2015年6月28日日曜日

答えはすでに出ている~ギリシャの民の声に潔くEU・IMFは従いなさい~


毎日新聞

2015年6月26日(金)


ユーロ圏財務相会合:ギリシャに修正案要求…提出まで中断

毎日新聞 2015年06月26日 00時17分

 【ロンドン坂井隆之】欧州連合(EU)は25日、ブリュッセルでユーロ圏財務相会合を開き、ギリシャ向け金融支援を協議したが合意に達せず、約2時間で終了した。債権者側のEUと国際通貨基金(IMF)はギリシャが提出した財政改革案の大幅な修正を要求、新たな提案が出されるまで協議を中断することを決めた。6月末の支援期限切れが目前に迫る中で、交渉の先行きは不透明感を増している。

 ギリシャのチプラス首相は25日午前、前日夜に続いてEUのユンケル欧州委員長やIMFのラガルド専務理事らと協議。双方の溝は埋まらず、財務相会合には、債権者側とギリシャ政府双方が財政改革案を提出し、議論が行われたが、合意に至らなかった。
 債権者団ではIMFが最も強硬で、ギリシャが提出した財政再建策が企業への増税などに偏り過ぎていると決めつけ、年金支給額の削減や支給開始年齢の引き上げの前倒しなど、歳出構造にメスを入れるよう内政干渉。一方、ギリシャ議会与党・急進左派連合の報道官は25日、「要求は壊滅的な措置を再び交渉に持ち込んでおり、ギリシャへの脅迫だ」と厳しく批判。チプラス政権が「越えられない一線」とこだわる年金支給額削減への抵抗は強い。さらにギリシャ側は、3000億ユーロを超える政府債務の返済負担軽減も求めており、対立点はなお多い。
 EUは週内にギリシャ支援継続の合意を目指す方針で一致しており、25日夕方に開かれるEU首脳会議までにユーロ圏財務相会合で合意し、週明けにドイツ議会など加盟国で承認を受ける手続きを描いていた。だが、支援条件を巡る議論の焦点が年金問題に戻ってきたことで、先行きに不透明感が高まっている。
 チプラス首相は首脳会議前、記者団に対し「合意に達すると確信している」と強気の見通しを示した。オーストリアのシェリング財務相は「最後の締め切りは日曜だ」とも述べ、協議を週末に持ち越す可能性に言及した。

毎日新聞社
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ギリシャ支援協議、なお着地点見えず 債権団が「対案」提示

2015年 06月 25日 01:00 JST
 

[ブリュッセル 24日 ロイター] - ギリシャの国際債権団は24日、同国が提出した改革案に大幅な修正を要求し、対案を提示した。関係筋が明らかにした。
同日1700GMT(日本時間25日午前2時)からは、ギリシャ支援協議の合意承認を目指したユーロ圏財務相会合(ユーログループ)が開催される予定で、対案提示はその数時間前のタイミングだった。
労働、年金改革、付加価値税(VAT)など、ギリシャと債権団にはまだ多くの争点が残っているもようで、支援協議の行方をめぐり再び不透明感が高まっている。
複数の関係筋によると、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事がギリシャの改革案に対し最も厳しい姿勢を示している。
IMFは構造改革よりも増税に偏りすぎているとして、改革案全体のバランスを懸念しているもよう。増税によりギリシャ経済が一段と減速し、税収が想定通り確保できない恐れがあるためだ。
ギリシャのチプラス首相はこの日、ブリュッセルを訪問し、欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)、ユーログループ、ユーロ圏救済基金のトップと会談した。
債権団に近い筋は会談後、「(交渉の行方は)まだ極めて不透明だ。合意は得られていない」と明かした。
チプラス首相はブリュッセルへ向かう前、ギリシャの提案を債権団の「一部」が拒否したとして批判。「このような不可解な姿勢が意味するのは、債権団が合意したくないか、あるいはギリシャの特定のグループの利益を守りたいかのどちらかだ」と述べていた。


ギリシャで自殺者が増加、経済危機でー調査
By  島田セレーナ on 2015年6月26日 12時08分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/1524155

