小野裕二、鳥栖加入決定で4年ぶりのJ復帰! 「チームの為に全力で戦う」
2017年1月22日 11時43分 SOCCER KING
サガン鳥栖は22日、ベルギーリーグのシント・トロイデン(STVV)でプレーしていたFW小野裕二の加入を発表した。
小野は1992年生まれの24歳。横浜F・マリノスの下部組織出身で、2010年に2種登録ながらJリーグデビューを果たした。翌2011年にトップチームへ昇格し、1年目から背番号「10」を着用。2シーズンに渡ってプレーした後、2013年1月にスタンダール・リエージュへ移籍した。2014-15シーズンにはヨーロッパリーグでのプレーを経験。2015年7月にシント・トロイデン(STVV)へ移籍した。
シント・トロイデンでは、2015-16シーズンにリーグ戦22試合出場を記録。今シーズンは負傷離脱もあって6試合出場にとどまっていた。そして今月15日、同クラブが契約解除を発表していた。
契約解除の発表において、小野の今後について「日本に帰る」と説明されていた。5シーズンぶりとなるJリーグ復帰で、新天地は鳥栖に決まった。
加入にあたり、小野は以下のようにコメントしている。
「この度サガン鳥栖でプレーすることになりました、小野裕二です。このチームの一員になることができ、とてもうれしく思います。チームの勝利の為に全力で戦うので、応援宜しくお願いします」
小野選手に対しては古巣の横浜もオファーしていたという。
ここで契約金の有無などを問うのは野暮なので、言うことは差し控えたい。今年の横浜はかなりおかしな状況にあると言わざるをえない。成績は悪くはないが、明らかな見切り発車的な運営は否めない。
俊輔の移籍は理解できても、 マリノスで起きていることは理解不能だ
2017年1月16日 13時8分 Sportiva
名門、横浜F・マリノスが揺れている。
先日はクラブの英雄的存在だったMF中村俊輔が、ジュビロ磐田への移籍を発表。クラブに対する批判、不満は頂点に達した。これを受けて、横浜FMは異例とも言える釈明文を出すことになった。そして、社長は就任わずか1年での交代が明らかになっている。
では、岐路に立った名門の実状とは......。
横浜FMのマネジメントが不安定になった理由を、ひと口で解き明かすのは難しい。
体質として問題視される点は、以前からあった。たとえば経営面では、本拠地だったマリノスタウンの運営に年間6億円もの賃料を10年間支払い、結局は払い切れなくなって潰すことに。今や「宿なし」の状態である。また強化面では、かつてチームのシンボル的選手だったDF松田直樹の処遇を巡っても、「功労者に冷たい」と批判が沸騰し、ネガティブな印象を残している。
もっとも、横浜FMに限らず大きなクラブはマイナス面も抱えるものである。
では、なぜ今、クラブの未来が危ぶまれる重大な事態に陥っているのか?
「2014年7月にシティ・フットボール・グループ(CFG)が経営に参入して以来(約20%の株を取得)、チームを翻弄している」
その意見は根強い。昨年3月にスポーティングダイレクターに就任したアイザック・ドルは、"シティの代名詞"として不評を買っている。その顔は公(おおやけ)には見えてこないのだが......。
混乱の要因は明白だ。
「クラブの評価、査定が納得いかない」
選手はそう言って、不信感を募らせる。
現場での強化に、まるで筋が通っていない。たとえば、ドルが就任する直前、ブラジル人FWカイケの獲得が発表されている。交渉そのものは前任者が行なっていたはずだが、無関係のはずはない。半年で北米3ヵ国を半年で転々とし、順応性が明らかに欠けるカイケを、「プレービデオのみで採用した」と言われる。年俸1億~1億5000万円と言われるFWを、だ。
その結果、カイケはわずか4得点にとどまり、ポストプレーに至っては失笑を浴びた。同時に、素行問題も噴出。受け入れ先探しは難航し、サントス(ブラジル)と期限付き移籍合意も、年俸差額は横浜FMが肩代わりする可能性が高い。
強化の不明が、舵取りを誤らせている。
「主軸DF、中澤佑二に年俸半減を提示」
今冬に世間を騒がしたニュースは、評価基準の杜撰(ずさん)さを象徴していた。全試合フルタイムで出場した選手の査定としては噴飯ものだ。38歳という年齢も、単年契約なら言い訳にならない。クラブの資金不足というなら、カイケの契約がちらつく。結局はクラブが年俸を引き上げており、「約25%減で落ち着くのでは」と言われるが......。
むしろ深刻なのは、ディフェンスの主力であるDF小林祐三(→サガン鳥栖)、DFファビオ(→ガンバ大阪)、GK榎本哲也(→浦和レッズ)の3人を移籍させた点だろう。彼らに正当な評価を下し、引き留めることができなかった。それは「罪」に近い。不動の右サイドバック・小林には「契約満了」を突きつけた。見る目がないというか、正義がまかり通らない。1シーズンを通し、コンスタントに試合に出場した実績を否定するなら、選手は何を拠りどころに身を粉(こ)にするのか。
「自分たちの何を見ているのか、信頼できない」
その不信感は多くの選手に伝播・増幅し、9年間在籍したMF兵藤慎剛(→北海道コンサドーレ札幌)も移籍を発表している。
現場で矢面に立つのは、「CFGに選ばれた」という形のエリク・モンバエルツ監督だろう。成績は10位と低迷。トレーニングがマンネリ化するなど、1年目以上の結果(7位)を残すことができなかった。「なぜ、監督を代えないのか?」という批判の矛先を向けられている。
しかし、モンバエルツ本人はそこまで悪い監督だろうか?
