2017年4月24日月曜日

発達障がいだって生活者だ


恋愛・エッチ

発達障害者は恋愛・結婚を諦めるほうがいい? 「誰もが結婚して当然」という価値観を疑う

kekkon0602
該当togetterより
先日、「発達障害者には恋愛・結婚を諦めるよう心理療法的去勢するのがよい」 というTogetterが話題になっていた。「成人ASD(自閉症スペクトラム)当事者は、恋愛や結婚は障害受容(自らの障害を受け入れること)の問題が出てくるため、異性との関係を築くことを早い人生の段階で諦めてもらう、心理療法的『去勢』と障害受容が現実的なツールだ」と主張するツイートを発端に重ねられた議論をまとめたものだ。
 Togetterのタイトルが「自閉症スペクトラム」ではなく、「発達障害」となっているのは、おそらくふたつの違いが込み入っているため、より馴染みのありそうな「発達障害」というワードを使ったのだろうと思われる。
 発達障害はいくつかのタイプに分類される。例えば、5月25日の『あさイチ』(NHK)で、発達障害であることを公表したモデル・俳優の栗原類さんは「注意欠陥障害(ADD)」だった。ここ数年でよく耳にするようになった「アスペルガー症候群」も発達障害のひとつであるし、「自閉症」や「注意欠 如・他動性障害(ADHD)」も発達障害に含まれている。ひと括りに「発達障害」といってもその特性は様々なのである。
 議論の発端となった発言者に対しては「障害者虐待だ」「優生学だ」といった批判が当事者から寄せられた(発言者もまた発達障害の当事者であった)。その後、「去勢」という表現については、物理的去勢を想起させるものとして撤回している。
 この問題はあまりにセンシティブだ。発達障害は誤解が多い。当事者が危惧するように、差別や偏見を助長しかねず、慎重に議論しなくてはいけない問 題だろう。だが一連のツイートを見ていて、「発達障害」という限定された設定を取り外すと、発言者の問いかけは、より広い視野で考えることが可能になるの ではないか、と感じられた。

そもそも結婚する/しないは自由でしょ

発言者は意見を交換する中で「社会の構造を根底から疑う習慣として『性の役割と欲求』をあげただけ」「期待される望ましい役割は価値観に埋め込まれている」と発言している。
 おそらくここでいう“価値観”とは、冒頭で挙げた「恋愛」「結婚」を「良いもの」「望ましいもの」とする価値観であり、“役割”とは、そうした価値観に則した立ち振る舞いのことだ。「結婚のために望ましい(とされる)女らしさ/男らしさ」といった「性の役割」が分かりやすい例かもしれない。
 しかし、当然のことだが恋愛や結婚はしなくてはいけないものではない。したい人はすればよいし、したくない人はしなくてよい。していないからと いって、当人になんらかの欠陥があるとは限らないし、非難されるようないわれもない。恋愛や結婚によって幸せになれるなんて保障はないのに、「結婚しなく てはいけない」という強迫観念に苛まれ、無理やり結婚して本当に幸せになれるのだろうか?
 収入や性格や環境や、その他いろいろな要因がふたりの間でマッチしたときに、お互いが「結婚したい」と思えば結婚すればよい。収入に不安を抱えな がら結婚して、生活が破綻する人もいれば、意外と幸せになってしまう人もいるだろう。そのくらい不確実性に溢れたものを個々人に押し付ける空気は、かえっ て不幸を招く。
 「結婚を諦めさせる」ではなく、そして「○○障害」に限定するでもなく、単に「結婚してもしなくてもどちらでもいい社会」。「恋愛や結婚は(絶対 に)良いものだ」という根拠なき価値観が解体されたとき、役割を押し付けられている人びとの生きづらさは随分と減るのではないだろうか。
(門田ゲッツ)

 以前から私は絶食系男子として価値観の強要に頑として拒否を宣言していた。
 この発言は、私の苦しい思いに寄り添ってくれた意味で助かる。はっきり言っておこう、もう、価値観の強要はたくさんだ。更に独断と偏見で障がい当事者を見ていて、その人の本質を見ないあり方には怒りと苛立ちすら覚える。


