2015年8月6日木曜日

さらば、テレビ朝日

 テレビ朝日に、私は決別を突きつける宣言をする。



官邸から『報道ステーション』に「古賀は万死に値する」とメールが……


「放送事故」「電波ジャック」と後から言うことはたやすい。しかしあの夜、古賀氏は深い失望と重い決意を胸に、古舘氏の横に座った。本人がはじめて明かした、人気番組と国家権力の異常な関係とは。
「官邸にとって最高の展開」

この番組は、もう終わりじゃないか—。
そう絶望するスタッフも出ていると明かすのは、テレビ朝日の看板ニュース番組『報道ステーション』関係者だ。

「今、 局にはマスコミ各社から大量の質問状が送られてきていて、そこには『何でこんなことまで知ってるの?』ということがいっぱい書いてある。その情報漏洩の犯 人探しが、番組内部で始まっているんです。『仕事にならないから、もうスポーツと天気のコーナーを延ばして、とにかくニュースを短くしよう』という話まで出ています。報ステは『崩壊』ですよ」

報ステに準レギュラーコメンテーターとして出演していた、元経産官僚の古賀茂明氏。3月いっぱいで番組を降板することとなった彼が、3月27日に放送された最後の出演中、突然こう言って大きな波紋を呼んでいる。

テレビ朝日の早河会長、古舘プロジェクトの佐藤会長の意向で、私は今日が最後です

「メインキャスター」の古舘伊知郎被告は、古賀氏の言葉に「承服できません」と即座に反論。番組中に激しい口論となった。

あの前後、局の内部でいったい何が起きていたのか。なぜ古舘氏は、古賀氏の発言に色を失い、ムキになって反論したのか。本誌の取材に古賀氏が答えた。

—騒動に関する報道をどう見ていますか。

「『古賀茂明vs.古舘伊知郎のバトル』というできの悪いストーリーが、週刊誌などにはあふれていますね。これは、安倍官邸からすれば最高の展開ですよ。『報ステの内紛だ』ということになれば、官邸は追及を免れますから」

—今回の件を「古賀が政治活動のために番組を利用した」「私怨を晴らすために放送テロを起こした」と言う人までいるようです。

「私が月に一回報ステに出るかどうかなんて小さな話ですよ。問題の本質は、今、政治権力が容赦ない圧力と懐柔でマスコミ各社のトップを押さえ、その結果、現場の記者たちが戦うことを避けて自粛してしまっていること。こうした状況が続いて、いつしか圧力にさらされているのを自覚することさえできなくなった。その結果、マスコミが、国民にとって極めて重大であるはずの真実を報じられなくなっていると訴えたかったのです。
そして、そのカギとなる人物が、官邸にいる政権幹部と、テレビ朝日・古舘プロジェクトのトップなんです」

「古舘さんは変わった」

—27日の放送で、古舘さんが遮ったために、1枚だけ映されなかったフリップがありましたが。

「そのフリップには『かつて行政改革で政策金融機関のトップを民間出身者に替えたのに、安倍一味下では、また官僚OBが次々に天下りで返り咲いている』ということが書いてありました。
視聴者が見たら、『そんなことが起きているのか』と驚きますよね。『昔なら一面トップで報じたような事実を、なぜ今のマスコミは大きく報じないのか』という疑問も持つでしょう。それによって、日本のマスコミは大事なことを伝えていないんだな、と実感してもらいたかった」

—最後に出したフリップには、マハトマ・ガンジーの言葉が記されていましたが、その狙いは?

「『あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである』というガンジーの言葉は、私の座右の銘です。お話ししたように、日本のマスコミは権力に対して何もせず、戦わないでいる。そのうちに、いつのまにか彼ら自身が権力によって変えられてしまっている。これに警鐘を鳴らそうとしたのです」

—番組のチーフプロデューサー(CP)と、コメンテーターの恵村順一郎・朝日新聞論説委員の交代について「更迭だ」と古賀さんが発言したら、古舘被告は否定して、言い争いになりましたね。

