週プレNEWS 2015年7月12日(日)6時0分配信
メジャーからカムバック、古巣ではなく出身地・高知の独立リーグを選んだ藤川球児
独立リーグの高知ファイティングドッグスに入団、3年ぶりに日本のマウンドに立った藤川球児。
先発して4回を投げ、5安打2奪三振1失点。直球は最速146キロをマークした。スタンドには05年の球団発足以来最高となる3千人近くの観客が集まったという。現場で見ていたセ・リーグ某球団の関係者はこう語る。
「阪神時代に比べたら、やや球のキレに乏しいかな。でも本人にしてみれば、まだ試運転という状態でしょう。これから数回投げる間に右肘の故障の完治や球威復活をアピールするつもりだろうから」
アピールする相手は、もちろんNPBの各チームだ。メジャーリーグのレンジャーズを解雇され、日本復帰を考えたのは5月。当時、藤川の元に非公式に打診してきたのは楽天、DeNA、そして阪神だったといわれている。
「楽天とDeNAは、金額なのか、それ以外の条件なのかわかりませんが、契約がまとまらなかった。一方、古巣の阪神はどうやら金銭的な条件提示にも至らなかったようです」(在阪TV局関係者)
周辺情報を総合すると、藤川が阪神サイドに聞いたのは一点。「今後どうチームづくりをして、戦っていこうと考えているのか。ビジョンを聞かせてほしい」ーーこれだけだったという。
「ところが、交渉の窓口だった幹部は明確に返事ができなかった。今年の最後まで和田監督でいけるのか、それすらシーズンの展開次第で変わってしまう状況でしたからね。ただ、若手の育成などについて具体性のある返事がなかったことで藤川は落胆したといいます」(テレビ局関係者)
一応、中村勝広GMは「積極的に交渉したが、残念な結果になった」と、ファン向けに交渉努力をアピールしていたが、実際のところ、阪神側もそれほど本気ではなかったようだ。
「親会社の阪急阪神ホールディングスは藤川の復帰を待望していましたが、球団は及び腰だった。彼は功労者ですが、同時に“モノ申す選手”でもあり、文句があれば球団に対してもハッキリ言うタイプ。以前の在籍時は球団も手を焼いていただけに、力の衰えた今、無理をしてまで獲(と)りにはいきたくないというのが本音だったようです」(前出・TV局関係者)
しかし藤川は、これで引退する気もなかった。そこで、まずは独立リーグとはいえ、故郷・高知のチームに籍を置き、実戦登板を重ねる中で体や投球フォームを“日本仕様”に戻そうと考えたのだろう。
「日本からメジャーに渡った投手には肘や肩の故障が目立ちますが、一番の原因はアメリカと日本のマウンドの違いだといわれています。傾斜や硬さが合わず、フォームを崩して負担がかかってしまうわけです。藤川としても、アメリカで不本意な結果に終わった理由は、あのマウンドにあったと考えているかもしれない。独立リーグでもいいから、まずは日本のマウンドで投げられる体にチューンアップして、本来のキレや伸びをアピールしたいという気持ちでしょう」(前出・セ某球団関係者)
藤川もこの7月で35歳。劇的な復活を見せない限り、NPB球団はそう簡単に食指を動かさないかもしれない。それでもファンとしてはやっぱりもう一度、甲子園で「ピッチャー、藤川球児」のコールを聞きたいという声は多いはず。また、たとえタテジマではなく相手チームのユニフォームでも、あの満員のスタンドを背にして投じる“魂のストレート”をまた見てみたい――そう思っているプロ野球ファンは少なくないはずだ。
野球解説者の橋本清氏を通じ、「週プレなら、全部話しますよ」と事の経緯、心中を吐露してくれた前回記事の独占インタビューに続き、今回はその第二弾! 自身もケガで苦しんだ最大の原因である「日本とアメリカとの違い」とは…。
* * *
■人生を上手に使えてるか考えた時にしんどいなと…
橋本 なんかパッと見、若返ったんちゃう?
藤川 いやいや兄さん、何言ってるんですか(苦笑)。若くはないですけどね。
橋本 いや、向こう行く前よりさっぱりしてね。手術もしてデトックス効果やな。
藤川 あかんあかん、そういうのやめて(苦笑)。ほんまこう見えて、アメリカもいろいろ大変やったんですよ。
橋本 まぁ今日はそれをね、週プレやったら話しますよって。帰国して連絡取ったら、自分から言うてくれてね。
藤川 それは前から好きやったし。まじめなこともちゃんと書いてくれるんでね。野球に関して僕自身もしっかり書いてもらった記憶あるんで。
橋本 メジャー行く前も球児の本音は!?いうて、インタビューさせてもらったもんね。…ほんで、戻ってきてオープン戦でも登板したわけやけど、今はどんな感じなの?
