2013年10月24日木曜日

適応障がい-皇太子夫人・雅子さんの悲劇-



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皇太子殿下に「ご退位」勧める論文が大波紋 「第2の人生を選ばれてもいい時期」
2013/2/28 18:28

   宗教学者で、国際日本文化研究センター元所長の山折哲雄氏が、月刊誌「新潮45」3月号に「皇太子殿下殿下、ご退位なさいませ」という刺激的な題名の文章を寄せた。皇太子殿下夫人雅子さんの病気療養が10年目を迎え、「第2の人生」を選ばれてもいい時期なのではないか、と投げかけている。
   思い切った提言に対して、「自分の意志でやめられるはずがない」「このまま雅子さんが皇太子殿下夫人としての役目を果たせないのなら、ご退位もやむを得ないのでは」と、議論が巻き起こっている。

結婚のために王位を捨てた英ウィンザー公を例示
山折氏の論文に多くのメディアが関心を寄せた


    「いま、皇室のあり方が揺れている」
   山折氏の論文は、こんな1文から始まる。「心が痛む」のが、「憂愁の度を深める皇太子殿下・皇太子殿下夫人の沈んだ表情」というのだ。
   皇太子殿下夫人雅子さんが「適応障害(実際はうつ病)」と発表され、治療に入ってから10年目。2013年6月にはご成婚20年目となるが、その約半分の時間を療養に当てていることになる。これを踏まえて山折氏は、皇太子殿下ご一家のあり方に対して国民やメディアが「かならずしも暖かい眼差しをむけているわけではない」と指摘、「冷たい非寛容な視線へと転じていくかもしれない」と危惧する。そこで皇太子殿下はご一家で「いわば第2の人生を選ばれてもいい時期」にきているのではないか」とし、これを「皇太子殿下による『退位宣言』」と表現。大胆な案を提示したのだ。
   過去にも、「週刊朝日」2012年11月23日号で同様の発言をしていた。朝日新聞元編集委員の岩井克己氏との対談で、皇太子殿下の「退位宣言」に言及。「結婚のために王位と祖国を捨ててフランスに移り住んだ英国のウィンザー公という例があります」と補足している。
   皇室典範第3条は、「皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる」と定められている。だが皇太子殿下はこれに該当せず、ほかに皇太子殿下が地位を退くための法的な根拠は見当たらない。「一方的にやめる」というわけにはいかないようだ。
   それでも山折氏は、皇太子殿下が秋篠宮殿下に「譲位」され、ご自身は天皇家ゆかりの地である京都を「第2の人生の場」にされてはどうかと「進言」する。これで雅子さんの病状も回復に向かうだろうというのだ。同氏は「週刊現代」(3月9日号)の取材に「私があの論文(編注:「新潮45」に掲載された文章)を一番届けたいのは、皇太子殿下です」と語っている。
雅子さんの回復「長い目で温かく見守っていただければ」
   「山折論文」はインターネット上でも反響があった。ツイッターの反応を見ると、「これしか、皇太子殿下ご一家を幸福にする手段はないのではないか」「議論されて良い問題」と理解を示す声が一定数見られた。
   メディア上でも賛否が分かれた。「週刊文春」3月7日号には皇太子殿下の30年来の旧友が登場し「天皇陛下でさえ定年がないのに、皇太子殿下が『やめた、降りた』って言えますか」と怒りの様子で語ったという。論文では皇太子殿下一家が、日本の象徴としての天皇家という「公」の部分よりも、プライベートな家族としての「私」を重視されているようだとしているが、この旧友は「健全な生活があってこそのご公務」と反論している。
   「女性セブン」3月14日号も大きく取り上げた。複数の識者からコメントが寄せられているが、高崎経済大学の八木秀次教授は「秋篠宮殿下に皇位継承権を譲る」という点に賛成する。「皇太子殿下は、ご自分の家族に精神的な重きを置かれているようで、本来、皇太子殿下として果たされるべき役割ができていないように感じるから」という。長期療養が続く雅子さんが、このまま皇太子殿下夫人の役割を果たせなければ「皇太子殿下のご退位もやむを得ないかもしれない」としながらも、「現実的には難しい」と答えたのは、元共同通信記者の橋本明氏だ。
   皇太子殿下は53歳の誕生日に先立つ2013年2月22日の会見で、雅子さんが療養10年目を迎えたことについての思いを聞かれ、「快方に向かっている」としながらも「さらに療養が必要です。雅子の回復を長い目で温かく見守っていただければ」と話された。一方、治療が長期化していることで、いわゆる「セカンドオピニオン」を聞くというお考えがないかとの質問には、「東宮職医師団が大変よくやっていただいていますし…今のところセカンドオピニオンという考え方は特にございません」と述べられたという。
*一部、人権上相応しくない言葉がありましたので訂正して掲載しております。


 この数年間、心の病気に対する理解は全く日本では進んでいない。
 逆にそれを商売にするとんでもない実態が明らかになった。「ATARU」のサヴァン症候群はまさにその典型例だろう。しかも理解がないようでは雅子さんでなくてもメタメタになる。皇太子殿下ですらもから「雅子のキャリアや、そのことに基づいた人格を否定するような動きがあったことも事実です」と強い憤りが表明されたほどだ。「私も驚き、陛下(天皇)も驚いた。 発言する前に、せめて陛下と内容について話をして、そのうえでの話であるべきではなかったか」と秋篠宮殿下は述べているようだがとても残念な発言だ。
 私は皇太子殿下の憤りに賛同する。私自身も発達障がい当事者で、日本の精神障がい当事者への冷たい視線への憤りを何度感じてきたか。しかも今回のケースで呆れかえることにメディアはひどい報道に終始した。「跡継ぎ問題」や、ミニスカートを着ろとかアホな発言ばかり繰り返した。これでは不敬罪ものではないか。
 この「適応障害」は、多くの人にとってなじみのないだろう。アメリカの精神医学会の定義(DSM4)や、WHO世界保健機関の分類(ICD10)の定義を引用する。

