このところ多忙でブログ記事に手を加えられなかったが、トランプ一味の暴走を見逃す訳にはいかない。
ここで厳しく批判を行うことにした。
「サヨク批判」したいがためだけのトランプ擁護論の愚かしさ
HARBOR BUSINESS Online 2017年2月5日 16時11分 (2017年2月8日 17時03分 更新)
トランプ政権の発足から半月。あの当選劇の衝撃を引きずるかのように、いまだに世界中のメディアは連日、新政権の動向を報じ続けている。
通常、新政権発足当初の100日間は「ハネムーン期間」と呼ばれ、野党もメディアも政権批判を手控える。政権運営が安定した軌道に乗るまで100日程度はかかるだろうとの共通認識があるためだ。これまで幾度となく政権交代を経験してきた合衆国ならではの、歴史に根ざした叡智の一つだろう。
だがこの政権は「ハネムーン期間」の恩恵に預かれそうにない。性急な入国禁止令のドタバタ、オーストラリア首相との電話会談での暴言、極秘裏に進められたイエメンでの軍事行動の惨憺たる失敗などなど、トランプ政権はその船出から容赦のない批判の波にもまれている。
しかしこれは当然といえば当然とも言える。例のイスラム教国7カ国を主要対象とした入国禁止令にしても、性的マイノリティの権利へのバックラッシュにしても、トランプ政権の言動は「オバマ政権が生んだものの否定」を通り越して、「合衆国が基盤とする価値観の否定」に見えなくもない。あの選挙戦でトランプ支持を表明した共和党の政治家や言論人からでさえ、批判の声が上がるのも当然ではある。
CNN/ORCが2月3日に公表した世論調査によると、トランプ政権の支持率は40%しかないという。一方で不支持率は52%にのぼった。政権発足直後の世論調査で、支持率が不支持率を下回る事例は前代未聞なことだ。また、この世論調査では、78%の人が「予想通りの政権運営」と回答しているのも興味深い。「危ない奴だと思っていたが、案の定、危ない奴だった。もう勘弁してもらいたい」という意見が大方を占めるとも読み取れなくもない。
◆またぞろ蠢き始めた逆張り紳士たち
ここまでメディアからの集中砲火を浴び、世論の動向も決して芳しくないとなると、おきまりのように、「逆張り紳士淑女」の各位がうごめきだす。「みな、トランプは酷いというが、そう酷くはないのではないか?」と、ご高説を開陳しだすのだ。
日本の週刊誌・月刊誌やテレビのコメンテーターのコメントなどを見ていると、2月に入って以降、「トランプ政権は実はそんなに酷くないのではないか?」という論調が徐々に増加傾向にあるようだ。この勢いであれば、この傾向は今後ますます強くなっていくのだろう。
こうした論調には一定のパターンがある。「ニューヨークタイムズやワシントンポストはサヨクだ」「CNNは別名チャイナニュースネットワークと呼ばれるほど偏向している」などと断定した上で、「それを引用する日本のメディアも、朝日新聞をはじめとし、サヨクだ」と言ってのけ、「だからみなさん、騙されてるんですよ。トランプはそんなに酷くない」と結論づける。
この論調の目新しいところといえば、結論の「トランプは酷くない」部分だけ。その目新しさも、「トランプ政権」という新しい旬の話題に言及しているという意味においてのみ「目新しい」だけであって、結論に至る論理構造が純粋に目新しいわけではない。「みんなが酷い酷いと言い募る例のアレはそんなに酷くない」/「みんなが素晴らしいという例のアレは実はこんなに酷い」系のスキャンダリズムを掻き立てる古臭い手法を、トランプ政権という話題に持ち込んだに過ぎない代物だ。
◆手垢のついた陰謀論に言論人が手を出す日本
「ニューヨークタイムズやワシントンポストはサヨクだ」というのも、もう10年ほど前からの流行りであり、最近はこの与太話も、与太話としての新奇ささえも失いつつある。芸風としてもすでに古臭い。
