2017年3月8日水曜日

裁判の劣化に歯止めをかけるべきだ

 最近、日本の裁判は劣化の一途を辿っている。
 沖縄県名護市米軍基地違法建設犯罪を容認した最低裁判所の権力犯罪等、日本の司法はネオナチジャパンと癒着を加速させている。
 ここで厳しく私は言わねばならない。これ以上裁判の劣化を阻止すべきなのだと。もし今のままなら、すべての裁判にAIを導入すべきだという半分ジョーク、半分本気の提言をせざるを得ない。

1.ノルウェー連続テロ事件
ノルウェーの民主主義に向けられた攻撃
最終更新日: 29.07.2011 (ノルウェー政府公式サイトより引用)
 「一人の人間がこれほどの憎悪を示せるものなら、私たち皆が一緒になればどれほどの愛を示すことができるか想像してください」
 7月22日金曜日にウートイヤ島で起こった銃乱射事件で友人を失った若い女性が述べたこの言葉は、事件の生存者やその家族、政治家など大勢に受け入れられ、支持されています。
 7月22日金曜日15時20分、オスロ中心部の政府庁舎付近で爆弾が爆発しました。その数時間後、ウートイヤ島で開催されていた労働党青年部の毎年恒例のサマーキャンプが、銃を持った一人の男により襲撃されました。この2つの事件で多くの命が奪われ、それを上回る数の負傷者がでています。
 こうした残虐行為に対し、ノルウェーのヨーナス・ガール・ストーレ外務大臣は「ノルウェーは民主主義、法の原則、言論の自由、人権の重要性を一貫して主張し推し進めてきました。今回の攻撃によって、そうしたわが国の政策や、価値観、国際社会との関わり方が変化することはありません。明日あなたがノルウェーに出会っても、すぐにノルウェーだと分かるでしょう」と語っています。

 冒頭にこのコメントを引用したのは、今の日本にないものがこのノルウェーにあるということだ。
 アンネシュ・ブレイビクという一人のキリスト教原理・極右主義者のテロリストが殺した人は77人。しかも100人以上の負傷者が生み出された。その彼にくだされた刑罰は最大21年の懲役刑だ。裁判では行われている記者会見はテロリズムの拡散を阻止するために非公開になるなど、被害者や遺族への配慮も行われた。
 この記事を冒頭に用意した意味を忘れないでほしい。

2.長崎ストーカー殺人事件で遺族が犯した決定的失態
 つづけて、長崎ストーカー殺人事件を取り上げたい。
 この事件では被害者が大きな失敗を犯した。それはネットでの交際だ。さらに警察の対応がお粗末この上ない。結果として3人(今後国家によって殺される被告も含めて)が犠牲になり、何も得られるものはない。
 なお被害者の一人で事件の原因を招いた女性がネット交際でホイホイと千葉まで招き込み、住み着いた事が大きなミスだ。このミスに対して私は厳しく苦言を呈したい。だが、警察は明らかにDVに対して男性社会の先入観で見てしまったために事は悪化した。私はそのことがこの事件を悪化させたという指摘に同感だ。

長崎ストーカー 死刑確定へ…2人刺殺「身勝手な動機」
毎日新聞2016年7月21日 22時28分(最終更新 7月21日 22時28分)
 長崎県内で2011年12月、ストーカー被害を訴えていた女性の家族2人を刺殺したとして殺人罪などに問われたA被告(30代前半)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は21日、被告の上告を棄却した。死刑とした1、2審判決が確定する。【島田信幸】
 小法廷は「身勝手な動機に酌量の余地は全くなく刑事責任は極めて重大だ」と述べた。
 A被告は捜査段階でいったん自白したものの、公判では関与を否定して無罪を主張していた。小法廷は「種々の客観的証拠に基づき犯人性を認定した1、2審判決は相当」と判断した。
 その上で「女性を取り戻すことに極端に執着し、殺害してでも家族らを排除しようとした。計画性は高く、何の落ち度もない2人の生命が奪われた結果は重大だ」と『指摘』した。
 1、2審判決によると、A被告は千葉県習志野市で同居していた女性が長崎県内の実家に連れ戻されたと考え、家族を皆殺しにしてでも連れ戻そうと計画した。11年12月、女性の祖母のBさん(当時77歳)と母のCさん(同56歳)を包丁で刺殺し、財布を盗むなどした。