栗原類、発達障害を告白 8歳の時に判明「人に合わせられない」
2015年5月25日 11時30分
スポニチアネックス

 モデルの栗原類(20)が25日、NHK「あさイチ」(月~金曜、前8・15)に出演。発達障害のひとつである注意欠陥障害(ADD)であることを告白した。
 この日の「あさイチ」は番組内で「増加!夫の発達障害 苦悩する妻」を特集。栗原はゲストとしてスタジオに生出演し、米国に住んでいた8歳の時にADDと診断されたことを明かした。言語的なことだけではなく、行動的な場面でもおかしいと思った担任教師が栗原の両親に受診を提案。検査したところ「ADD」と診断されたという。
 障害の症状については「人に合わせられなかったり、決め事やこだわりが強い」と説明。例として「冷蔵庫の中で、いつもお茶が置いてある場所に違うものがあると気持ち悪くなって置き直してしまう」と話した。
 番組内では結婚後に配偶者が発達障害であることが判明し、悩む主婦の声などを取り上げた。栗原は「親や主治医が早い時期に(障害を)言ってくれて、弱点というか、自分ができることとできないことがより分かりやすくなった。そういう周りの環境があるから、今がある」と早期の解明の大切さを説いていた。
 栗原はイギリス人の父と日本人の母の間に生まれ、長身のイケメンでありながら後ろ向きな発言に終始する“ネガティブ過ぎるモデル”としてブレーク。バラエティ番組などで活躍してきた。


 私自身が発達障がいの一つであるアスペルガー症候群当事者であることは、以前述べたことだ。
 その中で、色々な出会いがあり、そして新たな一歩を踏みしめることにした。
 価値観の強要という世界は、私にとってはとても息の詰まるようなものだ。
 私自身が発達障がいと知ったのは2011年だった。そして、その翌年に手帳を取得し、就職活動を経て今の会社に所属することになった。そこから多くの人と出会うことになり、「私の生き様を伝えることで後に続く人の参考にして欲しい」という指摘を受け、私はブログで言うことにした。
 最後に、北海道新聞でもこんな記事があった。発達障がいだって生活者なのだ。



