2015年7月19日日曜日

その怒りを「自民党」にこそぶつけろ


http://news.biglobe.ne.jp/trend/0702/mes_150702_2680446896.html

「家賃払えない」新幹線火災加害者に見る、今ここにある私たちの貧困

messy 2015年7月2日(木)18時10分

『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』藤田孝典/朝日新聞出版
6月30日、東海道新幹線「のぞみ225号」の先頭車両で火災が発生し、男性1人、女性1人が死亡し多数の負傷者も発生した。火災は死亡した男性乗客が頭から灯油をかぶって火をつけたことによるものだった。つまり焼身自殺を図ったということだ。

  その後の報道では、この男性は東京都杉並区に住む71歳の高齢者、一人暮らし。年金の受給額にたびたび不満を漏らし、「生活できない」と周囲に話していた という。男性は年金受給額について「35年間払っているのに24万円しかもらえない」と話していたそうで、生活に困窮し不安を抱えていたようだ。続報によ り、「住民税の通知が来たが払えない。家賃も払えない」と杉並区議に訴えていたことも明らかになっている。

 年金の支給は2カ月に一度で あるため、「24万円」と漏らしていたということは、一カ月で12万円だったことになる。この男性の職歴は、ギターなどを持って酒場を歌い歩く「流し」、 幼稚園の送迎バス運転手、清掃会社に勤務していた時期もあるという。正規雇用の社員だった時期がどれくらいかは不明だが、国民年金だけで月12万というこ とはないので、35年間ずっとではないしろ厚生年金も納めた時期があったのではないだろうか。

 国民年金は、20〜60歳の40年間が「納めるべき期間」で、65歳〜亡くなるまでが「受け取る期間」とされている。納める際は「国民年金保険料」、受け取る際は「老齢基礎年金」と名前が変わる。

  しかし2015年現在、国民年金だけを40年間きっちり払い続けた人が、一年間に受け取れる老齢基礎年金は満額で780,100円。月額で65,075円 である。厚生年金や共済年金にも加入し毎月数万円の掛け金を支払ってきた人ならば、月額15万〜30万を受け取れているかもしれない。

  容疑者男性が他に収入や預金を持たず、月額12万円で生活し続けなければいけない境遇を悲嘆したとしても、だからといってこのような形で自殺することは許 されてはならない。自宅でひっそり亡くなるのではなく、新幹線という場所を選んだことで日本中から注目を浴びることとなったわけで、これはある意味、自爆 テロだ。自爆テロが横行する社会になっていいはずがない。

 しかしこの事件から、「社会福祉の充実が見込めなければ、日本での自爆テロはあっという間に激増するかもしれない」というあまりに悲惨な未来が見えてくる……と言っては飛躍しすぎだろうか。

  正規雇用で35年働いても、安定収入のあるうちに貯蓄をしておかなければ老後の生活は厳しい。そんなことはわかりきっているからこそ、「老後資金3000 万円貯めよう!」といった企画が、週刊誌等でずっと昔から言われてきたのだ。だが裏を返せばそれだけ社会福祉が手薄だということになる。老後資金を貯めら れなければ、“健康で文化的な最低限度の生活”を送ることが困難だ。

 正規雇用でも老後、年金(国民年金+厚生年金)オンリーでの暮らし が厳しいなら、非正規雇用で働き続ける人々の老後はますます厳しいだろう。アルバイトや期間限定の非正規雇用を転々とする人(35年も同じアルバイトを継 続できることは稀だろう)、会社員だったが出産を機に退職しパートタイム労働になった後、離婚した人、低賃金の売春でその日暮らしをする以外の稼ぎ方が出 来ない人。これらはすべて、正規雇用につかない“不真面目で”“能力が低く”“計画性に乏しい”個人の自己責任で片付けられる問題なのか。

 新幹線焼身自殺の男性は、まさに今話題になりつつある「下流老人」だったように見える。そして今は平均的な生活をしている(と思っている)我々もまた、下流老人への道をゆっくり歩いているのかもしれない、と恐ろしいが考えざるを得ない。
住む家のないおばあさんになるかもしれない  「下流老人」とは、ソーシャルワーカーの藤田孝典氏が定義した造語だ。「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」を指し、先日発表 されたばかりの新書『下流老人〜一億総老後崩壊の衝撃〜』(朝日新聞出版)は瞬く間にAmazonベストセラー1位となっている。同書では、内閣府「平成 22年版男女共同参画白書」を引き、衝撃的な数字をまざまざと見せ付けてくれた。

・65歳以上の相対的貧困率は22,0%
・単身高齢男性のみの世帯では38,3%
・単身高齢女性のみの世帯では、52,3%

  現在すでに約600万人が一人暮らしをしており、うち半数近くは生活保護レベルの暮らしをしているという。仮に国民年金を40年間、毎月支払ってきていた としても、預金や不動産収入などなどの資産がなければ、繰り返すようだが一年間に受け取れる老齢基礎年金は満額で780,100円。月額で65,075円 である。

 もし今、あなたがアルバイトや契約社員、フリーランスの仕事などで一カ月16万円ほどの手取り収入を得ているとする。そのうち 1万5000円ほどの年金保険料を毎月納めているとする。さらにその生活が40年続いたとする。となると、いつかバイトもパートも雇用してもらえない無職 になったとき(たとえば75歳と仮定しよう)、月収65,075円で、家賃・食費・光熱費・通信費などの生活費用を賄えるだろうか。体調不良で医療費がか かる場合、病院に行き適切な医療を受けられるだろうか。

