パナソニックに入社している社員は「松下七精神」を毎日調和しないといけない。
要するにこんな宗教じみた代物である。
一、産業報国の精神
産業報国は当社綱領に示す処にして 我等産業人たるものは本精神を第一義とせざるべからず
一、公明正大の精神
公明正大は人間処世の大本にして 如何に学識才能を有するも此の精神なきものは以て範とするに足らず
一、和親一致の精神
和親一致は既に当社信条に掲ぐる処 個々に如何なる優秀の人材を聚むるも 此の精神に欠くるあらば 所謂烏合の衆にして何等の力なし
一、力闘向上の精神
我等使命の達成には徹底的力闘こそ唯一の要諦にして 真の平和も向上も此の精神なくては贏ち得られざるべし
一、礼節謙譲の精神
人にして礼節を紊り謙譲の心なくんば社会の秩序は整わざるべし 正しき礼儀と謙譲の徳の存する処 社会を情操 的に美化せしめ 以て潤いある人生を現出し得るものなり
一、順応同化の精神
進歩発達は自然の摂理に順応同化するにあらざれば得難し 社会の大勢に即せず人為に偏する如きにては決して成功は望み得ざるべし
一、感謝報恩の精神
感謝報恩の念は吾人に無限の悦びと活力を与うるものにして此の念深き処如何なる艱難をも克服するを得 真の幸福を招来する根源となるものなり
それも最初に巻物を広げて「七精神」を唱和し、次に所感発表というスピーチをやって、最後に社歌を歌う。これが宗教だと言わずしてなんというのか。
弘兼はいわばその松下電器の出身である。そして家電はナショナルばかり揃え「俺はナリョナリストだ」だと笑えないアホをのたまわっていた。しかも、佐高信氏にばっさり批判されたことに腹を立てて猪瀬直樹と共犯で連載漫画の中で、佐高氏らしき評論家を登場させて、それをクソミソに罵倒するという、非常に姑息な、卑怯なことしかできない愚か者振りを発揮した。
では、「島耕作」シリーズの本質をズバリ言うなら、私は立身出世しか描いていないとしか思わない。要するに男主観のバラ色物語だ。しかも元祖極右首相の佐藤栄作の推薦状をもらって松下電器に入り、三年間勤めていた。マネシタ電器ならぬ松下電器の松下幸之助サマサマで来た。こんな男に自分を要求するのはナントカにモラルを求めるようなものだ。視野が狭くなるのも当然だ。
そんな弘兼を評論家の後藤和智は自身のブログで厳しく批判している。後藤は、弘兼が若年層の経済や労働環境の問題を考慮せず、ニート、フリーターの増加を精神の問題としてしかとらえていない点などを指摘し、「あからさまに若年層を堕落した存在としてしか捉えていない、レヴェルの低いものだ。」と述べ、「何かテキスト化された俗流若者論以上のことを語るべきである。」と批判している。
この批判に弘兼は沈黙を余儀なくされた。その後原発推進CMに出ていたことも暴かれ、完全に断罪された。私からも弘兼に「もういい加減にしてくれ」と言いたい。