2013年10月15日火曜日

良心を悪魔に叩き売った 輿石東 

特集ワイド:どうする?電力総連 経営者と一体、原発推進の果てに… †
毎日新聞 2011年7月20日
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110720dde012040011000c.html


◇被ばくと隣り合わせの作業員 誰が命守るのか †
  連日の猛暑、噴き出す汗をぬぐいながら考えた。あの防護服姿の人たちは大丈夫だろうかと。発生から4カ月が過ぎ、いまだ収束する気配が見えない東京電力福 島第1原発の事故。対応にあたる作業員の健康被害が取りざたされる一方、彼らの権利を守るはずの労働組合のメッセージがほとんど伝わってこない。どうした ことか。【中澤雄大】

 「防護服は蒸し暑いし、防護マスクは息苦しい。作業を始めるとすぐに、被ばく上限を知らせる線量計アラームがピーピー鳴るけど、仕事は片付かない。焦って被ばくを承知で、マスクを外して作業をしたこともあるよ」

  まるで福島原発の作業員の声のようだが、これを聞いたのはもう15年前になる。原子爆弾の被爆者問題を取材する過程で、原発作業員も「被ばく」している実 態を知った。臆することなく語る30代の下請け作業員の話に驚いたものだ。彼が働いていたのは、今「やらせメール」問題に直面する九州電力玄海原発。福島 原発の作業員6人が緊急時の被ばく限度量(250ミリシーベルト)を超える被ばくをしていたことを聞くにつけても、厳しい作業環境や被ばく管理体制の甘さ は以前と大差ないと思えてくる。

  ◆

 「危険にさらされて働く東電・関連会社の社員、とりわけ最も弱い立場にある非正 規・未組織の短期雇用労働者の権利と健康を守るため、電力総連(全国電力関連産業労働組合総連合)として、電力会社に要求を強める必要がある」--。先月 29日、脱原発を目指す複数の市民団体でつくる「福島原発事故緊急会議」のメンバーが、電力総連と、傘下の東電労組に要請した。だが、物別れに終わった。

  加盟労組229、約22万人を率いる電力総連。05年の原子力政策大綱の閣議決定時には「数多くの組合員が原子力職場で働いており、日本のエネルギー政策 の一翼を担うことに自信と誇りがある。今後も安全確保を最優先に、魅力ある職場、やりがいが持てる職場になるよう取り組む」と歓迎する談話を出すなど、原 子力推進姿勢を明確にしてきた。

 3・11以降、原発をどう考えているのか、電力総連に尋ねてみた。内田厚事務局長は「福島の事故発生後、エネルギー政策の方向性は政治レベルで検証が始まったばかり。今後どう対処するか? その評価が出ないとコメントしようがない」と言葉少なだ。

  しかし、ある総連関係者は「経営側と共に原子力を推進してきた責任がある。今、電力会社内部では経営側と組合側で矛盾が生じている。従来は会社に寄り添う 形だったが、現状は組合員が苦しい立場に置かれており、今の状況が続けば新入社員も入ってこない。これまでの活動を反省し改善する余地はある」と明確に責 任を認める。同時に電力総連の内部事情について「労働条件や施策の異なる個別労組から成り立っているうえ、各社の経営方針に反対できるまでの情報を持ち得 ていないので、原発問題への立ち位置は難しい。いかにモラルを持ってやるかだ」とも述べた。

 電力総連が支援する国会議員はどうか。原子 力政策を担当する藤原正司参院議員(2期・関西電力出身)は「災害の原因は空前絶後の地震津波や。東電に責任を押しつけるのはおかしい。莫大(ばくだい) になる損害賠償を一民間企業が負担できるはずもない。そこに金を出したくない政府の思惑が見える」と独自の見解を示す。さらに「半年もたてば、世論も変わ るわ。日本は農林水産業だけでは食べていけない。震災後、原発を減らせという評論家が増えたが、産業・経済はどうなる。お父ちゃんの仕事がなくなってもえ えんだったら検討しましょうよ」と続けた。どうやら事故前と思考の論理に変化はなさそうだ。

  ◆

 「もう手遅れです よ」。強い労使癒着によるチェック機能の完全喪失が、今回の事態を招いたとみるのは昭和女子大の木下武男特任教授(労働社会学)だ。手遅れとは? 「自主 性を失っている東電労組が、会社内部から変革するのは無理という意味です。九電の問題も労組はチェックできなかったでしょ。むしろ、こうした状況を批判す る勢力が外部に必要。例えば、連合の中で電力総連が孤立するような形をつくる以外にないのでは」と指摘する。

