「景気回復」は嘘? 消費増税不況で不景気深刻化
あなたはアベノミクスの好景気を実感していますか? もし答えが「いいえ」なら、それは決して少数派ではない。政府
の発表やメディアの報道とは違い、実際の統計数字を冷静に分析すれば「景気がいい」とは誰も言えないからだ。日本はいま、1997年の消費増税不況と同じ
道をたどりつつある。
橋本龍太郎元首相は、97年4月に消費税率を3%から5%に引き上げたことを死ぬまで後悔していた。周囲には「大蔵官僚にダマされた」と、恨み節までこぼしていたという。
彼がそう感じたのも無理はない。首相に就任した96年、日本はバブル崩壊の不況から立ち直りつつあった。そこで財政再建のために消費増税を実施したのだ が、日本経済はそれに耐えられるまでの体力はなかったのだ。増税後に個人消費が激しく落ち込み、再び不況に戻ってしまった。
政府の見通しも甘かった。増税から3カ月たっても、
「消費税率引上げに伴う変動もみられるものの、緩やかな回復傾向にある」(97年7月11日の「月例経済報告」)
と、楽観的な見方ばかりしていた。
97年の消費増税が経済に与えた影響を調査した小巻泰之日本大学教授は言う。
「当時の新聞報道を読むと、政府だけではなく、メディアも7月までは楽観的な見通しでした。GDP(国内総生産)などの経済統計は、一定期間を経た後に発表されるからです」
そして小巻教授は、こう警告する。
「今年4月に消費税が引き上げられたあとの状況も、同じ経緯で進んでいます」
たとえば、甘利明経済再生相は7月17日に「経済の好循環が回りつつある」と語っている。日本銀行が7月に発表した「金融経済月報」も「基調的には緩やかな回復を続けている」と政府見解に歩調を合わせている。あくまで「景気は上向いている」という認識だ。
ところが、各種統計をつぶさに見ると、それは決して正しくないことがわかる。上の表は、各業界の6月の売り上げや販売量などをまとめたものだ。軒並み厳し い数字が並ぶが、特に悲惨な状況にあるのが輸入車販売で、6月の販売台数は前年同月比でなんと21・5%も減少している。
「3月までの販 売台数は大幅増でしたが、4月からガクッと減ってしまいました。来店者数も激減して、特に新規来店者が少なくなりました。それでも、7月から盛り返して前 年並みになるだろうと思っています。これは予想というよりも、希望なのですが……」(日本自動車輸入組合)
前出の小巻教授は言う。
「97年も、8月になってようやく自動車販売や百貨店の売り上げの減少が一時的なものではなく、景気後退の一因として認識されるようになりました。『想定内』ではなかったのです」
消費税の引き上げ前には駆け込み需要で消費は増加し、引き上げ後は反動である程度は消費が減少する。だが、97年にはその「想定」を超える不況になってしまったというのだ。
今年も「想定外」の事態は進んでいるのか。東京商工リサーチの友田信男氏によると、今年4~6月は、個人消費に直結する企業の倒産が増えているという。
「婦人服や子供服の小売店や美容室などへの影響が大きい。また、3月までに急激に受注数が増えたのに、4月からパッタリと仕事がなくなったことで、資金繰りに行き詰まった企業も続出しています」
消費増税が景気に与える悪影響について早くから警鐘を鳴らしていたのは、嘉悦大学の高橋洋一教授だ。
「6 月から出ている統計は悪い数字ばかり。どこかにいい数字が出ていないかと探していたのですが、『消費総合指数』が少し上昇しているぐらい。これは、総務省 が発表している『家計調査』に鉱工業出荷指数などの供給側の数字を合わせ、消費の動向を示すものです。生産が増えているので数字がプラスになっています が、需要の減少を正しく予測できていないために、実際には売れ残りの在庫が増えています」
※週刊朝日 2014年8月8日号より抜粋
橋本龍太郎元首相は、97年4月に消費税率を3%から5%に引き上げたことを死ぬまで後悔していた。周囲には「大蔵官僚にダマされた」と、恨み節までこぼしていたという。
彼がそう感じたのも無理はない。首相に就任した96年、日本はバブル崩壊の不況から立ち直りつつあった。そこで財政再建のために消費増税を実施したのだ が、日本経済はそれに耐えられるまでの体力はなかったのだ。増税後に個人消費が激しく落ち込み、再び不況に戻ってしまった。
政府の見通しも甘かった。増税から3カ月たっても、
「消費税率引上げに伴う変動もみられるものの、緩やかな回復傾向にある」(97年7月11日の「月例経済報告」)
と、楽観的な見方ばかりしていた。
97年の消費増税が経済に与えた影響を調査した小巻泰之日本大学教授は言う。
「当時の新聞報道を読むと、政府だけではなく、メディアも7月までは楽観的な見通しでした。GDP(国内総生産)などの経済統計は、一定期間を経た後に発表されるからです」
そして小巻教授は、こう警告する。
「今年4月に消費税が引き上げられたあとの状況も、同じ経緯で進んでいます」
たとえば、甘利明経済再生相は7月17日に「経済の好循環が回りつつある」と語っている。日本銀行が7月に発表した「金融経済月報」も「基調的には緩やかな回復を続けている」と政府見解に歩調を合わせている。あくまで「景気は上向いている」という認識だ。