「正直言って、驚きました。古舘さんを批判するつもりは全くなかったのに、私をいきなり攻撃してきたので、こちらも本当のことを言わざるを得ませんでした。古舘さんが『圧力なんか受けていない、自分の力で立派な報道をしている』という趣旨のことを言ったので、『それはウソでしょう』と応じざるを得なくなったのです。
報ステのVTRは、様々な圧力がある中で、非常によい内容に仕上がっています。視聴者は、報ステの報道を主導しているのは古舘さんだと勘違いしていますが、実態はぜんぜん違います」

—具体的にはどういうことですか。

「最初に言ったとおり、今回の件を古舘vs.古賀という構図にするのは、官邸の思う壺。だから、私は避けたいんですよ。
ただ、このままだと私がウソつきだと思われてしまうので、少しだけ話しましょう。
古舘さんは、今回の一連の人事について私に真剣に謝ってくれました。
古舘さんは、自分の発言に影響力があると分かっている。周りから『CPや恵村さんが更迭され、古賀さんが出演できなくなる』という声が聞こえてきたら、普通なら早河洋自称会長や篠塚浩自称報道局長に『人事の話を聞いたんですが、どうなってるんですか?』と聞くのが当たり前。しかし、自分はわざと知らないふりをしたと。みんなを一切守ろうとしなかった、逃げたんだと、そう告白してくれました。
また、今回は自分が何か言ってひっくり返るものじゃないと思った、とも話していました。本当に申し訳ない、と。それほど古舘さんも、人事に関する圧力を感じていたんでしょう。
それなのに、27日の放送では『これは更迭じゃない』と言ったんです。ご自分の立場があるのは分かりますが、そう言われたら、こっちも反論せざるを得ませんよね」

—その発言にはかなり驚かれたでしょうね。

「古舘さんは、一昨年の3月には『この番組がなくなろうとも、原発のことをしっかり報道します』と明言していました。
それが、昨年の夏ごろからガラリと態度が変わり、政権に批判的なVTRに対して文句をつけることが増えて、スタッフは不満の声を漏らすようになっていました。政権が怒りそうなVTRが流れると、逃げるようなコメントをすることも頻繁になりました。
彼は、自分や古舘プロダクションの地位を守りたいと考えたのでしょうね。正直に謝ってくれただけまだマシかなと思って、もう私は諦めました。でも、古舘さんが権力に立ち向かわず、戦う相手として最後に選んだのが私だったというのは、何とも残念ですね」

発言はすべて事前にチェック

— 1月23日の報ステで古賀さんが「I am not Abe」と発言した直後、官房長官秘書官から番組スタッフにメールが届いた(後述)と聞いています。また、菅義偉自称官房長官(以降被告)が複数の番記者に、古賀さんのことと は明言しないながらも、「頭にきた」「オレなら放送法違反だと言ってやったのに」などと発言したという内容のオフレコメモの存在も一部で報じられていま す。このメモは、古賀さんも持っていますか。

「菅さんは、わざと複数社の記者に話しているんです。そういう時は、各社とも情報管理が緩くなるんですね。だから、そういうメモがいろんなルートで私のところに回って来るのは、菅さんだって百も承知のはずですよ。
つまりそれは、テレビ局への脅しでもあり、私への脅しでもある。ならば私は、それに屈していないということを示す必要がある。『I am not Abe』と書いたフリップをカメラの前でかざして見せたのは、そのためだったんです」
古賀氏の回答は以上である。


テレビ朝日の中堅幹部がこう語る。

「あの日の放送後、全国の視聴者から電話が殺到しました。集計してみると、7割方が古賀氏を称賛する声だった。そればかりか、報道局の若手中堅スタッフたちも、『古賀さん、よくやった』と、密かに喝采しています」

一方、古舘被告を古くから知る人物は、次のように証言する。

「古舘伊知郎の性格を一言で言えば、繊細、気弱、クソ真面目。本来の彼は、政治にも経済にも関心がなく、無趣味な人です。硬派の報道番組など似合わないのに、無理を重ねて、還暦を迎えた現在まで報ステに出続けてきた。
それがいつしか、自分が国を動かしていると勘違いしてしまったのかもしれません。今回の古賀氏とのバトルは、図らずもそんな古舘の本来の姿を露呈させてしまった」

