぱく)してきた。
 こうして2月22日のホームゲーム(ウディネーゼ戦)は、スタジアムの安全が確保できないという理由で中止・延期となる。延期と言っても、開催日は未定のまま。何らかの形で残り試合分の運転資金を確保しない限り、パルマがシーズンを戦い続けること自体が不可能であることは明白だった。
 もしパルマの残り試合がキャンセルされることになれば、セリエAのイメージや信頼性が国内外(とりわけ国外)で著しく損なわれるだけでなく、TV放映権契約や年間チケットなどをめぐる補償問題も発生して、大きな混乱が生じることは避けられない。

破産手続きは拒否、臨時総会で対応策を協議
 それを避けるための方策は、この時点では2つあった。ひとつは、マネンティが最低限、シーズン終了までの運転資金(試算では約500万ユーロ=約6億7000万円)だけでも保証すること。もうひとつは、マネンティが自ら裁判所に出向いて破産を申請し、速やかに破産手続きを開始すること。
 破産手続きが始まれば、クラブの運営は裁判所が指名する管財人に委ねられる。その場合は、裁判所と合意の上でリーグがシーズン終了までの運転資金を拠出することが可能になる(クラブが存続している限り、リーグが運転資金を補助することは制度上不可能)。
 しかし、2月27日、スタジアムの所有者であり市民の代表者でもあるパルマ市長フェデリコ・ピッツァロッティから、この2つのうちどちらかを選んで速やかに進めるよう要請を受けたマネンティの答えは、次のようなものだった。「破産を申請するつもりはない。金はもうすぐ振り込まれる。近いうちに再建計画を提示する」。会見を終えたピッツァロッティは、マスコミの前で怒りを隠さなかった。「マネンティは信頼に値しない。この人物がパルマの会長だというのなら、スタジアムの使用を許可することすらしたくない」。
 続く3月1日のジェノア戦はアウェー。クラブは限られたキャッシュフローの中から遠征費用を捻出して準備を整えたが、アレッサンドロ・ルカレッリ主将を代表者とするパルマの選手たちは、FIGC、レーガ・セリエAがそろって、この期に及んでもまったくパルマをサポートせずに静観を決め込んでいることに抗議して試合の延期を申請、FIGCもそれに理解を示す形で申請を受け入れ、6日のレーガ臨時総会で対応策を協議することになった。

赤字経営をごまかした“空の”移籍
 ここまで長々と見てきた経緯をめぐる疑問は、以下の3点に集約される。まず、ギラルディ会長の下でパルマはどうやってこれほど巨額の負債を積み上げてきたのか。次に「ダストラソ」、そしてマネンティはなぜ、そして何のためにギラルディからパルマの経営権を買い取り、手をこまねいて破産の日を待ち続けているのか。最後に、FIGCとレーガ・セリエAが、11月に給料未払いが表面化して以降も何の対応も取ろうとせず事態を静観し続けたのはなぜなのか。
 最初の問いに対する答えは今や明白だ。
 パルマの売上規模は年間およそ5000万ユーロ(約67億円)。しかしこの2、3シーズン、人件費をはじめとするクラブの運営コストは1億ユーロ(約135億円)規模に達していた。慢性的な赤字経営である。この赤字をカバーするために使われてきたのが、帳簿の上では特別収支として計上される移籍収支だった。
 パルマは12年頃から、他クラブの育成部門でプロ契約を勝ち取れなかった若手や、他クラブとの契約を満了してフリーになっていた選手と移籍金ゼロで契約を交わし、他のクラブとの間でこうした選手を「空売り」「空買い」することによって、キャッシュを動かすことなく帳簿上の利益を捻出して来ていた。
 これは違法ではないが、一種の粉飾決算であり、どのクラブも多かれ少なかれ手を染めてきた手法である。ただパルマが特殊だったのは、これをかつて誰もやらなかった規模まで拡大して、赤字の穴埋めにフル活用したところ。13年夏の時点で、パルマが契約を交わしていた選手は230人にも上っていた。これは明らかにやり過ぎである。
 これだけの数の選手を「空売り」「空買い」すれば帳簿上の利益は上がる。しかしパルマは彼らに対して毎月の給料を支払わなければならない。これがクラブのキャッシュフローが悪化した主因のひとつだったと見られている。最終的にその帳尻が合わなくなった結果が、昨夏に露見した深刻な財政難だったというわけだ。