1.まず、症状としては、抑うつ感、不安、絶望感、動悸や振るえなどの身体的不調、そして、これらの苦痛のために、時には乱暴な言動が出てしまうこともある。

2.原因としては、明らかなストレス要因があること。そして、他の心の病気(うつ病とか神経症が原因になっていないこと。

 明らかに雅子さんは旧態依然な皇室のなかで苦しいストレス状態の中、能力があり、責任感があり、やる気があるからこそ、一生懸命がんばったのではないか。これは、学校の優等生や、会社のエリートサラリーマンや、優秀なスポーツマンも、かかることがある。小川宏、オードリー・ヘップバーン、木の実ナナ、ウィンストン・チャーチルだって心の病にかかっていたではないか。彼らを馬鹿にできるのだろうか。
 適応障害についてもっと考えるべきなのであり、理解してほしい。
2012年09月29日
障がい者雇用支援月間だけで支援はできない

 障害者雇用支援月間が9月にある。
 私は発達障がい当事者のため、このことは他人事ではない。発達障がいへの啓発活動を政府も行っている。

http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/index.html
発達障害って、なんだろう? 政府広報オンラインより

 最近では大人の発達障がいが出てきていて、200人に1人という割合でいると言われている。
 さらに最近起きた凶悪犯罪の背景には発達障がい当事者という深刻な問題点もある。発達障がいに適切な対処さえあれば犯罪は起きずに済んだ可能性がある。大阪で起きた姉妹刺殺放火事件の山地悠紀夫元死刑囚、山口県光市で起きた母子暴行致死事件の元少年(本名は公表禁止の上、事件内容は明らかに暴行致死であるが警察の過剰な処罰感情で殺人罪にでっち上げられた)、秋葉原殺傷事件の被告人、大阪教育大附属池田小学校の連続殺傷事件の元死刑囚など、ちゃんと犯罪の背景を読み解けば明らかに精神疾患当事者だったことは明らかだ。
 こうした彼らに適切なアドバイスを行い、カウンセリングを行える取り組みを政府と民間が行う必要がある。その延長線上として適切な職業へ就業できるよう支援する必要がある。そうするだけでも、犯罪に走る精神疾患当事者は減っていく。無論、蝕法当事者には責任を取ってもらうのは当然なのだが。
 また、このような形の支援もある。

15 就労移行支援
就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者につき、生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談、その他の必要な支援を行います。
【対象者】
就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者。具体的には次のような例が挙げられます。
(1) 就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識及び技術の習得若しくは就労先の紹介その他の支援が必要な65歳未満の者
(2) あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又は灸師免許を取得することにより、就労を希望する者
16 就労継続支援A型(雇用型)
企業等に就労することが困難な者につき、雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な65歳未満の者下記の対象者に対し、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行います。
【対象者】
企業等に就労することが困難な者であって、雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な65歳未満の者(利用開始時65歳未満の者)。具体的には次のような例が挙げられます。
(1) 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
(2) 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
(3) 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
17 就労継続支援B型(非雇用型)
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、通常の事業所に雇用されていた障害者であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行います。
【対象者】
就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者。具体的には次のような例が挙げられます。
(1) 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
(2) 就労移行支援事業を利用(暫定支給決定での利用を含む)した結果、B型の利用が適当と判断された者
(3) 上記に該当しない者であって、50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
(4) 上記に該当しない者であって、地域に一般就労の場やA型の事業所による雇用の場が乏しく雇用されること又は就労移行支援事業者が少なく利用することが困難と区市町村が判断した者(平成23年までの経過措置)
*厚生労働省サイトより引用 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/naiyou.html

 問題点は保険料でまかなわれているために安定した雇用につながらないということにあるそうだ。
 やはり、企業に義務付けるしかないのが現状なのである。非正規雇用を正規化させることはもちろんそうだがさまざまな方法を模索する必要がある。

発達障害者の積極雇用に道 金沢で誕生の農業法人
(2012年5月17日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】
高い集中力 事業に生かす
 対人関係が苦手な発達障害の人の就労を目指し、金沢市に先月、農業法人が誕生した。受け入れ先として、この障害に特化した会社組織は全国でも珍しく、北陸では初めてとみられる。すぐに雇用できる状況ではないが、軌道に乗れば発達障害者を積極活用するビジネス・雇用のモデルとして注目されそうだ。(奥野斐)
 農業法人は、金沢市の薬品販売会社経営前田泰一さん(61)が設立した。勤勉で集中力があり、斬新な発想もできるといったこの障害独特の個性を生かすことを目指す。福祉や支援の対象ではなく、能力を発揮できる環境や制度を整えればビジネスとして事業展開できると株式会社にした。
 前田さんは、国立大に通う長男(18)が小学校低学年の時に発達障害のアスペルガー症候群と診断され、家族や本人が参加するNPO法人「アスペの会石川」(金沢市)の副理事長も務める。発達障害者の厳しい就労環境を何とかしようと起業に至った。
 農業にしたのは、自然相手で、人とのコミュニケーションが少なくて済む作業が多いため。農場として金沢市郊外に約660平方メートルの土地を借りた。ブルーベリーの観光農園や自然農法でのトマト栽培を考えており、健常者と障害者がワークシェアリングで数時間ずつ無理なく働ける環境を目標にしている。
 発達障害者の就労では、国や自治体も支援を始めたばかり。各都道府県に支援センターが置かれ、ハローワークなどと連携して雇用につなげる。職場に出向いて本人の個性に応じた環境調整、企業への助言をする「ジョブコーチ」制度や、会社と障害者双方が適性を見極めるために試用期間を設ける「トライアル雇用」もあるが、利用はまだ少ない。
 前田さんは「障害者本人や家族だけが頑張っても、支えてくれる人がいないと事業は成り立たない。利益を出し職場として成立させるため、長いスパンで地道に取り組んでいきたい」と話している。

