差別の構造そのものを厳しく絶たなければ、差別は決して無くなることはない。
例えば、こんな事件があった。
「野茂とホモの見分け方―はちゃめちゃベスト3」
出版社 : ニッポン放送プロジェクト
ISBN:4-594-01943-9
発行年月日:1996年03月30日
ソフトカバー/221ページ
初版 第1刷
この書籍とやらはニッポン放送「古田新太と犬山犬子のサンデーおちゃめナイト」の人気コーナー”はちゃめちゃベスト3”の本だった。
ところが、タイトルでLGBT当事者から抗議を受けて発売後まもなく発売禁止・回収になってしまった。だが、皮肉なことにネットオークションでは高値がつく有様である。その内容がこうもひどい。
『野茂はお尻を向けて投げるが、ホモはお尻を向けて誘う。』
※なお、内容については明らかに不適切ですので文字を白くしました。LGBT当事者の皆様方には万が一不快感を及ぼすものでありましたら、この場で謝罪申し上げます。
これにはLGBT当事者の方々が憤慨するのも無理はない。
発行元の扶桑社は『週刊SPA!』1989年2月2日発売2月9日号の記事中、「大正天皇」を「大正洗脳」と誤植した箇所があると判明し、発売中止とし、併せて既に発送した分を回収した。しかし、この事を知って多くの人たちが苦笑する有様である。これこそ情けない失態ではないか。
発行する以前に放送すべきかどうかチェックをすればいいまでの事なのだが、更に突っ込んで言うならば、それ以上にネットにおけるヘイトスピーチの延長線上のクズ本を出すべきではない。出版社の学習能力の低さには呆れてくる。
そして、寝た子を起こすなという無責任極まりない事なかれ主義が今でも現場でははびこっている。
『ちびくろサンボ』発禁事件がそのいい現れではないか。極左集団の糾弾行為により、アフリカ系の方々への差別をなくすと称して日本の出版社はちびくろサンボの発行を止めた。しかし、それで差別のどこがなくなったのか。
『黒人差別をなくす会』という極左集団の欺瞞性がそこにある。差別をなくしたければ、日々の啓発活動を積み重ねればいいまでのことなのだ。そんなアタリマエの事がわからないから、ネオナチジャパンに足元をすくわれるのだ。
表面を批判するのではなく、その本質をつかなければ意味はない。速攻で差別をなくせばその反動はかならず来る。抗生物質耐性の細菌みたいなものにネットのヘイトスピーチはなりつつあると言わざるをえない。