検察局が捜査に乗り出す
 第2、第3の問いに対する答えは、あくまで仮説でしかない。
 ギラルディが経営権を手放した12月の時点で、パルマは完全な債務超過に陥っており、1億ユーロを超える負債を穴埋めしない限り、遠からず破産は免れない状態にあった。当初吹聴(ふいちょう)されたのは、その売却先である「ダストラソ」の背後には、レザルト・タチという大物がいるという説。アルバニアの大富豪が巨額の負債の肩代わりを買って出て、かねてからの夢だったセリエAのクラブオーナーになる――というストーリーである。
 しかし実際のところ「ダストラソ」は、前述のとおりのペーパーカンパニーでしかなく、しかも書類上タチとの直接のつながりは何もなかった。すべては大いなる「ブラフ(はったり)」だったというわけだ。今から考えれば、この会社は単に、ギラルディがパルマを「売り抜ける」ために用意された受け皿でしかなく、タチはそのために利用された(あるいは名前を貸した)一種の「デコイ(おとり)」だったという説の方が、ずっと説得力がある。
 その「ダストラソ」からたった1ユーロで経営権を買い取ったマネンティの「マピ・グループ」も、ほとんど実体のない会社だ。そしてマネンティ自体も、会長に就任して以来、空約束を繰り返す以外になにひとつ具体的な手を打っていないこと、にもかかわらず破産手続きを頑なに拒否していることから見て、背後にいる誰かに操られた単なる傀儡(かいらい)に過ぎない可能性がきわめて高い。
 ではいったい背後には誰がいるのか。今のところ、公には何の手がかりもない。確かなのは、このままパルマが破産したとしても、巨額の負債を作り出した張本人であるギラルディは、何の責任も問われない立場にあるということだ。一部では、FIGCやレーガの沈黙が、こうした状況を作り出してギラルディを救うための「故意による不作為」なのではないかと疑う見方も出ている。
 しかし、これだけ事態が大きくなれば、真相が解明されないまま終わるということは、(たとえここがイタリアだとしても)ちょっと考えられない。実際パルマ検察局の内部では、破産宣告をしたのとは別の部署で2月末、偽装倒産罪が成立する可能性があるとして被疑者を特定しないまま捜査チームが立ち上げられた。
 当面は、6日のレーガ・セリエA総会でどのような対応が打ち出されるかが注目されるが、その内容がいかなるものであるとしても、それで問題がすべて解決するわけではない。今後の成り行きを見守りたい。

片野道郎
1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。『監督ザッケローニの本質』(光文社)に続く4冊目の著書『チャンピオンズリーグの20年』(河出書房新社)が発売中
 
 こんな状況に、サンドロ・メッリGMはほとほと困り、イタリアの新聞『コリエレ・デッロ・スポルト』に「我々はタイタニックに乗っていたのだと気がついた」と話した。
「デッキより上はすべてファーストクラスで、美しいしまばゆく、元会長のトンマーゾ・ギラルディやCEOのピエトロ・レオナルディのように人々が踊っている。だが、そこからレベル2、レベル3へと続いていく」
「最初にぶつかる障害物で、我々は沈んでしまうだろうと思った。氷山はUEFAライセンスだ。タイタニックに何が起こったか、覚えているかな?」
「1等船客の人々は救助された。それより下にいた人々は、取り残されて死亡した」
「ひげをたくわえた船長は、自身の船とともに沈んでいく。今回、船長は誰だ? もちろん(監督のロベルト・)ドナドーニだ」

 この話、日本のプロ野球と称するものでも当てはまるのではないか。
 まさに無責任な親会社の幹部どものおもちゃにされていて、人生が振り回されているとしか言いようがないのだ。
 本当に心の奥底から怒りを覚える。パルマが真の再生を果たすことを望みたい。ペルージャのように何度も破産しながら、ようやくセリエBに戻ってきたチームだってあるし、サンプドリアのようなチームもある。地域に根差したスポーツとしての再生が、今こそ問われている。
 それはマンチェスターシティの資本を受け入れた横浜F・マリノスにも言えることだ。サガン鳥栖だってそうだ。