2015年4月22日水曜日

「けしからん」で済ませるな、なぜこの男が生み出されたのかを考えない今の単細胞たちに警告する

被告に懲役8年 PC遠隔操作「サイバー犯罪の中でも悪質」

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PC遠隔操作、被告に懲役8年 「悪質なサイバー犯罪」
他人のパソコン(PC) を遠隔操作し、インターネット上で無差別殺人などの犯罪を予告したとして、威力業務妨害などの罪に問われた元会社員、A被告(30代前半)の判決が4 日、東京地裁であった。大野勝則自称裁判長は「見ず知らずの第三者を犯人に仕立て上げるなど、サイバー犯罪の中でも悪質な犯行だ」として、懲役8年(求刑懲役 10年)を言い渡した。
一連の事件では4人が誤認逮捕され、サイバー犯罪の捜査が見直されるきっかけとなった。A被告は2013年に逮捕されてから一貫して無罪を主張していたが、保釈中の昨年5月に真犯人を装った自作自演のメールを送信したことが発覚。一転してすべての罪を認めていた。
A被告の起訴内容は、12年6月から9月、遠隔操作ウイルスを他人のPCに感染させるなどの方法で、旅客機の爆破や幼稚園の襲撃など計9回の犯罪予告をイ ンターネットの掲示板やサイトなどに書き込んだとするもの。東京、神奈川、三重、大阪の4都府県の警察が無実の男性計4人を誤認逮捕した。A被告は威力 業務妨害のほか、ハイジャック防止法違反などの罪でも起訴された。
判決は、A被告について「腕試しをしたいと考え、国家権力に対する個人 的な恨みから犯行に及んだ」と「指摘」。犯行後に犯行声明メールを送ったことについては「捜査機関に対する優越感を得るために世間を騒がせようとした」と決めつけた。自作自演メールの送信は「保釈中に行われたものとしては類を見ない悪質な証拠隠滅行為だ」と「厳しく批判」。「進退窮まり、もはや言い逃れできないと観念 して罪を認めた」と決めつけた。
検察側は論告で、「サイバー犯罪史上まれに見る卑劣な犯行。第三者を身代わりとして犯人に仕立て上げ、あらゆる手段で罪を免れようとした」と「非難」。弁護側は、「正しい捜査をすれば誤認逮捕は防げた。被告は内省を深めている」と指摘して寛大な判決を求めていた。(石川瀬里)
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〈パ ソコン遠隔操作事件〉 2012年6~9月、無差別殺人や爆破の予告が自治体や幼稚園にメールで送信されるなどし、警察が4人を誤認逮捕した。同年10 月、「真犯人」を名乗る犯行声明メールが報道機関などに送られ、誤認逮捕が判明。警察庁長官が謝罪した。警察は13年2月、A被告を威力業務妨害容 疑で逮捕した。
(朝日新聞デジタル 2015/02/04 11:39)
○なお、被告人の実名は匿名報道により全面的に伏せます。これは国際法上の義務であります。

 私はこの事件を単にけしからんと決めつけることはできない。
 重大なのは、弁護側の指摘を検察側が何一つ認めなかったことだ。明らかに検察は大きな失敗をことごとく繰り返した。しかも、被告人(現在は受刑囚のため伏せるが)はこんな被害をメディアによって受けていた。

