2016年1月24日日曜日

民営化が正しいとは限らない

2006年1月11日(水)「しんぶん赤旗」
2006世界の表情
民営化破たんで再公営化
鉄道・水道
イギリス

 サッチャー政権期(一九七九―九〇年)から国営企業の民営化を広く進めてきた英国。そこで今、目先の利益のみを追求する民営化の問題点を改め、再公営化や非営利企業により公益を重視する試みが始まっています。
 「私企業の方が公営より効率的だというのは神話にすぎない」。鉄道海運運輸労組(RMT=組合員約七万人)は訴えます。同労組は、鉄道民営化によってサービスの面でも安全性の面でも質が低下したと批判します。民営化の否定的影響が最も顕著な形で現れているのが鉄道。これを修正する動きも進んでいます。

■利益優先で事故
 メージャー保守党政権は九三年、鉄道の完全民営化を法制化。鉄道施設保有会社や鉄道運行会社などの業務別や、地域別に、細分化しました。民営化された企業は短期的利益のみを優先し、鉄道の公共性を無視しました。
 こうした利益優先が招いたのが事故の続発です。九九年十月には、ロンドンのパディントン駅近くで赤信号を無視した列車が特急と正面衝突し、三十一人が死亡。二〇〇〇年十月にはロンドン北のハットフィールド近くで列車走行中にレールが破損して脱線。四人が死亡、七十人が負傷しました。
 パディントンの事故では、過去に八度も同じ信号で赤信号通過が起きていたにもかかわらず、信号設備は改善されていませんでした。ハットフィールドの事故では線路補修を十分にしていなかったことが原因の一つに挙げられました。
 鉄道施設を所有、管理するレールトラック社が責任を問われました。同社は、施設の補修を下請け任せにし、短期の利益につながらない鉄道の施設や機能の維持、向上のための投資を怠ってきました。
 あまりの怠慢ぶりに、政府は同社への支援を打ち切り、別組織に改組すると決定。〇二年十月には、政府が立ち上げた非営利企業ネットワークレール社に買収されました。新会社は、利益を施設の向上などに投資すると宣言。〇三年十月には軌道補修業務の外注をやめると発表しました。
 同社は〇五年五月に同年三月末までの一年間の業績を発表。▽業務利益が前年度の赤字から黒字に転換した▽線路が原因の列車の遅延が前年比17%減った―と発表しました。民営化の破たんの修正は成果を上げています。
 九六年の民営化でロンドン南東部の鉄道運行権を獲得したコネックス社は、運行の乱れを放置した上、財政危機に陥り、権利をはく奪され、〇三年十一月、公営の「サウス・イースタン・トレインズ」となりました。

■国民世論も支持
 民営化による弊害を修正する動きは鉄道以外でも起こっています。ウェールズでは、米国企業に買収された水道事業を〇一年五月、非営利企業のグラス・カムリが買収。利益を水質改善や下水施設向上のための投資に回したり住民に還元して、歓迎されています。
 逆流もあります。政府は昨年十一月末、サウス・イースタン・トレインズの運行権を今年四月から民間のゴビア社に委託すると発表。再民営化しようとしています。
 とはいえ、RMTが昨年初めに紹介した世論調査では、国民の65―72%が鉄道の再国営化を支持。民営化を手放しで称賛する風潮は、もはや英国にはありません。
 「九〇年代初めから半ばにかけて民営化されたとき、英国鉄道の役割は民間企業に任せられた。ハットフィールド事故が分岐点となり、全国の線路の状態のひどさや補修がいいかげんにされてきたことが明らかになり、まったく新しい問題が問われた。いま私たちはまったく逆戻りした」―BBC放送のモンタギュー記者は指摘します。(ロンドン=岡崎衆史)

 さあ、小泉自称政権時代からの「骨太の方針」とやらがこれで全て崩壊したことは誰の目からしても明らかであろう。
 中曽根極右内閣の罪は際立って重いことをこれで皆さん思い知るだろう。

2013年9月24日(火)
JR北海道
レール異常放置 背景に人減らし
しんぶん赤旗

 北海道七飯(ななえ)町で19日に起きたJR函館線の貨物列車脱線をめぐり、線路幅の異常が多数放置されていたことが発覚した問題で、JR北海道の安全を軽視する体質と事業者まかせの国の責任が改めて浮き彫りになりました。
 (北海道・小泉健一郎)

