2019年8月17日土曜日

アビスパ福岡の真の再生とは、挫折を受け入れることから始まる

2019.7/22(月) 6:37配信 webスポルティーバ
どうしたアビスパ福岡。 J1昇格候補がまさかのJ3降格危機に直面

 2016年シーズンにはJ1で戦っていたアビスパ福岡が、わずか3年で状況が一転、J3降格の危機に立たされている。
 J2第23節、福岡はアウェーでジェフ千葉と対戦し、0-3で敗れた。前節、町田ゼルビアに2-0で勝利し、ひとまずJ3降格圏(21位以下)から脱出したのも束の間、今節の敗戦で再び21位へ転落した。
 どうにも波に乗れず、浮上のきっかけをつかめない――。この日の千葉戦は、そんな今シーズンを象徴するかのような試合だった。
 前節終了時点での順位は、福岡の19位に対し、千葉が17位。相手の千葉もまた、お世辞にも調子がいいとは言えない状態にあり、福岡がひとつずつ順位を上げていこうと思えば、アウェーとはいえ、確実に叩いておきたい相手だった。
 実際、両チームの間に、それほど力の差があったとは思えない。立ち上がりから千葉がボールを保持し、福岡が守りに回る時間が長かったのは確かだが、千葉の攻撃にそれほど怖さはなかった。言い方は悪いが、順位が示すとおりの力関係に見えた。
 もちろん、福岡に問題がなかったわけではない。今季途中からファビオ・ペッキア前監督に代わって指揮を執る、久藤清一監督が「ビルドアップのところはもっとやっていかないと」と話したように、攻撃の組み立てでは、効果的でなかったばかりか、ミスも目立った。
 また、守備の面では、「チームとして(ボールを)奪いにいくところをチャレンジしたかったが、もう少しやっていかないといけない」(久藤監督)のも確かだろう。実質5バックで後ろを固め、入ってくるボールを止めるだけでは限界がある。
 だとしても、だ。試合内容に比して、0-3というスコアが妥当だったかは疑わしい。DF實藤友紀が語る。
「それだけで片づけてはいけないが、(長いシーズンを戦うなかで)流れというのはある。流れが悪いときは、『こんなシュートが入ってしまうのか』ということもあるし。今は流れがよくないなかで、粘り強く戦わないといけない」
 チームがなかなか勝てないときというのは、得てしてこういうものなのかもしれないが、實藤が言うように、今の福岡からは、流れやリズムといったものの悪さを感じずにはいられない。
 たとえば、前半11分の1失点目は、(福岡から見て)右サイドからゴール前に入ってきたFKを、GKセランテスが前に出て処理しようとするも頭を越され、直接のゴールインを許したもの。その後、セランテスが再三のスーパーセーブで追加点を防いでいたことを考えれば、ここでそんなイージーミスが出るのかと目を疑いたくなるような、まさかの先制点献上だった。
 その一方で、前半22分に福岡が迎えた決定機では、ゴールポストに当たったはね返りのボールを、ほとんど無人のゴールへ押し込むだけでよかったにもかかわらず、ボールに向かったFW木戸皓貴とMF松田力の動きが重なる不運。その結果、松田よりも悪い体勢だった木戸がシュートを放つことになり、ボールは無情にもクロスバーをヒットした。
 實藤が続ける。
「今季は一回も連勝していない。前節の町田戦は、(序盤は劣勢で)悪い流れで試合に入ったけど、勝つことができた。でも、それが続かない。チームの空気が悪いわけではないが、結果を見ると勝てていない」
 そして、福岡で4年目のシーズンを迎えた30歳は、悲壮な覚悟を口にする。
「いい流れを自分たちで強引にでも持ってこないといけない。この結果を簡単に流していたら、降格する可能性もある。まずは、しっかりと(失点を)ゼロで抑えること。流れはそういうところからできてくると思う」
 時計の針を今季開幕前まで戻せば、福岡はJ1昇格候補のひとつと見られていた。
 2015年にJ2で3位となり、プレーオフを勝ち上がってJ1昇格。わずか1シーズンでJ2へ逆戻りとなってしまったが、昨季のJ2でも7位。最後の最後でプレーオフ進出圏内(3~6位)からこぼれ落ちたものの、シーズンを通して昇格争いに加わり続けた。それを考えれば、開幕前の評価は当然のものであり、これほどの苦境に陥ることを想像するのは難しかった。
 結果論を承知で言えば、堅守をベースとしたサッカーに限界を感じ、より主体的にゲームを進めるスタイルへと転換を図るとき、チームの成績が大きく低下することは、起こりがちなことではある。今季の福岡に起きているのは、まさにそれだ。現在の苦境は、チームがステップアップするための通過儀礼と言えなくもない。
 だが、この状況で大事なのは、何を最優先の目標とするのか――スタイルの転換なのか、J2残留なのか、である。千葉戦を見ている限り、しっかりとボールをつないで攻撃を組み立てるスタイルへの転換はあきらめたくないが、失点はしたくないので後ろの人数は増やそうとする、何とも中途半端な戦い方に見えた。
 状況が状況だけに迷いが出るのは仕方がない。だが、事態の好転は見られないまま、長いシーズンもすでに折り返し地点を過ぎているのである。
「(何かを変えるより)続けることが大事」
 危機的状況のチームを託された指揮官はそう語るが、悪い流れを変えるには、割り切るべきところは割り切る必要もあるのではないだろうか。
浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 アビスパ福岡の真の再生とはなにか。
 端的に言えば、挫折を認めることから始めるしかない。まず、ライバルを減らすことからはじめねばならない。サガン鳥栖に52%出資してもらい、J3に自主降格して、サガン鳥栖のセカンドチームとしてのみ存続することが経営再建のキーポイントになる。
 鳥栖傘下で若手高校・大学生と無名アマチュアの登竜門として生き残るしか存続の道はない。鳥栖からの出資は最終的には55%までとし、スポンサーを共有化するべきだろう。
 アマチュア選手を全体の70%にし、セカンドライフも配慮する必要がある。九州各地域にJリーグもしくはJリーグを目指すチームがある以上、今のままでは会社更生法申請は不可避である。ましてや福岡市の近くの北九州市はギラヴァンツ北九州がある。こうなれば、Jリーグ1部昇格は諦めるべきだ。
 アマチュア選手はJAからの派遣とし、農業に従事させるべきだ。鳥栖からの選手は20%、外国人選手への出資は年間人件費予算10%以内に抑えるべきだろう。ここまで具体的に数値を明確にして絞るべきものは絞らねばならない。
 また、福岡はトルコ1部・ベシクタシュおよびスペイン2部・マラガに若手有力選手を移籍させるべきだろう。そうすることで、福岡は欧州への入り口になるというイメージを生み出す。更にベシクタシュ及びマラガは経営があまり良くはなく、福岡にベテラン選手を譲渡することで経営面の再建を図る利点がある。
 また、JFLまでの支援という条件で、福岡市地域リーグからFC博多(仮称)の設立を行い、鳥栖から若手選手をレンタル移籍させるのは構わない。
 だが、フーリガンへの厳罰制裁は絶対に行うべきだ。ウルトラオブリもしくはその亜型集団の完全排除も絶対条件であることは言うまでもない。