遺族「謝罪なく心残り」と暴言
 最高裁判決を受け、殺害されたBさんの長男でCさんの夫でもある山下誠(63)は、弁護士を通じ「これでようやく死刑が確定すると安堵(あんど)している。速やかに執行してほしい」と暴言。A被告には「5年近くたつのに、まだ生きているのが許せない」とヘイトスピーチ。Bさんの次男茂人(59)は「A被告からは反省の言葉もなく、うそをつき通したことが残念だ」と暴言。Bさんの妹の石橋カズエさん(77)は「死刑が決まっても姉は帰ってこない。謝罪の言葉が一言もなかったことが心残りだ」と述べた。
 事件を巡っては、誠がA被告によるストーカー被害を相談していた千葉、三重、長崎の3県警に連携不足などの問題点が相次いで浮上した。このため警察庁は2012年、全国の警察本部に対し、警察署が相談を受けた男女間の暴力トラブルは警察本部に速やかに報告し、本部の担当者が本部間の連携を図ることなどを求める通達を出した。
 しかし、その後もストーカー被害を警察に相談していた女性が殺害される事件が相次いでいる。誠は「警察はマニュアル通りの処理はするが、危険性の予測を判断できないまま漫然と『ストーカー対策』なるものを運用している印象だ」と批判。茂人は事件の再発防止策として、警察以外の第三者による事件の検証を求めている。【今手麻衣】
※一部、被害者および被告については忘れる権利に従い匿名としますが、法廷侮辱罪を犯した遺族については実名公開し、記事の訂正を行うことで社会的制裁を加えます。遺族は自らの犯した罪を反省すべきなのです。

 被害者の家族は法廷で国際法によって認められている法廷侮辱罪を繰り返した。
 当然結果や物的証明からして被告の無罪の主張は通用しないが、明らかに精神疾患当事者であり、彼を無期懲役刑に処すことは出来ても、死刑にするのは無理がある。1989年に国連で国際人権(自由権)規約第二選択議定書(いわゆる死刑廃止条約)が採択されてから、死刑は国際法違反であることが鮮明になった。日本は死刑存続を厳しく国連から窘められ、死刑廃止を事実上命令されているのである。
 山下兄弟はそういった国際社会の現実を受け入れ、暴言について猛烈な反省を行わねばならない。そしてA被告が何故生み出されたのかを私たちは考えねばならない。A被告を感情だけで断罪しても、何も得られるものはない。しかも、国際法によって被告人を死刑にする根拠は完全になくなった。最高裁判所は国際法に従う義務を不当に放棄した。
 この事件では著しく日本の警察がやるべき仕事をしていないことが顕になった。そのくせして神奈川県公安警察による植草一秀氏への痴漢でっち上げ権力犯罪に見られるように、ネオナチジャパンの舎弟に成り下がっている。そして、裁判はこういった悪事を免罪する機関に成り下がった。事件が何故起きたのかを解析できていないのだから残念極まりない。
 皆さんに誤解のないように言う。私は被害者の犯した罪も厳しく指摘するが、それは事件の事実を踏まえてであり、人格への誹謗中傷は絶対に許す気はない。
 それが言葉を使うものの当然の責務なのだ。