画期的な挑戦だ
 コミュニケーション障害が専門の大井学金沢大教授の話 障害のある人の持ち味を生かせる環境をどうつくるのか。彼らに合った方法で生産性を上げることができれば、画期的だ。増える発達障害者の能力を社会で生かすための一つの挑戦といえる。

特徴幅広く  理解に壁
 発達障害は脳の機能障害が原因との説が有力で、自閉症が有名。近年は、知能は高いが他人とうまく関係が築けないなどの特徴があるアスペルガー症候群や高機能自閉症、行動に落ち着きのない注意欠陥多動性障害(ADHD)が知られるようになった。特徴が人それぞれで、幅広いため理解されにくい。
 コミュニケーションが重視される社会では、この障害の人が周囲になじめなかったりトラブルを起こしたりする例が目立ち、家庭や学校、企業で対応が問題になっている。
 障害の診断を受ける人は、日本など先進国で増加。米国の最新調査では自閉症の子どもが10年間で78%増え、88人に1人の割合になった。国内では、10年前に文部科学省が疑いがある子も含めた児童生徒が6%に上ると推計。クラスに1~2人はいるとされる。
 幼少期から親子で意思疎通ができない、こだわりが強いなどの特徴が出て、子育てに不安を持つ親も多い。学校では、落ち着きがない言動で授業の進行が妨げられるという例も聞かれる。対応の失敗がいじめや不登校、虐待の要因になると指摘する専門家もいる。
 知的な遅れがないため、大人になり就職してから障害と分かるケースも少なくない。職場では上司の指示が正しく伝わらずミスを繰り返したり、人間関係に悩んだりして辞めてしまう人も。鬱(うつ)など心の病や自殺に追い込まれる深刻な例もある。
 厚生労働省は昨年、全国に約70万人いるとされるひきこもりの3割弱になんらかの発達障害があると推計。早期の対応や環境で状況が改善することから、社会の理解が求められている。

障害者雇用率2%へ引き上げ 中日新聞2012年5月17日

 厚生労働省は17日、民間企業に義務付けている障害者の雇用率を現在の1・8%から2・0%に引き上げる方針を固めた。来年度から実施する。従業員に占める障害者の割合を示す雇用率を上げるのは15年ぶり。障害者の就職意欲が高まっていることを受け、企業に高い雇用率を課すことにした。
 国や地方自治体は2・1%から2・3%、都道府県の教育委員会は2・0%から2・2%にそれぞれ引き上げる。
 地域での就労支援や職場のバリアフリー化が進み、仕事を求める障害者は急増。ハローワークを通じた障害者の就職件数は2011年度、前年度比12・2%増の約6万件と過去最高を更新した。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012051701001693.html

 また、2010年7月の改正障害者雇用促進法で従業員の1・8%以上の障害者を雇うよう、企業に義務づけた法定雇用率の計算に、新たに短時間労働者が対象に加わった結果それなりの結果は出ているが雇用率を優先するあまり非正規雇用が目立っているのが現状だ。
 今回の改訂でどう改善されるかを私は見守るつもりだが、当然発達障がい当事者ゆえに他人事とも思わないので行動しながらその現実を見ていこうと思う。障がい者雇用支援月間だけでは雇用支援とは言えず、企業への徹底的なノルマと積極的な企業への税制待遇(ただし、非正規雇用労働者も含めて希望者全員を正規雇用化することも条件で加え、サービスも含めた残業をなくすことが必須)があってはじめてこの種の問題は誰もが納得するかたちで解決するのである。
 そのためにはこの問題を月間でとどまらせてはいけない。私たちにとっては切り離せない影のようなものなのである。



