2013年10月9日水曜日

テロリストには死刑しかない 若島和美

再考 来た道行く道<4>自由 言論に「覚悟」はあるか―連載
2005年12月25日付 西日本新聞朝刊掲載

 銃撃された男は言った。「彼に会いたいと伝えてほしい。話をしたい、と」
 銃撃した男は首を横に振った。「…会いたくなか。話すこともなかし」
     * 
  十六年前、長崎市長だった本島等(小野注、その当時の市長と称していた伊藤一長は金権選挙など違法な手段で公職を奪ったため、市長としての正当性を一切認めていません。本島氏を正統市長として公認しています/83)を背中から撃った男は、東京・千代田区にあるビルの一室にいた。右翼団体「正気塾」副長の若島和美(56)。白いひげをたくわえ、スーツに長身を包んでいた。「どうせおれたちを『言論の自由を脅かす悪』って書くとやろ。でも、おれも言論の自由は大事 と思っとるさ」
 発砲は、「(昭和)天皇の戦争責任はあると思う」と市議会で答弁した本島への抗議だった。本島発言があったのは、天皇の闘病が続いていた一九八八年十二月。「なぜあの時期に国体を揺るがす発言をしたのか。おれは本島の支援者やった。裏切られたと思ったよ」
 本島とは同じ長崎県・上五島出身。正気塾の活動を通じ本島と知り合った。「天皇発言」の後、何度も面会を申し入れたが断られた。凶行は発言から一年後に起こした。「おれにとっては言論を封殺されたとさ。待って待って、最後の手段として『肉体言語』(銃撃)を使った」
 致命傷となるのは避けた。「生きてもらわんといかん。発言ば訂正してもらわんばいかんけん」
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 一命を取り留めた本島は暴力に屈せず、今も自説を唱え続ける。
 ファンヒーターの音だけが静かに響く長崎市の自宅で、本島は言った。「彼に会って『君がやったことは間違っていた。今の時代には通用しないんだよ』って言いたいんだ」
  背後一・五メートルから放たれた弾丸は左胸を貫通。「ああ、死ぬんだなと思ったよ」。それでも発言を悔いたことはない。「開戦も終戦も、最後に決断したのは天皇。道義的責任はあった。言うべきことを言った」。日本の加害責任を考えずに核廃絶は語れないとして「原爆投下は仕方なかった」と発言したときは、天皇発言への支持者からも猛反発を受けた。
 「若島と会って話したい。お互い自分こそ正しいと思っているだろう。僕は自分が正しいと無理に言うつもりはない。何とか話し合って、言論の自由を認め合いたい」
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 東京の事務所で、若島は続けた。「もう会う価値もなかでしょう。あの人が書く論文はおかしなものばっかりでしょうが。もう普通のおじいちゃんでいてほしい」
 銃撃事件については「間違ったことをやったとは思っていない」とした上でこう話した。「あの人を傷つけた責任は一生負い続けますよ。言葉と同様、肉体言語には責任を負う」
 朝日新聞阪神支局襲撃事件(八七年)や、石井紘基民主党衆院議員刺殺事件(二〇〇二年)など、闇討ちのような「匿名テロ」は今も続く。最近では、インターネットで報道機関などを一方的に攻撃する「ネット右翼」と呼ばれる若者も脅威の的になっている。
 こうした動きを若島は「上っ面だけですぐコロッと変わってしまう危うさがある」と批判。最近の政治家や国民も「言葉に責任がなくなっとる」と断罪してみせた。
 言論の自由について再び本島に聞いた。「十六年前から進歩したとは思えないよ。義理や人情という日本式の生き方に縛られてタブーはまだある。外国のように多様性がもっと重んじられる世の中にならんと」
 「言葉への責任が軽くなっている」という批判だけは、若島と一致した。
 (敬称略)

  長崎市長銃撃事件 長崎市長銃撃事件 昭和天皇に戦争責任はあると発言した本島等長崎市長(当時)が1990年1月18日、右翼団体「正気塾」(長崎市) の幹部・若島(旧姓田尻)和美から狙撃された事件。長崎市役所前で公用車に乗ろうとした本島氏の背後から拳銃1発を発砲。本島氏は1カ月の重傷を負った。即日逮捕された若島は殺人未遂罪などで懲役12年の実刑判決を受けて服役。出所後の2003年4月、「世の中の流れを変える」として同市長選に立候補 し、1000票余りを得たが落選した。

 この若島を私は絶対に許すわけには行かない。
 このキチガイ男が属していた「正気塾」は過去これだけのテロ事件を起こし正当化し不当に居直っている。
 長崎地方裁判所大村支部判事拉致事件
 長崎新聞社銃撃事件
 長崎地裁銃撃事件
 加藤紘一宅放火事件

 これらは絶対に許されない行為だ。それがなにが「天誅」か。
 こうした愚か者は真実の前には打ち砕かれる。2004年11月26日、本宮ひろ志作『国が燃える』の南京大虐殺や百人斬り競争に関する記述は虚偽であり日本の誇りを傷つけるものであるとして、掲載誌出版元の集英社に街宣車で乗り付け誹謗中傷した。
  だが、本宮氏は事実に乗っ取り描いたのであり、誹謗中傷される筋合いはない。こんな男に愛国心を言われるとは片腹痛い。懲役12年でも激甘判決で、普通な ら言論に関わることなので死刑だろう。中東和平に尽力したラビン元首相を虐殺したテロリストのイガール・アミルに終身懲役刑が下されたがそれぐらいは当たり前だ。
 言論をテロで封殺しようとした罪は重大であり、命をもって償うしかない。潔く自裁せよと迫る。言論を舐めてかかっているからテロという手段で本島正統市長を虐殺しようとしたではないか。それで何が「言論の自由は大切」か。ちゃんちゃらおかしい。

2012-05-13 9:29