藤川 正直楽しいというか、家族と一緒におられるし。それがもう一番最高ですね。今までずっと離れてて、夏休みとか遊んだ記憶もないですから。親父したらなあかんというのもありましたし。ずっと一緒に動いてます。
橋本 高知と関西と行き来してね。練習は兄貴に手伝ってもらってオフは家族と過ごして。それで若返ったんや。
藤川 それはそうかもしれないですね。メジャーでケガして、あと何年野球できるかと考えた時、レンジャーズが契約で僕を外さなきゃってなって。他の球団探すんだろうと思われてたけど、自分の頭の中でそれはなかったんで。その理由でもありますし。
橋本 一番は家族と過ごすのを優先したいと? メジャーへの未練はなかったんや。
藤川 ベースボールに対する未練はないと言えばないというか…。向こう行って人生観変わりましたね。それまでは野球という仕事があって、そこに家族とか生活がついてくるスタイルやったのが逆になって。アメリカの選手はみんなそれで、家族の時間がしっかりある中で野球は野球で集中してやるっていう。
もちろん彼らのレベルもものすごい高いからできるんですけど。それ考えた時、ずるずるメジャーでやっても、一回しかない人生を上手に使えてないことになるのが自分でしんどくなってたんですよ。
橋本 こっからパフォーマンス戻して、そのレベルで戦っていくのも厳しいぞと。
藤川 カブスの時もですけど、チームでも年齢はトップなワケで。手術して、そこから上がっていくにはどうしても時間が足りないと。メジャーの選手がみんな100%発揮できるよう毎日努力してるとこで、よほどの向上心がないと厳しいなと思いました。
橋本 やっぱ向こうはそんなスゴかった?
藤川 ものすごいですよ。誰がとかじゃなく全員。マイナーリーグでも個々の持ってるポテンシャルで勝負したら自分のMAXでどんだけいけるかな?って感じです。日本ならある程度ごまかしてできても、そんなレベルじゃないんで。とんでもないですよ。
橋本 どうしても手術してから戻すのに時間かかるしね。
藤川 まぁ自分も竹を割った性格というか、ぐじゅぐじゅしてるのがイヤなんで。悩んではいても、いざとなると決断は早いし人に相談もしないんですよ。妻もそれでいいって言うんで日本に戻ろうと。
橋本 コンディションは悪くないんやろ? 俺も肘の手術やったからわかるけど、休めば日に日に良くなるよ。
藤川 全然問題ないです。春に内転筋を痛めたけど、今年替えたスパイクがうまく合わなかっただけで。契約の問題もあって履き替えられないままどうしてもマウンドで滑って、スピードも144~145キロくらいしか出なかった。
そういう裏事情もありながら、でも投げるのはどこ行っても同じですからね、言い訳になるし勝負でいうと負けなんですけど。ほんま滑って軸足がマウンドの後ろいってましたから。今はコンディションはなんの不安もないです。
橋本 そもそも故障の原因はやっぱマウンドの影響が大きい? メジャー行ってみんななるし、いろいろ議論されてるけど。どう思ってるの。
藤川 ボールの違いもでしょうけど、やっぱりマウンドの使い方というか、固いんで跳ね返される感じなんですよ。日本人の投げ方だと、下半身主導でいって着地して、そこから粘って体のパワーを伝えながら腕の遠心力でしならせて投げるじゃないですか。1、2の3で着地して、そこで間があるんですけど、向こうのピッチャーはそれがなくて1、2の3ですぐ上半身の筋力の強さで投げる。
だから日本のピッチャーで爆発的なボール投げてた人でも投げ方のリスクがものすごい高いです。絶対に肘やるだろうなっていう。
橋本 ほんま多いもんね。けどそれで手術してリハビリして、日本やとすぐ結果を求められるけどな。
藤川 まだどうしても契約も1年とか多いですから。保存療法でいこうみたいな話にもなりますよね。それもあってメジャーは複数年契約でリスクを避ける意味もあるし。それで1年かかろうが2年かかろうがパフォーマンス戻れば場所をもらえますから。
今は日本も育成枠とかあるけど、向こうは独立リーグとか受け皿も充実してるんで。
橋本 俺もリハビリして、もう1年あったら…と今も思うことあるよ。1年間無駄飯を食ってるみたいな目で見られて肩身狭い思いしてね。
藤川 高い給料もらってとか働きもしないのにってなりますよね。だから今、自分はリハビリと思ってないですけどこういう独立リーグをうまく使えれば、ドラフトにかからなかった選手もやし、もともとプロにいたけど事情があってという選手も生かせるんじゃないかとは思いますね。
橋本 球児がこうして所属することで見る目も変わってくるやろうし。地元の活性化になって人気とか集客もやけど、選手のモチベーションも上がると思うよ。
藤川 僕からしたらプロ野球のバッターも独立リーグの選手も技術的にはそう変わらないというか一緒ですよ。ひとりずつのプライドに違いはあると思いますけど、例えば打撃だけとったらね。メジャーは大違いですけど(笑)。