教育News

発達障害、寄り添い授業 上湧別小でモデル事業 通常学級全員、共に成長

話すときはゆっくり、はっきり。最初に狙いを示し、子どもの発言をさえぎらない―。オホーツク管内湧別町の上湧別小学校(児童 76人)は、ちょっとした工夫を重ねることで、分かりやすい授業づくりを目指している。通常学級で学ぶ発達障害児らに目線を合わせた取り組みだ。「ぬくも りある授業が、学校で学ぶ子どもたち全員の成長につながる」。教諭がアイデアを出し合っている学校を訪ねた。
■紙や箱使い表示
 5月中旬、5年生の総合学習の時間。児童20人が近く訪れる「かみゆうべつチューリップ公園」で調べたいことを出し合っていた。
 「咲き終わった花を切ってしまうのはどうして」「いつからたくさん出店が並ぶようになったんだろう」。子どもたちが次々と発言する。担任の横山哲子教諭は「いつから公園ができたかも聞いてみようか」と、その言葉を膨らませながら、模造紙に聞きたいことをまとめていく。模造紙を使うのは工夫の一つ。黒板は次の時間には消さなければならないが、模造紙であれば後日、振り返り学習に活用できる。
 さらに黒板の右端には「《1》算数 《2》国語…」と書かれた紙が貼り付けられていた。「時間割です」と新熊研二教頭が教えてくれた。その日1日 のスケジュールが一目で分かる。ささいなことのようだが、次は何の時間かがはっきりつかめることで、より落ちついて授業に臨めるという。
 表示による子どもたちへの発信は、他の教室でも行われていた。6年生の奥村裕之教諭の教卓には「おしずかに 先生お話し中」と書いた箱があった。 言葉での説明をじっくり聞いてほしいときは、この箱を机上に置く。子どもたちに今、何をしてほしいかを分かりやすく示すためという。
 分かりやすい授業を行うようになったきっかけは、道教委の「発達障がい支援モデル事業」のモデル校に昨年度から指定されたことだ。教員らが通常学級に在籍する発達障害のある児童生徒への支援方法を授業などを通じて探っている。上湧別小は1学年1学級で、特別な支援を必要とする児童がいる学年もある。
 発達障害は友達づくりなど他人との関係が苦手だったり、興味や関心が特定のことに集中したりなど、何かしらの問題を抱えている。そのため、教科書がうまく読めなかったり、会話がかみ合わなかったりする。
■温かい雰囲気で
 昨年度は手始めとして、特別支援学級を担当する植松秀則教諭を中心に、発達障害の特徴などを学ぶ教員研修を重ねた。1度話を聞いただけでは分からない子もいるが、ポイントをゆっくり話すことで、理解度が変わる。そうした当たり前と思うことが、日々の授業で行われているのか。教員全体で考えるきっかけになった。学級の雰囲気づくりも大切だ。少々落ち着かない子でも、温かく思いやりが感じられる中では、自然と集中できるようになっていく。
 こうした雰囲気は子どもたち全員の成長にもつながる。湧別町教委の牧野裕司教育長は、同校の授業を見学した際、支援が必要な子を周りの子たちがごく自然に支えている姿に目がとまったという。
 モデル校の指定は牧野教育長が勧めた。牧野教育長が合併前の上湧別町の教育長に就任した2007年は、障害のある子どもの教育的ニーズに応じて指 導を行う「特別支援教育」が始まった年。通常学級に在籍する発達障害児の支援も対象になったが、ほとんどの学校から「該当者なし」と報告を受け、「ただ気 がついていないだけではないか」との疑問が残ったと振り返る。「人はそれぞれ個性がある。発達障害もその一つ。個性として認め、支えあうことが大切だ」と 話す。
 上湧別小は本年度の教員研修のテーマの一つに「授業のユニバーサルデザイン」を据えた。障害の有無や年齢に関係なく、すべての人の暮らしやすさを 目指す考え方を、日々の授業でも意識しようというものだ。職員室に「ユニバーサルデザイン実践BOX」と書かれた箱も置いた。日々の授業の工夫を寄せても らい、学校で共有していくのが狙い。佐藤亮校長は「どの子も意欲をもって学習に取り組めるように進めていきたい」と話している。
発達障害 生まれつきの脳機能の障害などで、対人関係や社会適応などに支障が現れること。他人とのコミュニケーションが苦手な「自閉症」、自閉症のうち知的発達や言葉の発達の遅れがない「アスペルガー症候群」、知的発達の遅れはないが読み書きや計算など特定分野が著しく苦手な「学習障害(LD)」、行動のコントロールが難しい「注意欠陥多動性障害(ADHD)」などの総称。複数の障害が重なるケースもある。特定の分野で優れた能力を発揮する場合もある。
■道内で増加、指導法模索 道教委
 発達障害などが理由で特別な支援を必要とする子どもは、道内の通常学級で増える傾向にある。道教委は2014年度から3カ年計画で「発達障がい支 援モデル事業」を進めている。児童生徒の障害の特性に応じた支援を拡大する狙いだ。ただし、個別の事情に応じた教育は手探りで行っているのが実情で、子ど もの環境や発達段階に応じた細やかな指導をすることが課題となっている。
 道教委は13年度から、通常学級に在籍し、発達障害を含む何らかの障害のために特別な支援が必要と学校が判断した児童生徒らに関する実態調査を始 めた。道内の公立の幼稚園から高校までを対象にした調査では、園児や児童生徒数に占める割合が14年度は、幼稚園5・6%(前年度比0・4ポイント増)、 小学校4・0%(同0・6ポイント増)、中学校1・6%(同0・1ポイント減)、高校0・6%(増減なし)。全体の平均は2・5%(同0・3ポイント増) だった。
 増加傾向の背景には、特別支援教育をめぐる国の施策の変更がある。文部科学省は13年7月、障害がある子どもは特別支援学校に原則就学するとして いた学校教育法施行令を改め、本人や保護者の意見を踏まえながら、通常学級を含めた就学先を選択できるようにした。12年に障害者基本法が改正され、障害 のあるなしにかかわらず「可能な限り、共に教育を受けられるよう配慮」すると明記されたことを受けた対応だ。
 通常学級で学ぶ発達障害児が増えていることを踏まえ、道教委は14~16年度の3カ年計画でモデル事業に取り組んでいる。幼稚園と小中学校の計8 校をモデル校に指定。オホーツク管内湧別町では、上湧別小のほか、湧別中もモデル校になった。道教委や町教委と連携しながら、通常学級で学ぶ発達障害児向 けの授業方法などについて研究している。
 道教委が初年度にまとめた校内研修プログラムは、発達障害に力点を置きつつ、特別な支援を必要とする児童生徒の特性を各教員が共有するための研修 方法を、80ページにわたって示す。注意するときは「走るな!」ではなく「歩こうね」など、子どもたちを叱るのではなく、温かい言葉遣いでどうすべきかを 具体的に促す方が、子どもたちが落ちつくと解説している。
 今年3月には幼稚園から高校までを対象にした「校内研修プログラム」を作成し、学校ぐるみでの取り組みを促している。道教委特別支援教育課は「多様なあり方を相互に認め合う教育を、教員一人一人が意識しなければならない」と話す。
 発達障害児への対応で大切なことは、子どもの心理状態や環境をしっかりとらえ、対応していくことだ。NPO法人北海道学習障害児者親の会クローバーの長田じゅん子事務局長は「先生が特に悪気もなく言った『できないの』との言葉で、非常に深いショックを受ける子どももいる。一人一人の状況を踏ま え、気持ちに寄り添う支援をしてほしい」と話している。(佐藤元治)