民営化のツケ 安全軽視
 同社によると、レールの異常は宗谷線や函館線などの本線で49カ所、駅構内などですれ違ったり一時退避したりする「副本線」で48カ所の合計97カ所見つかりました。異常は、レールの幅が広がったり、左右のレールの高さが基準以上にずれたりしたものです。
 同社の野島誠社長は22日の記者会見で、レールの異常が放置された理由を「検査情報の整理と修繕計画の連携ができておらず、補修を先延ばしして失念してしまった」などと述べました。

スピード競争激化
 JR北海道は線路などの設備の近代化が進んでいなかったうえに、必要な設備投資を怠って電化が遅れ、整備に手間がかかるディーゼルエンジンの車両が多くなっています。にもかかわらず航空会社とのスピード競争の激化で事故につながりやすい要因が増えています。
 これに加えて1987年の分割民営化後の採用抑制が世代の断絶を招き、技術の伝承を阻害しています。そのためJR北海道の社員は40歳代の労働者が極端に少ない、いびつな世代構成になっています。
 分割民営化当時1万4千人いた社員は、現在7100人とほぼ半減。その一方で特急列車の運転数は民営化当初の約2倍になりました。
 整備や点検、修理のすべてを職員が行っていた国鉄時代と違い、下請け会社にまかせる外注化も進んでいます。
 日本共産党の紙智子参院議員は「JR北海道自身の体質改善とともに、国は事業者まかせの鉄道行政をあらため、予算も含めた抜本的な対策を取るべきです」と話しています。

JR北海道 今年の主な事故
発生日時  概要
4月8日  函館線で特急列車がエンジン出火
5月5日  函館線で特急列車が車軸付近出火
7月6日  函館線で特急列車がエンジン出火
7月15日 千歳線で特急列車が配電盤出火
7月22日 根室線で特急列車が潤滑油漏れ
8月17日 函館線でJR貨物の列車が脱線
8月19日 函館線でJR貨物の列車が脱線
9月16日 運転士が操作ミスを隠すため自動列車停止装置(ATS)をハンマーでたたき壊す
9月19日 函館線大沼駅でJR貨物の列車が脱線
9月21日 事故調査でレール幅の広がりが発覚
9月22日 大沼駅事故以外に8カ所でレールの異常が放置されていたことが発覚
9月23日 新たに88カ所(計97カ所)のレール異常放置が発覚

異常が放置されていた本線区間
線名  駅名と区間    異常箇所数
宗谷線 美深―佐久       1
宗谷線 問寒別―豊富      2
宗谷線 豊富―南稚内      4
宗谷線 南稚内―稚内      2
札沼線 石狩太美―新十津川 14
石北線 新旭川―当麻      1
石北線 上越―生田原     10
室蘭線 本輪西―萩野      1
室蘭線 礼文―本輪西      1
根室線 庶路―東釧路      2
根室線 東釧路―姉別      4
函館線 納内―旭川       1
函館線 七飯―森         4
留萌線 深川―増毛       2
合計                49

異常が放置された副本線
線名  駅数   異常箇所数
函館線 14     24
石北線  2      3
室蘭線 10     14
日高線  1      3
千歳線  1      4
 計   28     48
※室蘭線と日高線は1駅で重複がある

2014年4月6日(日)
JR北海道再生へ必要なものは
分割・民営化に反対した鉄道マンは語る
しんぶん赤旗

 レールの異常放置、検査データの改ざんと人命を預かる鉄道事業にあってはならない事態をくり返すJR北海道。島田修新社長は「安全最優先」を掲げ、有識者の検討委員会も改ざん防止の提言をまとめましたが、再生はできるのか。ある鉄道マンの人生を通じて見えるものは―。(取材班)

 「冬はマイナス30度、夏30度になる温度差の激しい所です」。こう話すのは、北海道北部の音威子府(おといねっぷ)村の杉山均さん(55)です。
 19歳でJR発足前の国鉄に就職し、音威子府保線区で働いてきました。1987年4月の分割・民営化の際、国労(国鉄労働組合)に所属していたことを理由にJR北海道を不当不採用になりました。

父の働く姿
 音威子府駅近くの渡線橋に上り、指さす先に、雪にすっぽり覆われた保線区で使う機材の倉庫が見えます。
 「ここでJR社員とよくすれ違うんです。50代の私は、いまでも保線の仕事はやれると思っています」
 鉄道マンを志したのは国鉄で働いていた父親の影響でした。保線区の責任者で、住んでいた官舎には勤務を終えた労働者たちが集まり、酒食をともにしながらしょっちゅう仕事の話をしていました。
 「おやじの働く姿にあこがれていました。俺も国鉄に行きたいと心に決めていました」
 3歳上の兄も国鉄労働者です。分割・民営化前に呼びだされた上司から「国労では新会社に行けない」と恐喝され、やむなく国労を脱退させられ、JR総連(連合加盟)に加入します。

