2015年6月20日土曜日

ここまでひどくさせたのは何か、他人事以外の何物でもない


鳥栖いじめで中学男子が市などに賠償提訴へ

佐賀新聞 2015年02月19日 10時26分

 鳥栖市の市立中学校で2012年、当時1年の男子生徒が7カ月にわたり同級生から集団で暴行や恐喝を繰り返されたいじめの問題で、生徒ら家族4人が19日、同市や加害生徒「8人」とその保護者計「23人」に慰謝料や高校進学費等計約1億2800万円の損害賠償を求める訴訟を佐賀地裁に起こす。
 滋賀県大津市の中2男子自殺を機に、いじめ防止対策推進法が施行されるなど、いじめ追放の社会的機運が高まる中、学校や自治体の事実調査や再発防止策、被害者側への情報提供の在り方などがあらためて法廷で問われることになる。
 訴状などによると、男子生徒は12年4月の入学直後から10月下旬までほぼ毎日、同級生から教室内や校外で殴る蹴るなどの暴力を受け、100万円以上の金銭を脅し取られた。生徒は重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)で、通学できなくなった。担任教諭らは暴行を目撃しながら放置し、いじめをエスカレートさせた、と指摘している。学校側はいじめを2012年10月23日に把握したとしているが、被害生徒側は同年6月ごろから、加害生徒が頻繁に被害生徒宅の呼び鈴を鳴らすなどしていたと指摘。被害生徒の家族らは担任に伝えたが、その場の注意だけで終わったとし、「学校が効果的な対応を怠ったために歯止めが効かない状況になった」などと指摘している。
 さらに加害生徒たちは男子生徒の顔に殺虫剤を振りかけたほか、エアガンを乱射したり、カッターナイフの刃を押し付けており、原告側弁護士は「暴力で(被害生徒を)支配する継続的な拷問に当たる」と指摘。担任教諭らも「見て見ぬふりを続け、保護者からの情報提供にも真剣に対応せず、 いじめの発見などの安全配慮義務に違反した」と指摘している。
 被害生徒の家族は第三者による調査を2013年9月に市に文書で申し入れたが、市は応じていない。いじめ防止対策推進法の施行と同時期で、弁護士は「第三者委員会の設置は当然。なぜそうならなかったのか訴訟で解明したい」と話す。
 学校や市教委についても、いじめが起きた時に教員間の情報共有や連携体制の不備を指摘。発覚後も加害生徒に出席停止など適切な措置をせず、調査も不十分で、いじめの原因解明や責任を棚上げしていると厳しく指摘、「生徒は学習権が侵害されたままで、不信感を強く抱き、精神的苦痛を受け続けている」と訴えている。弁護士は「適切に対応していれば被害者は学校に復帰できたはず。人格形成のうえで大切な3年間を奪われた。なぜ長期にわたる暴行や恐喝を学校が分からなかったのか検証が不十分では、生徒も保護者も安心できない。被害者の立場に立った救済ではなかった」と厳しく鳥栖市と鳥栖市教育委員会を批判した。
 一方、市の担当者は「いじめを早期に発見できなかったのは残念だが、しっかりと対応してきた」と「話す」。天野昌明・同市「教育長」は「今回の問題はいじめを超える本当に重大で重篤な、犯罪に等しいいじめであるという認識を持っている。被害に遭われた生徒には本人が学校に戻れるように家庭での学習支援や適応指導教室などの支援を行い、いじめた生徒に対しては更生のための取り組みを行ってきた。これまで、被害者のことを第一に考えてやってきたが提訴ということになり、精いっぱい対応してきた私たちの思いが本人と保護者に届かなかったのはとても残念」との「コメント」を出した。


