2013年10月20日日曜日

地方百貨店を考える 宮崎・橘の場合

地方百貨店を考える~宮崎の場合~(小野哲)
テーマ:地方百貨店シリーズ
2010-05-12 07:57:58





 今回、添付した画像は宮崎県宮崎市にある地方百貨店・橘の昔のロゴマークである。
  現在、橘はボンベルタ橘という名前で存続している。そして一時期イオンの子会社だったが、何故イオンから独立したのかはこれから話す。橘は1952年宮崎 県の財界人が音頭をとって立ち上げた百貨店である。Wikipediaではその当時はかなり栄えていたようだ。鹿児島県の山形屋と互角に渡り合っていたそ うで、橘は支店も構えていたそうだ。
 しかし、詐欺事件に巻き込まれた上に、ダイエー・ユニード、壽屋などの進出で売上低下を招いた。橘も手をこ まねくわけではなく、ニチイ(現マイカル)の支援を受けていたそうだ。それでも駄目で、1979年に会社更生法を申請し、倒産したのだ。管財人は翌年10 月にジャスコ(現イオン)の支援を受ける形で橘百貨店から店舗を借りて橘ジャスコとして一旦再出発し、百貨店から量販店で再建した。そのあと、1982年 に橘百貨店と橘ジャスコは合併、1988年に百貨店業態に戻した新店舗にして、ボンベルタ橘に店名を変更した。
 だが、百貨店業態は量販店と違 い、自転車操業のような形態である。壽屋の民事再生法申請によるジャスコの事実上の買収(新法人マックスバリュ九州による食品ストア部門・くらし館および ハロー買収とイオン九州による一部の大型店の経営引き継ぎ)に加え、ジャスコのショッピングモールが宮崎市に出来た事で事態は一変した。ボンベルタ橘は存 続すら怪しまれるほどになった。マイカルですらもイオン傘下になり、マイカル九州もイオン傘下になっていた(現在はイオン九州と合併)。
 そこで、橘をイオンは投資会社クワトロソリューションズに売却した。そのあと、地元企業が持ち株会社・橘ホールディングズを設立してクワトロソリューションズから買収し、現在に至るそうだ。
  今回、地方百貨店を取り上げるのには以前、千葉の奈良屋、田畑、扇屋を取り上げて調べたことがきっかけである。その時、イオンの会社の紹介本を見て考えた のは、地方百貨店が衰退しているのと、日本の経済が衰退しているのが同じ構造にあるのだということだ。これから取り上げる予定の地方百貨店はイオンに組み 込まれ、今や扇屋のようにその影も形もない残忍な結末を迎えているのもあり、秋田市の木内のように百貨店業態を廃業して衣料専門店として経営しているとこ ろもある、もしくは破産して消えているケースもある。今回、東京の国会図書館に行って調べた結果を、これからの掲載で示していこうとおもう。
橘百貨店の詐欺事件について(小野哲)
テーマ:ブログ
2010-08-29 08:54:07
 宮崎県大百科辞典(宮崎日日新聞社)より以前取り上げた橘百貨店の詐欺事件が載っていた。
 そこで、内容を掲載する。項目は『橘百貨店の多額詐欺事件』となっており、執筆者は大谷優氏である。大谷氏に感謝申し上げる。今回はその項目を元に経済についての共生主義を考えたい。あくまでもこれは一部の見解であってこれらは絶対的なものではない。

  全国的に暗躍していた手形パクリ屋の一味は、オイルショック等の影響を受け経営困難となっていた。そこで、資金繰りび窮した県内随一の地元資本であった株 式会社橘百貨店に、元代議士の手引きで食い込み、単独または共謀して1975年4月15日から同月24日までの間に、橘百貨店から手形割引あっせんと称 し、東京・静岡・山形・福岡等の数都県下において、橘百貨店引き受け為替手形47通、額面3億3500万円、東邦産業株式会社振り出し約束手形20通、額 面1億5000万円を詐取した。さらに同年4月1日から10月4日までの間、東京・神奈川・静岡・大阪の数都府県下の中小企業者6人から割引あっせんと称 し約束手形32通、小切手6通、額面1億4680万円を詐取した。そのほか、手形割引金や返却方を依頼された手形などを横領したり、サルベージを依頼され て回収した割引金を横領するなど、28件、被害総額7億9604万余円にのぼる詐欺、横領、恐喝などの事件が1975年10月4日から同年12月末までに 「橘百貨店被害
手形詐欺事件等捜査本部」において検挙された。この事件の犯行地は、東京都をはじめ12都府県下におよび、関係被疑者も17人の多 数であった。このうち、9人が逮捕された。この事件は、地元資本により設立され、県民に親しまれてきた百貨店の倒産ということで大きな反響を呼んだ。

 おそらく、今の経済情勢ならこの事件は再発するのは明らかだ。
 そうなると、これらが起きにくいようにする対策が必要だ。しかも、最低限の手直しかつ最大限の効果を産む対策でなければならない。そうなると、金融取引全般を見ないといけない。
  しかも、日本は減点社会というべき代物で、一度失敗したら徹底して叩きまくる歪みが残る(ただ、一部を批判するだけならまだしも、倖田來未が以前うっかり ミスで『羊水=腐った水』と無知な発言をしてネットで叩かれたケースは不当なバッシングであると私は考える)。だから、ベンチャー企業は生まれにくい。
  イオングループが傘下のイオンリテールにマイカル、イオンマルシェ(旧カルフールジャパン)を合併させて、店名もイオンに一本化するそうだ。だが、この ニュースは店舗の閉鎖もしくは業態変更(量販店からディスカウントストア)がどうなっているのかを伝えていない。松坂屋名古屋駅前店が閉店となったが、イ オンのショッピングセンターが名古屋市に7店舗以上あるのだから、まだまだ百貨店の閉店はありえる。コミュニティによる店舗再生ビジネスを立ち上げる必要 がある。
 コミュニティ経済の強化は共生主義にとっても大切な主軸である。地域通貨というアイデアは大いに賛成する。例えば学校の周辺の草刈りを 地域住民に呼び掛けてやってもらい、お礼にちょっとした地域通貨を報酬で払う。地域通貨は地元商店街でしか使えないようにする。そうすれば、地元商店街の 経済効果につながる。
 今回取り上げた橘百貨店はイオングループから現在は地元資本による持ち株会社傘下にある。コミュニティ経済の強化は日本の再生のキーワードである。