2013年01月31日
書評 2013年1月
 今回の書評は5冊になる。
 まず、男と女の感覚の違いを指摘した著作として「話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く」アラン・ピーズ/バーバラ・ピーズ (著),藤井 留美 (翻訳)を取り上げる。「「男と女の謎」を解き明かし、日本で200万部、全世界で600万部、42カ国でNo.1となった超ベストセラー待望の文庫化。最新データが入った改訂増補版。なぜ男は一度に一つのことしかできないのか、なぜ女は方向音痴なのか、なぜ女はよくしゃべるのか、なぜ男は一人っきりになりたがるのか…。誰もが納得する男と女の行動の違いについて最新の情報を加えて紹介する」という売り込みで、心理テストもついている。
 この著作にはバランスかとれていると感じるのは著者同士が夫婦であることだと思う。お互いの考えの違いを把握しながらも尊重しようという姿勢が必要なのは言うまでもない。
 「ビジネスマンの精神科」岩波明(著)は「「心の病」の症例と治療法。うつ病・うつ状態、パニック障害、神経症のケーススタディから、職場環境の改善まで、すぐに役立つガイド」ということでとりあえず対応するにはいいのかなという本である。だが読み方に気を付けてほしい。間違えてしまえば取り返しのつかない結果を招きかねない懸念を持っている。うつ病と双極性うつ病は性質は似ているが実態は異なるのだ。
 「サラリーマン、これは犯罪になる!?―あなたの身を守るケーススタディー44」山之内三紀子(著)は現役弁護士として活躍している著者の「真っサラの領収書にニンマリ、会社の備品をちょいと失敬、お愛想のつもりの軽いひと言…。「この程度なら」と思っているアナタは、すでに犯罪者予備軍。」という触れ込み分にあるような警告文である。
 一部、虚偽告訴罪や恐喝罪で詰めが甘い印象がある。たとえばライバルの悪口を仲間内で言った場合名誉棄損罪に値するかという項目だが、著者は当たるとしているのに対して私は当たらないと考える。この場合言われた方は内容証明により発言者に謝罪を強要した。この場合立派な恐喝罪が成立する可能性が高い。むろん悪口を言った方も悪いが言われた方も対応を完全に間違った。
 「 日本企業がなぜ中国に敗れるのか」莫 邦富 (著)は「新たな「世界の工場」として「モノづくり」でも日本を圧倒し始めた中国。 「世界の工場」として台頭する中国--。その強さの秘密は、安価な労働力だけではない。中国製造業の中心を担うIT・電機産業は、製品の品質の高さ、消費者の要望を巧みに汲み上げるマーケッティング力と商品開発力、さらには、日本企業を遙かに凌ぐサービスを提供することで、まず、中国国内市場で日本を初めとする外国企業を圧倒。次いで米国など海外市場へ進出、さらに、日本への進出も始まろうとしている。特に注目すべきは、中国電機産業の提供するサービスの水準の高さだ。年中無休、24時間以内にエアコン設置。ユーザーからのクレームは5日目にはCEOにまで伝わるシステムで迅速解決等、その至れり尽くせりぶりには、驚かされるばかりだ。さらに、中国企業急成長の背景には部下が上司を容赦なく採点し、その評価表が貼り出されるなど、斬新な労務管理の存在がある。また、中国IT産業の実権を握る20代30代の若手起業家の実像に迫るなど、中国人ジャーナリストだからこそ知りえた、中国企業の強さの秘密を余すところなく提供。経済・産業大国化する中国にどう対抗していけばいいのか? すべての日本のビジネスマン必読の書。 」 と出版社サイドが言うほど今の中国企業を分析している。
 中国政府の経済担当幹部の一人は「外国企業が中国に進出して成功したいと思うなら、経営トップは中国の文化に理解のある人を指名することです。そして、その経営トップに意見できる、ときには箴言もできる中国人の幹部を補佐役につけること。これが中国でのビジネスを成功に導く基本中の基本」と著者に語っている。だが、日本の企業はほとんど従わなかった。いっそのことではあるが著者に週刊新潮の編集長に就任してもらったらいかがであろうか。
 武田鉄矢がとんでもない暴言を韓国に対して放ったが、「 恨(ハン)の韓国史―六つの古都の歴史案内 」麗 羅 (著)は「本書は、日本人に史跡を通じて韓民族の歴史のあらましを理解してもらうために書いたものである。取り上げる場所はソウル、江華、済州、扶余、慶州、釜山の6か所と最小限にしぼり、史跡も著者なりの判断で選定した」だけあって極めてシンプルにわかりやすい歴史本となっている。
 彼(1924年12月20日 - 2001年8月4日)は、日本の小説家であり、「1943年に日本陸軍に特別志願兵として入隊。戦後は故郷で教師を務めるが、1947年に再来日。1950年から国連軍に入り、朝鮮戦争に従軍。その後は不動産業などを営む」など人生経験も豊富だった。もし彼が武田の暴言を聞いたらあきれること間違いなしだ。

 今回の書評はこの5冊である。
 皆さんも心に染み入る本をどんどん見つけて読みといたほうがいい。

2011年12月25日
家族論
 今回の人生論は家族について取り上げる。
 今の時代は個々人の人格を尊重する時代である。それゆえに私はサザエさんやドラえもんが苦手である(ちびまる子ちゃんやクレヨンしんちゃんも)。その傾向に過ちがないと確信したのが、橋田寿賀子が脚本した「渡る世間は鬼ばかり」シリーズである。
 このドラマは典型的な家庭ドラマなのだが、実に腹立たしいスペシャルがあった。聞いて欲しい。パート2・第25回のスペシャルで登場した東山紀之が扮したのは大きな会社の社長の息子だが、画家を希望しており会社を継ぎたくなかった。そこで記憶喪失を装って入院していたが登場人物の一人に御画家としての腕を歪曲的にけなされた上、父親が強引に連れ戻して会社の経営者にさせられたというものだ。
 はっきり言って、私はこの設定に大きな怒りを覚えた。人の人生をおもちゃのように扱う橋田の傲慢さに、「己は一体何者や」と一喝したい。橋田が脚本したおしんの奉公地に設定された山形県酒田市の出身である評論家の佐高信氏は、「酒田周辺では、おしんよりもっと苦難を強いられた女性がたくさんいる」として、作品に批判的である。「努力と根性を金科玉条に、社会がまるで見えていない」とまで論破されて橋田は何も言えなかった。
 言葉の重さを全くわきまえないという意味ではさくらももこも同罪だ。離婚した旦那に離婚の原因をすべてなすりつけて逃げている。しかも、息子を画家として親ばかデビューさせた。公私混同も甚だしいではないか。さくらについては私は以前名指しで批判した(近々再掲載するが、強化バージョンになる)。