 記者会見の場で被害者は「学校は『安心して戻れるようにする』と何度も言っていたので、それを信じてずっと待っていました。でも学校は言うばかりで、何もしてくれませんでした。もう学校のことを信じないし、もう逃げないと決めました」と毅然とした姿勢で鳥栖市と加害者を断罪する決心を示した。
 被害者の父親は「3年生のこの時期になっても学校に戻ることはできず、学校や教育委員会の対応が本人に寄り添ったものではないと判断し、提訴という手段をとるほかなくなりました」と述べている。母親は「学校や教委には当たり前の中学生活を送れるようお願いしてきただけ。裁判は苦渋の選択で、この形でしか息子を助けられないと思うと残念」と述べ,いじめの原因究明を求めたところ、地域で誹謗(ひぼう)中傷を受けたと指摘して「どちらが被害者か分からない状態。息子は悪くないと、はっきりさせたい」とした。また、被害者がいじめのショックから自傷行為を繰り返していたことを明かし、「苦しみを少しでも楽にさせたい」と語った。
 その被害者や家族の思いを天野は何もわかっていない。
 これはまさしく他人事行政が生み出した犯罪と言わざるを得ない。要するに、人の痛みに対して鈍感と言わざるを得ないのだ。これで教育委員会の委員長を名乗るのはもってのほかである。この種のいじめはもはや立派な犯罪行為であり、警察が摘発してもおかしくないケースと言わざるを得ない。鳥栖市もいじめの共犯というべきで、厳しく断罪されるべきだ。
 だが、警察が教育現場に介入することも同時にあってはならないのである。本来ならば教育の現場の浄化能力に期待すべきなのだが、今の安倍被告は「愛国心」とやらには熱心だが、教育の持つ考える力、人としてのあるべき姿については不熱心と言わざるを得ない。それが「ヤンキー」と称していた元暴走族上がりの「教師」出身の自称衆議院議員のインチキではないか。その彼の主張もどきは作家の池澤直樹さんに完膚なきまでに論破されてぐうの音も出ないありさまである。まさに彼はレイシズムの精神的な奴隷にすぎない。
 こういう男と天野はある意味瓜二つと言わざるを得ない。要は責任を取りたくない無責任体質そのものを暴かれたのに過ぎない。いわばこの男も、奴隷そのものである。この場合彼の主人は、あくまでも権力者にすぎない。
 しかもその調査の実態も処分も驚くべき手抜きである。学校側は問題が発覚した2012年10月以降、加害生徒から聞き取り調査を行い、恐喝や暴行、エアガン乱射、カッターナイフ突き付けなどに13人が関わったことを把握した。市教委は首謀者5人を3日間の別室登校とし、加害生徒全員にトイレ掃除など2学期間にわたる更正プログラムを実施、勤労活動や面談などを課したというが、被害者に対する民事上の責任を果たしていない段階でそもそもアウトなのだ。
  また、「進路に関する説明もない」状況の中、被害者が主体になって進学先を決定した直後の2014年10月に、市教委から被害者家族に連絡があり、ショックが大きかったようだ。つまり、後手後手にすべて回った結果がこうなるのだ。
 日本の場合の教育というのは教え育てるものではない、飼いならして育てる飼育にまで成り下がり、自分の頭できちんと考える教育とは全くかけ離れたものである。

 私は今回の件は完全に鳥栖市が悪いと指摘せざるを得ない。
 ではどうやれば解決できるのか。そもそも、初期段階での対応に大きな間違いがあった。ぜひとも、市長は自分たちの初動ミスを認めて謝罪し、加害者への処分を改めて行うべきだ。鳥栖市が被害者とまず和解して、被害者の求める請求額と要請、裁判費の負担をすべて飲んだうえで、「8人」の加害者ではなく、「13人」の加害者及びその保護者全員を実名で今すぐ民事訴訟で2倍の金額の3億円の慰謝料を請求するべきではないのか(ただ、報道などでは実名は伏せるべきだ)。
 また、教育委員長を市長選と同時に市民投票で選ぶべきだ。そうすることで、無責任な体制を一掃することができる。