2013年02月14日 08時32分
遠隔操作ウイルスに感染したパソコンから犯罪予告が書き込まれた事件。警視庁などの合同捜査本部は2013年2月10 日、威力業務妨害の疑いで男を逮捕した。新聞やテレビの報道は、鬼の首を取ったかのような勢いで、被疑者が猫カフェでくつろいでいる様子まで報じたが、 ネットでは「過剰報道」と批判する声も出ている。
逮捕された男は今のところ、容疑を否認していると伝えられている。この遠隔操作事件では「誤認逮捕」が相次いだが、今回の逮捕もまた誤認である可能性がないとは言い切れない。そのような点からすれば、捜査や報道は、より慎重さが求められるといえるのかもしれない。
では、今回の事件で「真犯人」を名乗る人物から犯行声明のメールを送られた「当事者」の一人であり、元検事として警察の捜査の内情をよく知る落合洋司弁護士は、これまでの「捜査と報道」の経過をどのように見ているのだろうか。その見解を聞いた。
●「逮捕された被疑者が真犯人かどうかは、まだ断定できる状況ではない」
――逮捕からここまでの「警察の動き」を見ていて、どう思いますか? また、今後の「捜査の焦点」はどこにあるのでしょうか?
「真犯人が匿名化ソフトを利用するなどしていたことで捜査の難航が伝えられていた中、今年1月になり真犯人が大きく動きました。最後のメールにより 判明した猫の首輪装着の記録媒体中のデータや、それに近付く人物の防犯カメラ画像が、大きな手がかりになって、被疑者逮捕に至った可能性が高いでしょう。
今後の捜査では、状況証拠だけでなく、被疑者と犯行との間の直接的な結びつきを立証できる、確たる証拠が得られるかが焦点になるはずです」
――これまで何人も誤認逮捕されていますが、今回の逮捕も「誤認逮捕」という可能性はないですか?
「逮捕された被疑者が真犯人かどうかは、まだ断定できる状況にはありません。あくまで、逮捕状が出る程度の『疑わしさ』が存在したということであり、そこは冷静に見る必要があるでしょう。決めつけは禁物です」
●「プライバシーを過度に暴き立てる報道の在り方には問題がある」
――今回の事件では容疑者が否認しています。真犯人かどうかまだ不明な段階における「実名報道」のあり方に問題点はないのでしょうか?
「犯罪報道の在り方、実名報道の可否については、様々な議論、意見があります。実名報道により捜査、公判の在り方が検証できる側面もあり、実名報道を全否定するのもどうかと思います。
ただ、今回の事件でもそうですが、被疑者を実名で報道しても、あくまで『疑いを受けている』存在ですから、『犯人』であると決めつけすぎ、プライバシーを過度に暴き立てる報道の在り方には問題があります。慎重さ、節度がより強く求められると思います」
(弁護士ドットコムニュース)
落合 洋司(おちあい・ようじ)弁護士
泉岳寺前法律事務所代表
1989年、検事に任官、東京地検公安部等に勤務し2000年退官・弁護士登録。IT企業勤務を経て現在に至る。
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/

 しかも、この被告人には前科があった。2005年にのまネコ問題をめぐりエイベックス社長宅への放火・社長の妻へ濃硫酸をかける加害・エイベックス社員の殺害の予告や、仙台市の特定の女子小学生を殺害する予告を2ちゃんねるに書き込んだことから逮捕され、4件について脅迫罪と名誉棄損罪で起訴され2006年に1年6ヶ月の実刑判決を受けて服役していたというが、問題はこの段階での被告人の再犯防止教育がどうだったのかということなのだ。
 明らかにお粗末だったと言わざるを得ない。そういうことに対する反省が裁判所にはないというのが恐ろしい。更に問題なのはメディアはなぜそのことを指摘しなかったのか。権力者の監視という、報道の基本も全くできていないと言わざるを得ない。 動機を「権力的なものに対する怒りがあった」とあくまでも義憤に基づくものであったと主張した段階でメディアはそのことを深く考えるべきだった。警察や検察と共謀して犯罪者の糾弾ばかりに終始しているようでは話にならない。そのことへの疑問を感じられない段階でもう、精神の奴隷なのだ。
 それもできない段階で何が権力の監視なのか。検察の犬以外の何物もない。これでは白か黒かという発想のAll or Nothing、言い換えれば単細胞以外の何物もない。

 なお、被告人に対して臨むことはただ一つ。
 正しい反省を求めたい。
 国への怒りは、言論でのみ示せと。