ギリシャの自殺率は、同国財政の緊縮政策が厳しくなったここ2年ほどの間に35%も上昇したと、Medscapeが報告した。

「厳しい緊縮政策がギリシャで実施された2010以降、2011年と2012年の自殺率は、2003年から2010年の期間に比べてとても高くなっています」とギリシャのテッサリア大学の助教授で医学博士のジョージ・ラチオティス(George Rachiotis)さんはMedscapeに述べた。

多大な債務を抱えているため、ギリシャは欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)からの救済措置を受けるための条件として、2010年に厳しい緊縮政策を実施した。その緊縮政策には、公共部門の雇用削減や給与と年金のカットだけでなく、消費税など間接税の増税や国営産業の民営化も含まれている。



「さらに、ギリシャの失業率と自殺率には、十分な相関関係があることがわかりました。ちなみに、ギリシャの失業率は(2009年以来)ほぼ倍増しています」とラチオティス博士は言う。

Medscapeによると、2011~2012年の生産年齢(20~59歳)の男性の自殺率は、10万人当たり6.56から8.81に上昇した。ラチオティス博士は「緊縮が、特に公共部門の雇用喪失をもたらし、経済的な不安定さを増大させることによって、自殺リスクをダイレクトに高めています」と述べている。

ギリシャでの自殺率の急上昇は、ロシアでかつて、男性の自殺率が急激に上がったときに似ているとMedscapeは指摘している。ロシアが「ショック療法」によって市場重視の経済改革を試みた時期にあたる1989年から1994年の間、ロシア男性の自殺率は急上昇していた。

ギリシャの首都アテネでは、同国とその債権者との協議が行われる前の22日に、反緊縮デモが繰り広げられ、数千人が集まったとテレグラフ紙が報じた。ギリシャのツィプラス首相は、年金支払額の削減に向けて公務員の早期退職の見直しや法人税の引き上げなどを含む妥協案をめぐり、連立政権内での批判に直面している。ギリシャとその債権団とは、支援に関してまだ合意に達していない。


Financial Times
[FT]ギリシャ、福祉崩壊危機で慈善団体が頼り
    2015/6/25 15:10

 アナスタシオス・イファンティスさんが、ギリシャの福祉がいかに崩壊的状況にあるかという危機を実感したのは、小さな子どもたちが受けているはずの基本的ワクチン接種を受けていないことで、病院に担ぎ込まれるようになった時だった。
 ギリシャの首都、アテネの中心部にある「世界の医療団」の病院でソーシャルワーカーとして働く同氏は「この病院を訪れる、肝炎などの基本的ワクチン接種を受けていない子供たちの数は日ごとに増えている」と語る。「供給が底をついたため、政府は市民にワクチン代を支払うよう要求している。だが、人々は払うことができないのだ」
 健康管理、ホームレス向けのシェルター(一時的住居)、法的相談、精神的カウンセリングなどを提供する慈善団体は、数年に及ぶ緊縮財政によってほころんだ社会的セーフティーネットの穴を埋めるための活動を始めた。
 彼らは、ギリシャ政府が削れる費用はどんな分野でも削減するとみられるなか、むしろ一段と厳しい困難に直面している。ギリシャ政府は、債権団をつなぎ留め、ユーロ圏からの離脱を避けるために、かき集められるだけの資金をかき集めているのだ。
 政府関係者や活動家は、この流れは続いていくしかないだろうと語る。
 ギリシャのチプラス首相と交渉団は、72億ユーロの支援枠継続の道を探る土壇場の交渉のためベルギーの首都ブリュッセルとの間を往復してきた。だが、アテネの道ばた、ホームレス向けのシェルターや病院の混雑した廊下にいる人々の多くは、ギリシャの債権団が支援と引き換えに要求している歳出削減や増税など一連の財政改革で、状況はさらに悪くなるとおびえている。
 息子と病院を訪れていた母親のアレクサンドラ・サンゴムさんは「特別な保険にも入っていないし、収入も、お金もない。この病院以外にどこに行ったらいいのか」と漏らす。
 10歳の息子アントニオス君は、この病院で歯科医に診てもらう1カ月前に、感染した歯を抜く必要があった。
 「ギリシャの状況はいま、ひどい状態にある。これからも悪くなるだけだ」とアレクサンドラさんは訴える。