ところが、各種統計をつぶさに見ると、それは決して正しくないことがわかる。上の表は、各業界の6月の売り上げや販売量などをまとめたものだ。軒並み厳し い数字が並ぶが、特に悲惨な状況にあるのが輸入車販売で、6月の販売台数は前年同月比でなんと21・5%も減少している。
「3月までの販 売台数は大幅増でしたが、4月からガクッと減ってしまいました。来店者数も激減して、特に新規来店者が少なくなりました。それでも、7月から盛り返して前 年並みになるだろうと思っています。これは予想というよりも、希望なのですが……」(日本自動車輸入組合)
前出の小巻教授は言う。
「97年も、8月になってようやく自動車販売や百貨店の売り上げの減少が一時的なものではなく、景気後退の一因として認識されるようになりました。『想定内』ではなかったのです」
消費税の引き上げ前には駆け込み需要で消費は増加し、引き上げ後は反動である程度は消費が減少する。だが、97年にはその「想定」を超える不況になってしまったというのだ。
今年も「想定外」の事態は進んでいるのか。東京商工リサーチの友田信男氏によると、今年4~6月は、個人消費に直結する企業の倒産が増えているという。
「婦人服や子供服の小売店や美容室などへの影響が大きい。また、3月までに急激に受注数が増えたのに、4月からパッタリと仕事がなくなったことで、資金繰りに行き詰まった企業も続出しています」
消費増税が景気に与える悪影響について早くから警鐘を鳴らしていたのは、嘉悦大学の高橋洋一教授だ。
「6 月から出ている統計は悪い数字ばかり。どこかにいい数字が出ていないかと探していたのですが、『消費総合指数』が少し上昇しているぐらい。これは、総務省 が発表している『家計調査』に鉱工業出荷指数などの供給側の数字を合わせ、消費の動向を示すものです。生産が増えているので数字がプラスになっています が、需要の減少を正しく予測できていないために、実際には売れ残りの在庫が増えています」
※週刊朝日 2014年8月8日号より抜粋
露骨な大企業優遇 安倍政権が画策する「中小企業課税強化」(日刊ゲンダイ)
http://gendai.net/articles/view/newsx/149854
2014年4月30日 日刊ゲンダイ
消費税増税で青息吐息の中小企業に追い打ちだ。政府内で恐ろしい中小いじめプランが検討されている。大企業優遇のために、赤字に苦しむ中小企業への課税を強化するというのだ。
ターゲットになっているのは、04年に導入された「外形標準課税」。現在は資本金1億円超の大企業が対象で、14年度予算では6600億円の税収を見込んでいる。
「外形標準課税は、従業員への給料や資本金などの額に応じて税金を支払う仕組み。この対象を資本金1億円以下の中小企業にも広げることが検討されていま す。狙いは、大企業の法人税を減税するための財源づくりです。仮に法人事業税全体を外形標準課税に置き換えれば、実効税率は5%近く下がる計算です」(自民党税調関係者)
問題は、現行の法人税は赤字なら払わなくていいが、外形標準課税は赤字企業でも払う必要があることだ。現在、法人税を払っている企業は、全体の3割程 度。儲かっている3割の黒字企業の負担軽減のために、赤字企業から取り立てるなんてメチャクチャな話だが、与党税調はこの法人税改革案を5月中に取りまと め、6月に政府の「骨太の方針」に反映させる予定だという。ただでさえ、消費税アップで大打撃の中小企業にトドメを刺すような仕打ちだ。安倍政権は中小企 業を潰すつもりなのか。
■財政制度等審議会の試算は“脅し文句”だらけ
「弱い立場から巻き上げて、グローバル大企業を優遇し、国際競争力を高める。これが今の政権の方針です。TPPもそうですが、大企業の利益のためなら、中 小企業がバタバタ潰れようと知ったことじゃない。韓国のように、上位10社でGDPの大半を占めるような経済体制に変えたいのでしょう。雇用の8割を占め る中小企業が消滅すれば、大企業にも悪影響が出てきて、長い目で見れば日本経済にとってマイナスなのですが、政府も、大企業も、目先の儲けのことしか考え ていない。もっとも、外形標準課税の拡大はブラフの可能性があります。法人税減税分の財源は結局、消費税に付け替えられることになるのではないか。庶民か ら取れるだけ取ろうとしているのが安倍政権だからです」(ジャーナリスト・斎藤貴男氏)
気になるのは、外形標準課税の議論と時を同じくして、財務相の諮問機関である財政制度等審議会の試算が公表されたことだ。そこには、「2020年度に基 礎的財政収支を黒字化することができなかった場合、2060年度の借金はおよそ1京1400兆円に達する」とか「消費税増税による歳入増で達成しようとす ると、消費税率を30%近くまで引き上げなければならない」などと書かれている。“脅し”以外の何物でもないが、どれだけ庶民から搾り取れば気が済むの か。
黙っていたら、本当に中小企業は潰され、庶民生活は破綻してしまう。
ハッキリ言おう。
日本の財政を本気で再生したいと思うなら法人税と所得税の1984年レベルへの復帰と消費税を中止し、環境税などを導入すべきだと考える。今の日本の税制は弱者を痛みつけるとんでもないものなのである。
この悪税によってすでに深刻な経済の打撃が進んでいる。このままでいいのだろうか。安倍自称政権はこの国を壊したいだけなのではないか。ならば、ビルマに帰国することが彼にとって幸せなのではないかと指摘したい。