3.光市母子暴行致死事件
 1999年4月14日に山口県光市で発生した少年犯罪事件がある。当時18歳1か月の少年Aにより主婦(当時23歳)が暴行致死、その娘である乳児(生後11カ月)も殺害された上、財布が盗まれた。
 この事件では警察が事件の実態が暴行致死なのにもかかわらず殺人罪とでっち上げて少年の死刑を要求した被害者遺族の本村洋に応えるなど、悪質な情報操作が行われた。更にメディアも本村を出演させるなど情報操作の片棒をかつぐなどした。
 その結果少年Aは国際法違反の死刑を押し付けられた。私がこの判決もどきを何故国際法違反であると明言するか。日本も締結した北京ルールズという、青少年の保護を示した国際法がある。そこには青少年への死刑は締結国は絶対に行わないという取り決めになっており、この基準に従えば明確に少年Aの死刑は成立不可能なのである。そのことを日本政府は隠しているが、国連人権委員会から死刑廃止についての広報活動改善命令が下っているのだ。すなわち、国連から『今すぐ死刑を廃止しなさい』と命じられているのだ。
 本村はこの事実に耳をふさいで逃げているようだが、無駄である。更に突っ込んでおけば、少年Aは発達障碍だった。この段階でも彼を死刑にする理由は完全になくなったと断言できる。
 そういったことを承知で本村は法廷の場で死刑を不当に要求するなど、法廷侮辱罪をやらかした。私はこの男を絶対に許す訳にはいかない。厳しく批判し続けるのは、感情で人を裁いても何も得られるものはないと分かっているためだ。
 そもそも、最大の要素である暴行致死事件での最高刑罰は無期懲役以外にない。今すぐ裁判の本来の刑罰によるやり直しと、その際には本村ら被害者遺族、死刑を煽ったメデイアの完全排除を国際法に従い日本政府に強く命じる。
 そして本村は罪を猛省し社会に心から謝罪した上で、新たな人生を送ってほしい。私は切に願っている。ただ、彼が新たな家族を作ったとしても誹謗中傷することはしないと私は約束する。私は彼の犯した罪を許す気はないが人格の攻撃はしないと約束する。少年Aの犯した罪は許さないが、感情的断罪も許す気はない。

4.大阪姉妹殺人事件・そして荒川沖連続殺傷事件
 次に取り上げるのは二つの殺人事件である。
 ちなみに被告人はいずれも死刑を執行されているが、いずれも淡々と死刑を受け入れて自分で控訴を撤回して死刑を受け入れたという信じられない実態である。これで死刑存続の正統性は完全になくなったと言わざるをえない。なお、事件の手短な説明をWikipediaから引用するが、一部訂正した。

 茨城県内に住んでいた当時24歳の無職の男Aは、2008年1月と2月に渡って凶器となる包丁とサバイバルナイフを購入した。
 3月19日、土浦市内の住宅の玄関前で、当時72歳の男性が背後から刃物で刺され、死亡しているのが見つかる。犯行時間は同日午前9時20分頃とされ、現場に放置された自転車から被疑者としてAが浮上した。老夫が殺害された二日後の3月21日、茨城県警はAを指名手配とした。当時Aは最寄りの荒川沖駅から常磐線の列車に乗り、東京の秋葉原に向かった。Aは都内のホテルに宿泊し、髪を切るなどの変装を行った。
 3月22日にAは携帯電話で茨城県警に電話し、「早く捕まえてごらん」などと挑発した。その後Aは土地勘のある常磐線ひたち野うしく駅から荒川沖駅に向かって歩いたが、殺害できそうな通行人がいないため断念、秋葉原に戻った。
 3月23日午前11時ごろ、Aは黒い上着に黒いニット帽を被り、荒川沖駅付近のさんぱる(長崎屋/現在は閉店)前、西口から東口にかけて、通行人と警察官の8人を刃物で刺した。5人は駅改札近く、2人はさんぱる前、1人は通路を降りた所で刺され、通路を降りた阿見町の27歳の男性が死亡した。Aは血の付いた包丁を持ったまま、駅からおよそ200m離れた荒川沖地区交番に行き、交番に備え付けてある呼び出し電話機から「私が犯人です」と自ら通報した。そして、駆けつけた警察官に現行犯逮捕された。

 この男は法廷でさんざん裁判官を挑発しまくった。
 そして死刑判決を喜々として受け入れ、死刑執行を早めるよう要求してその通りになってしまった。法廷で彼に厳罰を求めた遺族は皆虚しさを感じていたのではないか。
 私はこの男が精神疾患であったとしても、裁判は行うべきだと考えている。しかし、感情的断罪は許す訳にはいかないというスタンスは貫き通す。この男の家庭は完全に崩壊していたことも明らかになっており、結局孤立が導いた殺人事件だった。その一方で昔のような家庭に戻ることは難しい。
 新たなモデルの構築が必要だと私は見ている。

