2015年7月13日月曜日

海外派兵よりも自衛の原点にもどれ 『大丈夫か、自衛隊員 「心の病」なんと3万人!! 安倍自称首相、これでは「後方支援」どころではありません』から見えること

大丈夫か、自衛隊員 「心の病」なんと3万人!! 安倍自称首相、これでは「後方支援」どころではありません

どう考えても普通ではない。いじめ、パワハラは日常茶飯事、海外派遣された隊員の自殺率は国民平均の十数倍にのぼり、その裾野には数倍の「予備軍」がいる。安保法制は、この問題を抜きに語れない。

■脱走する隊員たち

「身 近に、心を病んで自衛隊病院に行く隊員がいても、『あ、また出たのか』という感じです。人が人と思われていない場所ですから当然といえば当然です。いじめ は日常的で、私の知っているケースだと、監視用の双眼鏡をのぞいているところを思い切り殴られたり、巨大な金属製の懐中電灯で頭を殴られて血を流している 隊員もいました。
海上自衛隊では、ストレスに耐えられず、時たま与えられる外出の機会に、そのまま帰って来なくなる『脱走』のケースも頻繁にあります。
これだけ隊員が精神的な負担を抱えていて、しかも彼らには戦場に行くような覚悟もない。そんな彼らが銃を持ち、他国の兵士と戦うことになるわけですから……」
元海上自衛隊の隊員は時折口を濁しながら本誌の取材に答え、最後にポツリとこうつけ加えた。このまま自衛隊を海外に派遣すると大変なことになりますよ。
安倍晋三自称首相(以降被告)は、野党の反発にも関わらず、強硬に安全保障関連法制の整備を進めている。
6月4日、与党、野党が参考人として衆院憲法審査会に招致した3人の憲法学者全員が、「法案は違憲」としたことを契機に、野党は激しく反発。
それでも安倍被告は異論を黙殺し、「千万人といえども我ゆかん」の姿勢を鮮明にする。6月8日には、G7サミットが開かれていたドイツでの記者会見でこう言った。
「今回の法整備にあたって、憲法解釈の基本的論理は全く変わっていない。憲法の基本的な論理は貫かれていると確信する」
今や安倍総理の頭の中には、一刻も早く安保法制を整え、自衛隊を海外へ派遣しようという思いしかない。
自衛隊を海の向こうに送り出し、「国益のための後方支援」と称して、「敵性国」と対峙させる。それこそが、日本の未来のあるべき姿だと信じて疑わないのだ。
しかし、安倍被告がいくら自衛隊を積極的に海外派遣し、米軍の後方支援に当たらせようとも、それは無謀というものではないだろうか。

■異常なまでに高い自殺率

自衛隊にはあまりに深い「闇」がある。
「自衛隊には、閉鎖的な環境、過酷な訓練などが原因となって、『心の病』を抱えている隊員が非常に多いのです。全隊員約25万人のうち1割以上、3万人近くが何らかの形で心に問題を抱えている可能性があると言われます」(防衛省関係者)
実態はあまりに深刻だ。'01~'08年の陸上自衛隊における10万人あたりの自殺者数を示す「自殺率」は37・0。'14年の日本の成人の自殺率、20・0人(内閣府調べ)の約1・85倍に及ぶ。
6月5日にはさらに悲劇的な数字が明らかになった。'01~'10年、インド洋で給油活動を行っていた自衛隊員約1万3800人のうち27人、そして'03~'09年、イラクで復興支援活動に携わった隊員約9310人のうち29人、計56人が在職中に自殺していたのだ。
イラク派遣隊員の自殺率は311・5と、日本国民全体の15倍超にも達している。これは異常としか言いようがない。
組織におけるメンタルヘルスの問題に詳しいメンタル・ヘルス研究所の中野博之氏はこう語る。
「上場企業に『心の病を抱えている社員がどれくらいいると思いますか』とアンケート調査した結果、『10%以上』と回答した企業は7・4%に上りました。ストレスが高い環境ほど心の病を抱えた人の割合は高くなる」
前述の自殺者の数字が示す通り、自衛隊は一般の企業などに比べ、ストレスや精神的苦痛が遥かに大きいと言わざるを得ない。心の問題を抱える隊員は、10%にはとどまらないおそれもある。
もともと今の自衛隊には、就職先や資格を得るための腰掛けで入隊した、モチベーションが低めの隊員も多いという。
そんな隊員たちに、突然、「外国の戦地に行け」と言えばどうなるか。
「先日会った自衛隊員は、『日本が攻撃された時に領土を守るというつもりで活動してきた。集団的自衛権というのは海外に出て何でもやるということ。話が全く違う』と言っていました」(社民党衆院議員・吉川元氏)