 なぜ自主性を失ったのか。「それはね、東電など電力会社に限らない。自動車、鉄鋼、造船重機、電機といった大企業はもれなく従業員をほぼ完全に統合・支配してきた。この構造を私は『企業主義的統合』と呼んでいますが、ある意味、日本独自の本当によくできた制度です」

  戦後の労働争議に対抗するため、企業側は賃金人事・労務管理制度を巧妙に用いて、「産業別」労組を「企業別」労組へと分断した。「連帯」を目指した労働者 も分断され、社内競争する会社員へと変貌する。「なかでも電力会社は国策である原発を進めなければならず、その分、他の産業よりも労使一体で推進する特殊 な体質がある」

 新たな格差も生まれつつある。2000年以降の非正規雇用者の急増だ。木下氏は「これまでも定期点検時の原子炉内の清掃 など、危険作業は下請け作業員にやらせてきた。今回の事故で、下請けのひどい労働実態が明らかになった意味は大きい。事故を収束させるには被ばく労働は不 可欠。今後も被ばく労働者が多数生まれることを前提にするわけだから、政府は労働基準監督官を現地に常駐させるなど早急な管理対策を講じるべきだ」と提言 する。

 木下氏の話を聞いていて、印象に残った言葉がある。「受動的市民」と「能動的市民」。これまでは会社組織にいて異議申し立てをし なければ、定期昇給など「幸せの階段を自動的に上れた」。だが、そうした社会経済構造は崩れつつある。3・11以降、脱原発デモに参加する若者も増えた。 「彼らは、自分で直接意思表示する能動的市民と言える。確実にそうした空気が強まっている。労働運動のリーダーは、労働者の生活向上を統一して進めるより も、政党系列の政治運動に労働組合を組み込み、デモ動員などを優先してきた。そうした戦後の運動文化の体質を改め、若者に大いに学ぶべきだ」。木下氏はこ う言葉を結んだ。

 事故収束には「数十年単位の処理の時間がかかる」(菅直人首相)という。一体どれくらいの被ばく労働者が必要となるのか。彼らの命は誰が守るのか。考えるだけで暗たんたる気分になる。

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 こうして福島第一原発の収集で現場が必死なのに関わらず空気の読めない消費税増税にいそしむ輿石は、東京電力労働組合から選挙時に支援を受けていた。
 それだけでも話にならないが、ロイターの記事を引用する。

〔アングル〕消費増税法案に3つのシナリオ、成立は「話し合い解散」の狭い道か
2012年 03月 30日 12:52 JST 記事を印刷する | ブックマーク [-] 文字サイズ [+]