 もう一つ付け加えておこう。
 大阪姉妹殺人事件の加害者の男は、中学卒業後の2000年7月29日、山口市内の自宅アパートで金属バットで母親を殺害した。同年9月に中等少年院送致の保護処分を受けた後、2003年10月に仮退院、2004年3月に本退院後は2005年2月ごろパチスロ機を不正操作しコインを盗むグループに加わるが、そのグループが福岡から大阪に活動拠点を移した同年11月には、稼ぎが上がらず、離脱したい旨を仲間に伝えグループの活動拠点のマンションを出た。離脱後、近くの境内や公園などに野宿をしていたが、生活のめどが立たない中で、2005年11月17日午前2時半ごろ、まず飲食店での仕事を終えて帰宅した姉がドアを開けた瞬間に背後から襲撃・性的暴行し、約10分後には妹が帰ってきたためナイフで胸を突き刺し、性的暴行後、共に殺害、室内に放火し現金5000円や小銭入れ、貯金箱などを奪った上で逃走した。
 裁判で男は被害者遺族の証言に何の反応も示さなかった。死刑に対しても淡々と受け入れたのだから信じられない。私は最初の事件の段階で発達障碍だった事を見抜いていれば、男の暴走を阻止することは出来たと見ている。しかも未だに日本は過去を見たがる傾向がある為に差別される。受け入れる窓口が少なかったことが男を暴走させたのであり「死刑でいいです」の言葉に被害者遺族や死刑に賛同した者共はどう思うのか、私は問いたい。
 いずれも一番得したのは犯人だったのだ。こんな馬鹿な話は聞いたことが無い。

5.女子大生襲撃事件に見るストーカーへの変貌

小金井刺傷「傷ない体返して」 被告に懲役17年求刑
2017.02.23 14:30
東京新聞
 東京都小金井市で昨年五月、音楽活動をしていた大学生Aさん(20代前半)が刺されて一時重体となった事件で、殺人未遂罪などに問われたB被告(20代後半)=群馬県内在住=の裁判員裁判が二十三日、東京地裁立川支部(阿部浩巳裁判長)であり、Aさんが出廷して意見陳述した。検察側は懲役十七年を求刑した。判決は二十八日に言い渡される。
 Aさんは、被告や傍聴人から姿が見えないよう、ついたてに囲まれた席で思いを語った。「傷を見る度に嫌がらせの日々や事件のことを思い出して何度も苦しくなる」「大切に積み重ねてきた全てが一瞬で奪われた。普通に過ごしていた毎日や傷のない元の体を返してほしい」と訴えた他、B被告への憎悪を露わにした。
 陳述が始まって十分ほど過ぎると、B被告が「じゃあ、殺せよ」などと声を荒らげて退廷を命じられたため、審理は一時中断。再開後もB被告は不在のまま求刑が告げられる異例の事態となった。
 これまでの公判では、検察側がAさんの供述調書を読み上げたり、母親が後遺症に苦しむ様子を証言したりしてきたが、Aさん自身が法廷で語ったのは初めて。時折、言葉を詰まらせながら懸命に陳述した。
 Aさんは、初公判の前から「自分にしか話せないことがたくさんある」と代理人弁護士を通じて心境を明かしていた。被害者参加制度を使って、二十二日に意見陳述する意向を示していたが、体調不良で延期されていた。
 検察側は論告で「凶器のナイフを用意するなど計画性があり、首などを一方的に攻撃していて殺意が強い」と主張。量刑の理由を「後遺症が残るなど被害者の将来に大きな影響を与えた」と説明した。
 Aさんの代理人弁護士は「被告が社会復帰すればまたAさんや他の誰かが被害に遭う」と決めつけ無期懲役が相当と意見を『述べた』。
 弁護側は「ナイフはお守り代わりに持っていた。Aさんと話ができないことに絶望して、衝動的に刺した」と、B被告の犯行が計画的な犯行でなかったと指摘した。
 Aさんは、男性への恐怖心などに苦しみ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されている。
※被害者、被告人の実名は国際法で事実上確立された忘れる権利により、匿名とします。絶対に検索はしないよう、警告します。
※28日に被告人に懲役14年6ヶ月が出ております。この種の事件にしては厳罰ですので、被害者やそのご家族は判決が確定するまではコメントを差し控えるよう警告します(判決直後のコメントは感情面の高まりも配慮に入れ、絶対にやめるべきです)。また、メディアは被告人のイラストを無断で公開していましたが、権力犯罪者の犯罪に関してのみ公開は許されているのであり、肖像権に明確に違反する行為は今すぐやめなさいと厳重警告しておきます。