■潜水艦から海に飛び込む

まずはこのように、任務への拒否という反応がありうる。それができない者は、高確率で精神を病んでしまうだろう。本格的に自衛隊が海外に出ることになれば、心の病に苦しむ自衛隊員は3万人どころかその数倍に膨れ上がると予想される。
そもそも自衛隊は、冒頭の証言でも分かるように、いじめ、自殺など様々な問題を抱えてきた。『自衛隊員が泣いている』などの著書がある、ジャーナリストの三宅勝久氏が指摘する。
「例 えば海上自衛隊の場合、幹部隊員以外は、任務に加えて寝泊まりも常に船内。24時間船の中です。寝起きは2~3段ベッドと狭苦しいうえ、週に1~2回は数 時間交代の当直があるので慢性的に寝不足に悩まされる。しかも人間関係が異常に濃密で、一人になれる時間がほとんどないのです。
楽しみといえば、たまの休みに、オカ(陸上)でパチンコをしたり、酒を飲んだりすることくらいですが、階級の低い隊員は、『体操がキチンとできていなかった』といった理不尽な理由をこじつけられて外出を許可されないこともある」
悲惨な自殺の事例も多数ある。潜水艦が潜航する直前に突如外に出て水死したケースや、わざわざ天井の低い魚雷発射管室で首を吊ったケース。
「ある基地では、『無能だ』と言われ続けて心を病み、ガムテープで自分の顔をグルグル巻きにして窒息死した50代の隊員もいました」(元航空自衛隊隊員で、自衛隊員の悩み相談を受ける小西誠氏)
安倍被告は自衛隊を「敵性国家」から日本を守るための「盾」として、あるいはいざという時の「矛」として使いこなすつもりでいるのかもしれない。しかし、これほど脆く、問題を抱えた組織が海の向こうで機能すると考えるのは、「矛盾」としか言いようがない。