仮想家族(小野哲)
テーマ:ブログ
2007-06-12 08:11:09
最近、「レンタルお姉さん」が出てきた。要するにひきこもりの話相手をやろうというわけだが何も否定的ではない。
むしろ、そうしたものに依存度を高める社会に問題がある。今までの社会は会社人間(社畜)ばかりが横行していた。会社が家族と勘違いしているから「会社は自分を守っている」と独りよがりの勘違いだ。その結果が会社退職後の不完全燃焼ぶり。何だろうか。
結果、自分を守るのは自分だけと過剰な自己チューが流行る。社会の歪みが招いたツケではないか。

 家庭機能はなぜ壊れてきたのか。
 私は経済優先社会にその原因があると思う。それを厳しく突かないばかりか、家庭の機能ばかりを強化しようと強調するのはまったくもって問題を本当に解決しようという意志があるのかと聞きたくなる。これもまた、一種の精神論である。
 橋田は過労死や過労自殺について一度深く取材し、佐高氏の協力を得てドラマを作ったらどうか。そこで企業の風通しの悪さに愕然とするだろうが、そこから見えてくる現実をまっすぐ見つめ、本当の家族像とは何かを問いかけて欲しい。あの土浦市の連続殺傷事件の金川真大死刑囚の実態も取り上げてくると、家庭機能が社会から崩壊していることが見えてくる。
 また、引きこもりについても真正面から見据えるべきだったのだ。あまりにも、橋田の価値観ばかりが盛り込まれており、考えるだけの中身がなかった。「未来戦隊タイムレンジャー」の脚本を務めた小林靖子氏の弱さを踏まえながらも理想に向かって突き進む浅見竜也の強さを橋田は描けただろうか。私には疑問しか残らない。

2011年12月25日
みにくいアヒルの子
 今回は水橋文美江著「みにくいアヒルの子」を取り上げる。
 「先生、大人になっても、いじめられるの」いじめ、登校拒否、両親の離婚、初恋…。先生と生徒のかかわりを通して「本気で人と付き合うこと」を突きつめた問題作で、フジテレビにてドラマ化された。
 「ほんとに強い人間っていうのは、どういう人間か、もっかいよく考えとけ、先生からの宿題だ。この世に生まれた人間は、みんな一番星を持ってんだ。お前にだって、一番星はあるんだぞ」
 この言葉を、浅田真央選手に今は捧げたい。御母堂が亡くなられてかなり精神的に無理をしていると思う。周囲も質問規制を行うなどピリピリしている。この言葉を語ったのは主人公の平泉玩助(岸谷五朗が扮した)である。水橋は岸谷をイメージしてこの人物を作ったという。
 平泉も大きな挫折を持っている。それはこの小説の冒頭で明らかになる。転校した教え子の自殺だ。自殺を見抜けなかった彼は自分を責め、「おいらが助けられなかった」という自責の念に苦しんでいる。この小説はいわばその自責の念とどう向き合い、乗り越えていくかを描いている。
 惜しむべきは、この書籍が絶版されていることだ。PDF有料小説で構わないので復活願いたい。
  
 http://www.amazon.co.jp/%E3%81%BF%E3%81%AB%E3%81%8F%E3%81%84%E3%82%A2%E3%83%92%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%AD%90-%E6%B0%B4%E6%A9%8B-%E6%96%87%E7%BE%8E%E6%B1%9F/dp/4877281134


2011年12月25日
しがみつかない生き方
 今回の書評は香山リカの「しがみつかない生き方」を選ばせていただく。
 以前、私は勝間和代を批判した。勝間については佐高信氏も「上から目線」と指摘していたが香山氏も同じ指摘をしているわけだ。勝間が軍歌なら、香山氏はスマップの「世界に一つだけの花」を歌っているに過ぎない。だが、あくまでもそれらはひとつの観念に過ぎない。
 「平凡で穏やかに暮らせる「ふつうの幸せ」こそ最大の幸福だと、今、人々はやっと気がついた。雇用、医療、介護など社会のセーフティネットは重要だけれど、自分の外に求めるだけでは、人生はいつまでも満たされない。「ふつうの幸せ」を手に入れるには、「私が私が」という自慢競争をやめること。お金、恋愛、子どもにしがみつかないこと。物事の曖昧さ、ムダ、非効率を楽しむこと。そして他人の弱さを受け入れること―脱ひとり勝ち時代の生き方のルールを精神科医が提案」という触れ込みだ。
 だが、それらには確たる己を確立していなければならない。それらの場所が学校時代の読書なのだと私は思っている。図書館教育の重要さはこの時代だからこそなおさらなのである。また、私はハラスメントを防ぐことも重要だと思うし、発達障がい対策も待ったなしだと思っている。小さい頃の対応次第で、発達障がいは悪化することはない。
 例えば光市の母子暴行致死事件では、被疑者の少年が実の父親から虐待を受けていた事実が明らかになった。だがそれらが判決に反映されるべきなのに不当に反映されることなく国際法違反の死刑判決が垂れ流された。それで本当にいいのだろうか。私自身は大きな疑問を覚えている。この本でも一つ一つの違いを認めるよう言っているのだからだ。
 一つの価値観に振り回される前に、多くの価値観を知ることだ。その中で一つの基準は事実である。その事実が思想という価値観を固めていくにすぎない。