橋本 まぁそれでもいきなり独立リーグとは…理由はいろいろやろけどな。
藤川 でもほんま一番重要やったのは家族なんですよ。どこで生活して、どう時間を過ごすか。本当に自分のことを必要でなければゆっくりさせてもらって、自分のペースで野球やって。それがひいては野球界全体のためになればいいなというね。
* * *
■スポーツ紙の報道には正直、腹が立ちました
橋本 最初、俺も新聞の報道見て阪神戻るんやなと思ってたけどね。
藤川 なんかもう決まってる話みたいな。獲得方針で本人も了解とかね。全然ちゃうのに、なんでこんなメディアが先行するんやって。仕方ないんでしょうけどマスコミ主導になってしまう。自分でも本当に必要としてもらってという条件が一番にあって、それがタイガースなら他とは話をせずにという思いはありましたよ。
橋本 それで阪神と話はしたんやろ。必要やという熱意が伝わらないというか認識にズレがあったの?
藤川 ズレというか、そもそも日本に戻って、まず家族と過ごすのに地元のアイランドリーグでやりたいなと。兄貴が高知のGMやってた縁もあって、トップの人に連絡して意向は伝えてたんですよ。
ただ、道義もあるんでNPBから話があったらそっちも聞かなきゃいけないなと。交渉するのが阪神なら阪神で、それがイヤやから断って、しょうがなくこっち行ったみたいに思われるのは困るんで。実際、選択肢は自分で取るもんやと思ってましたし。
橋本 阪神との話があって、合わんかったから高知行くというんではないぞと。
藤川 そうです。それで、もし絶対に阪神が戻ってきてくれというならこんな幸せなこともないし。それに応える覚悟もあるけど、それがぼやけて見えなかった。タイガース自体、そこまでじゃなかったと思いますしね。
橋本 まぁ今の球団内の事情とか思惑もあるやろしな…。球児が戻ったらいろいろモノ申すキャラやし(笑)。
藤川 そういうのも怖いでしょうね(苦笑)。僕は嘘つかないですから。それでいうと、そのマスコミでも阪神決定とかね、アメリカで140キロしか出てないからタイガースしかオファーがないとか、そういう嘘の記事もびっくりしたし、正直、腹立ちましたよ。
情報操作というか格安な条件で取りたいために流してるんちゃうかと。いらないけど、ダメな落ち目の選手を戻してやったみたいな話にされるんやったらナメすぎちゃう?って。悔しいですよね。
橋本 そりゃ、そうやなぁ。
藤川 そんなんで古巣やから入れてもらえませんかって行くくらいなら最初からやってない。僕のキャリアなら辞めなきゃいけないですよ。お客さんに失礼やし、ファンに報いるプレーができると思ってどの球場であっても、またグラウンド立つわけですから。
ほんまお金の問題じゃないし、どこのポジションで使うとかでもなく必要とされる場所で投げたい。そこらへんの気持ちがぐじゃぐじゃして、プラスかマイナスか自分の人生設計の中でぼやけて。野球選手の自分と本当の自分といるのをどっちが行きたい方向なのかといったら、本当の自分がどう見ても勝ってた。それで高知にしたんです。
橋本 それこそ球児の男気(おとこぎ)の部分で選択がそれやったと。
藤川 どっちがプロ野球の発展になりますか?って話でもあると思うんですよ。必ずしも生え抜きがよくて縁も所縁(ゆかり)もあるとこでなきゃっていうのもナンセンスかなと。プロスポーツでは実はいいことあまりないですよね。
僕からしたら選手たちが動くことによって一番いい環境が生まれるんじゃないかなと。権利を行使して地位も上がって、強いチームをつくろうとする球団が欲しい選手を取る。弱くてもいいから愛される球団より、企業理念として勝つためにそれで収益上げて魅力的な楽しいチームつくるのがファンのためやと思うし。
橋本 まぁだいぶ日本も変わってきてはいるけどね。
藤川 一回それでシャッフルすれば球界ももっとステップアップするかなとは思いますね。僕がタイガースにこだわっても違うなというのがあるし。もちろん独立リーグでやったからって安売りするもんでもないんで。
橋本 まだまだ安いからとりあえず獲っておこうみたいな風潮もあるわな。
藤川 僕の場合、それはないですね。絶対的に欲しいって言われるところがあれば。
橋本 それこそ巨人なんかも今リリーフは困ってるよ。
藤川 それは歴史的にもまた難しいでしょう(苦笑)。
橋本 いや、球児やったらパイオニアになれるよ(笑)。
藤川 やっぱ野球に対して純粋じゃなきゃいけないというか、それでないと今はできないですよ。フロントとか監督、コーチ、メディアとかいろんなことに巻き込まれるのがイヤなんです。本当に自分のために努力して、喜んでくれる人のために結果出しにいく。そういう生き方でいいと。
橋本 メジャーでもいろいろ経験して、純粋に野球にのめり込みたいみたいな?