■内部のミスを隠蔽しようとする体質

実際、すでに悲劇は起きている。イラク戦争後に、クウェートに派遣された、元航空自衛隊3曹の池田頼将氏は本誌の取材にこう語る。
「私 は'06年4月、第9期イラク復興支援の隊員に選ばれました。約100人からなる第一輸送航空隊の一員としてクウェートに到着。基地の周囲には立ち入り禁 止の有刺鉄線が広がり、そこには地雷が埋まっていました。『基地内にも地雷が残っているから気をつけろ』と言われた時には身がすくんだものです」
その年の7月4日、池田氏は自身の趣味であるマラソンの現地大会に出場。そこで、KBRという、アメリカの兵員輸送の大型バスにはねられた。
「首、 肩の痛みは、耐えられないほどでしたが、その基地には十分な施設がない。睡眠薬や痛み止めを与えられるばかりでした。クウェートの病院に連れて行っても らったのですが、言葉も十分に通じず治療はできなかった。上官に痛みを訴えると、『アメリカに治療費を出してもらえ』と言われる始末。我慢できず、『日本に帰らせてくれ』と上官に何度もお願いしましたが、帰らせてくれませんでした」(池田氏)
結局、池田氏は、8月下旬に帰国。病院で診ても らったところ、外傷性顎関節症と診断された。だが、事故から時間が立ちすぎて手遅れだった。いまでも1㎜ほどしか口が開かず、流動食しか食べることができ ない。一時は、ひきこもり状態になり、妻子と別れた。'11年には、隊でのいじめもあり、自衛隊も依願退職せざるを得なくなった。
「自衛隊の幹部は事故そのものを隠蔽しようとしたのだと思います。ウソばかりの組織で、まったく信用できない。安全保障法制が通れば、また私のような被害者が確実に出る。海外派遣などありえません」(池田氏)
命を狙われるかもしれないという恐怖と、内部のミスを隠蔽しようとする体質。だからこそ、心の病を抱えた隊員も増える。派遣からの帰国後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する隊員も多い。自衛隊の関係者が明かす。
「イラクに派遣されたある隊員は、帰国後も、『派遣されている時、近い所に発射光が見え、敵がそばにいる気がして銃に弾を込めようか悩んだ。今でもその光景が 思い出されて、寝つけない』と言っていました。また、『マンホールを見ると無意識のうちに飛び越えて避けてしまう』という隊員がいる。どうしても地雷だと思ってしまうそうです。
戦場での恐怖から隊務につけず、自宅にひきこもり、外に出られなくなった隊員、調査書に『自殺願望が強く要注意』と書かれた隊員もいます」
イラク・サマワの宿営地の警備にあたっていたある隊員は、帰国後、カウンセリングを受けても精神状態が安定せず、
「おかしいんじゃ。命を大事にしろと言うのが逆に聞こえる。自死しろと言われているのと同じに聞こえてきた」
と言い残し、その数日後に自殺したとされる。
「非戦闘地域にも危険はあった。自衛隊員は『フレンドリー・ファイア』を恐れていました。同行している、経験の浅い他国の兵士が、ちょっとした動きに驚いて誤射することがあるのです。米兵が英兵を誤射してしまったということもあった。自衛隊員も、敵だと間違われないように気をつけていました。そうした恐怖がPTSDにつながるのでしょう」(戦場ジャーナリスト・志葉玲氏)

■海外派遣なら、もっと増える

アメリカを代表する有力シンクタンク、ランド研究所の調査によれば、アフガン、イラク戦に派遣された米兵のうち、約5%がPTSDに、約5%が抑うつ状態になり、約9%が両方の症状に苦しんでいるという。
「アメリカという戦争慣れした軍隊であってもこういう状況。自衛隊が同じ状況になったら、20%どころでは済まない。今後、5万人、6万人と心の病を抱えた隊員が増えていく可能性がある」(前出・防衛省関係者)
小泉純一郎「政権」、第一次安倍「政権」などで内閣官房副長官補を務め、自衛隊のイラク派遣などを支えてきた柳澤協二氏は、現在の安倍一味の安全保障政策を強く批判する。
「安倍一味の安全保障政策は、『自衛隊に、これまでできなかったことをさせたい』という程度の動機で動いており、あまりに現実感に乏しい。安倍被告は『武力行使はしない』と言っていますが、将来、自衛隊がアメリカに呼ばれて対テロ戦争に参加せざるを得なくなれば、武力行使は必至、戦死者が出ることも考えられるわけです。その時に国民はそれをどう受け止めるのか。議論のないまま強行採決しても、後々、『こんなはずじゃなかった』ということになるに決まっていま す」
心を蝕まれる自衛隊員、永遠の別れを覚悟して彼らを送り出す家族-。改正される法律の文書の背後には、血の通った当事者たちがいる。
「週刊現代」2015年6月27日号より

 池田氏の告白を無駄にしてはいけない。
 この事件があるかぎり、私は今の段階で 安全保障政策は確実に破綻すると断言せざるを得ない。
 日本はそもそも、日本国憲法という最強の切り札があった。その切り札を使い、紛争当事者と和解調停をしながら、当事者の移住などの柔軟な外交を使えばいいのにそんな発想がないのだからお粗末なのである。
 ましてや限界集落の問題など日本はもはや大変な事態にある。そういう時には難民や移民を活用した国造りが有効なのは明らかである。当然、地元住民との交流は必要なのだが。
 安倍被告は池田氏の告白にいまこそ耳を傾けなさい。これはあなたへの命令です。

 いますぐ、聞きに行きなさい!!