とりわけ、ここ数年は、高橋史朗や櫻井よしこなど日本会議系の文化人・言論人たちが毎年毎年「歴史戦」なるものをアメリカの言論界に仕掛け、けちょんけちょんに負けて帰ってくるのが通例となっているため、あの界隈からの負け惜しみのような「ニューヨークタイムズはサヨク!」論がだらだらと流れ出している。
そうした背景を知らずに、「ニューヨークタイムズはサヨクだ」と鼻の穴を膨らませて今頃言っているとするならば、無知は責めぬがその羞恥心のなさと注意力のなさは大いに責められるべきものだろう。
定年退職直後の手持ち無沙汰に「ネットでもやってみるか」と初めてネット言論なるものを見て興奮する高齢者や、「お前のかーちゃんでベーソ」が他人への批判だと認識できてしまうような小学生ならいざ知らず、およそ言論界で何らかの地歩のある人間が手を出す領域ではない。そんなものは陰謀論に過ぎないのだ。
◆陰謀論を開陳する「識者」がメディアに出る日本
ただ問題なのは、こうした陰謀論まがいの言説の「流通経路」が、我が国ではすでに確立されてしまっていることだ。
「コミンテルンの陰謀で日中戦争は始まった」などという陰謀論を唱える人が、「評論家」として大手メディアに登場し、内外の世事にコメントする珍奇な風習のある国は、G7諸国を見渡しても日本ぐらいのものだろう。
「地元メディア以外は反基地運動を取材すると危険だ」などと嘯き、現地取材さえしないテレビ番組が地上波で垂れ流される国も日本においては他にない。論文を一本も書かずはたまたその分野での単著さえない人物が「その道の権威」として登場し、「サヨクはダメですねぇ」とさえ言っていれば拍手喝采を浴びる安い芸風が蔓延るような国も、日本ぐらいしかないだろう。
と思うと、トランプ政権誕生でにわかに注目を浴びた「ポスト真実」なる言葉は、我々日本に住むものどもにとって、新しいものでも何でもないのだ。むしろこの分野では、日本こそが先進国と言える。トランプ政権のあの無軌道っぷりも、バノンのような輩が選挙の洗礼も受けず行政の長の側近として登用されるのも、そしてバノンのような輩が寄って立つ勢力が極めて特殊な人々のサークルであるのも、全て、日本が過去10年ほど見続けている光景とそっくりだ。
トランプ政権の言動は衝撃的であり、将来に対して暗澹たる気持ちを抱かざるをえないほどに、ショッキングではある。しかしそれにばかり目を奪われてはいけない。あの惨状はもうすでに、日本のあちこちで起こっているのだから。
文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)
今回敢えてこの記事を取り上げたのは、トランプ擁護説がいわゆるリベラル派から出てきていることへの危惧だ。
トランプはCNNやニューヨーク・タイムズを偽ニュース呼ばわりする。そして己の主張を真実のニュースと決めつけるが、大統領としての評価はあくまでも第三者が下すことであり、自身の自画自賛ではない。ジンバブエの独裁者・ムベキの一番弟子と私が皮肉っているアベさまや自称東京都知事の小池百合子ことコイケさま、人種差別暴言を平然と連発するアソウさまと同じ発想にすぎない。
いや、アベさまがトランプの先輩なのかもしれない。既に日本のメディア産業はアベさまやお政府様にご配慮しているのだからだ。まともに物を言えるのはリテラや週刊金曜日ぐらいか。その状況に危機感を持つべきではないか。
武器商人に対して私は批判し続ける。なぜなら彼らは弱者の血の上にあぐらをかいで暴利を稼いでいるからだ。トランプは武器商人と対立すると擁護派は持ち上げるが、それ以上にヘイトスピーチがひどくなったことに対する説明がない。クー・クラックス・クランが勝手に持ち上げていると言うが、持ち上げられる段階でそもそもアウトなのは言うまでもない。
既にIT業界はヘイトスピーチに拒絶の声を出した。私もハッキリ以前から明言してきたし、トランプを厳しく批判してきたが批判の声を強めざるを得ない。菅野氏は保守派の論客ではあるが、ヘイトスピーカー共を厳しく批判してきた。その声を真摯に受け止めるべきだ。