ルヴァンカップ、天皇杯では準決勝に進出。MF喜田拓也(22歳)、FW富樫敬真(23歳)、MF天野純(25歳)、DFパク・ジョンス(22歳)、MF遠藤渓太(19歳)ら若手を抜擢したのは、フランス人監督の功績だろう。少なくとも一部選手たちを除けば、リスペクトされている。練習中に怒鳴り声を上げて刃向かったコーチ(選手の前で監督に反抗するなど欧州や南米では言語道断)や、不満げな態度を露わにする選手も、"干す"ようなことはせず、寛大に誠実に対応してきた。
中村の移籍は、横浜FMファンにとっては青天の霹靂(へきれき)で、心情的には悲しい出来事だろう。しかし、強化の一面から見ると、不思議ではない。
モンバエルツと中村が戦術的に折り合いをつけられなくなっていたことは、誰の目にも明らかだった。横浜FMは2トップのほうが機能しはじめ、攻撃はFW齋藤学の存在感が著しく増し、終盤には左利きMFの天野も成長を見せていた。一方の中村は38歳になってケガも多く、フル稼働はできなかった。8000万円と言われる年棒オファーを受け、同じ感性を持つ指揮官の誘いを選んだに過ぎない。
騒動を一緒くたにするべきではないだろう。クラブは新陳代謝を必要とする。その点、移籍や若手への切り替えもひとつのマネジメントだろう。
にもかかわらず、批判を避けられない理由も明らかだ。
「正しい目によるジャッジの欠落」
それこそ、集団における負の連鎖を引き起こしている。
横浜FMは来季に向け、レッドスター・ベオグラード(セルビア)で得点を量産していたポルトガル人FWウーゴ・ヴィエイラを獲得するなど、戦力補強も行なっている。しかし、DFラインの主力をごっそりと手放し、Jリーグで生き残れるのか? もし、齋藤学も移籍する道を選ぶとしたら......。そこには、茨(いばら)の道が待つだろう。
小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
公平さを著しく失ったフロントの闇が、明らかに横浜を混乱させているとしか思えない。
Jリーグ開幕当初、私は横浜マリノスのサポーターだった。アンチ読売新聞という立場から、応援していた経緯がある。その後、経営破綻した鳥栖フューチャーズの志を継いだサガン鳥栖のサポーターになっているのだが、ここまでぼろぼろになるのは悲しいとしか思えない。勝利だけでごまかせても本質が変わらなければ意味はない。小野選手を失った横浜F・マリノス再生の鍵とはなにか。
CFGの中核にあるのは、マンチェスター・シティ(英プレミアリーグ)である。マリノスは今や、マンチェスター・シティに20%の株式ごときで右往左往されているとしか思えない。小林選手などの話から小野選手はサガン鳥栖を選んだとしか思えない。さらに鳥栖は経営陣が情熱を持って経営していることもあり、あの元日本代表の権田修一も移籍したほどだ。鳥栖は地域との密着を高めつつ、ミッションを明確化している。今のマリノスは鳥栖と同じレベルのチームなのだろうか。世代交代ばかりが優先されているとしか言いようがない。
更に深刻なのは、日産会長のカルロス・ゴーンの認識のお粗末さだ。明らかに横浜市民を、横浜地域を甘く見ているとしか思えない。横浜地域にはJ1マリノスに加えて、J2横浜FC(旧横浜フリューゲルスの流れをくむ)、J3・YSCC横浜まである。このままではYSCCにまで抜かされるのは明らかだ。
今こそ、横浜市民が主体となって、3つあるクラブチームを合同させるべきときではないのか。横須賀にもホームタウンを持つ市民球団・新生横浜FMシチズンズとして、再生すべき時が来たと言わざるをえない。
スポーツは市民が主体となって運営すべきなのは明らかだ。横浜に3つのクラブチームはいらない。席を二つ他の地域に譲るべきではないか。JFL奈良クラブへJ3正会員を譲渡すべきではないか。
また、J2のV・ファーレン長崎の経営危機についてもコメントさせてもらう。
Jリーグは経営者教育や研修をもう少し充実させるべきではないか。今回のケースは明らかな私物化が経営危機を招いたのであり、話にならない。鳥栖の場合は古賀某という愚か者のために経営危機に陥ったが、最後は佐賀県などが毅然とした形で新法人の立ち上げを主導してなんとか立ち直った。ロアッソ熊本は経営危機があった段階で即座に改善したから良かったが、未だにフーリガンとの癒着で再起が厳しいアビスパ福岡の過ちからJリーグは学んでいない。
毅然とした姿勢を示し、前経営陣への経営責任追及と私財の提供の義務化、高田明・ジャパネットたかた会長の社長就任を絶対条件にすべきだ。