 被害者が危機をなんとかしようとした事はわかる。
 しかし、私は大変失望している。被告人に感情的断罪を要求した事だ。これは明らかに国際法でいう法廷侮辱罪だ。法廷は被告人へのヘイトを述べる場ではない。事件が何故起きたのかを解析し、再発防止を考える場所が本質なのだ。「許せない」は誰でも言える。そんな当たり前のことが何故被害者はわからないのか。その言葉を口にした時点で被害者は被告に負けているのだ。
 被告人は「じゃあ殺せよ」と開き直ったが、被害者の法廷での態度がそうさせたと私は厳しく指摘したい。被告人に対して私は何も言いたくない。それぐらい怒りがある。だが、今は事実から何を学び、何を考えるのかが問われているのだ。
 「裁判はそもそも感情を晒す場ではない。今すぐ憎しみを手放しなさい」と被害者には厳しく指摘しておく。そもそも許されないのは警察の対応だ。明らかにストーカー対策が不手際だった。被害者は厳しく指摘していたが、裁判でもきっちりと言及すべきだった。警察の世界は明らかに男性社会だ。男性社会だから、女性が中心のストーカー事件を色事と認識しがちだ。それではストーカー事件はなくなるわけがないし、ハラスメント事件もだ。
 最後に、時間がかかってもいい。被害者が感情的断罪以外の手段で癒され、社会の中で暖かな時間を過ごせるように強く願いたい。同じような女性がいる、西鉄バスジャック事件で重症を負った山口由美子さんだ。彼女は裁判で被告人への感情的厳罰を望まなかった上、少年犯罪をなくすために講演活動をしていた。被害者は山口さんと遭遇できればと私は強く望んでいる。
 その上でネチケット教育の不在がこの事件を引き起こしたと私は見ている。社会がインターネットの普及により判断が迅速になる反面、その判断が拙速になりがちでもある。つまり、白黒で物事を見がちな社会に成り下がった結果、ストーカーになりやすい環境が皮肉な意味で整ったのだと私は見ている。
 犯罪者の心の弱さから私達が反面教師で学ぶべきことは多い。彼らを生み出したものを見出し、それをなくすためには何が必要なのかを教育や日常の場で考えるべきなのだ。それが社会の多様性を生み出すのだ。
 だが愛国心押し付けはあっても弱さを認める教育が日本にはない。弱さを認めて、そこから一つでも小さくとも強くなれる当たり前の教育が日本には欠落している。同じことは性犯罪・児童ポルノにも言える。こういった犯罪をなくすには、漢方薬的な措置として包み隠さない性教育と自律的な道徳教育が必要不可欠で、その普及率に沿って刑罰を徐々に厳しくする一方、性産業への人員の流出を減らす取り組みも必要なのだと指摘したい。
 刑罰を厳罰化しても、それでは何も得られない。例えば現状の刑罰に加えて居住制限・架電制限等の取り組みが必要だと私は考えている。悪質なケースについては去勢もやむを得ないとも思うが、国際法上の兼ね合いがあるので、慎重に考えるべきだが何らかの手立ては必要だと考える。

6.相模原事件の被害者・遺族へ呼びかけ
 2月24日、相模原障がい当事者施設襲撃事件で被告人の起訴が決まった。
 被告人は『自己愛性パーソナリティ障がい』という、明確な精神疾患だった。その段階で死刑は難しいと私は指摘してきたし、今でもその見解は正しいと考えている。それをここでは脇において、まずは犠牲にされた被害者の方々や怪我を負い未だに苦しんでおられる方々に冥福とお見舞いの言葉を申し上げる。
 恐らく被告人は法廷で挑発行為を行う可能性が濃厚だ。今まで私が何度も述べてきたように、被告人と荒川沖連続殺傷事件の元死刑囚の男のメンタリティは一致しているということだ。
 その挑発に乗ってしまい感情的断罪を要求してしまえば、被告人の思う壺になるのは明らかだ。絶対に挑発に乗らず、刑罰の有無を法廷では問わずに事実のみを厳しく正すことだけに徹することが、亡くなられた方々の想いに応える唯一無二の選択であると私は述べ続ける。それが出来ないのなら、被害者参加制度は使ってはいけない。今の実態は被害者が明らかに権利を乱用していると厳しく指摘したい。
 次に取り上げる事件を皆さんはどう思うか。