 また、同書の第5章に、2組の高齢男性の事例がある。

(1)長 い間、住宅機器メーカーに正規雇用で勤めてきた男性。退職金は支給されたし、貯金もしており、65歳の時点では約1200万円の資産があった。老齢基礎年 金の受給は月額14万円。住まいは家賃7万円の賃貸アパート。家賃を支払い、残金7万円と貯金の切り崩しで生活していたが、82歳の時に貯金が底をつい た。それ以降は、完全に月額14万円で生活していかねばならず、家賃負担に耐えられなくなり3カ月家賃滞納。退去して友人宅に身を寄せて暮らしている。

(2)小さな町工場で40年働き65歳で退職した男性。コツコツ貯めた預金もあったし年金も受給しているが、75歳頃に身体を壊して医療費の負担が増大したため78歳でお金が底をつき、家賃滞納でこちらも退去を余儀なくされる。

 貯蓄があって、年金を受給していても困窮するほど、人が一人生きていくにはお金がかかるということだ。

 賃貸物件は2年ごとに更新料が発生するし、引越しするとなればさらに数十万円のお金がかかる。なにより保証人のいない老人は家を新たに借りられない。高齢者は住む場所を失ってしまうのだ。

  田舎へ越せば家賃が2〜3万円程度の物件もあるかもしれないが、そうなると車などの新たな生活必需品が必要になるし(もちろん車検もある)、何より70歳 ほどの高齢を過ぎて見知らぬ土地で新たな人間関係をいちから構築することは簡単ではないだろう。また、「持ち家を買っておけば良かったのでは?」と思う人 もいるだろうが、仮に35歳で持ち家を購入し、なんとか定年退職までにローンを完済したとしても、75歳になる頃には家はボロボロで修繕費を要することが 目に見える。
私たちの老後を考える 藤田氏はYahoo!ニュース個人で「40年間の平均給与が月25万円の人」が、65歳以上でどれだけ年金を受給できているかの試算を公開している。それによれば、

厚生年金部分は約79万となり、国民年金部分は78万となる。
合計しても157万であり、月額 約13万円しか支給されない(日本年金機構の水準により計算)。
国民年金のみの場合では、年間の支給額は約78万円だけであり、月額は約6万5千円だ。
要するに、実際に年収400万円程度だと、「老後にもらえる年金額は月20万円を下回る」ということが分かる。

(http://bylines.news.yahoo.co.jp/fujitatakanori/20150511-00045588/)

40年間支払えない人もいるので、平成25年度の国民年金平均受給月額は54,544円である。
ちなみに、厚生年金の平均月額は、145,596円である(厚生労働省「平成25年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。

(http://bylines.news.yahoo.co.jp/fujitatakanori/20150413-00044780/)

 しかし現状で、家賃含め、月々の支出を10万円以内にきっちり抑えられる人が、家賃の高い首都圏のみならず地方でもどれだけいるだろうか。

  藤田氏は、下流老人が生きていくために生活保護を利用するよう提言している。たとえば新幹線放火事件の加害者男性が住む東京都杉並区の生活保護基準は 144,430円で、男性が受給していた年金の月額よりも多いし、医療費や保険料、納税の面で減免も受けられる可能性があるからだ。生活保護基準に満たな い2万少々を、申請すれば支給されたかもしれない。そうすれば、焼身自殺を図らずに済んだかもしれない……たらればは過ぎた事件に無効だが、これから先の 未来を考えるうえでは有効だ。

 ひどい未来予想図だが、少子高齢化がさらに進めば、金銭的に余裕がなく消費どころでない高齢者の存在はさ らに大きな社会問題化するだろう。消費が停滞し経済はますます不景気になる。税収は減るのに社会保障支出は増える。藤田氏は社会保障や社会福祉のリビルド と、「施し」ではなく「権利」への意識改革、個人領域では人間関係を充実させることなどを提言するとともに、支出を最低限抑えても暮らせるような生活モデ ルの構築を思案している。あなたはどうだろうか。「10年以上先のことなんて、ちっともわからない」と蓋をせずに、自分自身がどんな余生を過ごしたいか、 考えを巡らせてみてほしい。誰もが等しく老人になるのだから。

(ヒポポ照子)
(C)Cyzo.inc

 まず、この痛ましい放火事件に対して、巻き込まれた被害者には冥福を、残された被害者および自殺した加害者男性の遺族の方々には形は変えども、お悔やみを申し上げる。
 みなさんはこの事件を加害者男性に対して「許せない」と一律に思うであろう。だが、それはいけない。この事件の真犯人は、超格差社会を生み出したネオナチジャパンそのものなのである。それも、小泉自称政権から続く「新自由主義」という名前の超格差社会そのものである。そこにあるのは「ただ強ければいい」という安直な思想である。
 この国にいま最も欠けているのは公平と公正である。その象徴が激安そのものになった法人税とその分不当に増税された消費税である。その結果、廃業という見えない形での倒産が相次いでいる。それで儲かるのは銀行なのだから、もうまともな人たちは踏んだり蹴ったりだ。
 この国の再生に必要なのは、1984年レベルの法人税・所得税復帰と正規雇用義務化、消費税を5%に下げる代わりに、原子力発電も含めた炭素に課税する環境税の導入だ。これは待ったなしの課題なのである。さらにヘイトスピーチも含めたあらゆるハラスメントの取り締まりと高額の罰金徴収も待ったなしだ。
 そんな常識もわからない政治家どもにはもう鼻で笑うよりほかはない。