2015年7月14日火曜日

私たちは生活者であり、奴隷ではない~精神疾患当事者の権利~

 最初に、国際法を一つみなさんに教えねばならない。

https://drive.google.com/file/d/0BxNXYLX0s5OjVXJDWVM4alZ2dFk/view?usp=sharing


 この法律は国連障碍者権利条約といい、立派な国際法である。
 だが、この日本は国際法の精神からかけ離れた国である。この法律は生活者としての障碍者を守ろうとしているのだが、日本では残念なことに、女性の障碍者を中心に下半身ビジネスが人の尊厳を踏みにじるようなことを画策する。
 さらに、こんな現実がある。

 2015年04月02日 06:00 公開
外見では分からない双極性障害患者の苦しみ、当事者らが講演
病気とは別の悩み

 毎年3月30日は「世界双極性障害デー」。病名を聞いてもピンと来ない人も多いようだが、これはかつて「躁(そう)うつ病」と呼ばれていた精神疾患の一つだ(関連記事=双極性障害ってどんな病気?)。外見からは病気と見られず健康と勘違いされたり、治す気持ちがあるのかと問い詰められたり...。この病気に対する正確な知識と理解がないために、患者は病気とは別の苦しみを抱えている。今年から、わが国でも日本うつ病学会がイベントなどを通じてこの病気の認知度や理解度の向上を目指していく。3月27日には東京都内でメディア懇親会が開かれ、双極性障害の患者団体主宰者など3人の当事者が講演を行った。

周囲の"無理解"という苦しみ
 双極性障害では、躁状態とうつ状態の2つの相反する症状が交互に繰り返されたりするため、正確に診断をするのが難しいといわれる。実際、最初の症状が出てから双極性障害と診断されるまでに平均9.6年かかるというデータもある。
 診断がついて治療が始まっても、薬による副作用が出たり、症状が安定せずに会社や学校を長期にわたって休んだりせざるを得ないケースも少なくない。それらに加え、外見だけでは病気とは分かりにくいことから、周囲の冷たい言葉にも苦しめられることもある。
 日本うつ病学会の尾崎紀夫理事長(名古屋大学大学院医学系研究科教授)によると、「病気に見えない」「弱いから病気になる」「治す気があるのか」といった言葉が、家族などから患者に向けられるという。この病気に対する正しい知識がないことによる理解のなさが見え隠れする。

病気による孤独感と病気への感謝の気持ち
 双極性障害の患者団体、NPO法人「ノーチラス会」(東京都品川区)の会長である芳賀佳奈恵さんは、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が、患者にとって孤独感を乗り越える重要な手段にもなっていると話す。普段はカウンセリングを行う立場にいるが、自らも双極性障害である芳賀さんは「うつ状態で何もできないときには、スマートフォンを握りしめて布団の中にこもることがある。(SNSを通して)ほぼリアルタイムで、同病者ならではのアドバイスをしてもらえた」と、SNSの利点を強調した。
 閉鎖病棟での入院生活や、薬の副作用による苦しみを体験してきた清野さやかさん。「医療には限界があり、生活に重きを置いた支援が大切。十分な人権への配慮の重要性を学んだ」という。その後、精神保健福祉士の資格を取り、患者と医療者との橋渡し役として福祉の現場で活動してきた。現在は、躁状態で一人旅に出た長野県を再訪した際に知り合った男性と結婚し、「双極性障害が度々もたらしてくれるエネルギーのおかげで、良きご縁や出会いに恵まれ、感謝している」と微笑む。
 別の形で医療に貢献しようとするのは、双極性障害患者として半世紀ほどを生きてきた、品川区精神障害者当時者会「年輪の会」会長の佐藤諦吉さんだ。ノーチラス会の創設者でもあり、これまでさまざまな活動を行ってきたが、病気に関する詳しいメカニズムはいまだに解明されず、根本的な治療法も開発されていない。昨年、「死後に自分の脳を研究に使ってもらいたい」との思いから、福島県立医大などが運営する精神疾患のブレインバンクに登録した。
 自身も双極性障害患者として治療を続けながらも、患者団体を運営したり、医療者として貢献したりしている3氏。今回、日本うつ病学会の趣旨に賛同し、実名で講演を行い、病気による苦しみを訴え、社会の理解を求めた。一方で、病気によって得られた人脈や、人生そのものへの感謝の気持ちも表明した。なお、社会の無理解がもたらす双極性障害患者の苦しみを取り除くため、今後も同学会ではイベントなどを行っていくとしている。
(松浦 庸夫)