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%97%E3%81%8C%E3%81%BF%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%96%B9%E2%80%95%E3%80%8C%E3%81%B5%E3%81%A4%E3%81%86%E3%81%AE%E5%B9%B8%E3%81%9B%E3%80%8D%E3%82%92%E6%89%8B%E3%81%AB%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%82%8B10%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB-%E5%B9%BB%E5%86%AC%E8%88%8E%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E9%A6%99%E5%B1%B1-%E3%83%AA%E3%82%AB/dp/4344981324

2011年12月30日
「少年A」この子を生んで…
 神戸連続児童殺傷事件の被告人の父母の手記「「少年A」この子を生んで…」を今回の書評にしたい。
 ちなみに両者は子供たちを守るためにやむなく離婚を選んでいる。この事件については様々な憶測が飛びかい、被害者や加害者関係者を苦しめることになった。しかも、一番情報に慎重であるべきメディアがとんでもないことをしでかした。
 当時フォーカスを発行していた新潮社が無断で加害者の写真と実名を公表したのである。私はこのことに今でも腹がたっており、新潮社については新書不買を宣言していたが、この前落合恵子氏への誹謗中傷があったために著作権保護のターゲットから外す制裁を行うことにした。
 また、私は被害者遺族にも苦言を呈する。子供を失った痛みはわかるが、感情で被告人に迫ればそれこそ被告人のやったことと同等の行為を己の手でしていることになる。それでいいのだろうか。被告人の家族は出来る限りの範囲でこの手記を出したのであり、それを冒涜する行為はあってはならない。被害者遺族にも意見を述べる機会があるならば被告人の家族にも意見を述べ反論を駆使する権利はあって当然なのである。
 アマゾンでは感情的な感想ばかりが目立ったが、私はあえて反論する。言葉には責任が伴う。たかがブログだと思って悪口を書いたら管理人の女子高生が自殺したという事件があったが、それほど重いものである。むしろ、その批判の眼差しを船場吉兆の無責任経営者共にぶつけるべきだったのである。それすら認識できないなら、ハラスメント(精神的暴力)を自ら犯していることになる。そうした社会では個人への介入が正当化されてしまう。それではハラスメントの闇は永遠に断てない。
 それとも、この世の中は狂気そのもので、我々は武装することを許されているとでも言うのだろうか。それでは物騒な時代である。そうした社会だから、外国人の日本国籍を未だに「帰化」と植物扱いするような言い方をするのだろう。それでは、感激するのはあのアドレフ・ヒトラーだけになってしまう。私はそんな世の中にはこれからも公平と公正の立場からNo!と言い続ける。

http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%B0%91%E5%B9%B4A%E3%80%8D%E3%81%93%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%82%92%E7%94%9F%E3%82%93%E3%81%A7%E2%80%A6%E2%80%A6%E2%80%95%E7%88%B6%E3%81%A8%E6%AF%8D%E6%82%94%E6%81%A8%E3%81%AE%E6%89%8B%E8%A8%98-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%80%8C%E5%B0%91%E5%B9%B4A%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%88%B6%E6%AF%8D/dp/4167656094


2012年04月03日
EQ こころの知能指数
 今回取り上げる書評は「EQ こころの知能指数」ダニエル・ゴールマン (著), 土屋 京子 (翻訳) である。
 「社会で成功するためにはIQではなく、EQだ!!
人の真の能力はIQではわからない。人生で成功するために必要なのはEQだ──教育、家庭、仕事の常識を覆して日本人の価値観を変えた大ベストセラー!!

人の能力はIQでは測れない。人生に成功するかどうかを決めるのはEQ(こころの知能指数)だ。心理学博士ゴールマンの提唱した「EQ」はまたたく間に全世界に広がり、各国で大ベストセラーになった。IQ偏重で歪んだ社会の病理をあばき出し、本当の頭のよさとは何かをわかりやすく説く現代人必読の名著。」

 この売れこみ文句で当時売れたのだろうが、私がこの本を推薦するのには最近の犯罪を説明するに一番適していると考えたからだ。
 「キレる」ということを「情動のハイジャック」としたこの指摘なら、犯罪者の精神分析を行うのに一番わかりやすい。また、著者は「マシュマロ・テスト」を行っている。四歳の子どもに対して次のように言う。
「ちょっとお使いに行ってくるからね。おじさんが戻ってくるまで待っていてくれたら、ご褒美にマシュマロを二つあげる。でも、それまで待てなかったら、ここにあるマシュマロ一つだけだよ。そのかわり、今すぐ食べてもいいけどね。」
 十数年後の追跡調査の結果
①がまんして、マシュマロを二つもらった子供
高い社会性を身につけており、学業も優秀。
②すぐ食べてしまった子供
心理的に問題が多く、非行に走る確率が高い。