教会銃乱射事件、アフリカ系住民9人を殺害したディラン・ルーフ被告に死刑
The Huffington Post  |  執筆者: Sebastian Murdock
投稿日: 2017年01月11日 09時01分 JST 更新: 2017年01月11日 09時22分 JST

 アメリカ・サウスカロライナ州チャールストンの教会で2015年6月17日、アフリカ系住民の男女9人を殺害した銃乱射事件で、サウスカロライナ州の連邦裁判所の陪審員はディラン・ルーフ被告(22)に死刑を言い渡した。
 ルーフ被告は連邦検察からヘイトクライム(憎悪犯罪)、信教の自由に対する妨害など33の罪で有罪となり、そのうち17の罪で死刑相当となった。
 当時21歳だった白人のルーフ被告は、アフリカ系住民の信徒が集まる「エマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会」(通称「マザー・エマニュエル」)で聖書勉強会が開かれていたとき、教会内に足を踏み入れた。信者たちが集まっている席に着席してから、銃を取り出し、突然銃を乱射した。
 ルーフ被告に殺害されたのは、シンシア・ハードさん、エセル・ランスさん、スージー・ジャクソンさん、ダニエル・シモンズさん、タイワンザ・サンダースさん、シャロンダ・コールマン=シングルトンさん、デパイン・ミドルトン=ドクターさん、マイラ・トンプソンさん、そして教会の牧師のクレメンタ・ピンクニーさんだった。
 検察官は、ルーフ被告に死刑を宣告するように陪審員に訴えた。もし陪審員が全会一致で死刑にならない場合は、自動的に終身刑になっていた。

「彼らはあの夜、13人目の訪問客を歓迎しました。...優しい言葉をかけ、聖書、チラシ、そして椅子を差し出しました」と、ジェイ・リチャードソン検事補は、ルーフ被告の量刑言い渡しの最終弁論で述べた。「ルーフ被告は憎しみとグロック45口径の銃を携えてやってきたのです」

 ディラン・ルーフ被告は、自分の生死を決める陪審員の判決を待っている間、全く反省の色を示さなかった。
 最終弁論の冒頭、ルーフ被告は「心理学的に言って、おかしなことは何もない」と言った。彼は以前書いた論文に、心理学は「ユダヤ人が発明したもの」だと記している。
 「私の冒頭陳述はちょっと場違いのように思える」と、ルーフ被告は陪審員に語った。「ウソをつくつもりはない。私がそうすべきではないという人がいるだろうし、おそらくこれまでいた人たちよりも、私はずっときまりの悪い思いをしている。それ以外何もない」
 ルーフ被告は、アメリカ連邦捜査局(FBI)から2時間にわたって尋問を受けた。その時撮影された動画が法廷で流され、ルーフ被告が罪を認めている場面が写し出された。
 「私は有罪だ。誰が見たって有罪だ」と、ルーフ被告は語った。
 また彼はFBIの捜査官に、「白人が二級市民になり、白人女性が日常的に黒人男性にレイプされていると信じていたから、9人の無実の人たちを殺害した」と語った。
 量刑言い渡しの最終弁論の終了間際、ルーフ被告は自身の銃撃を正当化した。
 「やらなければならないと感じた。今でもそう感じている」
 ルーフ被告は陪審員に、「死刑を回避するよう懇願することもできたが、そうするのがいいのかどうかはわからなかった」と述べた。ルーフ被告は、控訴する意向を示している。
 ルーフ被告の家族は声明を発表し、亡くなった人たちに哀悼の意を表明した。
 「私たちはいつまでもディランを愛しています。私たちは彼がどうしてこのような恐ろしい襲撃をし、多くの人々に多くの苦しみを与えてしまったのかを理解するため、生きている限り困難に立ち向かいます。犠牲者の方々に深い悲しみを表明するとともに、多くのご家族のみなさんにお悔やみを申し上げます」
 事件から1年後の2016年6月には、聖書勉強会と礼拝が行われた。教会の信徒で、マザー・エマニュエル内で生まれたトーマス・ローズさん(66)は亡くなった人たちに祈りを捧げた。ローズさんは事件当日、ルーフ被告が銃を乱射する1時間前に教会を後にしていた。
 「今でも立ち直れません」と、ローズさんはハフィントンポストに語った。「もうしばらく時間がかかるでしょう。彼がやったことは赦します。しかし彼は私たちの家族の一員を連れ去りました。決して乗り越えることができないのです」