 こういう現状の改善がないのだから、私も正直に言って焦りもいらだちもある。

第四条 一般的義務

  • 1 締約国は、障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する。
    • (a) この条約において認められる権利の実現のため、全ての適当な立法措置、行政措置その他の措置をとること。
    • (b) 障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること。
    • (c) 全ての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること。
    • (d) この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること。また、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること。
    • (e) いかなる個人、団体又は民間企業による障害に基づく差別も撤廃するための全ての適当な措置をとること。
    • (f) 第二条に規定するユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設であって、障害者に特有のニーズを満た すために必要な調整が可能な限り最小限であり、かつ、当該ニーズを満たすために必要な費用が最小限であるべきものについての研究及び開発を実施し、又は促 進すること。また、当該ユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設の利用可能性及び使用を促進すること。さらに、基準及び指針を作成するに当 たっては、ユニバーサルデザインが当該基準及び指針に含まれることを促進すること。
    • (g) 障害者に適した新たな機器(情報通信機器、移動補助具、補装具及び支援機器を含む。)についての研究及び開発を実施し、又は促進し、並びに当該新たな機器の利用可能性及び使用を促進すること。この場合において、締約国は、負担しやすい費用の機器を優先させる。
    • (h) 移動補助具、補装具及び支援機器(新たな機器を含む。)並びに他の形態の援助、支援サービス及び施設に関する情報であって、障害者にとって利用しやすいものを提供すること。
    • (i) この条約において認められる権利によって保障される支援及びサービスをより良く提供するため、障害者と共に行動する専門家及び職員に対する当該権利に関する研修を促進すること。
  • 2 各締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、これらの権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国に おける利用可能な手段を最大限に用いることにより、また、必要な場合には国際協力の枠内で、措置をとることを約束する。ただし、この条約に定める義務で あって、国際法に従って直ちに適用されるものに影響を及ぼすものではない。
  • 3 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策の作成及び実施において、並びに障害者に関する問題についての他 の意思決定過程において、障害者(障害のある児童を含む。以下この3において同じ。)を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に 関与させる。
  • 4 この条約のいかなる規定も、締約国の法律又は締約国について効力を有する国際法に含まれる規定であって障害者の権 利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。この条約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ、又は存する人権 及び基本的自由については、この条約がそれらの権利若しくは自由を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利及び自由 を制限し、又は侵してはならない。
  • 5 この条約は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家の全ての地域について適用する。

第五条 平等及び無差別

  • 1 締約国は、全ての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを認める。
  • 2 締約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による差別に対しても平等かつ効果的な法的保護を障害者に保障する。
  • 3 締約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するための全ての適当な措置をとる。
  • 4 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、この条約に規定する差別と解してはならない。

第六条 障害のある女子

  • 1 締約国は、障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識するものとし、この点に関し、障害のある女子が全ての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。
  • 2 締約国は、女子に対してこの条約に定める人権及び基本的自由を行使し、及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発、向上及び自律的な力の育成を確保するための全ての適当な措置をとる。
 だが、私が以前取り上げたように、これらは全く絵に描いた餅そのものになっている。
 名古屋市内でカルト団体のエホバの証人信者の女性を殺害した容疑の10代後半の学生は精神鑑定で「発達障害」、それもアスペルガー症候群だったことが明らかになった。当然私は犯した罪に対してもし事実であるなら、精神疾患であることを踏まえた上で適切な更生の道を備えるべきだという考えである(名古屋地検は、刑事責任能力について問題ないと思い込んでいるが国際法では通用しない)。
 これが国連障碍者権利条約ではこうなる。

第十五条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由

  • 1 いかなる者も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。特に、いかなる者も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。
  • 2 締約国は、障害者が、他の者との平等を基礎として、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けることがないようにするため、全ての効果的な立法上、行政上、司法上その他の措置をとる。
このことからも、今のネット世論のゆがみは明らかである。
 私たちは障碍者という、まるで狭い枠の中に押し込まれて他人の顔をうかがってしか生活をすることができなかった。
 だが、ルールを守るという最低限の義務を果たす限り、生活者としての権利を駆使することはできるのだ。断じて奴隷ではない。