職場で倒れ
 貨物駅の助役の兄は「休みにほとんど家にいたことがない」と家族がいうほど働きづめに働き、2007年、職場で倒れ、51歳で帰らぬ人となりました。
 「国労の脱退組だからか、随分無理をしていたようです。通夜で若い職員が『休みも取らないから』と兄貴にすがって泣きました。上司は遺族に見られるのを嫌って、会場から引きずりだしました」と杉山さん。
 国労や全動労(現建交労鉄道本部)は「安全が脅かされる」と極右自民党政府がすすめていた分割・民営化に反対しました。国鉄当局は政府の方針に批判的な両労働組合を排除します。分割・民営化に賛成したイエスマン組合のJR総連は99・4%がJRに採用されますが、国労は47%、全動労は28%でした。
 音威子府では不採用になった駅や保線の労働者ら48人が、道内では453人が国労闘争団を結成し、全動労争議団も64人がたたかいに立ち上がります。2010年4月に解決をみるものの、一人として職場復帰は果たせませんでした。杉山さんらは音威子府で大自然との共生を目指すNPO法人を立ち上げ、活動しています。
 道内のある連合労組幹部は、多数を占めるJR総連について「暴力集団『革マル派』が牛耳る御用組合」といいます。JR北は、協力して利潤を増やす組合とは協議し、ものをいう労働組合を無視する偏った労務政策を長年続けてきました。
 元国労札幌闘争団長(67)は「相次ぐ事故や不祥事を引き起こす背景には、もうけを優先し、安全を置き去りにしてきたJR北の企業体質があるのです」と厳しく指摘します。


 「JRは何よりも安全を第一に」との世論が広がっています。道内各地でシンポジウムや講演会、門前宣伝が行われています。
 3月21日には、札幌市北区で日本共産党地区委員会が「JR北海道事故問題を考える集い」を開きました。
 研究者や国労道本部役員、市民らが参加し、「第三者委員会のような組織に自治体も入り、きちっと監視すべきだ」「職場にある四つの労働組合すべてと話し合い、社員が結束できる企業風土を確立してほしい」と熱心に話し合いました。

 こんな歴然とした事実があるのに、とんでもないお馬鹿な暴言を吐いた愚か者がいる。
第475回「祝い事」と「不祥事」」(深谷隆司の言いたい放題)

マスコミや評論家は相変わらず、杜撰な経営体質を責め、民営化に伴う採用抑制による現場の衰退、赤字体質の企業経営の圧迫があると解説する。
 然し、東日本、東海、西日本、四国、九州各社も、民営化後は人員削減をはじめとする必死の経営努力を重ねている。管内全域にわたる安全管理の不祥事やサボタージュと言った異常な問題が目立つのはここだけである。
 脆弱な財務基準と言うが、四国、九州も同じ条件だがここまでの不祥事は起こしていない。
 そこには誰も触れられない労働組合との根深い闇があると私は見ている。
 ここには北鉄労(北海道旅客鉄道労働組合)と10年前に出来たJR北労組(JR北海道労働組合)がある。
 問題は北鉄労だが、この上部団体はJR総連だ。かつて中核派など他のセクトと陰惨な内ゲバなどのテロ行為を繰り広げた極左暴力集団革マル派が中心で、国会でもしばしば問題として取り上げられてきた。

 
 この恥さらしがと深谷には怒鳴りつけたい。
 何でもかんでも労働組合のせいにしていいのか。明らかに安全を軽視した運営をJR各社はやらかしまくってきた。例えば、特急列車を先に通すために圧倒的多数の人が使う普通電車のダイヤを1分大遅刻させて、反省の色もないのだから驚くばかりだ。
 私はそういう場合は必ず駅員に「お前らのダイヤ運営は失格だ」と厳しく叱る。深谷のような愚か者が御用組合と手を組んで国鉄の会社化を強行し国労などの反対を押し切って不当な解雇犯罪を犯したのだから、深谷が言うべきは「私の行動が取り返しの付かない禍根を引き起こした。申し訳ありません。心より反省しております」ではないのか。まさに国賊も甚だしいと言わざるをえない。
 吉田松陰気取りの自称首相に深谷は「お前は何をしているんだ、早く政治家を引退して故郷の山口に帰って街の活性化をしろ」と言うべきではないか。それが人としてなすべき道である。