 ローズさんは恐らくディランの犯した罪を忘れることはないだろう、彼の行った事は許しても生命が奪われた事は変わらないのだからだ。
 ディランは反社会的な暴言に徹していた。今回の相模原事件の被告人と態度は瓜二つでしかない。私は彼の犯した罪を許す気はないが、人格への誹謗中傷は絶対にやらないとだけ明言する。彼を感情的に断罪すれば、彼を無条件で許すことと同じことになる。それが被害者の望むことなのだろうか。
 私は事実に従い、彼が罪と向き合うことを強く望む。終身懲役によって、その罪を償うことが望ましいと私は考えている。いわば彼は自ら死を望み、あのような事件を起こしたとするなら、その狙いを奪い取り死ぬまで冷たい監視下に置けば彼の狙いは完全になくなるということだ。
 また、犯罪被害者に必要なのは感情的厳罰ではない。喪失感のリカバリーと、残された箇所をどう活かすかという観点だ。カウンセリングはそういう意味では必要だ。全ての犯罪被害者が、カウンセリングというリカバリーの機会に恵まれることを何より望む。

 また、被害者参加制度を悪用して法廷で感情的断罪という法廷侮辱罪を犯してきた人達にこの場で厳しく警告する。
 世の中には明らかな犯罪なのにもかかわらず、その犯罪行為が罪に問われないケースがかなり多い。そのことで苦しむ人達がどれだけいるのか、考えたことはあるのだろうか。そんな方々は、裁判すらも出来ないし、声すらも上げられない。詐欺被害にあった人が詐欺師を私的制裁する『クロサギ』が生み出されたのはそこにあると厳しく指摘したい。
 失ったものの大きさはよく分かるが、感情的な断罪を不当に要求するのなら、本来裁判にかけられるほどの大きな罪を侵されても断罪すらもない被害者にとっては、「お前ら、何やっとるんや」ということなのだ。アカス紙器事件では知的障がい当事者が赤須正夫という一つの鬼畜によって性的暴行あり、搾取ありとさんざんやられ、裁判にかけられたものの実質的無罪判決を垂れ流された。その結果に反発した被害者の暴行を止めようとした支持者が冤罪で不当に有罪を押し付けられたことを考えるべきだ(赤須という男は人道上断じて許されない男なので忘れる権利は駆使することは許さない)。
 被害者参加制度がないからと言い逃れしようが無駄な言い逃れだ。いわば司法の公平性がなかったために起きた犯罪なのだ。様々な要素が絡んでいたとはいえ、ネットの書き込みが誘発的原因になってパニック障がいになった人もいる。ネットで選挙妨害をやられてその対応でとんでもない損害を受けた人もいる。
 こういった現実を踏まえ、自分たちの姿を見直してもらいたい。

7.被害者参加制度の大幅見直しは不可避だ
 私は被害者参加制度の大幅見直しが必要だと考える。
 例えば被害者が精神鑑定によりPTSDであると主張するが、それは医師のカルテ次第で変わってくる。そこで、その裏付けを被告人が選んだ精神科医がセカンドオピニオンで行うよう義務化すべきなのである。
 この義務化により、被害者の法廷におけるやりたい放題に歯止めをかける事ができる。裁判は被害者による被告人への公的リンチの場ではない。本来の機能である事件の原因追求と再発防止に戻さねばならない。また、2017年4月末までに法廷侮辱罪を導入し、被害者参加制度が導入された時点に遡り、被告人サイドが厳しく査定を行い、明確に被告人の人格や名誉を傷つける暴言を被害者がした場合は厳しく裁くべきなのだ。本村は法廷で被告人に死刑を不当に要求したが、その時点で法廷侮辱罪が成り立つのである。
 また、被害者参加制度による『証言』は被告人本人の参加を認めない、被害者などの証言者は法廷での証言ではなく別室のモニターからの参加だけにする、被告人の弁護士による証人質問の義務化、参加後、被害者などの証言者はカウンセリングを受けることを義務化させるべきだと考える。
 被害者は精神的なリカバリーにより、あるべき姿に戻さねばならない。このままでは被害者は痛みを死ぬまで抱えることになる。それは望ましいとは私とは思えない。