 無論、これらは環境次第で改善されていくのだがそうじゃなかったのがあの山口県光市の母子暴行致死事件の被告人だった。彼は父親から暴行を受け自殺した母親の死体を目の前で見たりするなど、完全に発達障がい当事者そのものだった。最低裁判所はそのことを無視して国際法違反の死刑判決を垂れ流したが、被害者の心を被告人と一緒になって引き裂いたのであり最悪の行為だ。
 また、この本を読んでもらいたいのは本村洋である。己のやった行為が重大で罪深いことなのをじっくりかみ締め、非科学的で情けない自分を改める一歩にしてもらいたい。もし、本村が私の指摘を無視するのなら本村も被害者を一緒になって傷つけていることを意味する。
 裁判に必要なのは被害者感情ではなく、国際法に基づく冷静さと科学に基づく理だけである。そこから、事件の再発防止を導き出し、被告人に更生の道を示すことが裁判の基本的な要素だが、被害者感情だけでは裁判は不成立なのである。その結果は歪んだプロ市民にとって有利な裁判になってしまう。福島県の県立大野病院医療過誤事件の加藤克彦被告がどう考えても有罪なのにもかかわらずありとあらゆる呆れた言い逃れを重ねて無罪で逃げたが、加藤は未だに罪の意識がない。このことについては以前このコラムで批判した。
 弁護士や社長、医師など、社会的な地位を背負った人物にはそれ相当の責任が伴ってくる。無論、それなりの権利も生じるのだが、そこには責任も背中合わせだ。それがリスクプレミアム((Risk premium)金融商品において、リスクに対して支払われる対価であるが私はこの場で社会的な地位に立ち、それなりの権限を持ったものが担うべき責任に対して支払うべき代価として用いている)なのである。
 本村のやったことはプロ市民を喜ばせただけであり、きわめて罪深いことでしかない。


2012年07月01日
平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学
 今回の書評は「平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学」である。
 M.スコット ペック氏は医学博士を取得後に精神科医になった。その経験からこの本は人の心理の危うさを厳しく描いている。私が今まで出会ってきた人間で明らかに邪悪性の強い輩がいたがこの本でも同じような指摘がある。

 どんな町にも住んでいる、ごく普通の人。
 自分には欠点がないと思い込んでいる。
 罪悪感や自責の念に耐える事を絶対的に拒否する。
 他者をスケープゴートにして、責任を転嫁する。
 対面や世間体のためには人並み以上に努力する。
 他人に前任だと思われる事を強く望む。

 そう、私に加害を加えたハラッサーそのものである。
 このハラッサーで有名なのはハシゲである。集団犯罪とナルシズム、共依存とゆがみの原因はドンと揃っている。犯罪への嫌悪感を表明する前に私たちがすべきは犯罪の根底にある歪みを正すことではないのか。それがないから、凶悪犯罪は後から後から増えるのだ。


2012年10月12日
なぜ、こうなったのかを問いかけよう
【社会】

長女暴行死容疑で母親逮捕 09年に広島県へ虐待通告
2012年10月1日 22時30分
 1日午後2時ごろ、広島県東広島市高屋町中島の交番に「娘の様子がおかしい」と母親が届け出た。車の助手席で長女(11)がぐったりしているのが見つかり、病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。
 母親が「娘を殴ったりした」と話したため、広島県警は傷害致死の疑いで、広島県内、母親の無職A容疑者(20代後半)を逮捕した。
 広島県こども家庭課によると、長女について2009年2月、東広島市から県の「西部こども家庭センター」に当時親子が住んでいた広島・東広島市で、近隣の住民から「顔にあざがある」と虐待の通告があり、長女は翌月に児童養護施設に入所したが、その後、面会などを繰り返し、親子関係が良好になったとして、10年12月から親子2人で暮らし、11年3月に入所措置が解除された。
(共同・中日新聞社)

【社会】
逮捕の母、祖母と一緒に虐待も 広島の長女暴行死
2012年10月2日 11時50分
 広島県内の自宅で、長女(11)を暴行して死亡させたとして傷害致死容疑で逮捕された母親の無職A容疑者(20代後半)が2009年2月、自分の母親と一緒に虐待していた疑いがあることが2日、広島県への取材で分かった。
 県は、長女が通う同県東広島市の小学校から「長女の顔にあざがある」との情報を受けて調査。長女は「母親に顔や腹部を殴られ、祖母にほうきでたたかれた」と答えた。
 県は2001年10月、生後3か月の長女を「両親乗り込んで養育困難」を理由に一時保護。乳児院や児童養護施設に入所させ、06年3月にA容疑者が引き取りを希望したため、祖母の養育を条件に児童養護施設の退所を認めた。
(共同・中日新聞社)

 なんともやるせない暴行事件の疑いである。
 最初に亡くなられた長女に哀悼の意を表明したい。先週の運動会でも放送係を務めるなど、明るく活発な児童だったという彼女がこのような結末を遂げたことに対して残念で仕方がない。
 報道各社によるとA容疑者は暴行の事実を認めているというが起訴・裁判と一定の法の手続きで行く末が決まった段階でコメントしたい。問題はそれ以前のことだ。A容疑者の結婚生活になんだかの暴力は存在していたのかいなかったかだ。このことは報道がされていないのでここで語るべきではないが、もし暴力が存在していたもしくは子供が出来ちゃった婚とすれば、明らかに問題はある。容疑者は10代後半で長女を生んでいたことになるわけだ。
 この種のケアにはきちんとした精神科医とカウンセラーが綿密に協力して支援する必要がある。また、改善が無理と判断すれば親権を永久に没収して誰も知らない第三者の下で育てる知恵もある。それには親自身の精神科医によるカウンセリングは不可欠だ。この記事を参照願いたい。