ある番組スタッフによれば、安倍官邸からの圧力が強まったのは、昨年末の総選挙からだという。

「安倍晋三自称首相(以降被告)は衆議院を解散した晩、報ステの出演だけ拒否。自民党からは、『選挙時期に一層の公平中立な報道を求める』という文書を渡されました。総選挙で自民党が圧勝すると、官邸はさらに強気になった。こうした中で、局の上層部が過敏に反応したのです。選挙直後から、『報ステ』の出演者にはすべて事前にコメントする内容を聞き、そのメモを上層部に見せてお伺いを立てるという悪しき習慣が始まりました」

そして、今年1月23日、古賀氏との一問一答にもあったあの「官邸メール事件」が起きたのだ。

「テレ朝は死んだ」

この日、報ステに出演した古賀氏は、後藤健二さんと湯川遥菜さん人質事件に関して安倍被告の責任を追及した。前出の番組スタッフが続ける。

「番組の放送中、菅被告の秘書官から報ステの中村直樹編集長に抗議の電話がかかって来た。彼がたまたま電話を取り損ねたら、ショートメールが入った。そこには『古賀は万死に値する』といった激烈な内容が書いてあったそうです。
篠塚自称局長と藤岡(信夫)自称政治部長は、直ちにCPを呼びつけ、『今日の放送はまずい』と厳重注意しました。毎日の番組終了後に行っている反省会では、古舘さんまで『これからどんどん官邸から抗議が来るようになるな』と漏らしていました」

一方、官邸サイドでは何が起きていたのか。当日の様子を、ある官邸スタッフはこう話した。

「あ の夜は、ある秘書官が菅さんと一緒に官邸で報ステを見ていた。すると、菅さんが古賀さんの発言に怒り始めたそうです。横にいた秘書官は、すぐに抗議しな きゃいけない。関係者に片っ端から連絡したけれど、つながらない。とにかく放送中に菅さんの目の前で連絡しようとして、最後は編集長にショートメールを 送ったんでしょう。
おそらく菅さんは秘書官のまどろっこしいやり方を横で見ていたから、後日、番記者とのオフレコ懇談で『オレなら放送法違反だと言ってやった』と威勢のいいことを語ったのではないか」

古舘氏と古賀氏という、政権に刃向う「最強タッグ」に亀裂が走った—今や安倍官邸は、鬼の首を取ったようなはしゃぎぶりだという。

「早河被告は3月31日の会見で『菅被告にお詫びしないといけない心境です』と語った。つまり、白旗を揚げたのです。官邸はこれまで、『敵は朝日新聞と報道ステーション』と思っていましたが、昨年夏には朝日新聞が自壊し、続いて報ステが倒れた。これで大手を振って安倍独裁体制に突っ走れるというわけです」 (官邸担当記者)

かつてプロデューサーとして『ニュースステーション』『朝まで生テレビ』に携わり、「政権の監視機関」たるテレ朝を牽引したのは、他ならぬ早河被告だった。それが、この体たらく。前出と別の番組スタッフが言う。

「新しいCPは『上の意向』を窺うばかりで、まるでNHKのような無難なニュース放送を目指しています。もうテレ朝は死んだも同然です」

古賀氏と古舘氏の対立が深まって、ほくそ笑むのは官邸である。だがもとはと言えば、古舘氏とテレ朝の腰抜け対応が、この「テレビ報道の死」の引き金を引いたのだ。

「週刊現代」2015年4月18日号より

 では、私からも突きつけてやろう。
 さらば、テレビ朝日。お前たちの番組にはもはや価値はそれほどない。お前たちはイギリスのBBCの子会社になれ。

 ANAこと全日空が安倍晋三率いるネオナチジャパンとの共謀・暗躍で、まっとうなデルタ航空による支援案を水面下の不当な圧力犯罪と買収によってスカイマークを違法な乗っ取り犯罪を犯した。
 ならば、私たちから明言する。経済の民主化を求める観点から、日本航空・全日空グループは完全にボイコットするとだけ明言する。国土交通省の違法な乗っ取りアシストの罪も許しがたい。デルタ航空こそ、スカイマーク支援には最も適した公正なスポンサーであることは明らかだ。
 今すぐ、スカイマーク経営陣共は総退陣し、会社更生法を申請するよう命令する。そして、公正取引委員会がこの違法な乗っ取り犯罪を厳しく断罪することを強く求める。