「輿石東 党議拘束」の記事をお探しですか?最新関連記事が 3 件 あります。
  [東京 30日 ロイター] 消費増税法案が30日閣議決定された。野田佳彦首相は「政治生命をかけて今国会中に成立させる」と退路を断って臨むが、法案 成立への展望は全くみえてこない。ねじれ国会の下では野党の協力なしの成立は望めず、逆に、法案への反対を明言している小沢一郎民主党元代表グループから 52人以上が反対に回れば衆院でも否決される。法案の成立は野党の同意が得られる「話し合い解散」など限られたケースに絞られる。「野田首相、小沢民主党 元代表、谷垣禎一自民党総裁の『チキンゲーム』で、視界ゼロ」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)との声があがっている。
  <委員会付託が最初の正念場、特別委員会設置ならメンバー構成に注視>
 法案成立までには大きく分けて、1)法案を付託する委員会の決定、2)衆院での採決時、3)参院での採決時──など、3つの節目が考えられる。
  消費税導入を決めた竹下政権では、消費税法案は特別委員会で審議された。今回も社会保障制度と消費税を含む抜本税制改革が一体として議題になるため、早く から「特別委員会」を設置し付託するとみられていた。ただ、民主党の最低保障年金制度に関する法案が2013年の国会に提出される方針が示されたことで、 逆に税法の審議が進まない可能性を危惧する声もあがっている。特別委員会が設置されることになれば、委員会の構成メンバー人選が成立を目指す民主党執行部 にとって最初の正念場になる。
 審議入りの日程も定まらない。民主党の輿石東幹事長は29日の会見で「定数削減法案、郵政法案、国家公務員給与削 減関連4法案などを優先すべきだ。先に国会に出ているものを先行するのがモノ(ごと)の順序だ」と述べ、すでに国会に提出されている重要法案の処理が先行 するとの認識を示した。法案の審議入りが遅れれば、6月21日までの会期中に消費増税法案に十分な審議時間を確保できず、大幅な会期延長の問題につながる 可能性が出てくる。
  <審議入り後の3つのシナリオ>
 審議入り後は、1)法案が採決されないまま継続審議となるケース、2)法案採決で、小沢グループの造反で否決されるケース、3)法案の成立を引き換えに野田首相が解散に打って出るケース──が考えられる。
 シナリオ1:上智大学の中野晃一助教授は「法案を提出して採決をしない」ケースが落としどころになるとみる。法案が否決されれば、野田首相は「退陣するか、解散の道しかなくなる。政治的な自殺行為だ」とみるためだ。
  しかし、これは今国会での成立を公言している野田首相としては取れない戦略との指摘もある。内閣不信任案や首相問責決議案提出のきっかけになりかねない。 政治アナリストの伊藤惇夫氏は「継続審議には首相が乗らない。法案が提出されれば、少なくとも衆院での採決は行う。5月末から6月にかけて衆院採決にもっ ていく」とみる。
 シナリオ2:衆院の過半数は、欠員が1名あることから、240議席。民主党は291議席で、他党からの賛成がなければ、民主党から52人以上が反対すれば法案は否決される。政権の命運をかける法案が否決されれば、退陣か衆院解散の道しかないとみられる。
  小沢元代表は15日のロイターのインタビューで「衆院で法案(の提出・採決)を強行してくれば賛成できない」と反対を明言。消費増税をめぐっての話し合い 解散や、今通常国会での衆院解散・総選挙を否定。自身が離党する理由は全くないとし「国民との約束を忘れた人たちの方が党を出なければならない」と野田首 相をけん制した。インタビューから浮かび上がるのは「解散回避」(野党筋)で党内覇権争いの構図だという。
 党内最大グループの小沢派は100人 を超えるとみられるが、伊藤氏は「造反は52人に達しない」と見通す。伊藤氏は「法案が成立しなければ、野田政権が倒れる可能性は極めて高い。野田首相に とっての最悪のシナリオは、法案は提出したが野党が乗ってこず、党内の造反で否決されるケース。解散に打って出られない状況が最悪だ」とし、他方で「小沢 氏の狙いは野田内閣を総辞職に追い込むこと。野田首相は逆に、(法案が通らないことが明確になれば)造反する議員を除名して、解散に打って出る」と予想す る。
 党内の増税反対派は、前原誠司政調会長が28日未明に事前審査を一方的に打ち切ったことに反発を強めている。政調役員会でも3人が反対を表 明した。党内分裂の回避を大命題とする輿石幹事長は29日の会見で、法案の採決には「当然、党議拘束3 件はかかる」と造反行動を早くもけん制したが、消費増税をめぐる溝は深い。
 シナリオ3:衆参で多数派が異なるねじれ国会で法案を成立させるには野党の一部の同意を得るしかない。伊藤氏は「話し合いという言い方が妥当かはわからないが、自民と民主の妥協の余地は残っている」とみる。
  ただ、現時点では、自民党は消費増税法案に厳しい見方をしている。「党内基盤が確立していないので社会保障関係費を膨張させ合意点を見出す。このような社 会保障膨張法案には付き合えない。できることなら話し合って民意を問う道を迫ったほうが良いが、難しい環境なら、追い込んでしまうしかない」(自民幹部) という。谷垣禎一総裁も29日の定例会見で「総理が不退転の決意で臨むというのなら、反対派と決別し、解散権を行使して、消費税を公約に掲げて堂々と国民 に信を問うべきだ」と対決姿勢をあらわにしている。
  <消費増税法案の行方「視界ゼロ」>
 市場もまだシナリオを描ききれていない。三 菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ債券ストラテジストの石井純氏は「衆参ねじれ状態が続く今国会では、可決成立は不可能。廃案だけは回避し、継続審 議となる。つまり、5月に衆院で造反議員を押さえ込んで可決しても、参院では通過させることはできない。衆院解散・総選挙の実施を約束して参院通過の協力 を取り付ける『話し合い解散』も成立しない。来夏の衆参同日選でねじれが解消し、正常化した14年の通常国会で可決成立にこぎつける」と見通すが、市場が どのような結末を織り込んでいるのかははっきりしないとした。
 消費増税の閣議決定をめぐっては連立与党を組む国民新党の亀井静香代表が増税反対を唱え、連立離脱を表明。国民新党は連立を離脱しないとしているが、亀井氏の動きが政界再編に発展するか、波乱要因となりそうだ。
  法案が成立しなければ、退陣か解散の選択肢しかない野田首相。衆院解散になれば、力の源泉の「数」を失うとみられる小沢元代表。「衆院解散・総選挙」を勝 ち取らなければ、9月総裁選での芽が摘まれる谷垣自民党総裁。3者の「チキンゲーム」のなかで、消費税政局がひたひたと近づいている。4月26日に政治資 金規正法違反事件で小沢氏に対する東京地裁判決が下された後、5月以降に訪れる衆院採決が最初のヤマ場となりそうだ。
 (ロイターニュース 吉川裕子:編集 石田仁志)