木村 加代
幼少時の体罰が『ヤク中』や『アル中』になるリスクを高めることが研究で明らかに
公開日時:2012年07月03日 14時21分 更新日時:2012年07月03日 14時21分
社会
体罰, 調査 IRORIOより
 しつけで平手打ちなどの体罰を受けた子供は大人になってから情緒不安定のために、薬物乱用やアルコール依存などに傾倒してしまうような精神障害のリスクが高まるということが新しい研究で明らかになった。
 幼少時の暴力や性的虐待、親の育児放棄などが子供の精神的な疾病と関連があるということはこれまでによく研究されているが、虐待ではない体罰と様々な精神障害とを関連付けたのは今回の研究が初めてである。
 カナダ、マニトバ大学の疫学助教授トレイシー・アフィフィによると「体罰を受けたことのある人は精神障害のリスクを高める可能性がある。この研究では精神障害の約2%から7%は幼少時の体罰に関係があるという結果が出た」とのことだ。
「体罰を行うという親の権利は北欧を始めとして、日本やヨーロッパなど30か国以上の国々で廃止されているが、アメリカの一部の州とカナダでは認められている。」そう語るのは国連でも承認されている子供の体罰全面廃止を唱える国際的団体だ。
 アフィフィ助教授は研究で、35000人の成人アメリカ人を対象にアンケート調査を行い、約1300人が幼少時に体罰を受けた経験があると答えた。報告によると時々、もしくはかなり頻繁に親や同居している大人から押されたり、強くつかまれたり、平手打ちをされたりという体罰の経験があった。
 同氏は「私達は研究データに自信を持っています。そしてこのデータは体罰をいくつの子供であっても、行うべきではないということを強く示しています。そして親がこのことを正しく知っていることが重要です」と語る。
 30年前の日本では学校での体罰も日常的であったが、今や学校での体罰も親による体罰も禁止されている。忍耐を必要とされる育児において、体罰の是非は今でも賛否両論ある問題ですが、あなたはどう思いますか。

出典元:Study links physical punishment to later mental disorders - USA TODAY(7/3)
http://irorio.jp/kayokimura/20120703/16249/

 私は男性であり、ひとりの発達障がい当事者でもある。
 発達障がい当事者とのあいだに生まれた子供の大半は統計によると自閉症などの形になって遺伝する可能性もあるわけだ。よって安易な気持ちで異性を抱くことは許されないことだと私は考えている。その結果に対して責任を取ることもまた同時に求められているのだ。
 そうしたことを私は多くの書籍などで実感してきた。分娩の動画をyoutubeで見たりするうちに「無責任な気持ちで異性を抱きたくない」と思うようになった。A容疑者はおそらく冒険のつもりで異性を抱いたのだろう。それではいけない。様々な要素が重なって発達障がいが起きるわけだが、少なくともその原因は一つでも減らしておきたいというのが人情だ。
 この事件のもうひとつの側面は性教育がお粗末だったということもある。なにも性交するところを見せろとまでは言わないが、性器を写真で見せて包み隠さない教育は小学校の段階からする必要はある。このやり方はもう一つ、児童ポルノの保有に関して規制をかける近道になる。つまり、きちんとした教育を行うことで保有することへの罪悪感を大人に持たせることになる。
 この事件の全体像を見れば、児童虐待被害をA容疑者自身が受けていた疑いも否めないと私は見ている。大阪市で起きた2幼児放置死事件でも被告人がネグレスト被害を受けていたことが明らかになっている。幼少期に受けた虐待などの影響で心神喪失か心神耗弱の状態にあったことで刑の軽減を被告側弁護人は求めているが、私は基本的に否定的という見解を最初に示した上で被告人の心の闇と向かい合う必要はあるとみている。 


2012年12月13日
弱い日本の強がる男たち
 今回も宮本政於氏の精神分析本を取り上げる。
 故人となられてもう13年になられるのだが、宮本氏の指摘は今でも新鮮さを感じる、私自身が発達障がいと知った今なら尚更その輝きを増している。「弱い日本の強がる男たち」を今回は取り上げる。

 役所における「なんとなくみんなで集まり、仕事場で酒盛りがはじまる」雰囲気とか「みんな同じでありましょう」という考えは、錯覚を共有させるための儀式である。さらに、集団としての最大公約数となる会話にどっぷり浸かるということは、「みんな同じ」でありたいという集団ヒステリー的症状から抜け出させないための手法でもあるのだ。
 この「なんとなくみんなで集まり、仕事場で酒盛りがはじまる」雰囲気が、定時に退庁することを著しくむずかしくしている原因である。帰りたいと思っている人も、こうした無言の圧力がのしかかってくると、なかなか行動できなくなってしまうのだ。そこで、無言の圧力を言葉に表現してみよう。
 「オレたちは何も好き好んで残って、つまらない話にあいづちを打っているのではない。まわりが自己犠牲の態度を示すのはよいことだ、そう言っているから、どうでもいいような話につき合っているのだ。
 だれもこんなつまらない会話につき合いたいと思うわけがない。早く帰ったほうがよいに決まっている。でもそこを我慢することで集団としての一枚岩とすることができる。それが、お前は我慢の一つもしないで、早く帰ってしまう。自分勝手もはなはだしい。自分の時間を満喫しようとするなんて、けしからん」
 これが日本的集団主義の真髄なのだ。でも集団にどっぷり浸かっていると、集団主義の問題点を見ることはできない。いや問題点が見られないように、全員を錯覚の世界に引きずり込むのだ。

 更に具体例がある。
 ここでは日本人を中心に取り上げているのだが日米カップル、駐在員の家族など、様々なケースを取り上げている。この本についても出来るだけ購入をお薦めしたい。