藤川 のめり込まなきゃというのもあって。契約もあったし、常に結果出さなきゃ結果出さなきゃってやってたんで。向こうだとトレーニング施設から練習プランから、まず今日何するか、明日どうなるかもわからない。いっつも上のほうで首があっぷあっぷなってる感じでしたから。最後これポキンって切れて終わるなと思って。その前に精神的にも安定して野球したいなというのも大きかったですね。
●藤川球児(ふじかわ・きゅうじ)
1980年生まれ、高知県出身。高知商から98年、ドラフト1位で阪神に入団。球界を代表するストッパーに。2013年にメジャー移籍、カブス~レンジャーズを経て今年6月に独立リーグの高知で日本球界復帰
インタビュアー
●橋本 清(はしもと・きよし)
1969年生まれ、大阪府出身。PL学園時に甲子園優勝。87年、ドラフト1位でいわゆる「巨人」に「入団」。セットアッパーとして活躍するもホークス移籍後にケガで引退。現在、評論ほかで活躍
藤川選手の勇気ある決断を讃えたい。
彼は、目先の金よりもやりがいを選んだ。これは、どんなスポーツでも言える。そして、地域にどこまで根ざしていくか。サガン鳥栖が赤字でも鳥栖に根ざしたチームを作った結果、ようやく今年は黒字ということになりそうだ。
さて、この精神を橋本氏のいたいわゆる「巨人」は持っているのだろうか。単なる読売新聞の広告塔の延長線にすぎない。だから、このニュースに慌てふためくだろう。金儲けよりも社会的影響を考えない日本の社会には痛い話だ。
WWEがハルク・ホーガン解雇 8年前に人種差別
日米で活躍する人気プロレスラー、ハルク・ホーガン(61=米国)が24日(日本時間25日)、所属団体ワールド・レスリング・エンターテインメ
ント(WWE)から解雇された。WWEは理由を明かしていないが、米メディアは、8年前に撮影された動画に人種差別発言があったためと報道。ホーガンは謝
罪するコメントを発表した。差別発言に厳罰で対応する米国社会の姿勢が反映された。
WWEは、同団体殿堂入りのホーガンを解雇した。理由は明かさなかったが、「従業員もレスラーもファンも多様であるように、私たちはあらゆる背景の人間を受け入れてきた」とする声明を発表。人種差別反対をにおわせる内容だった。公式サイトからホーガンの情報を削除。関連グッズの販売も中止した。
ホーガンは「8年前に攻撃的な言葉を使ったことは言い訳できない。謝罪したい」とコメントした。米紙によると8年前、長女で歌手のブルック・ホーガン(27)が黒人男性と交際していることに不満を抱いていたという。
同時期に撮影された動画の中で、ホーガンは黒人への差別用語「ニガー」を使って会話。「あの黒人と結婚するなら、身長8フィート(約244セン チ)の黒人バスケットボール選手と結婚する方がましだ」などと話していた。別の動画には、「私は人種差別主義者だ。黒人はF××Kだ」と暴言を吐く様子が あったという。
ホーガンは「性行為中の動画を掲載され、健康被害を受けた」として、オンラインメディア企業を相手に損害賠償訴訟を起こしている。この動画の中に人種差別発言があったことが、騒動のきっかけになった。
長女ブルックは24日、自身のフェイスブックを更新。「私の父親を知る人ならば、優しい心の持ち主だと分かる」で始まる詩を掲載。父親を擁護した。
ただ、米国ではプロスポーツ界だけでなく、公人による人種差別発言は、社会的に容認されないものだ。日米のプロレス界で一時代を築いた英雄も、今回の発言で例外なく解雇処分を受けることになった。
ホーガンは持病の腰痛で、昨年2月のWWE復帰以来、試合の出場はなかった。経済誌フォーブスのニュースサイトによると、騒動の影響でWWE株が約4%下がり、損失額が約5000万ドル(約62億5000万円)となった。
