2020年5月7日木曜日

百貨店が潰れる理由

 COVID-19(新型コロナウイルス)感染症に伴う景気悪化が進んでいる。
 いや、日本の場合カジノミクスというべきAPEノミクスにより、一部企業への利益の集中が進んでしまい、今年に入ってでもあのドンキホーテですらも札幌市の中心地にある大型店舗2店のうち1店を閉鎖したほか、宮崎市の老舗百貨店・橘百貨店がドンキホーテに買収され、ドン・キホーテに改装されることになった。
 破産する企業もある。豊橋市にあったほの国百貨店(豊橋丸栄)は赤字が続いて閉鎖されたし、広島市に2店舗構えていた天満屋は広島市から完全撤退を余儀なくされた。そごう・西武は軒並み店舗の閉鎖を実施しているし、山形市にあった老舗百貨店・大沼は破産申請して倒産した。
 昔、百貨店といえば暖簾の信頼があった。「三越の包装紙なら安心」「まるいさん」など、札幌ではそういった言葉が飛び交うほどだった。今、経済の中心を回す30代のファミリー層はイオンモールの利用者がほとんどだ。それでイオンモールの中に有名ブランド店がテナントとして出店するようになった。
 百貨店サイドも危機意識を持って改革している。大丸松坂屋のGINZASIX・パルコ上野店はその一部だろう。高島屋もショッピングモールを強化しているし、東急百貨店も渋谷駅前の大型開発に合わせて百貨店業態からショッピングモールへかじを切った。そごう・西武も所沢店をショッピングセンターにして、系列のイトーヨーカドーと関係を強化しつつあるb。阪急阪神百貨店も傘下に収めたイズミヤを使って改革している。危機感がないのは三越伊勢丹だけだ。
 そもそも、百貨店の売り場は「消化仕入れ」が昔からの習わしだ。これは「売上仕入れ」とも呼ばれる仕入れの取引形態であり、百貨店の店頭において商品が顧客に売れた時点で、はじめて百貨店側がその商品を仕入れたことと見なし、その売上高の一定割合を仕入れ代金として取引先側(貴社)に支払う契約内容で、期間に関しては、通常事前に明確な期限を決めておくことは少なく、売上げ動向を確認しながら、双方の話し合いで決まる。
 最近増えているSCへのショップ出店の際には、一般的に「定期借地権」、売場をテナント側(貴社)に貸す際にはあらかじめ契約期間を決めておき、契約期間終了時には、デベロッパー側(SC)に確実に返還する形での契約が多いとのことだ。
https://j-net21.smrj.go.jp/qa/development/Q0926.html

 三越伊勢丹の苦戦は、伊勢丹の成功体験を引きずりすぎたのが大きいのではないか。
 昔、伊勢丹はファッションで一世を風靡してきた。しかし、今やファッションで言うなら誰でもできるファストファッションの時代だ。あのユニクロが百貨店にテナントとして堂々と出店する時代だ。
 こんな調子ではだめになるのも当然だろう。私は以前、三越伊勢丹ホールディングスのイオングループへの売却を提唱した。それを更に前に強く打ち出すしかない。札幌一つとってもあまりにも店舗が多すぎる。イオンモールに小型百貨店という形で移転してしまえば問題ないのではないか。
 イオンモールへの出店は、大阪でも活用可能だ。人員削減という課題については、各地域のイオングループに小型ストア「まいばすけっと」の出店を頼めばいいまでのことだ。北海道一つとっても、札幌周辺にまいばすけっとをイオン北海道が出店している。
 イオンモールへの移転が完了した三越伊勢丹グループ店舗については、原則オフィスビルかマンションを併合させたイオンスタイルの再開発が望ましいのではないか。百貨店はあまりにも時代遅れであると言わざるを得ない。
 アメリカでもAmazonの影響で大手百貨店の経営破綻が囁かれているのだ。そこに今回のCOVID-19だ。もともと足元が不安定なところに今回の経済破綻だから、だめになるのも当然だろう。