2015年7月17日金曜日

出版社経営破たん:品質の低い商品を大量生産したツケが回ってきた

 今回取り上げるのは、出版社の倒産についてである。
 記事では消費税増税が倒産原因だとしているが、私はそうは思っていない。

出版社の倒産、14年度は5割増 消費税引き上げが影落とす 帝国データバンク

帝国データバンクによると、14年度に倒産した出版社は前年度から5割増と大幅に増えた。

[ITmedia]







帝国データバンクによると、2014年度(2014年4月~2015年3月)に倒産した出版社は前年度から5割増と大幅に増えた。書籍販売が落ち込む中、昨年4月の消費税増税で消費者心理が冷え込んだことも追い打ちをかけたとみられる。
photo 出版社の倒産件数・負債総額の推移=帝国データバンクのリポートより
14年度に倒産したのは46社で、3年ぶりに前年度から増加。負債総額は3.8倍の111億8000万円と大きく増えた。
 昨年度は「小悪魔ageha」で知られるインフォレスト(負債:29億1300万円)が破産を申し立て、「美術手帖」などで知られる美術出版社(負債:19億5000万円)が民事再生法の適用を申請した。
*美術出版社はカルチャ・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA運営)がスポンサーになった。
 12年度以降では、小中学生向け参考書の教学研究社(負債:6億円)など、少子化の影響で部数が減っている学習関連出版社の倒産も目立っているという。
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*引用はここで終わりにします。*


 はっきり言って、優先順位の極めてひどいものを生活者は切り捨てているのに過ぎないのではないか。
 たとえば、週刊誌。今の週刊誌なんて、スキャンダルだらけだが、その実態のほとんどが芸能人などをターゲットにしたものばかりではないか。週刊プレイボーイ(集英社)や週刊金曜日(金曜日)のように、権力者への批判を堂々とやっているジャーナリズムはごくわずかにすぎない。
 その段階で、読者離れも当然だ。構造改革云々のレベルではなく、そもそもジャーナリズムの基本を忘れた段階でアウトなのだ。そして刺激に慣れすぎてしまった結果、新たな刺激を求めてしまう。その結果は最近出てきた無毛ヌード(場合によっては擬似児童ポルノの危険性もある)ではないか。

 同じことは、コミック週刊誌にも言える。
 たとえば、少年週刊誌でも今ではジャンプ(集英社)、マガジン(講談社)、サンデー(小学館)、チャンピオン(秋田書店)があるのだが、品質の悪い作品が最近増えてきている。漫画家の大量生産と大量消費そのものではないか。
 おそらくこの数年以内で少年週刊誌の一角は廃刊になる可能性が高い。あの角川書店も、アスキーなどを経営統合し、雑誌の整理を行った。週刊アスキーはデジタル雑誌になった。この流れは、おそらく数年後に小学館と集英社の経営統合につながる可能性がある(そのことによってジャンプとサンデーの再編があると私は見ている)。アマゾンのKindleにしても、日本ではそれほど普及していないのが現実である。おそらく、WindowsタブレットやiPad、Androidにのまれて消滅するのではないか。更に危惧すべきことは、廃刊によって生み出された余剰の漫画家たちが下半身作品に乗り込む危険性だ。そんなことはあってはいいわけがない。
 あまりにも品質の低い商品を大量生産した結果、メディアは自壊した。異例の大ヒットとなったトマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」は、税込み5940円、約700ページの大作なのにもかかわらず、日本では13万部を突破した。つまり、読者は品質の高いものを求めているのはだれの目からしても明らかなのである。
 最近の週刊誌は我々をバカにしているとしか言いようがない。現実、少年週刊誌も読者層が高齢化しつつある。 でなければ少年誌なのにもかかわらず、障碍者の現実の一部しか描かない「ヒューマンドラマ」とか、性交を堂々と描いている「ラブコメディ」がはびこることは説明できない。もう、そんなあり方に我々は異議ありを唱えねばならない。
 人造肉のような味がくどくて、中身の無い作品はもうやめて欲しい。うんざりする。