◆ハルク・ホーガン 1953年8月11日、米ジョージア州生まれ。77年にプロレスデビュー。WWF(現WWE)でアンドレ・ザ・ジャイアント の好敵手として人気に。新日本にも参戦。83年の第1回IWGPではアントニオ猪木を倒して優勝した。96年にケビン・ナッシュらとnWoを結成し、世界 的なブームを起こす。映画やテレビ出演など芸能活動も多い。201センチ、120キロ。
◆米スポーツ界での人種差別 大リーグでは1947年、ジャッキー・ロビンソンが黒人選手として63年ぶりに出場。人種差別に負けず、好成績を残 したことに敬意を表し、ロビンソンに絡めたイベントを毎年開催。人種差別反対の姿勢を再確認している。NBAとアメリカンフットボールのNFLでは、選手 の過半数がアフリカ系米国人。それでも差別感情は根強く、各スポーツの統括団体は人種差別発言や行為に対して、厳重な処分を科している。
WWEは、同団体殿堂入りのホーガンを解雇した。理由は明かさなかったが、「従業員もレスラーもファンも多様であるように、私たちはあらゆる背景の人間を受け入れてきた」とする声明を発表。人種差別反対をにおわせる内容だった。公式サイトからホーガンの情報を削除。関連グッズの販売も中止した。
ホーガンは「8年前に攻撃的な言葉を使ったことは言い訳できない。謝罪したい」とコメントした。米紙によると8年前、長女で歌手のブルック・ホーガン(27)が黒人男性と交際していることに不満を抱いていたという。
同時期に撮影された動画の中で、ホーガンは黒人への差別用語「ニガー」を使って会話。「あの黒人と結婚するなら、身長8フィート(約244セン チ)の黒人バスケットボール選手と結婚する方がましだ」などと話していた。別の動画には、「私は人種差別主義者だ。黒人はF××Kだ」と暴言を吐く様子が あったという。
ホーガンは「性行為中の動画を掲載され、健康被害を受けた」として、オンラインメディア企業を相手に損害賠償訴訟を起こしている。この動画の中に人種差別発言があったことが、騒動のきっかけになった。
長女ブルックは24日、自身のフェイスブックを更新。「私の父親を知る人ならば、優しい心の持ち主だと分かる」で始まる詩を掲載。父親を擁護した。
ただ、米国ではプロスポーツ界だけでなく、公人による人種差別発言は、社会的に容認されないものだ。日米のプロレス界で一時代を築いた英雄も、今回の発言で例外なく解雇処分を受けることになった。
ホーガンは持病の腰痛で、昨年2月のWWE復帰以来、試合の出場はなかった。経済誌フォーブスのニュースサイトによると、騒動の影響でWWE株が約4%下がり、損失額が約5000万ドル(約62億5000万円)となった。
◆ハルク・ホーガン 1953年8月11日、米ジョージア州生まれ。77年にプロレスデビュー。WWF(現WWE)でアンドレ・ザ・ジャイアント の好敵手として人気に。新日本にも参戦。83年の第1回IWGPではアントニオ猪木を倒して優勝した。96年にケビン・ナッシュらとnWoを結成し、世界 的なブームを起こす。映画やテレビ出演など芸能活動も多い。201センチ、120キロ。
◆米スポーツ界での人種差別 大リーグでは1947年、ジャッキー・ロビンソンが黒人選手として63年ぶりに出場。人種差別に負けず、好成績を残 したことに敬意を表し、ロビンソンに絡めたイベントを毎年開催。人種差別反対の姿勢を再確認している。NBAとアメリカンフットボールのNFLでは、選手 の過半数がアフリカ系米国人。それでも差別感情は根強く、各スポーツの統括団体は人種差別発言や行為に対して、厳重な処分を科している。
私はWWEの決断を評価する。
ぜひ、WWEを日本のスポーツチームやメディアは見習って欲しい。私はいかなる差別については容赦なくFacebookでスパブロ制裁にする。