■普通のギリシャ人患者が半分
 世界の医療団は15年前、当初は性を売り物にする人や薬物使用者、不法移民などを対象にアテネで診療を始めた。だが、今日では普通のギリシャ人が患者のおよそ半分を占める。
 イファンティスさんは「最近明らかに患者が増えており、特にギリシャ人の患者が増えている」と語り、「失業した貧困層。これは財政問題によって増えた社会的問題だ。職や保険、もしくは単に福祉制度から漏れている人々が急増している」と指摘する。病院にいる6人のボランティア医師は、平均的な日には1日約200人の患者を診ている。
 ギリシャは2010年以来、650億ユーロの公的支出を削減し、新政権が多くの人を再雇用しはじめたものの、何万という公務員を解雇した。
 債権団との行き詰まった交渉が長引くなか、政府は同国の破綻を食い止めるために、病院や大学、地方自治体から資金を捻出することでなんとか対応しようとしている。同国経済が崩壊寸前でぐらつくなか、こうした動きで、最も必要とされる時に社会福祉に対するしわ寄せが大きくなっている。英医学雑誌ランセットによると、80万人ものギリシャ国民が無保険や貧困によって医療から切り離されていると見積もっている。
 慈善団体「プラクシス」の責任者イオナ・ペルシニドゥさんは「多くの人々の命が一瞬にして奪われていくのを目の当たりにした」と語る。
 彼女の取り組みは、破綻にひんした家庭への経済的援助や増加が顕著なアテネのホームレス向けシェルターを運営することだ。
 ギリシャの総人口1100万人の半分が暮らすアテネでは、その他の非政府組織(NGO)が、政府が手を引いてしまった分野を補完すべく奮闘している。
 同国政府によると、50万人以上の国民は融資の返済ができない状態で、30万人が新たな人道支援対策法のもと支援を申請したが、現金はたった1073人の住宅手当に支払われるだけしかなかったという。
 ペルシニドゥさんは「財政危機によって知らないうちに状況が厳しくなった。家々は電気を断ちきり、家計の債務は積み上がった。立ち退きを余儀なくされる家も劇的に増えた。人々はもうこれ以上持ちこたえられない」と指摘する。

■5年間でホームレスが25%増
 プラクシスが運営するアテネ中心部のホームレス向けシェルターを訪れる人の数は、今年初めから5カ月間で4万3000人と倍以上増えた。これは1日あたり約300人に相当する。
 夜が更けるにしたがって、アテネ中心部のオモニア広場では何十人もの人々が戸口や野ざらしの歩道に段ボールを敷いて寝始める。そのため、警察はその地域での性的犯罪や薬物使用を取り締まるためパトロールを実施している。
 慈善団体は、10年に危機が始まってから町のホームレスが25%増えたと推定している。
 米著名投資家で億万長者のジョージ・ソロス氏が支援する慈善団体「ソリダリティナウ」が建てたアテネのデイケアセンターは、1月に開設して以来約2万人に対して診察、カウンセリングを提供し、無料で法律や雇用に関する助言を行っている。
 プラクシスのシェルターで看護師として働くタナシス・ディミトラコウポウロスさんは「わたしたちは本来政府がやるべきことをやろうとしている」と訴える。

By Henry Foy

(2015年6月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

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 はっきり言わねばならない。
 今回ギリシャが出した提案は、本来あるべき経済の姿なのである。その姿勢にこそ、EUとIMFは従う義務がある。
 タイを見てみるがいい。IMFの改悪によって、貧富の格差は拡大し、その結果は取り返しの付かない国民の分裂を招いた。タクシン正統首相を不当に極右軍部は弾圧するが、国民の多数がタクシン正統首相を支持していることは明快だ。
 インドネシアも見てみるがいい。独裁者によってめちゃくちゃになった結果とは言え、国の対立は決定的である。その結果は極右と極左の勢力獲得に等しい物がある。そしてフィナンシャル・タイムズの記事で私達は誰に怒りを見せればいいのか。
 答えはすでに出ている。人の褌で相撲を取る卑怯極まりないハイエナファンド共を野放しにしてきたIMF・EUにこそ怒りをぶつけるべきだ。恐らく、ギリシャから多くの移民が出るであろう。それも致し方がない。全てはハイエナファンドを野放しにしてきた我々のつけなのだから。