 国民は消費税増税に反対なのははっきりしている。
 この記事を見てもらいたい。

毎日新聞世論調査:消費増税、反対依然6割 小沢系「支持しない」65%


主な調査結果
 ◇軽減税率導入、79%が「賛成」
  毎日新聞は3月31日と4月1日、全国世論調査を実施した。消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げるため、政府が閣議決定した 消費増税法案について「賛成」は37%にとどまり、「反対」が60%を占めた。税率引き上げの際に生活必需品などの税率を抑える軽減税率については「導入 すべきだ」が79%に上った。一方、同法案の採決時に反対する構えを示している民主党の小沢一郎元代表らのグループの姿勢には「支持しない」が65%と、 「支持する」(30%)を大きく上回った。

 内閣支持率は28%と3月の前回調査から横ばい。野田佳彦首相は増税法案に「不退転の決意」 を表明し、法案の国会提出にこぎ着けたが、支持率上昇には結びつかなかった。逆に不支持率は48%と前回から3ポイント上昇。一方、小沢元代表らの姿勢を 「支持しない」と答えた人は、民主支持層でも72%に達した。不支持の理由は「指導力に期待できない」が前回から3ポイント増となり、18%に上った。

 増税法案への賛否を支持政党別にみると、民主支持層は63%が賛成し、反対は35%。自民支持層では、反対62%、賛成36%と逆転した。公明支持層の反対は71%に上り、賛成は28%にとどまっている。無党派層では、反対63%、賛成34%だった。

 子ども手当が与野党協議の結果、児童手当に名称が変わり、今年10月に支給される6月分から所得制限がつくことには「評価する」が62%を占め、「評価しない」の33%を上回った。【小山由宇】

 ◇話し合い解散、過半数反対
  毎日新聞の全国世論調査で、首相が自民党の谷垣禎一総裁と話し合い、消費増税法案への協力と引き換えに衆院解散を確約する「話し合い解散」について聞いた ところ、「賛成」は36%にとどまり、「反対」の53%を下回った。今後に望ましい政権の枠組みは「政界再編による新たな政権」が54%で最多。「民主中 心の政権」(8%)や「自民中心の政権」(10%)、「民主、自民の大連立」(21%)を上回った。

 話し合い解散の賛否を支持政党別に みると、自民支持層の「賛成」は51%に上り、「反対」(39%)を上回った。民主支持層では賛成42%、反対49%と拮抗(きっこう)。公明支持層では 賛成41%、反対49%だった。「支持政党はない」と答えた無党派層では反対が57%で、賛成の32%を上回った。

 望ましい政権の枠組みについては、無党派層で「政界再編」が69%に上った。民主支持層では「大連立」と「民主中心」が34%と最多で、「政界再編」が21%で続いた。自民支持層は「自民中心」が38%だったが、「政界再編」も28%を占めた。

  一方、大阪市の橋下徹市長が率いる「大阪維新の会」の国政進出に「期待する」は62%に上った。3月の前回調査でも「期待する」は6割を超えており、維新 への期待感が持続している。維新の国政進出に「期待する」との回答は、民主支持層で55%、自民支持層でも56%を占め、無党派層では66%に上ってい る。【小山由宇】

     ◇

 福島第1原発事故で警戒区域などに指定されている福島県の一部地域は、調査対象に含まれておりません。

毎日新聞 2012年4月2日 東京朝刊

 輿石のやったことは極右勢力を喜ばせただけである。
  それならば、まずは法人税、所得税を1984年レベルに戻した上でトービン税を直ちに導入することだ。また、思いやり予算の大幅縮減と八ッ場ダムの建設中 止とその場所への福島県の避難民の新たな町の建設(これには東京電力のOBに大半の負担を担ってもらう)、国会議員の議員年金を国民年金に統合、国会議員 の報酬の日当制導入だけでも増税する必要は全くない。
 また、非正規労働者を一刻も早く正規雇用化することだけでも所得税の安定した確保につなが る。労働組合出身なのにいつの間にか財界人と一体化したと言う意味ではこの男は庶民の敵と言うべきなのだろう。良心を悪魔に叩き売った代償はやがて己に 返ってくるとだけ警告しておこう。

2012-04-04 22:30